2012年8月6日月曜日

不透明な討論型世論調査と意見聴取会とパブリックオピニオン募集:「国民の意見」を、誰がどうまとめて結論を出すの?

 2030年の電源構成の選択肢を決めるための討論型世論調査(DP)が4日から始まった。電話によって6849人を無作為抽出したというが、その調査は一体何曜日の何時頃に実施されたのだろうか。また、そのなかから希望者286名がDPに参加したというが、この時期に3日間も他府県にでかけて議論などしていられるような(議論ができるような立場にある)参加者とは一体どういう人々なのだろうか。そのような人々が、果たして国民の意見を代表する人たちであるのかどうかということもよく考えてみるべきではないのか。

それにDPでは討論の前に事前に資料が配布されているというが、それは誰が作成した、どんな資料で、グループの意見をまとめる人間はどのように選出され、彼・彼女は一体何を基準にグループの意見をまとめるのか、参加者の質問に回答する専門家4名というのは、一体誰によって、どのような選定基準で選ばれた、どのような人物なのだろうか。これまでの公聴会や秘密会議の手法などから判断すれば、哀しいかな、また国民の目を欺くような姑息な手段で、やらせの人選、意見誘導がなされているのではないかといった、下衆の勘ぐりをせざるをえない。

参加者や専門家を選定するまでの手続き、参加者に事前配布された資料の中身や資料作成者の氏名が事前に公表され、全体会議や議論のすべてが、きちんと国民の目がとどくような場で、公正に行われない限り(公共放送機関が、のど自慢やオリンピックのくどい再放送などを中止して、中継放送をすれば済むことである)、このたった200数十人程度の人間の意見が、どう変わったかその変化をどのような観点からどう分析し、そこからどんな結論を導くのか、誰の目にも納得いくようにしっかりと説明をしない限り、DPも所詮は、パブリックオピニオンの募集や聴取会同様、わずかな人間が意見を述べ立てる場を設けたという既成事実を作るための体のいい通過儀礼なのではないかと言われても、反論の余地はない。

そもそも、一体なぜ2030年なのか?討論テーマ、3つの選択肢そのものがナンセンスである。
政府、官僚は2030年の電源構成の選択肢というが、2030年にしなければならない根拠が全く定かではない。地震のないドイツでさえ、2022年ですべてほ原発を停止すると宣言しているのである。原発災害を引き起こし、世界を騒がせた日本は、意見聴取会に出席した福島県民が主張するように即刻原発を廃止すべき立場なのではないのか。

この先少なくとも18年間、日本が激震に揺さぶられることも、沿岸地域が巨大津波に襲われることも、あるいは別の人為的なミスで深刻な原発災害が引き起こされることは絶対にないという、100%確実な御神託でもあるのならば、いざしらずーーー。しかし、「運転停止中だから安全」としきりに言われていた4号機ですら、あの惨状なのだから、原発は、ただ再起動せず止まってさえいれば、電源を喪失しようがなにがあろうが、安全だなどという神話はとっくに瓦解している。

とすれば、悠長に構えて、18年も先のことについて議論をしているような場合だろうか。

次の大惨事が起るまでに一刻一秒を争って、代替エネルギーの開発や、電力会社の自由化に、放射性廃棄物の処分について、政財官が一丸となって死力を投入すべき時期にあるのではないのか?

パブリック・オピニオンの募集についても、大型メディアはほとんど全くといっていいほど、国民に対してしっかりとした広報活動を行なってはいない。消費税問題も、原発問題も今はすべて、オリンピック報道にかき消されてしまっている。20も、30も金メダルをとって浮かれているスポーツ大国ならば、あるいは原発災害も、原発のために家を追われた避難民もない広い平和な国ならば、まだしも、今の日本は国民がオリンピックに浮き足立っていてよいような状況だろうか。

政府がパブリック・オピニオンを求めていることすら、オリンピック報道にかき消されて、国民には十分に周知されているとは言いがたい。パブリック・オピニオンの締切り日を8月13日にしたのは、オリンピックの閉会式が12日であり、オリンピックに乗じて目眩ましを図ろうというような意図があまりにも見え透いていると思うのは薔薇っ子だけだろうか。

「国民に意見を求めたが、わずか数万人しか意見を述べる人がいなかった。多くの日本国民は野田政権に絶対的信頼をおいていて、特に自身の意見など持たない烏合の衆ばかりだから、政府が15%程度の原発の存続を、国民に代わって決めてやらなければ仕方ないんじゃないか」などと言った幕引きになるのでは? 


脱原発 民意明確に 67%「ゼロ」選択

2012年8月5日 07時09分

 将来の原発比率をどうするか、政府が国民から意見を聴く会が四日、高松市と福岡市で開かれ、すべての日程が終わった。全国十一会場で参加者が突きつけた声は、70%近くまでが原発ゼロだった。細野豪志原発事故担当相が「最も重要な聴取会」と述べた福島市の会場では「すべての原発の即廃炉」が圧倒的だった。東京電力福島第一原発の事故を受けて明確に示された「脱原発依存」の民意。政府はその声をしっかり受け止め、政策に反映させていくことが求められる。

 聴取会は七月十四日にさいたま市でスタートし、仙台、名古屋、富山など十一都市で開かれた。運営をめぐっては、原発比率の選択肢が0%、15%、20~25%の三つしかない点や、政府が15%を落としどころにしたがっている意図が見え隠れする点をはじめ、さまざまな問題点が浮かび上がった。

 0%の選択肢について発言を希望した人の割合は67・9%に達した。三つの選択肢以外の発言を求めた人も、会場での声を聴くと「二〇三〇年に0%では遅すぎる」など、もっと切実な0%論を展開する人が多かった。

 15%を選んだ人の中には、本当は0%を選択したいが「当面は代替エネルギーの確保が難しいだろうから」とする消極的な15%論が多かった。

 選択肢ごとの発言枠を設けなかった福島市の聴取会では、発言した三十人のほぼすべてが0%を主張し、そのほとんどが即廃炉を求める内容だった。

 政府は聴取会のほか、インターネットやファクスなどで意見を募るパブリックコメントを、今月十二日まで実施中。集計はまだされていないが、事務局によると、既に三万件超が寄せられ「0%が多い」という。

 問題なのは、こうして示された民意を、政府が今後のエネルギー政策にどう反映させるかだ。政府は今月中にも新たな方針を打ち出す予定だが、「九月の民主党代表選で争点にしたくないだけ」と見透かす発言も、聴取会では多かった。使用済み核燃料や放射性廃棄物の最終処分が白紙状態であることを懸念する声も目立った。

 「国民的議論」をすると言いながら、政党の都合で民意を無視し、十分な検討もせず、重要なエネルギー施策を決めるとしたら、国民の強い批判を招くことになるだろう。

(東京新聞)





金子勝氏ツイッターより

8月4日の福岡、高松でエネルギー選択肢に関する意見聴取会が終わったが、7割が「0%」シナリオでした。それでも発言機会が制限されているのが、今の国民世論を無視する日本の状況を反映しています。パブコメでも電力・原子力ムラに負けてはいけません。
2012年8月4日 - 14:02 webから

猛暑ですが、7月から電力使用率90%を超えた日はわずか2日間。火力発電を止め、中部電力その他から電力を買っている。大飯再稼働をする時はこんな電力構成ではなかった。節電効果だけでなく自家発電も含めて、インチキはきちんと検証すべきです。
2012年8月4日 - 15:03 webから

原子力ムラは既成事実化を狙っています。政府のエネルギー政策決定を待って、電源開発は大間原発工事を再開するという。政府は一体、意見聴取会をどう反映するつもりなのか。このまま原発再開に突っ込む大間町長はまぐろ漁を守るつもりはあるのでしょうか。
2012年8月4日 - 14:50 webから








新型世論調査、2日目の討論開始 意見の変化を探る

(08/05 11:01、08/05 12:18 更新)

新たなエネルギー・環境政策の決定に向けた「討論型世論調査」の小グループでの討論=5日午前、東京都港区

新たなエネルギー・環境政策の決定に向けた「討論型世論調査」の小グループでの討論=5日午前、東京都港区

 政府は5日、新たなエネルギー・環境政策の策定に向け、討論や学習による意見の変化を探る「討論型世論調査」の2日目の議論を東京都内でスタートした。将来の原発比率などをめぐり、約280人が4日と同じく、小グループでの討論と専門家を含めた全体会議をし、最後に参加者へのアンケートを実施。

 2日目のテーマは「2030年のエネルギー選択のシナリオを考える」。参加者には、討論型世論調査の前後で、将来の望ましい原発比率など同じ質問を計3回繰り返す。国の政策形成に討論型世論調査を活用するのは世界初とされ、調査結果をどう政策に反映させるかが焦点とな


脱原発依存へ国民論議スタート エネルギー選択の聴取会

(07/14 18:38、07/14 18:49 更新)

新たなエネルギー・環境政策に関する第1回の意見聴取会であいさつする枝野経産相=14日午後、さいたま市

新たなエネルギー・環境政策に関する第1回の意見聴取会であいさつする枝野経産相=14日午後、さいたま市








 政府は14日、新たなエネルギー・環境政策に関する第1回の意見聴取会をさいたま市で開いた。東京電力福島第1原発事故を踏まえ「脱原発依存」に向けた将来像を選ぶ国民の議論がスタートした。

 聴取会での意見を参考に、政府は2030年の原発比率を盛り込んだ新戦略を8月にまとめるが、国民の議論が約1カ月間と短く、選択肢が限られている点に批判も出ている。原発活用をめぐる対立も根深く、政府の意見集約は難航しそうだ。

 14日の聴取会では、枝野幸男経済産業相が「今回の選択は将来世代と国際社会に大きな影響を及ぼす。国民の声にしっかり耳を傾ける」とあいさつした。

                                                 

7割が原発比率「0%」

  

 政府は4日、将来のエネルギー・環境政策について国民から直接意見を聞く意見聴取会を高松市と福岡市で開き全国11都市でのすべての日程を終えた。意見表明を希望した計1447人(福島市を除く)のうち、約7割に当たる983人が2030年の原発比率(総発電量に占める割合)「0%」に関する発言を求めた

 一方、政府は4日、参加者が議論し、意見の変化を探る「討論型世論調査」を東京都内でスタート。意見聴取会とともに、新たなエネルギー・環境政策の参考にする。

ただ結果をどのように反映させるか明らかにしておらず、大詰めを迎えた「国民的議論」の行方は不透明だ。

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