2011年8月9日火曜日

司法における正義とは何ですか?:アインシュタインの叡智 

福井原発や泊原発で、一般市民が原発差し止め訴訟の声を挙げ始めた。
社会正義を守る市民の砦であるはずの裁判所の果たす役割は甚大である。

しかし、これまでの原発関連の裁判では、ほとんどのケースが敗訴に追い込まれ、たとえ一審で勝訴しても、上告審で敗訴を余儀なくされてきたという。

もし、これらの裁判で、最高裁が危険性を訴える声に真摯に耳を傾け、国民の安全を第一に考えていれば、福島第1のような悲惨な事件は起こらなかったはずという声もある。強引に裁判結果をひっくり返し、原発側を勝訴に導くインセンティブとして、ご叙勲と原子炉メーカーへの天下りがあったとは、誠に持ってひどい話である。

原発事件に関してこれだけいろいろな事実が明らかになっているのにもかかわらず、検察は全く動く気配もないし、集団訴訟に踏み切った弁護士も全国でわずか100人の所以はここにあるのだということがよくわかった。

以下、中日新聞の記事を取り上げる。併せてツイッター、フェイスブックでで1万を越えたMyNews Japan の、原発訴訟で勝訴した最高裁の判事の天下りについて書かれた記事と、東電が設置した、事故調査委員会の委員とその上部組織の委員を、東電の原発訴訟で代理人を勤めていた弁護士とその弁護士事務所の同僚弁護士が勤めている事実についての時事通信の記事を転載する。

アインシュタインは人が作った原子力を人間がなかなかコントロールできないのはなぜかと問われて、「政治学のほうが物理学よりはるかに難しいからだ」と答えたそうである。


http://www.chunichi.co.jp/article/column/editorial/CK2011080802000006.html

社説

司法は「市民の砦」か 週のはじめに考える

過去の原発をめぐる住民訴訟はすべて、結果的に「原告敗訴」で終わっています。福島第一原発の事故を境に、裁判官の考え方は変わるでしょうか。
「相対性理論」で名高いアインシュタイン博士は一九四五年、「アトランティック・マンスリー」という雑誌に次のようなことを書いたそうです。
 《原子力が将来、人類に大きな恵みをもたらすとは、いまのわたしには、考えにくいのです。原子力は脅威です》(講談社刊「科学の巨人 アインシュタイン」)

 覆った差し止め判決

福島第一原発事故で、金沢地裁の元裁判官・井戸謙一さんはその脅威をしみじみ感じました。
「いよいよ起きてしまった。まずそう感じました。全国の原発に共通する危険性が、現実化したのだと思いました」
二〇〇六年、石川県にある北陸電力・志賀原発で、全国初の「運転差し止め」を命じた当時の裁判長だった人です。
この裁判では、どんな揺れが原発を襲うかが争点の一つでした。原発近くの断層帯全体が一度に動けば、マグニチュード(M)7・6の地震が起こる可能性が指摘されていました。電力会社は断層は別々に動くと主張し、もっと小さな揺れを想定していました。
井戸さんらは「予測される地震は最大想定値として考慮すべきだ」と考えたのです。
 しかし、この判決は〇九年の二審で取り消されてしまいます。新しい耐震設計審査指針に基づく見直しが実施され、「安全」という国のお墨付きが出ていたのです。
 名古屋高裁金沢支部は国の安全判断を認めました。「M6・8で十分。断層帯が連動して動くことはない」とする電力会社の想定を妥当とし、最高裁も原告の上告を退ける決定をしました。

 最高裁は「二重基準」

井戸さんはこう続けます。
「原発に問題点があることを感じていても、多くの裁判官は過酷事故を起こす現実感を持てなかったのではないでしょうか。今回の事故は、事実をもって、問題点の証明をしたと言えます」
長く原発訴訟に取り組んできた海渡雄一弁護士も「日本の司法は原発の安全性に向き合ってこなかった」と厳しく指摘します。
 「そもそも数々の原発訴訟で『原告勝訴』の判決が出たのは、わずか二件だけです。志賀原発の一審判決と、福井県の高速増殖炉『もんじゅ』の二審判決です。それも上級審で敗訴に逆転します。これまでの裁判を見通すと、最高裁はまるでダブルスタンダード(二重基準)を用いているのではないかと思われるほど、常に国の判断に追随してきたのです」
「もんじゅ」の設置許可を「無効」とする判決が出たのは〇三年です。判決は「安全審査に重大な誤りがある」と述べました。それを最高裁が〇五年に覆します
「最高裁は事実認定しないのが原則ですが、『もんじゅ』では、高裁判決にはない事実認定を書き加え、矛盾する高裁の認定はすべて無視して、国の安全審査に過誤・欠落はないと結論づけたのです。逆に東京電力の柏崎刈羽原発の訴訟では、最高裁は法律上の判断しかしないとして、上告理由はないと退けました」(海渡さん)
裁判官は国や専門家の判断を尊重し、手続きに重大な誤りや落ち度などがなければ「問題なし」としてきたのが実態なのです。
 中部電力・浜岡原発の裁判では、後に原子力安全委員長となった班目(まだらめ)春樹氏が中電側の証人として、「(原発の設計は)どこかで割り切る」と証言しました班目氏は原発事故後の国会で「割り切り方が正しくなかった」と珍妙な答弁をしました。専門家もあてにならない証左です。
 この浜岡原発訴訟の弁護団長・河合弘之弁護士を中心として、今年秋から全国各地で「脱原発訴訟」を起こす動きがあります。既に約百人の弁護士が名乗りを上げています。3・11を受けて、国民の認識も裁判官の認識も変わったという風を感じています。
 元裁判官の井戸さんも「第二のフクシマを想定し、裁判官の発想も影響を受けるでしょう」と語ります。「正義はあっても力を持たない人間が、立法や行政に頼れないとき、救済できるのは司法だけです。つまり司法は最後の『市民の砦(とりで)』であるべきです

 原点に立った目で

 人間が発見した原子力をなぜ人間が管理できないのか。アインシュタイン博士は皮肉を込めて「政治が物理学より難しいからですよ」と答えたそうです。
 科学の巨人が「脅威」と語った原子力について、やすやすと最高裁が容認してきたことに驚かざるを得ません。原点に立ち返って、「市民の砦」の役割を期待したいと思います。


「原発は安全」判決書いた最高裁判事が東芝に天下り 司法

にも広がる原発マネー汚染


04:31 05/27 2011
 

1992年に原発容認の判決をくだし、その後東芝監査役に天下った元最高裁判事の味村治氏(故人)。写真上は最高裁、下は東芝本社。

 四国電力伊方原発と東電福島第二原発の建設許可取り消しを求めた2つの裁判で、原発の安全性にお墨つきを与える判決を下した最高裁判事が、米国GE社と提携する原発メーカー「東芝」の役員に天下っていたことがわかった。判決があったのはチェルノブイリ原発事故から6年後の1992年のことで、脱原発の声を封じて原発ラッシュの流れをつくる一大転機となった。裁判官と原発産業の生臭い関係に、原発の危険を訴えてきた地元住民は絶句する。「司法よ、お前もか――」 

【Digest】
◇東芝天下りの最高裁判事・味村治氏は元検事
◇「伊方」「福島第二」の二大原発訴訟
◇東芝役員の天下り官僚・大学長は20人
◇「伊方訴訟」でバレたデタラメ安全審査
◇「格納容器は絶対に壊れない」と国側きっぱり
海外大事故でも「日本の原発安全」と宮本勝美裁判長
◇「GE格納容器、燃料プールは脆弱」証言も裁判官無視
福島原発は地震で壊れない? というトンでも判決
◇チェルノブイリの『チ』の字もなかった最高裁判決


◇東芝天下りの最高裁判事味村治氏は元検事
 原発メーカー「東芝」監査役に天下っていたのは元最高裁判事味村治氏(みむら=おさむ・故人)だ。経歴は次のとおりである。
 1924(大正13)年中国東北部生まれ。東京帝国大法学部を卒業して司法試験に合格。戦後1期目の司法修習を終えて検事となり、東京高検検事長・内閣法制局長官をへて1990年、最高裁判事となる。ときの総理大臣は海部俊樹だった。94年、70歳で最高裁判事を定年退官した後は弁護士となる。「勲一等旭日大授章」という最高位の勲章を受け取り、98年、東芝の社外監査役に就いた。監査役は約2年間で、その後2003年7月に死去した。
 味村氏が天下った「東芝」(本社・東京都港区、佐々木則夫社長)は、日立製作所、三菱重工、三菱電機などと並ぶ国内有数の原発メーカーだ。沸騰水型軽水炉(BWR)の開発元・米国ゼネラル=エレクトリック社(GE)とも縁が深い。

東芝は沸騰水型原発を開発したアメリカのゼネラル=エレクトリック社(GE)と明治時代から協力関係にあった。上はGE創業者のエジソン。
東芝の社史や広報資料によれば、東芝がまだ「芝浦製作所」と「東京電気」にわかれていた明治時代から、資本や技術面でGE社とは協力関係にあった。日米開戦で両者の関係はいったん切れるが、戦後再び手を結ぶ。朝鮮戦争や自衛隊創設に伴って戦闘機のレーダーなどを作るようになり、高度成長の波にも乗って東芝は会社を大きくしていく。

 原発事業への本格的な参入は1960年代以降。GEとともに東電をはじめ多数の原発建設にかかわりはじめる。今回事故を起こした東電福島第一原発の工事も行った。最近では2006年に加圧水型軽水炉(PWR)を開発した米国ウエスチングハウス社(WH)を子会社化し、国内だけでなく海外の原発プラント受注にも積極的に取り組んでいる。
国内原発産業のトップランナー・東芝。そこに天下った最高裁判事・味村治氏。彼が下した「原発裁判」の判決とは、どんなものだったのだろうか。

◇「伊方」「福島第二」の二大原発訴訟

 問題の判決は2つある。「四国電力伊方1号炉訴訟」と「東京電力福島第二原発1号炉訴訟」。いずれも、国が出した建設許可に対し、予定地
周辺の住民が「大事故の危険が高く、安全審査などの手続きに違法性がある」として許可の取り消しを求めたものだ。

http://www.jiji.com/jc/zc?k=201107/2011072200868

東電代理人に第三者委員=福島原発差し止め訴訟など-事故検証委の上部機関

福島第1原発事故を受け、東京電力が設置した「事故調査検証委員会」(委員長・矢川元基東大名誉教授)の上部の第三者機関で委員を務める元裁判官の弁護士(53)が、運転差し止め訴訟など同原発をめぐる複数の裁判で、東電側の代理人となっていることが22日、分かった。東電による事故調査の中立性が問われそうだ。
弁護士が委員となっているのは、2002年に発覚した福島第1、第2原発や柏崎刈羽原発でのトラブル隠し問題の再発防止策として、原発の安全管理などを審議するため同年に設置された「原子力安全・品質保証会議」(議長・同)。メンバーは大学教授ら外部有識者6人で、弁護士は当初から委員を務めている。
東電の事故調査検証委は今年6月、原子力安全会議の下に設置された検証委の委員7人のうち4人は安全会議の委員が兼ねるが、弁護士は兼務せず、同じ事務所の別の弁護士が就任した。
安全会議委員の弁護士は北海道の男性が福島第1、第2原発の運転差し止めを求めた訴訟や、東京都の男性が福島第1原発事故で感じた不安に対する慰謝料を請求した訴訟など、事故の前後に起こされた複数の裁判で、東電側の代理人となっている。
慰謝料請求訴訟で東電側は、「想像をはるかに超えた地震と津波に対応できるような対策を講じる義務があったとは言えない」と主張している。
弁護士は取材に対し、「複数の訴訟で東電の代理人をしているのは事実。誤解を受けないよう事故調査検証委から外れており、問題があるとは思わない」と話している。
東京電力の話 会議の委員と原発事故に関する訴訟の代理人とは役割が矛盾するものでなく、不適任とは考えていない。(2011/07/22-20:17)

子供や孫の健康よりも目の前の交付金ですか、福井県?:コピペ



http://mainichi.jp/area/fukui/news/20110713ddlk18040550000c.html

敦賀原発:1号機廃液タンク配管に穴 77年設置で腐食 /福井

 日本原子力発電は12日、定期検査中の敦賀原発1号機(沸騰水型、35・7万キロワット)で、放射性物質を含む廃液を貯蔵するタンク(直径約4・3メートル、高さ約5・3メートル)から空気を抜く配管(直径約20センチ、厚さ約8ミリ)が腐食して2カ所に微小な穴ができ、廃液成分が漏れて付着していたと発表した。放射線量は検出限界値以下で、周辺環境への影響はないという。

原電によると、廃液の量が増えるとタンク上部の空気が配管に押し出され、別の場所に移動する。6月18日に運転員がタンク付近の床で廃液が数滴漏れ出た跡を見つけた。77年に取り付けた配管で、今後は腐食しにくい素材の配管に取り換えるという。【柳楽未来】
毎日新聞 2011年7月13日 地方版

原発耐性試験:保安院内容公表 県は詳細見極めへ 敦賀市長、安全へ期待 /福井

 東京電力福島第1原発の事故を踏まえて全原発で実施するストレステスト(耐性試験)の内容について、経済産業省原子力安全・保安院が公表した15日。県は、定期検査中の原発の再稼働の判断とは別物との見方だが、敦賀市の河瀬一治市長は「合格すれば原発がより安全なものになる」と期待をのぞかせた。【安藤大介、柳楽未来】
毎日新聞 2011年7月16日 地方版 原発:「早期再稼働を」 近隣区長会、検査後運転求め敦賀市に要望書 /福井
 日本原子力発電敦賀原発などに近い敦賀市西浦地区の区長会は15日、原発の再稼働について「国の検査が終了次第、運転をただちに認めるべきだ」などとする要望書を、河瀬一治市長に手渡した。
 同区長会によると、東京電力福島第1原発事故で原発に対する風評被害が広まり、これから夏休みで本格的な海水浴シーズンを迎えても、民宿などの利用客が減るのではないかと懸念しているという。運転停止中の原発を早期に再稼働することで、安全を示すよう求めることにした。要望書では、「原子力発電は逆風のまっただ中ではあります。今だからこそ原子力が安全で必要なエネルギーであることを、原子力先進地敦賀から発信することが重要であり責務」などとしている。
 河瀬市長は「原発は当面必要と思っているので、地元の意見を参考にして原子力行政に取り組んでいきたい」と応じた。【柳楽未来】
毎日新聞 2011年7月16日 地方版