2012年1月11日水曜日

まともな議論ができるのは、外国人ジャーナリストだけですか?

薔薇っ子は幸いにして、元日海外にいたので、年明け早々から、マグニチュード7の地震に遭遇することはなかった。しかし、原発ムラの住人にとっては、まさに冷や汗のでる瞬間だったのではあるまいか。

にもかかわらず、読売新聞は、政府の原発廃炉40年宣言に対して、原発擁護の立場から、これに真っ向から異論を唱えている。さすがは日本の原発政策を推進した正力松太郎氏の読売新聞だけのことはある。

正月以降の報道に注目しているが、細野氏の突然の廃炉宣言と中間貯蔵地を地元浪江町に依頼したというニュース以外、原発問題、エネルギー問題に関する言及は、とみに少なくなっている。

そのなかで、今日はブルームバーグのペセック氏の記事を転載する。こういうまともな議論を堂々と公然とやってのけることができるジャーナリストは、一部の海外ジャーナリストだけなのだろうか。

もっとましな議論が国じゅうのジャーナリストや有識者の間で、湧き上がっておれば、あえて素人の薔薇っ子のような名もない一市民が、こんなブログを書き綴って、ごまめの歯切りをする必要もなかっただろうに。。。

安全神話も、コスト安の神話も崩れ去った後、何かと言うと、安定した電力供給ができるのは、唯一原発だけであるというところに話は収斂する。しかし果たしてそうだろうか。代替エネルギー資源開発を阻み、電力の自由化やそれを促すようなシステム作りに歯止めをかけようとする見えざる手が大きく作用しているから、そうならざるをえないだけのことではないのか。

従来日本は何かと言うと欧米に追従し発展成長してきた。特にここ60数年間はアメリカ追従傾向が顕著で、原発もまさにアメリカ直輸入の技術であったわけだが、日本は、トイレのないマンションをこれからも永々と作り続け、廃棄物をあちこちに投棄することができる広い国土を有する国の猿真似をすることからそろそろ卒業し、地震国でもないのに、フクシマを教訓にして、果敢にも脱原発を宣言し、それに向かって突き進んでいるドイツを見習うべきではないのか。

世界トップレベルの安全性を備えた原発の新設をすればいいなどと気安く言うが、僅かなミスでこれだけの甚大な放射能汚染を広げる深刻な事故を引き起こした上、すでに事件後10ヶ月にもなるというのに、フクシマでは未だ4つの原子炉内の詳しい状況すらまともに把握できない、そのような惨憺たる日本の原発技術のレベルでは、いくら世界トップ水準などと豪語してみせたところで、いかほどのものでもないことは、素人目にも明白である。

そんな高い安全性を確保できるような技術が日本にあるというのならば、優秀な技術者の知恵を結集して、明日にでもすべての人がフクシマに戻り、安心して暮らせるような状況に戻して頂きたいものである。事故が起きても、すぐまた元の安全な状態に戻すことができる技術が伴ってこそ、初めて安全性が確保できると言えるのではないか。

以下、ブルームバーグの電子版と読売新聞の社説、電子版,NYTの関連記事を転載する。


http://www.bloomberg.co.jp/news/123-LXAW9H0D9L3501.html

【コラム】元日の地震で考えた政府と国民の深い断絶-W・ペセック

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  1月5日(ブルームバーグ):元日の地震ほど驚かされるものはない。1月1日に起きたマグニチュード(M)7.0の地震で祝日のまどろみを破られた時、多くの東京都民がそう考えた。
  2011年が終わって喜んでいる先進国があるとすれば、それは日本だ。デフレの深刻化、国債の格下げ、5年間で5人目の首相辞任、世界中の投資家を動揺させたオリンパス問題などがあったものの、3月の大震災と津波、それによって引き起こされた放射能汚染危機は1年で最大のニュースだった。
  12年最初の日に地震が起きた時、すぐに心配になったのは東京電力福島第一原発だ。ありがたいことに、今回、地震は新たな被害をもたらすことはなかった。
  だが、次回はどうだろうか。6月の朝日新聞の世論調査では、74%が全国の原発を段階的に減らし将来は廃止することに賛成と答えている。野田佳彦首相が4日の記者会見で示しているように、政府の対応はそれとは反対のことが進んでいることを示唆している。国民は将来の脱原発を望んでいるのに、政府は電力業界を甘やかす姿勢に戻っている。
  どうしてこんな断絶が起きているのだろうか。日本の原子力産業共同体は、米国の企業と軍とのつながりと全く同じぐらい強力だ。大金が絡んでおり、日本の「原子力村」も守りを固めつつある。菅直人前首相は原子力業界と官僚の癒着を抑える計画を発表したが、その時に菅氏の首相としての政治生命は終わった。
  日本国民に対しもっとふさわしい対応があってしかるべきだ。また、全国の原子炉54基のうち6基しか稼働していない現状についても考えてみるべきだ。苦しい状況が予想され、政府は原発が経済に不可欠だと主張しているものの、日本は原発なしでもそれなりにうまくやっていけることを証明している。
  日本がこれほどの地震大国でなければ、原子力は効率的で費用効果が高く、クリーンだという主張にも、もっと説得力があるかもしれない。原発を全て停止しろとは誰も言っていない。技術者が原子炉を強力な緩衝装置の上に設置するなどしてテロをはじめとするあらゆる潜在的リスクに対応しない限り、原発中心の政策からの脱却が日本の指導者にとっての最優先課題になるだろう。
日本が成長産業を求めているのなら、原発に代わるものを探すことに新たなアイデアや技術革新、投資を集中させるべきではないだろうか。(ウィリアム・ペセック)
(ウィリアム・ペセック氏はブルームバーグ・ニュースのコラムニストです。このコラムの内容は同氏自身の見解です)
記事に関する記者への問い合わせ先:
記事に関するエディターへの問い合わせ先:
更新日時: 2012/01/05 13:57 JST

http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20120107-OYT1T00941.htm


原発の新規制 唐突な「40年で廃炉」の方針(1月8日付・読売社説)

原子力発電所の運転は原則40年以上は認めないことなどを柱とする、原子力安全規制の新方針を政府がまとめた。
これを盛り込んだ原子炉等規制法の改正案を、新たな原子力規制組織である「原子力安全庁」(仮称)の設置法案などとともに、今月召集される通常国会に提出するという。
東京電力福島第一原発の事故の後、福井県など立地自治体から、原発の老朽化を問題視する声が出ていることを重く見た。
海外では、脱原発を掲げる国を除き、法律で原発の「寿命」を規定する例はまれだ。今後の電力供給の在り方を巡る政府内の議論も続いている。唐突すぎないか。
国内では、廃炉となる福島第一原発の4基を除く50基のうち、15基が、すでに運転30年を超えている。うち2基は40年以上だ。原発は急速に減ることになる。
延長申請があれば、老朽化を評価したうえで認める場合もあるとしているが、細野原発相は「極めてハードルが高い」と言う。
事故前、原発は電力供給の約3割を担っていた。それを何で代替するのか。風力発電や太陽光発電では、まだ力不足だ。
廃炉に伴う課題も多い。政府は廃炉費を1基約500億円と試算し、電力会社による費用積立制度も設けている。だが、積み立てが本格化して約10年のため、廃炉が相次ぎ廃棄物が増えると賄えない。専門の人材も少ない。
さらに野田政権は原発輸出を目指している。原発が次々消える国では国際的信用も得られまい。
原発の寿命を定めるのなら、新設に向けた政策を、将来のエネルギー政策と絡め検討すべきだ。世界トップクラスの安全性を備えた原発に置き換えればいい
それまでは、既存の原発を、安全性を十分確認したうえで利用していくことはやむを得ない。
今回の新たな規制方針にも、その条件は盛り込まれている。
まず、原発で大きなトラブルが起きても重大事故につながらないよう、法律で電力会社に対策を求める。最新の安全基準や技術を、既存の原発に、迅速に反映させることを義務づける「バックフィット」という仕組みも導入する。
これらは従来、電力会社が自主的に取り組んできた。だが、それが今回の事故の要因となった。
すでに国内の原発は定期検査で次々に停止しており、再稼働のめどが立っていない。新たな規制方針が、これをさらに遅らせることのないようにしてもらいたい。
(2012年1月8日01時07分  読売新聞)



WORLD BRIEFING | ASIA

Japan: New Limits on Reactors

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Japan said Friday that it will set more stringent age limits on nuclear reactors and require operators to prepare for severe accidents as part of legal changes in the wake of the nuclear crisis at Fukushima. The age limit could also be a step toward fulfilling a government promise to eventually phase out nuclear power in the quake-prone nation. Japan already requires utilities to conduct safety checks on reactors at 30 years, and again at 40 years, to stay in operation. Fresh legislation will set the legal lifespan of reactors at 40 years, though the government will still approve extensions on a case-by-case basis. Excluding the six damaged reactors at the Fukushima Daiichi plant, 13 others in Japan will hit the 40-year limit in the next decade, according to the Ministry of Trade.