2011年7月31日日曜日

訴える相手が違うのでは?:米国で「東電には経営責任がある」

東電の株主である弁護士が、国を相手に原賠法の免責規定を適用しなかったために、株価が下落したとして、150万円の損害賠償を求めた。8月1日に東京地裁で初弁論がひらかれるという。

訴えるべき相手が違うのではないか。また彼は株主責任というものを一体どのように考えているのだろうか。少し古いサイトであるが、善管注意義務を怠っていたという1点をとっても東電の経営陣の責任は大きいと言わなければならない。

民主党と自民党の議員たちは、原賠法を玉虫色に改正して、国民へのつけまわしの正当化をはかるための法的整備を着々と進め、退任した社長や副社長をすんなり顧問に着任させているような変わらぬ会社の存続をどこまでも認めてやろうと懸命である。

民主党の場合その背景に電力労組の組織票があると言われているが、以下に転載する記事からは、労組の政治家個人への献金がその一翼を担っていることがわかる。

http://sankei.jp.msn.com/world/news/110330/amr11033022470007-n2.htm


米国で「東電には経営責任がある」株主代表訴訟も

2011.3.30 22:44 (1/2ページ)
会見で謝罪し頭を下げる(左から)東京電力の藤本孝副社長、勝俣恒久会長、武藤栄副社長 =30日午後、東京都千代田区の東京電力本店
会見で謝罪し頭を下げる(左から)東京電力の藤本孝副社長、勝俣恒久会長、武藤栄副社長 =30日午後、東京都千代田区の東京電力本店
 【ニューヨーク=松浦肇】東京電力の経営責任を問う声が米国内で強まっている。東日本大震災で事故を起した福島第1原子力発電所への対応処理、情報開示の遅さに対して、エコノミスト、大学教授からウォール街関係者まで批判的だ。東京電力が昨年9月に実施した公募増資では米国の投資家も東電株を購入しており、海外発で株主代表訴訟が起きる可能性も出てきた。
「誠に残念ですが、日本は貧しい国になるでしょう」。米国家経済会議(NEC)前委員長のローレンス・サマーズ米ハーバード大学教授が23日、ニューヨーク市内の講演で断言すると、会場が静まり返った。
米国では、震災後の落ち着いた日本の社会秩序が評価される一方で、経済の先行きが懸念されている。
 米国のエコノミストは第2四半期(4~6月)の日本の国内総生産(GDP)が前年比約3%減るとみているが、減少率の半分、1・5%分が 東電「発」によるネガティブ要因。



経済への影響だけではない。コロンビア大学が22日開催した日本セミナーでは、出席した法律、経済、政治の専門家3人が口をそろえて、「東電には経営責任がある」と主張した。
会社法を教えるカーティス・ミルハウプト教授は


原発の安全監督など内部統制ルールに従っていない場合は取締役責任を問える」と指摘。日本政治研究のジェラルド・カーチス教授も「昨年メキシコ湾で原油流出事故を起こした英BPと同じ構図だ」とする。
経営責任はあくまで相対的な基準で問われる。大津波よりも高い場所に設置された東北電力の女川原発や、日本原子力発電の東海第2発電所が原子炉を安全に停止できたのに、福島第1原発だけで被害が拡大した点が問題視されている。
 原子力損害賠償法に従って、数兆円規模に上るとされる周辺地域への補償などを国が負担すれば、東電は事実上の国有会社となる可能性が高い。巨額赤字に伴う無配はもちろん、経営トップが退陣を迫られるのは必至だ。
 しかも、東電は昨年秋に4千億円超を株式調達したばかり。取締役が経営のプロとして通常期待される「善管注意義務」を果たしていなかった-として国内外の株主から代表訴訟を受ける可能性がある。
 清水正孝社長が昨年9月の記者会見で述べた「社会的貢献と収益の両立」がとも倒れとなった今、「(東電の)公益会社としての経営責任の果たし方、企業統治のあり方が問われている」(米公認証券アナリスト協会のロビンソン博士)という声が高まっている。


http://www.47news.jp/CN/201107/CN2011073101000510.html

電力労組、民主に1億円超 07~09年収支報告

 電力総連や電力各社の労働組合でつくる政治団体などが2007~09年の3年間で、献金やパーティー券購入、会費により少なくとも計1億1108万円を民主党側に提供していたことが31日、共同通信の調べで分かった。提供先には民主党本部に加え、岡田克也幹事長、川端達夫前文部科学相らを含め計33人の国会議員の名前が並ぶ。
自民党側には電力会社役員らが35年前から個人献金として資金提供を続けていた実態が既に判明している。会社側は自民党に、労組側は民主党に資金を集中させて労使一体で政界に影響力を強め、原発を推進した構図が浮き彫りになった。

2011/08/01 02:02   【共同通信】


国民の命や生活より東電の存続ですか?:自民党と民主党の電力族さん

 与党も野党も、国民の生活よりも、東電の延命ですか?そんなこと当然だろってですか?

増税なんかする前に、まず皆さん辞めて頂けませんか。大企業の利益を守ることばかりで、国民の生活を考慮しないような国会議員さんばかり、そんなにたくさん我々の国会には必要ないと思うのですがーー。 

例えば、次期総理候補として名高い石破さんですけど、メルトダウンしかけているのに弁を開かない東電に自ら怒鳴り込みにいった総理に、「日本国のトップたる内閣総理大臣が不眠不休で頑張っている一人一人の社員を叱責するのは、決して対応の改善を促すことにはならないと思っている」と批判し、最高指揮官が実情を知悉(ちしつ)しないまま、あれこれ発言するのは差し控えるべし、というのは私ども危機管理をやってきた者が教わってきたことだ」と宣うたそうだが、ご自身も東電のメインバンクの出身で、ご令嬢は東電にご就職されているそうですね。

明らかに東電と私的な関わりのある方が、東電を擁護するような感情的な発言をされたり、東電が推進している原子力政策を擁護したり、公人としての立場から声を大にして発言するというのは、いかがなものでしょうか。

親バカというそしりを受けても、出身銀行を守っているのかという謗りを受けても弁明の余地はないでしょう。このようなことを第3者に指摘される前に、自身の立場をわきまえてこそ、初めて国のリーダーとしての器だと言えるのではないでしょうか。

以下は河野太郎氏による昨今の東電賠償スキームに関する法案をめぐっての与野党の攻防について述べられたものである。

http://www.taro.org/2011/07/post-1061.php
玉虫色になった賠償スキーム


2011年07月27日 17:21

東京電力の賠償スキームというタマムシが玉虫色の羽を広げて飛び続けている。
損害賠償支援機構などという組織の新設が必要かといえば、全く必要はない。この法案そのものがそもそも必要なく、東京電力を破綻処理すればいいだけのことだ。資本主義ならば、当然そうなる。
問題は、今の自民党の立ち位置が定まらないこと。こんな法案は、本来、一蹴しなければならないのだが、党内には、この法案に賛成しようという根強い電力族が蠢いている。
どうも自民党内は、執行部を含め党内の大勢が東京電力の即時破綻処理には慎重だ。
シャドウキャビネットを辞職し、役職停止中の河野太郎としては、平場の会議で発言するしかない。
塩崎、柴山、平、河野の四人組で、やや孤立しながらも、最終的には中川、高村両大先輩や小泉、稲田両代議士などからも支援をいただいた。
結局、多勢に無勢で、二段階の破綻処理を目指す修正になった。
法案の責任者である額賀代議士も、西村経産部会長も、将来的には破綻処理をするんだと明言をしているが、二人の間にはどうも温度差がある
結局、党内は、東京電力を債務超過にしないという閣議決定を翻させることや早期に債務超過になった東京電力を破綻処理する等を条件に、修正交渉を一任することになった
民主党が閣議決定を翻せなければ、交渉はそこでおしまいということだったが、金曜日の夜、民主党が閣議決定を翻すことに同意したとの連絡が交渉担当者から入る。
その場は(自民党と民主党の議員で勉強会の最中だった)どよめく。結構な高揚感。やっぱり正義は勝つんだよ。
しかし、今朝入手した実際の修正は、東京電力を債務超過にしないとうたった6月14日の『具体的な支援の枠組み』を、「その役割を終えたものと認識し、政府はその見直しを行うこと」という文言を付帯決議に入れるという中途半端なものになったので、質疑できちんと答弁をさせることになった。
しかし、海江田大臣は、東電を債務超過にすることは想定していないという答弁をする。それでは、まったく付帯決議の精神に反するので、修正案もダメということになりかけたが、午後の経産委員会で橘代議士の質問に、経産大臣が、現時点での東電の債務超過は想定していないが、将来は、あらゆる可能性があると答弁する。さらに、この法案に関しては、修正案の立法者の意思を尊重して政府は対応していくと明確に答弁。
これからさらに、参議院の審議の中で、政府に明確に答弁させる必要があるところはきちんと政府に確認をさせ、できなければ参議院を通さないという方針でいくとのことを確認。
みんなの党の渡辺代表にも、詰めるべき点を国会で、提出者として答弁に立つ西村代議士に、質してくださいとお願いする。
修正協議で、法案の附則第六条2項が新設された。「政府は、この法律の施行後早期に、平成二三年原子力事故の原因等の検証、平成二三年原子力事故の係る原子力損害の賠償の実施の状況、経済金融情勢等を踏まえ、平成二三年原子力事故に係る資金援助に要する費用に係る当該資金援助を受ける原子力事業者と政府及び他の原子力事業者との間の負担の在り方、当該資金援助を受ける原子力事業者の株主その他の利害関係者の負担の在り方等を含め、国民負担を最小化する観点から、この法律の施行状況について検討を加え、その結果に基づき、必要な措置を講ずるものとする。」
これが「魔法の杖」だ。まともな政府なら、この条文を使って、この賠償スキームを変更し、東電を債務超過と認定し、破綻処理をさせる。「国民負担を最小化する観点から」株式の100%減資や金融機関の貸し手責任が問われる。さらに、東電以外の電力会社の負担金を、もし、東電が一時借用していたならば、それを東電に精算させる。
政府がまともでなければ、つまり財務省の言いなりになっていたり電力会社を守ろうとしていたりする政府なら、この文章、どうとでもできる。正義は、やっぱり勝つんだろうか。
財務省は、依然として東京電力を債務超過にせず、交付国債を何十年もかけて返させることによって、国の財政負担を避けようとしている。
東電が債務超過になって破綻処理されれば、賠償金の残額は国が負担することになるので、財務省は債務超過させないということを死守しようとしている。この修正は、将来の債務超過については、閣議決定を翻し、どちらとも解釈ができるようになったので、財務省にしてみれば大きなマイナスだ。(我々にしても、さっさと破綻処理させろといっていたのがこの程度の玉虫色の修正になってしまったので、大きなマイナスでもある。)
財務省は、機構から東電に金を入れさせても、他の電力会社と会計をどかちゃがすることで、東電の負債をごまかして、債務超過ではないと言い逃れられるようにしようとした。しかし、今回のこの修正により、他の電力会社の負担金を、計数管理をして将来精算させることになると、東電は債務超過になる。
本来、別会計にする修正をしてしまえば、かなり財務省はアウトだったのだが、単に計数管理だけするという修正になったので、そこも玉虫色だ。
西村代議士は法案提出者として、審議のなかで、将来精算させると明確に答弁している。ほんとうに東電に精算させることになると、間違いなく債務超過になる。
東電に対する資本注入についても、もう少し明確に、破綻処理しない限り、資本注入はしないということを担保しなければならない。
融資は認めるが、出資は認めないということを答弁で、きちんと確認する必要がある。
確かにばかばかしい修正で、いろんなことが先送りされただけ。まともな東電処理ではないが、今の自民党執行部ではこれが精一杯。支持率が上がらないわけだ。
ネット上で、この修正は、被害者に対する損害賠償の支払いに上限を設けるものだという情報が流れたが、それは明確な誤りだ。