2012年10月18日木曜日

フクシマを揶揄するフランスの司会者の発言は「表現の自由」か?


 日本のバラエティでは、くだらないシモネタや、叩いたり蹴ったり、うんざりするような低次元の笑いが連発されるばかりで、そのなかには誰も原発の政府対応に対して、堂々と物申すような者はいない。

俳優の山本太郎のように、反原発を支持するような発言をしたとたんに番組から降板させられ、芸能界から総スカンを食い、芸人生命を絶たれることを恐れてのことだろう。

たまに「笑点」で、円楽が気の利いた体制批判をちょろりとやるのが関の山といったところだろうか。お笑い番組ひとつをとってみても、現代日本のお笑いのレベルや言論の自由がどれほどのものであるかがわかるというものだ。

反原発の立場に立つ京大の小出助教をラジオ番組に常時登場させていた番組作成スタッフがおいやられ、多くの視聴者に愛された番組そのものが、理不尽にもお取り潰しの憂き目に遭うーーーそんな言論の自由があってない日本とは異なり、フランスは「表現の自由」が認められている国だ。

それはそれでフランス国民は、自国にそのような表現の自由があることを誇りに思うべきであるし、国際世界に対して1つの模範としてそれを示していくべきであると思う。


この度フランスのコメディアン、リュキエ氏のサッカー川島選手を揶揄するフクシマ発言が大きく取りざたされている。フランスの外相や国営放送の社長は日本政府の抗議に対して、謝罪をしているが、リュキエ氏本人は、「この騒ぎを恥とは思わず、フランスはコメディアンが自由な表現ができる国であることを誇りに思うべきだ」と発言している。

しかし、表現の自由のもとにコメンディアンは何を言っても許されてよいものなのだろうか。

このリュキエ氏が表現の自由を主張している、合成写真と彼の発言は、日本人イコール放射能被爆者イコール奇形という偏見に満ちたレッテル貼りを示す以上のなにものでもない。

それは、フクシマの放射能汚染の影響によって、今後遺伝子異常の子どもが生まれるのではないかという不安に脅かされてるフクシマの被災者や、チェルノブイリの事故や原発の影響によって、不幸にして身体に障害を抱えてこの世に生を受けた社会的弱者の神経を逆なでするものである。

社会的弱者に対する差別偏見を含むような発言はユーモアでもなんでもないし、そのようなものまで表現の自由と呼ぶことが許されるのだとすれば、フランスのユーモアも、表現の自由も、随分下劣なものに堕落してしまったと言わざるをえない。

リュキエ氏は、東電や民意などおかまいなしに原発推進に猪突猛進している日本政府などに謝罪する必要はない。

だが、特定のマイノリティの平等権を侵害するような類いの質の悪い表現の自由は、何人を持ってしても断じて、許されるべきではないし、彼の発言を聞いて、不快な思いをしたに違いない、声なき被災者や被爆者の子供たちに対して、リュキエ氏は深く恥じ入り、謝罪する必要がある。

と同時に、このような一コメディアンの思い上がりも甚だしいまずい言動が、結果的に「表現の自由」に規制をかける口実、大義名分にならないよう、心から願いたい。


http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye5158714.html


仏コメディアン「表現の自由」

仏コメディアン「表現の自由」
 フランスのテレビ局が、サッカー日本代表の川島永嗣選手と福島の事故を結びつける放送をしたことについて、問題の発端となった司会者本人がコメントしました。「表現の自由」を主張する趣旨の発言で、謝罪はしていません。

 この問題は、フランスの国営テレビ局「フランス2」のバラエティ番組で、川島選手に腕が4本ある合成写真が放送され、司会者のコメディアン、ローラン・リュキエ氏が「フクシマの影響ではないか」と発言していたものです。

 日本側の抗議を受け、フランスのファビウス外相や、テレビ局の社長が相次いで謝罪する中、リュキエ氏は沈黙していましたが、17日になってツイッター上で「この騒ぎを恥と思わず、フランスが、コメディアンが自由な表現を出来る国であることを誇りに思うべきだ」とコメントしました。

 リュキエ氏は「日本のことや、ましてやフクシマの被害者を揶揄する気持ちは無かった」とする一方、「ゴールキーパーがチェルノブイリの近くに住むウクライナ人だろうと、フェッセンハイム原発の近くに住むフランス人だろうと、同じジョークを飛ばしただろう」と述べ、謝罪の言葉は記していません。

 リュキエ氏は原発に批判的なことでも知られていて、ツイッターでは「こんな議論をすべきではない。原子力も言葉狩りも終わりにしよう」と記しています。(17日20:26)


フランス国営放送が川島永嗣選手を中傷 パリの日本大使館が抗議

極めて不適切な放送がフランスの国営放送で流された。サッカー日本代表のゴールを守る川島永嗣選手(29)を中傷するその放送に、日本側も正式に抗議した。
ボールをキャッチしようとする日本代表のゴールキーパー・川島選手。
しかし、その腕がなぜか4本になっていた。
フランス国営テレビの番組の中で、フランスの人気司会者、ローラン・リュキエ氏がこの写真を見ながら、「福島の影響があってもビックリしないだろうね!」と、福島の原発事故をやゆする発言をした。
このフランス国営テレビの放送が、今「国際問題」になろうとしている。

ことの発端となったのは、先週行われたサッカー日本代表対フランスの親善試合。
日本は、ワールドカップの優勝経験を持つ強豪フランスを1 - 0で下す快挙を成し遂げた。
フランスの監督も試合後、「格上相手に負けたなら、まだ落ち着けるが、きょうはそういう試合ではなかった」と落胆のコメント。
この結果を受け、フランス国営テレビで放送されたバラエティー番組。
司会者、ローラン・リュキエ氏は「日本のキーパーはとても強かったから...」と話した。
司会者は、フランスの猛攻からゴールを守りきり、日本を勝利へと導いた守護神・川島選手の活躍を称賛したが川島選手の腕を4本に加工した画像を見せ、「福島の影響があっても驚かないね!」と述べ、スタジオは笑いに包まれた。
この司会者は、フランス戦での神がかったプレーは、福島第1原発の影響ではないかとやゆする発言をした。
街の人は、「日本人としては許せない。冗談でも」、「フランスも原発があるんで、同じことされても嫌だと思う」、「冗談でも、言っていいことと悪いことがあるっていうか、それに対して、福島の人も悲しんでいるし、うちらも傷つくからちょっと違うと思う」などと話した。

川島選手は、東日本大震災の被災地に自ら足を運び、子どもたちと交流を図るなど、被災者への支援を続けていた。
今回のこの発言をめぐっては、川島選手の所属するチームがあるベルギーでも問題になっている。
「キーパーを福島に例えたことは見過ごせない」と新聞が批判した。
ツイッターでも、「司会者は、ベルギーでも日本でも歓迎されない」、「謝った方がいい」と、司会者に対して「言い過ぎ」だという意見が投稿されている。

今回の発言に対し、フランスでは「福島は大災害だったのです。これは人の死について笑うのと同じです」、「リュキエ(司会者の名前)だし、午後11時の番組だしユーモアさ。あまり考え込む必要はないよ」、「もしフランスが同じ立場で、このようなことを言われたら嫌です。どうせリュキエ(司会者)のことは、わたし好きじゃないんですよ」などといった声が聞かれた。
この問題を受け、パリの日本大使館は、フランスの国営テレビに抗議した。
藤村官房長官は「15日付の抗議の書簡を、フランス2に送付している」と述べた。