2012年7月18日水曜日

沈没船から逃げていくねずみ:民主党議員の離党

 10万人も17万人もの国民が生活圏、生命権を主張して、声を挙げているのに、でかけていって対話をするどころか、それを雑音としか受け止めず、沖縄や山口の地元の人達が大反対している輸送機オスプレイの配備計画も強引に推し進めると宣言するわ、こんな厳しい経済状況のもとで、省庁の無駄遣いも、国会議員の身を削る努力も推し進めることもせず、もっぱら消費税増税を強行突破しようとするわ、東電の衰退で全国の電力会社のイニシアチブを握った関西電力のご機嫌をとって活断層があろうがなかろうが、原発の再稼働を勝手に許してしまうわ、やることなすこと、ひどいものである。

選挙で民主党のマニフェストを読んで一票を投じた気の毒な一般市民の誰が、アメリカとシロアリと大企業にばかりしっぽをふり、国民の声に背を向けて、支持率が下がろうがおかまいなしで、暴走する非民主的な自らの姿に酔いしれている党首と少数の取り巻きが率いる政党を想像できたろうか。

 国のエネルギー政策を決定するための意見聴取会は、さすがに電力会社の社員の発言は自粛させることになったというが、原子力ムラの構成員は電力会社社員のみではない。電力会社と利益相反の関係にある原発プラントや関連企業、メインバンク、株主、御用学者、立地自治体の住民などの発言は許すというのか。

これをメディアが批判したために、政府はびくついて発言者を9名から12名に増やし、発言者の数を、3名ずつ、あるいは4名ずつにするのではなく、原発依存度の3つの選択肢に対する支持率に応じた人数にすることも考慮されているというが、その一方で、3つの選択肢以外の依存度を支持する人たちもこれに投入されるという。上に書いたような原子力ムラの村人やその家族などの関係者の多くは当然35%以上の原発依存度を訴えるはずである。彼等が結束して意見聴取会に申しこめば、結果は今以上に悪くなる。

そもそも0%の選択肢といいながら、その選択肢の説明の中には、今すぐにでも老朽化した危ない原発を全部廃炉にするとは一言も言われてはいない。そこには、どんな手段をつかっても、少しでも長く原発を動かしたいという原子力ムラの意図が見え見えである。

しかし、国民はそんないかにも頭の悪い人間が考えつきそうな浅知恵にひっかかるほど馬鹿ではない。政府が姑息な手段をこうじて、形ばかりの意見聴取会を開き、自分たちの都合のよいように国民を操ろうともがけばもがくほど、国民の政治家や霞が関官僚に対する不信感はますます募るばかりであり、国民の気持ちは、政府やこれまでの原子力政策を推し進めてきた自公民の権力者からどんどん離れていくだけである。

沈没船からねずみが逃げていくように、櫛の歯がかけるように、与党から議員がどんどん抜けていくーー。公約を次々に反故にしていく政党にしがみついていることこそ、選挙民への大きな裏切りである。党員にわずかでも良心が残っているならば、既得権益の虜になることはやめて、さっさと船から降りて、公約を守るための行動をとる以外の選択肢はない。

電力社員、連日の原発擁護=「やらせ」批判も―政府の意見聴取会

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 政府は16日、将来のエネルギー政策に関する3回目の国民の意見聴取会を名古屋市で開いた。前日の仙台市での聴取会に続き、電力会社社員を名乗る男性が、原発を擁護する意見を表明。会場から「やらせだ」「回し者」といった批判が飛んだ。

 聴取会では、2030年の原発依存度を0%、15%、20〜25%とする政府が示した三つの選択肢について、それぞれ3人、計9人が賛成理由を説明。中部電力社員と自己紹介した男性は3番目に発言し、電力の安定供給と経済への影響を重視する立場から原子力発電の必要性を主張した。また東京電力福島第1原発事故に関し「放射能の影響で亡くなった人はいない」と述べた。

 一方、脱原発を求める立場からは「使用済み核燃料などの問題もあり、全原発を即廃炉に」(三重県の無職男性)「原発は一度事故が起きたら大きな負債になる」(愛知県の自動車部品メーカー技術者)などの意見が出た。 

[時事通信社]