2011年5月29日日曜日

もんじゅの白煙はただの水蒸気?:福井原発、早く辞めなくていいのか?

5月23日の参議院行政監視委員会参考人として招致された神戸大学名誉教授、石橋克彦氏は、地震学の見地から、今一番危険な地域は若狭湾だと言い切った。


関西電力の14基もある福井の原発銀座がそこにあることは言わずと知れたことである。
原子核工学の武田邦彦氏も今、最も危険なのはもんじゅだと言い切っている。


そのもんじゅから昨日白煙が出たという。
http://www.asahi.com/national/update/0528/OSK201105280053.html


もんじゅで白煙? ネットで騒ぎ 実は試験で出た水蒸気

2011年5月28日19時24分
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福井県敦賀市の高速増殖原型炉「もんじゅ」から「白煙があがっている」という話題が28日、インターネットの掲示板やブログで広がった。もんじゅを運営する日本原子力研究開発機構がネット上で15分おきに公開しているパノラマ写真に、白煙のようなものが写っていたため。同機構によると、放射能を含まない水蒸気で、外部の環境への影響はないという。
 同機構によると、もんじゅは現在運転停止中で、2月から発電関連の機能を確認する試験をしている。白煙は、試験で使ったボイラーの余分な蒸気が発電所外に放出されたものだという。
これだけならば、どうってことはないと思えるかも知れない。しかし、以下5月25日、23日のニュースによれば、もんじゅはすでに落下装置の撤去作業に入っているはずではないのか。

もんじゅ:落下装置の引き抜き作業開始 今月末から本格化 /福井

毎日新聞 5月25日(水)16時50分配信
 日本原子力研究開発機構は24日、高速増殖原型炉「もんじゅ」(敦賀市)で昨年8月に原子炉容器内に落として変形した炉内中継装置(長さ約12メートル、直径46センチ、重さ3・3トン)を、同容器の上ぶたの一部ごと外して引き抜く作業を開始した。現場作業の一部を報道各社に公開した。
午前9時20分ごろから、中が空洞になっている同容器の上に金属製のふた(直径約50センチ、厚さ約6・5センチ、重さ約80キロ)をかぶせる作業を開始した。同容器内には空気と激しく反応するナトリウムがあるため、新たに製作した専用の器具で外気混入を防ぎながら慎重に行われ、午後4時40分ごろ取り付けを終了した。作業には、経済産業省原子力安全・保安院が立ち会った。
25日には同装置の上部を囲う筒にも、部品などの落下を防ぐ金属製のふた(直径約60センチ、厚さ約6センチ、重さ約110キロ)をかぶせる予定。作業は今月末から本格化し、同装置の上部にある大型器具を撤去する。同装置を上ぶたの一部ごと外して引き抜く作業は6月中旬の見込みで、大がかりな作業には保安院が立ち会う。【柳楽未来】



高速増殖原型炉:もんじゅの落下装置撤去、24日にも着手

高速増殖原型炉「もんじゅ」=福井県敦賀市で2010年11月16日、本社機から竹内紀臣撮影
高速増殖原型炉「もんじゅ」=福井県敦賀市で2010年11月16日、本社機から竹内紀臣撮影
経済産業省原子力安全・保安院は23日、高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)で、定期の保安検査を始めた。もんじゅでは昨年8月、燃料交換に使う炉内中継装置(長さ約12メートル、直径46センチ、重さ3.3トン)を原子炉容器内に落とし、抜けなくなっている。
今回の検査では、日本原子力研究開発機構が策定した撤去工事計画も確認する。機構は同日、福井県に説明し、24日にも同装置撤去の作業工程に入る方針。 炉内中継装置などを引き上げるのは6月中旬の見込み。【柳楽未来】
ただの水蒸気なのであれば、朝日はどうして、「もんじゅは、原子炉内に落として変形してしまった装置の撤去作業の途中にあった」ということを明らかにしないのだろうか。
フクシマ原発で、建屋が水素爆発したときに、白煙や黒煙が出たときに、専門家の先生方が「あの白煙は何なのでしょうか。大丈夫なのでしょうか」と問われたときに、「水素爆発しただけだから、あれは水蒸気が出ているだけです」と一蹴したのを覚えている人も数多いと思う。
「国民がパニックに陥らないためには、国民の生命や生活を脅かす危険なニュースを隠蔽しても当然である」といった考え方が横行する社会に生きていると、ひとつひとつの発表やニュースに虚偽がないか、何か大切な真実が隠蔽されているのではないかといった警戒心が出てしまうのは、人としてごくごく自然の心理ではないのか?
美しい日本の国土、水、空気をこれ以上汚さないためにも、地元の人々を奈落の底に突き落とす前に、関西電力は代替エネルギーを何処に求めるべきか早急に考え、一刻も早く福井原発を全炉廃炉にする必要があるのではないのか。
福井原発の配管が大型地震で壊れたら、今度は日本海が汚染されるのみならず、放射性物質は確実に偏西風に乗って日本本土に広く飛散し、琵琶湖を水源にしている人たちは水を飲むことさえできなくなり、関西、北陸、中部地方の経済活動は大きな打撃を被るのだから。





Into Eternity

放射性廃棄物が無害なものになるまで、10万年もかかるという事実を知っていましたか。
渋谷で、Into Eternity, 「10万年後の安全」というフィンランドの放射性廃棄物の永久地層処理処分場建設のドキュメンタリー映画を見るまで恥ずかしながら知らなかった。

3月11日以来、テレビに登場する錚々たる日本の原子力の専門家先生方から「プルトニウムは飲んでも体外にでるから人体に全く影響がない」、「低線量の放射能はかえって健康に良い」「(注水ができないと報じられている最中に)フクシマ第1はチェルノブイリやスリーマイルズとは違って原子炉は完全に停止しているのだから、燃料は、しばらくしたらそのうちに冷えてきますから、全然大丈夫です」などというような教育を受け続けてきた。それゆえに、フィンランドにおける10万年後まで廃棄物を封印するために、地下都市のような巨大な処分場設計の事実は、非現実のSF映画のようにさえ写ってしまう。

しかし、この映画は2010年パリ国際環境映画祭グランプリをはじめ、アムステルダム国際ドキュメンタリー映画祭りの最優秀賞も受賞している作品だ。

日本は廃棄物の処理場をモンゴルに求めようとしている。
http://mainichi.jp/select/world/asia/news/20110509k0000m040142000c.html
http://mainichi.jp/select/world/america/news/20110509k0000m040144000c.html

過疎地に交付金をばらまき、危険きわまりない原発を建設し、狭い国土には溢れ出したゴミの処分場がないとなると、今度は発展途上国にそれを押し付ける。なんというエゴだろう。「向こうも豊かになることを望んで交渉に応じたのだから、何が悪い。自分で経済的な自立ができないものたちを支援してやっているだぞ」という論理なのだろうがーー。

豊かさとは何なのだろうか。自然の豊かさ、恵みを破壊する科学技術はあっても、一端破壊されてしまった自然を元のままに復元できる科学技術はまだどこにもない。

それにしても放射性廃棄物の処分にかかる費用、時間の気の遠くなるような大きさにため息が出る。