2011年5月12日木曜日

抜本的なエネルギー政策の変換を!

10兆円とも言われる福島原発の補償原資について、日経ニュースによれば、「東電は5000億の資産売却を決めたが、巨額の事故処理や賠償の負担をすべて賄うのは難しい」という。
しかし、次の資料によれば、

東京電力の総資産は2009年度決算で13兆2千億円に上り、社債と株式資産の合計は7.2兆円に達する。3月28日付フィナンシャルタイムズ記事では、東電は今年分の社債を償還した後でも約3.7兆円の賠償が可能だと指摘する。つまり、現状の政府試算での賠償額の大半を東電単独で支払えることになる。

http://news.goo.ne.jp/article/alterna/business/alterna-ftr5578.html


それだけではない。
自民党河野太郎氏によれば、原子力環境整備促進資産管理センターの使用済み核燃料の再処理や廃棄物最終処分のための積立金、3兆円は、法律改正すれば、補償原資に回すことができるという。

また経産省の古賀茂明氏によれば、株主の責任を問い、銀行の債権カットをすれば、それだけで5兆円になるという。

むろん原発推進のために、反対派を抑えこみ、賛同者を買収するといった悪事に手を染めてきた役員の経営責任は重大であり、退職金を全額返上しても余りある。

既得権益を持った人々が自分たちにとって有利な補償の枠組みを作り、消費者や国民につけを回すようなことを政府は、断じて行うべきではない。

国民は停電や電気代の上昇を目の前でちらつかされることで、原子力を黙認せねば、東電を守らねばという気持ちにふらふらと誘導されてしまう。しかし前のブログでも書いたように、原子力は決して低コスト事業ではないし、クリーンでも、安全でもない。

電力会社のこれまでのような独占化を改め、発送電を分離することこそが今、重要なのではないか。アメリカやイギリスではとっくに電力の自由化は進み、発電を行う民間の新規参入が進んでいる。競争原理を入れれば、電気代は自ずからコスト安になるのではないだろうか。

そうした抜本的なエネルギー政策の枠組みの見直しが今こそ早急に考えなければならないのではないのか。


高く汚く危ない原発、誰のために残すのですか?

3.11にパンドラの箱が開くまで、原発問題に全く無関心だった自分を私は今になって心から恥じている。それまで嫌がらせに耐えつつ、買収にも頑として応じず、心が砕けそうになりながらも、周りを啓発しようとひたすら努力してきた勇気ある人々の存在にさえ気づかなかった愚かさをーー。

今朝のテレビで、立命館大学の大島教授が、有価証券報告書を元に算出したところ、発電にかかる費用は税込で、原子力が10.68円、火力が9.9円、水力が7.26円と、原子力が一番高コストになると述べていた。大島氏の算出法は原子力発電に払った金額を発電実績で割って算出したという。一般によく出される電気事業連合会の数値は、原発のあるひとつのモデルを例にとって算出されているという説明だった。

再処理やこの度のような事故が起こった場合の事故処理・賠償にかかる諸費用を考えれば、原子力はまことに高コスト事業なのである。

六ヶ所村の文化交流プラザ31億円、敦賀のきらめきリラポート24億円建設などなど、原発のある地域を潤すためにばらまかれた交付金は電源開発促進税から支払われてきたそうで、電源開発促進税は東電の場合では、月108円ずつ上乗せで消費者は毎月支払わされてきたのだという。

経産省などのエリート官僚、政治家、電力会社とその株主、原発関連企業、御用学者、電力会社と癒着しているジャーナリスト、そして地元住民を、喜ばせるために、国民は一体どこまで大きな犠牲を払い、高く汚く危ない原発の存在を是認し続けるつもりなのだろうか?

政府や電力会社が、福島第1と浜岡以外の原発が、それほど安全だと主張するのであれば、次に原発で事故が起きた場合、すべて電力会社が自社と株主の責任で全額賠償し、一般国民に負担をかけないという法改正をまず行ってもらいたいものだ。