2011年8月21日日曜日

ゴミ捨て場も決めずにお掃除ですか?:処分場はゴミの近くに

 原発から100キロ、浜通りから山岳地帯を経て、汚染が少ないと言われていた会津で高濃度のセシウムが検出されたという。京大の小出助教によれば、東京も同じくらいのレベルはあるし、日本全国調べる必要があるという。

20日細野原発事故対策相は、内閣官房に除染対策室を置き、政府が責任をもって除染すると公言したが、除染をする前に、汚染物質を一体何処に捨てるのかを早急に決定する必要がある。

政府の対応のまずさで全国的に広がってしまったセシウム牛肉を始めとする食糧汚染に加えて、ゴミの拡散による放射能汚染の拡大を促進することは断じて避けるべきである。

3.11以来、ACジャパンの執拗なCMをはじめとして、「みんな一緒に(がんばろう)」のプロパガンダが、気味悪いほど全国各地に伝播され、称揚されている。困ったときの助け合いは、言うまでもなく必要である。しかし、京都の大文字焼きに関する論争の中で一部あったような、被災地の放射能汚染を、他府県の人間が引き受けないのはエゴであるというような議論は、いかがなものだろうか。

鳥インフルエンザのような殺傷力が高く、伝染力の強い伝染病が日本国土のどこかで発生したとする。患者には何の罪もないから、むろん病気に罹患したというだけで、その人達を差別してはならないということは人として当り前である。しかし患者や保菌者は当然のことながら隔離されなければならない。それはなぜか、むやみに、病原菌が日本中にばら撒かれ、パンデミックにならないような防備が必要だからである。

しかし福島原発の周辺では、患者を隔離したり、病原菌の拡散を防止するための対策をとることは、健常者のエゴであるといわんばかりの奇妙な論理が渦巻いている。伝染病に罹患した患者さんのために、健常者がなすべきことは、あえてヴィルスを全国各地に拡大させ、みんなが鳥インフルエンザに罹って、同じ苦しみや痛みを分かち合い、国民が共倒れになることだろうか。

立場を代えて、もし他の地方で猛毒の病原菌による鳥の伝染病が流行り、そこで殺処分された何万羽の鳥をフクシマに持っていって捨てると言われたら、フクシマの人たちは痛み分けだから、喜んでどうぞなどと言うだろうか。

誰一人として「皆で被害を引き受けることが正しい」などと言うまい。

前から繰り返し言うようだが、福島もチェルノブイリでやったように、事故後即時に、中途半端な復興計画などを立てずに、スピーディの分析結果をもとに、高濃度の放射性物質が飛散した地域の住民を強制的にでも集団疎開させるべきであったと思う(それをしていれば、東北地方の農作物や牛肉、そして今後問題になると思われるようなコメや魚の汚染問題も、福島県の子供たちの内部被曝の問題も最小限に食いとめられたはずである)。

鳥インフルエンザに罹患した鳥が養鶏場で処分されたように、高濃度の放射性物質の処分は福島原発及びホットスポットの周辺で行うのがもっとも合理的であり、それ以上の解決策はない。

フクシマ第1から3キロ圏内の除染をするというが、そのゴミを他の地域や他府県に分配するような痛み分けは、百害あって一利なしのナンセンスである。

細野氏をはじめ、経産官僚らが、フクシマの地域住民とそんなに痛み分けがしたいのならば、まず率先して、ドラム缶につめた高濃度の汚染物質を霞が関の地下か、原発推進者の大邸宅の庭にでも引き取ってもらいたいものである。

http://gendai.net/articles/view/syakai/132165

原発から100キロ 会津若松から18万ベクレル

【政治・経済】

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2011年8月18日 掲載

「東京でも至急調査が必要」と専門家

<雨水升の汚泥から>

 福島第1原発から西へ約100キロ地点で1キロあたり約18万6000ベクレルの放射性セシウムが検出された。
 現場は、福島地裁会津若松支部の敷地内の雨水升(うすいます)。16日、福島地裁が発表したのだが、政府がコンクリートなどで遮蔽して保管することを求める基準の1キロあたり10万ベクレルを大幅に超えている。それだけでも恐怖だが、会津若松は、福島県でも原発のある浜通りとは山岳地を隔てて汚染が少ないとされていた地域だけに深刻だ。
 会津若松支部では、汚染された汚泥が見つかった雨水升と、敷地内で比較的線量の高かった升の2カ所を立ち入り禁止にしている。敷地内には他にも雨水升は十数カ所あるが、いずれも1マイクロシーベルト以下だった。福島地裁は「いまは検査機関に数字の再検査をお願いしている」というが、同じ敷地内でこれほど濃淡が極端だと不気味な話だ。

 今回がたまたまなのか。どこまで調査すべきなのか。京大原子炉実験所助教の小出裕章氏がこう言う。
「(会津で高濃度セシウムが検出されたことは)当然だと思います。側溝など汚染が濃縮される場所はどこでも調べるべきです。東京でも今回レベルはあると思います。本来なら日本全国を調べる必要があります
 汚染もここまで拡大してくると、もはや除染もままならない。小出氏が続ける。
掃除をしたところで、今はどうしようもない状況です。子どもが触れるところであれば、掃除するべきですが、そうでなければそのままにしておくのもひとつの手です」
 高濃度汚染された汚泥を安全に取り除く方法も、捨てる場所もないのが現実なのだ。自宅の玄関前の側溝や、さらには雨水升まで丹念に掃除するキレイ好きの人もいるが、当分は作業を中止した方がいい。
(写真:除染作業を進める福島県郡山市)


【放射能漏れ】
福島に除染推進チーム 細野氏、知事に伝達

2011.8.20 12:11
 細野豪志原発事故担当相は20日午前、福島県庁で佐藤雄平知事と会談し、東京電力福島第1原発周辺の除染作業本格化に向け、来週にも内閣官房に「放射性物質汚染対策室」を設置、同県にも除染推進チームを置くと伝えた。知事は「国が責任を持って除染に当たってほしい」と求めた。
 放射性セシウムによる汚染牛肉問題に関し、細野氏は、福島県産牛肉の出荷停止解除が急遽(きゅうきょ)延期された経緯を説明。知事は「一刻も早く解除してほしい」と要請した。
 細野氏は午後には福島県双葉町、大熊町を訪問し、原発から半径20キロ圏の警戒区域のうち、今月26日と9月1日に初の一時帰宅が実施される3キロ圏内の状況を視察する。
 細野氏は就任後、毎週末に福島県入りしており、今回で8週連続の訪問となる。