2011年11月15日火曜日

「あくまで国益の視点に立って」ってどこの国益?

TPPは9カ国とは名ばかりで、主導権はアメリカにあることは自明である。アメリカ国内の不況を少しでも打開するために、強引な外交手腕を駆使してでも、アメリカに有利な条件でTPPを是が非でもまとめ上げたいという姿勢を見せ、国民に強くアピールし、再選に持ち込みたいオバマの姿勢が見え見えであった。国益のためならば、強引であろうが何であろうが、譲ってはならない一線は守りぬくそんな決意のほどがみなぎっている。

それに対して我がドジョウ氏はどうだろうか、相変わらず国先三寸で、「あくまで国益の視点に立ってーーー」と繰り返し仰っているが、一体それはどこの国の国益を守るつもりなのか。飛んで火にいる夏の虫といったが、実際は、交渉の大枠を決める協議の蚊帳の外におかれながら、日本は参加表明の決意をしたんだなと強引に念押しされる始末である。

そのドジョウ氏は、また海外で消費税増税の来年度通常国会での成立についての表明をしたという。どうしてこの人はいつも海外にでなければ、自分の意見表明ができないのだろうか。

歳費節減、国会議員の定員削減の議論はTPP問題で完全に吹っ飛び、サッカーがどうだの、読売のお家騒動がどうなのと、この国のメディアは自分たちの生活のことよりも、スポーツが重要らしい。報酬に見合った仕事もせずに高給をとっている大型メディアやスポンサーの大企業の社員にとっては、税金が上がろうが、国民年金がどうなろうが、大した問題ではなく、スポーツのほうがはるかに重要なのかもしれないがーー。

会計検査院が首相に2010年の決算検査報告書を提出し、総額4283億円余の税金の無駄遣いなど不適切な会計処理があったと指摘している。しかし、こんなものは氷山の一角であろう。

いやしくも、民主党議員であるならば、増税表明をする前に、特別会計、独立法人の余剰金の切り崩し、公務員の宿舎の廃止、国会議員の定員大幅削減に徹底的に着手すると宣言すべきなのではないのか。

以下、西日本新聞のウエブサイトを転載する。大型メディアにもこうしたニュースをもっとしっかり取り上げ、追究すべきではないのか。

http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/273230

消費増税、来年通常国会で成立を 法案で首相表明

2011年11月14日 14:21 カテゴリー:政治
 【ホノルル共同】野田佳彦首相は13日夜(日本時間14日午後)、米ハワイのホノルルで内外記者会見を行い、来年の通常国会に提出する消費税増税の関連法案について「提出する以上は成立に全力を尽くす」と述べ、同国会での成立を期す考えを表明した。
 首相は「(社会保障の財源手当は)どの内閣でも避けて通れない課題だ」と述べ、与野党に法案成立への協力を求めた。
 環太平洋連携協定(TPP)交渉参加に関し「十分な国民的議論を経て、あくまで国益に沿って結論を得る」と強調。「アジア太平洋の活力をわが国の再生に取り込んでいく経済再生外交を推進する」と明言した。

会計検査院報告 増税の前に無駄の一掃を

2011年11月11日 11:19 カテゴリー:コラム > 社説
 やっぱり増税の前にやるべきことがある。納税者の大多数があらためて、そう確信したのではないか。
 税金の使途に目を光らせる会計検査院が、2010年度の決算検査報告を野田佳彦首相に提出した。総額で4283億円余が税金の無駄遣いなど不適切な会計処理だと指摘された。前年度に次いで過去2番目に多い金額だという。
 まず確認しておきたいのは、これが政権交代後の民主党政権下で起きていたことである。「税金の無駄遣いを徹底的になくし、国民生活の立て直しに使う」と政権公約(マニフェスト)で約束したはずなのに、現実はそうならなかった。
 行政の無駄を省けばマニフェストの財源は捻出できる-。そんな政権交代前のもくろみは事実上、破綻した。自民党長期政権の弊害だという言い逃れも、もはや通用しないと心得るべきだ。
 しかも野田政権は、東日本大震災の復興を賄う主要な財源として所得税などの臨時増税を選択した。社会保障と税の一体改革で段階的に消費税率を上げる増税も政治日程に乗せようとしている。
 政府が率先して身を削るのは当然である。そもそも増税しようとしまいと、税金の無駄遣いはあってはならない。
 ましてや増税路線を敷くのであれば、無駄の根絶と歳出削減の努力は政権の命運を懸けるつもりで取り組むべきだ。そうでなければ、納税者の理解と協力を取り付けるのは難しいと指摘したい。
 積み立てても活用されない資金、不透明な契約に基づく不明朗な支出、世間の常識とは懸け離れたどんぶり勘定など、不適切な会計処理は相も変わらず枚挙にいとまがない。
 とりわけ看過できないのは、無駄遣いの温床として「第二の財布」とも呼ばれる特別会計や独立行政法人に巨額の「余剰金」が眠っていることだ。
 例えば、原子力発電所の新規立地に備えて地方自治体へ支払う交付金を積み立てた経済産業省の周辺地域整備基金は、約657億円が不要と指摘された。
 老朽化した公務員宿舎や庁舎を処分して新たに施設を整備する財務省の特定国有財産整備勘定は、借入金を返済しても約618億円もの余分な不動産を抱え込んでいる実態が分かった。
 一般会計は借金の国債発行に依存してやりくりしているのに、別の会計には余分なお金や資産があるとは、どう考えても納得できない。
 同様の不適切な会計処理は、毎年のように指摘されながら、なぜ繰り返されるのか。会計検査院のメスが入ったのは「氷山の一角」ではないのか。そんな疑念や不信は募るばかりだ。
 野田首相は、今国会の所信表明演説で「まず何よりも政府全体の歳出削減と税外収入の確保に断固たる決意で臨む」と国民に誓った。
 有言実行あるのみである増税の前に行政の大掃除を徹底してもらいたい。

=2011/11/11付 西日本新聞朝刊=