2011年11月20日日曜日

環境省のエリート官僚すら信じていない国の定めた放射線安全基準とは?

フクシマの被災地から送られてきた汚染土を自宅の近くの空き地にばらまいたという情けない官僚の行動が明るみに出た。これはWSJのウェブ版でも、大きな記事となっている。細野氏は大臣の給料を返上することで、決着をつけたが、議員給与の130万円については、今後も全額受け取るそうであるという。

福島の被災者から環境省に送りつけられた土の処分に困って「自宅の庭に持ち帰る」といいながら(本当にそういったのか、仮にそう言ったとしても、本当に自宅に持ち帰る気があったのか、最初から部下に押し付ける腹づもりではなかったのかは疑わしい)、結果的にそれを部下に持ち帰らせた官房総務課長も、安全基準以下の汚染土を持ち帰り、それを空き地に捨てた環境省の職員も、「安全基準値以下のわずかな土さえ、自分の自宅には持ち込みたくない」という明確な意志を、それぞれ自らの行動をもってはっきり表示しているのである。

そんな彼らに、被災地の農作物の購入をためらう国民をあたかも風評被害の加害者であるかのように攻め立てる資格が、どこにあるというのか。

更迭だの減給処分だと言う前に、環境省のエリート官僚さえ信じていない、国の定めた放射能の安全基準とは一体何なのか。細野氏にはその点をうやむやにせず、この事件を起こしたお偉いお役人方々になぜ自分の家の庭にその土を撒かなかったのか、徹底的に事情を聴取をし、彼らの答弁を国民の前にしっかりと公開してもらいたいものである。

そして今後、来年の1月法律が施行されるまでに、環境省に同じような基準値以下の土が送り込まれた場合、大臣以下、環境省の職員全員にそれを自宅の庭にばらまくだけの気構えがあるのかどうかについても、はっきりさせてもらいたい。

情けない面々といえば、経産大臣という立場にありながらフクシマに関する問題発言、問題行動が原因で更迭された鉢呂氏、原発災害のさなか政府のスポークスマンという重責を与えられながら、環境省の女性職員との不倫スキャンダルが明るみに出て更迭された上、異性と不適切な行為を勤務時間中に行い停職処分を受けた西山氏がいる。

前者はTPPへの参加交渉の是非を決める党内のプロジェクト・チームの座長にいつの間にか返り咲き、後者は環境省の除染促進チームの次長を拝命したという。

鉢呂氏は元農協出身ということで、農業関係者の説得ができるという意味での起用だったという。「放射能をつけてやる」発言は、経産大臣としては不適切であっても、国会議員として、あるいは経産省のTPP交渉の座長としては適切だとでも言うのだろうか。あれほど喧しかったメディアの鉢呂降ろしの声が、TPP交渉への起用に関して全く上がらなかったのは、どう考えても不可解である。

西山氏に至っては、彼が除染など全く専門外であることは国民が知るところである。不倫相手の女性職員がどうなのか知る由もないし、興味もないが、ことさら不倫相手が所属する環境省に出向とはいかがなものか。

民主党は、霞が関は、かくも人材が不足しているのだろうか。

放射線安全基準値以下の土を送り主に戻せないものか、環境省では弁護士にまで相談し、対応に3日もかかっていたという。こんなことに多額の税金が使われているのである。国会議員も、霞が関も、無用な人材が多すぎるのではないか。議員宿舎、公務員宿舎を廃止し、高級官僚の数を半分に減らすだけでも、天下り先の弊害は半分に減るし、歳費節減となる。

大臣たちも月収250万円もの給料に見合った仕事を国民のためにやっているとは到底思われない。増税、増税と言う前に、国会議員数を半数にし、国民の生活感覚を理解する上においても、標準的なサラリーマンと同額の給料を支給するところから初めてもらいたい。

http://blogs.wsj.com/japanrealtime/2011/11/18/bureaucratic-fallout/



Bureaucratic Fallout


It has been a punishing day for Japan’s nuclear officials.

Agence France-Presse/Getty Images
Goshi Hosono, state minister in charge of the nuclear accident, in November.
Environment Minister Goshi Hosono said Friday he would forgo his monthly cabinet salary of Y1.5 million, or roughly $20,000, to take responsibility for an employee of his ministry dumping radioactive soil sent from Fukushima prefecture near his backyard in Tokyo’s suburbs.
As the minister also overseeing the cleanup of the nuclear crisis, Mr. Hosono said the insensitive behavior exhibited by his staff ultimately falls on his shoulders. (He will continue to collect his Y1.3 million monthly income as a member of parliament).
Penalties were also imposed on the environment vice ministers, who will face a 20% pay cut for two months. Others involved have been transferred to other positions and given stern warnings.
The penalties come the day after Mr. Hosono revealed that an environment ministry employee threw soil with trace amounts of radiation away in a vacant lot near his home last week. The soil was sent to the ministry from a Fukushima resident, who had asked the ministry to get rid of the soil. Tests of the soil detected radiation of about 0.18 microsieverts per hour – a low level deemed safe.
Looking ever more haggard since becoming the central government’s captain in charge of the Fukushima Daiichi accident soon after March 11,  Mr. Hosono said at a press conference Friday: “What is behind this is the feeling among Fukushima residents that the government has not been implementing its responsibility for handling contaminated soil and should be doing more. I do not think I will be able to gain understanding of people in Fukushima with something like this,” according to state broadcaster NHK.
Separately, the environment ministry has taken in a familiar face to help oversee the soil decontamination effort. Hidehiko Nishiyama, a former government nuclear spokesman disgraced by a sex scandal,  has been named deputy chief of a special team for decontamination of Fukushima, set up within the ministry of environment, a spokeswoman for the Ministry of Economy, Trade and Industry said Friday.
Mr. Nishiyama, once a rising star at the METI, became a television star soon after the March accident at the Fukushima Daiichi plant as a well-spoken, never-tiring spokesman for the Nuclear and Industrial Safety Agency, the ministry’s nuclear regulatory body. But he lost the high-profile job in June after a weekly magazine carried a detailed account of his extramarital affair with a female staffer of the ministry. Mr. Nishiyama apologized at the time for the trouble the allegations had caused. On Sep. 30, the ministry formally suspended  the 54-year-old career bureaucrat for one month for having been engaged in “inappropriate” sexual conduct during working hours at the height of the nuclear crisis.
Mr. Nishiyama still remains an employee of the METI but will now be on lease to the environment ministry.  The 54-year-old elite bureaucrat joined the ministry in 1980 after graduating from Tokyo University. Mr. Nishiyama wasn’t available for comment.


官房総務課長を降格=職員の汚染土廃棄で-環境省

環境省は17日、福島市内から同省に送り付けられた放射性物質に汚染された土壌を、職員が空き地に捨てた問題に関連して、弥元伸也官房総務課長を同日付で自動車環境対策課長に異動させる人事を発表した。事実上の降格人事となる。細野豪志環境相は自身を含めた関係者の処分も検討している。(2011/11/17-19:44)









東日本大震災:環境省に送られた汚染土、職員が空き地に投棄--埼玉の自宅近く

細野豪志環境相は17日会見し、福島市内で採取されたとみられる放射性物質を含む土壌が今月、環境省に2度送りつけられ、そのうち1回分の土壌を同省職員が埼玉県内の空き地に投棄していたことを明らかにした。細野氏は「除染の役割を担っている環境省として決してあってはならないこと。国民に深くおわび申し上げる」と謝罪した。
同省によると8日午前9時ごろ、A4コピー用紙入りの箱よりも一回り小さい段ボール箱が送られてきた。中にはビニール袋入りの土と「福島市の自宅で採取した土で、環境省で保管、処分してほしい」という趣旨の手紙が添えられ、送り主の記載もあった。手紙には自宅周辺の放射線量のデータも記載されていたという。
放射線量は、0・8メートル離れた時点で1時間当たり0・18マイクロシーベルト、ビニール袋の外側で0・6マイクロシーベルト。放射性物質濃度は推定で1キロ当たり約4000ベクレルだった。
この土壌の処分法を検討する過程で、官房総務課長が「送ってくる住民の気持ちは分かる。線量は低いので、千葉県柏市の自宅の庭で処分しようか」と話したため、同課職員が12日に埼玉県内の自宅に持ち帰り、翌日、近くの空き地にすてたという。
16日にも、同一人物と思われる送り主から前回より小さい箱が送られてきたため細野氏ら同省幹部に報告、不適切な処分が発覚した。この箱は品名欄に「灰」と書かれており、開封せずに線量を測定した結果、前回と同程度だった。
細野環境相は、「何人も汚染土壌をみだりに投棄してはならない」と定めた福島第1原発事故による放射性物質汚染の対処に係わる特別措置法(来年1月施行)に違反する可能性があり、極めて不適切として、官房総務課長を異動させるなど、関係職員の処分を検討、自身の監督責任も検討中としている。【江口一、藤野基文】
毎日新聞 2011年11月17日 東京夕刊