2011年12月8日木曜日

エネルギー問題の行方:騙すならばもっと賢く。。

  金子勝氏のツィッターを見ていると、3.11以来、どれだけ大きな不安を国民にもたらしているかわからない原発を、未だに維持・推進しようと目論んでいる勢力は、決して衰えてはいないらしい。


子や孫が安心して住める環境作りの必要性を考えれば、原発は一も二もなく廃止すべきであるが、どうやら既得権益を得ている権力者にとっては、子や孫の健康を犠牲にしても余りある旨みがあると見える。


以下金子勝氏のツイッターと、金子氏がリファーしている再生エネルギー価格査定委員会の候補にあがっている山地氏らのやらせ人事、その山地氏の再生エネルギー反対の根拠としている太陽光発電巨額コスト説の欺瞞に関するブログ等を転載する。


ブログの1つには、「日本の不幸は権威にあぐらをかいたエリートが国民を馬鹿にし、平気で騙すことである」と結ばれているが、騙すならば騙すで、もう少し頭のよい、賢い騙し方で騙して頂きたいものである。


美浜原発がトラブル発生で手動で停止することになった。これが止まるとすでに日本の85%の原発は停止していることになるという。


日本の原発の85%が停止状態になっても、即電力不足に陥り、停電するわけでもないような原発のエネルギー源としての存在意義とは何なのか?


3.11の原発事故直後、「仮に日本の原発が全て停止しても、日本のエネルギー供給に全く問題はない」とアメリカのエネルギーの専門家集団が発表したというが、つまるところ日本の54基の原発は、別にあってもなくてもどうでもなるような無用の長物に過ぎないのではないか。


隠蔽、やらせ、データ改ざん、情報隠し、論理性に欠いた情報操作など、あまりに稚拙な語り口に、多くの国民はすでに相当うんざりし、不信感を募らせていることに、いくらなんでも、もうそろそろ気がついてもいい時期なのではありませんか?






金子勝氏のツイッターより


経産省の総合資源エネルギー調査会が、事務局の「中間まとめ案」をめぐって、激しく紛糾したようです。原発推進派はまだ諦めていません。10年もすれば、ほとぼりがさめると思っているのでしょうか。脱原発派に頑張ってほしい。 

13時間前 webから


ちなみに価格算定委候補の山地憲治氏が太陽光発電巨額コスト論で用いるデータの曖昧さをついたブログです。  調達価格等算定委員会の人事案が決定するプロセスの問題を暴いた水野賢一議員のブログ。ご参考まで。

14時間前 webから



http://mainichi.jp/select/biz/news/20111207k0000m010078000c.html

エネルギー基本計画見直し:政府委、結論持ち越し

エネルギー政策の指針となる「エネルギー基本計画」の見直しを進める経済産業省の「総合資源エネルギー調査会」の基本問題委員会は6日、論点整理の議論を始めた。エネルギーのベストミックス(最適な組み合わせ)を巡り、省エネや再生可能エネルギーの利用を進めつつ原発依存度を下げる方向性を示した原案に委員から賛否両論が噴出。意見の一致を見ないまま、議論は年内に予定する次回会合に持ち越された。
 原案は、30年に電源構成の過半を原子力に依存するとした現行計画を見直す際の方向性として、省エネ・節電の強化▽再生可能エネルギーの開発▽化石燃料の有効活用--を進めつつ原発依存度をできる限り低減させることでおおむね見解が一致したと総括。その上で、原発の中長期的な位置付けについては、甚大な被害などから「早期に撤退すべきだとの意見が少なくなかった」とする一方、原子力の平和利用国としての国際的責任から「戦略的判断として一定比重維持すべきだという意見も出た」と両論を併記した。
これに対し、委員からは「対立点を整理すべきだ」「依存度低減で一致という整理の仕方には異論がある」と整理の手法に批判が相次いだ。
一方で「意見の違いが多い中でも一致点を見つけたもので一歩前進」「論点がまとまっている」と評価する声も上がった。
同委員会の議論を基に枝野幸男経産相は、来夏をメドに新しいエネルギー基本計画を策定。政府のエネルギー・環境会議が取りまとめる「革新的エネルギー・環境戦略」へ反映させる。【野原大輔、和田憲二】
毎日新聞 2011年12月7日 1時14分
国会同意人事が民自公の「やらせ人事」だった!
~政府自身が答弁で認めた前代未聞の出来レース~


調達価格等算定委員会
経済産業省に調達価格等算定委員会というものがある。聞き慣れない委員会かもしれない。それもそのはずで今年設置が決まったばかりである。菅直人首相の退陣間際の8月に再生可能エネルギー買取り法が成立した。これによって買取り制度が始まることになった。次に焦点になるのはいくらで買い取るのかという話である。この買取り価格などを決めるのが調達価格等算定委員会である。それだけに再生可能エネルギーが普及するかどうかの鍵を握っている組織といえる

この委員会は5名の委員で構成される。そしてその5名は国会同意人事の対象である。つまり政府が人事案を国会に提示して、衆参両院で承認されると就任することになる。

三党に推薦を依頼
調達価格等算定委員会の人事案は11月17日に政府から提示された。あまり評判の良い人選ではない。「再生可能エネルギー普及の足を引っ張ってきた人たちが多すぎるではないか」という批判もかなり上がっている。

さらにそれに加えて驚くべきことが明らかになった。経済産業省側が事前に民主・自民・公明の三党に「誰を提示したらよいか推薦してきてください」とお願いをしていたのだ。そして三党から推薦があった人たちを政府案として国会に提示してきたというわけである。

これは“疑いがある”というレベルではない。昨日(12月1日)の参議院環境委員会で、経済産業省の松下忠洋副大臣と資源エネルギー庁の新原弘朗(にいはら・ひろあき)省エネルギー・新エネルギー部長が公式に答弁で認めている(別添の議事録参照)。

政府側からすればせっかく人事案を提示しても否決されるのが怖い。特に今はねじれ国会なのでその可能性は十分ある。そこでこう考えたのだろう。「主要政党から推薦を出してもらい、それを追認して政府案にすれば否決されないはずだ」。しかし
これは「やらせ」以外の何物でもない。もちろん前代未聞の「禁じ手」である。
予定調和の出来レース
 国会同意人事の扱いは秘密厳守が鉄則になっている。国会に提示する前に人事案が新聞に載ってしまい問題になったことがしばしばあったからである。国会に示す前に前にマスコミに喋るとは何事かというわけである。そこで「事前に外部に人事案が出たら、その人事は認めない」ということが叫ばれ、現在では両院の議院運営委員会理事会が同時に提示を受け、その直後に報道各社にも解禁するという形をとっている。各党が正式に人事を聞くのもこの議院運営委員会理事会が最初のはずである。

 それだけ厳格に情報管理することになっている..はずだった。ところが実際には違っていた。政府案というのは実は三党案だったのである。これでは三党にとっては予定調和の出来レースにすぎない。

 そもそも同意人事というのは政府が最善と思う人を選び出し、それを衆参両院に諮るというのが本来の姿である。自ら人選をすることを放棄し、三党に依頼する政府も政府である。またそれを受けて推薦をする三党も三党である。これは同意人事という仕組みそのものに関わる根本問題といえる。

(ただ三党による推薦は秘密裏に行なわれていたため実は三党所属のほとんどの議員にとってはまったく聞いていない話だったことは間違いないようだ。)

政府はきちんとした説明を
 当然出てくる疑問は、これは氷山の一角ではないかということである。同意人事というのは調達価格等算定委員会に限られるわけではない。11月17日にされたものだけでも14機関31名に上る。これらも実は所管省庁が民主党や自民党などに「人選をお願いします」と事前に頼んでいるのではないかと勘ぐりたくなる。

 調達価格等算定委員会の設置は、再生可能エネルギー買取り法が成立した時、衆議院での三党共同修正によって盛り込まれたという経緯がある。「だからこれは特殊なケースなんです」と政府は言うかもしれない。

 いずれにせよこうした疑念に対し政府はきちんと説明する必要がある。もちろん今回の「やらせ人事」についてもきちんとした弁明を聞きたい。いつ、誰が、どのような形で三党に推薦を依頼したのか。またどのような形で三党から推薦を受け取ったのかなどを明確に説明すべきである。そもそも人事案自体も撤回すべきではないのか。また経済産業省側がどういう形で責任をとるのかも興味深い。失われた信頼を回復するのは簡単なことではない。



価格算定委候補、山地名誉教授が再生エネ否定に用いる欺瞞的データ

2011年12月06日 11:12

筆者は「永田町異聞」メルマガ版の今年6月9日号に、「山地名誉教授が語る太陽光発電巨額コスト論の欺瞞」と題する記事を書いた。

山地、すなわち山地憲治氏は、地球環境産業技術研究所長をつとめる東大名誉教授で、再生可能エネルギーに否定的見解を持つ学者だ。

山地氏をあらためて取り上げるのはほかでもない。再生エネルギーの推進に赤信号が灯りそうな人事案が経産省から出てきたからだ。

再生エネ法にもとづいて電力買い取り価格を検討する委員会(5人)の政府人事案に、山地氏を含む再生エネ導入反対派3人の名があがっていることに、与野党の有志議員や有識者が反発。5日に記者会見して、人事案の差し替えを求めた。

他の2人は進藤孝生・新日鉄副社長と山内弘隆一橋大学大学院商学研究科教授だ。

新日鉄の進藤氏は、電気の大口ユーザーの立場であり、国会の参考人として出席したさいに「日本経済の空洞化を助長する買い取り制度を現段階で導入することは避けていただきたい」と、明確に買い取り制度そのものに反対の立場を表明している。

交通経済学の専門家であるらしい山内氏も固定価格買い取り制度に否定的な発言をしてきた。

経産省は今国会中に人事案への同意を得たいようだが、5人の委員のうち山地、進藤、山内の3人が再生可能エネルギーの推進に後ろ向きでは、ビジネスとして成立する買い取り価格になるかどうか、おぼつかない。ビジネスにならなければ、再生可能エネルギーが普及するはずもない。

筆者も強い危機感をおぼえており、人事案に異議を唱える議員や有識者に賛同の意をあらわしたい。

そこで、取り急ぎ、問題の3人の候補者のうち、エネルギーの専門家である山地氏の見解にひそむ欺瞞について書いたメルマガ版6月9日号の一部を以下に転載することにした。この問題を考える読者の参考になれば幸いである。

◇◇◇

再生可能エネルギーの行く手には、強力な抵抗勢力が待ちかまえていることは確かだ。

電事連、経団連、そしてその傘下の企業に天下りする官僚組織がときの政権に揺さぶりをかけ、マスコミもうまく抱き込んで、原発がなければ経済は衰退するとか、電力不足に陥るとか、ネガティブキャンペーンを繰り広げて、覚醒し始めた国民を再洗脳しようとするだろう。

すでに、福島第一原発事故や浜岡原発の停止、世論の反原発気運に危機感を抱いた専門家、ジャーナリストらが、さまざまなメディアに登場し、再生可能エネルギーの欠点ばかりをあげつらって、原発の重要性を説いてまわっている。

たとえば、山地憲治・東大名誉教授は、月刊「選択」6月号の巻頭インタビューで、「電力にも品質の問題がある」と強調して、電力に占める自然エネルギーの増加に懸念を表明している。

さらりと読んでしまうと、「そうか、自然エネルギーの電力は品質が悪いのか」と、単純に受け取ってしまうだろう。そこで、じっくり山地が語っている内容を吟味したい。

まず山地はこういう話から始める。

「再生可能エネルギーが自然条件に大きく影響されるのは当たり前だが、このことが経済に与える影響についての視点が抜けている。電力にも品質がある。これは周波数と電圧の安定度によって決まる。たとえば周波数が変動すると(工場の生産機器など)様々な機器に影響が及ぶ。…不良品を生じ…経済活動がストップする…」

再生可能エネルギーで得られた電力では品質が悪く、工場の生産に支障をきたすというふうに読める。ところが、インタビュアーが「品質を保つうえで必要なことはなんでしょう」と質問すると、次のように答える。

「需用電力に対して供給電力をいかに合わせるか。需要が供給を上回ると、発電所に負荷がかかり、周波数が低下する。電気は溜めることが難しいので、過剰になれば周波数が上がる。日本の電力会社は、変動する需要に合わせて、比較的調整が容易な火力発電所の出力をコントロールしてバランスし、この国の産業を支えてきた」

これを読むと、再生可能エネルギーがどうこうということではなく、要は需要と供給のバランスをとれば電力の品質が保てるようである。

そこで、聞き手はさらにこう質問した。「再生可能エネルギーが増えるとどんな影響が出ますか」

山地「再生可能エネルギーが大きな割合を占めると、需要側に加え、(自然条件によって出力が変わるので)供給側も変動すること
になる。供給量が暴れるといってもいい。火力発電所があっても需要に供給を合わせるのが難しくなる」

やはり電力の需給を合わせることが肝心らしい。変動する自然を相手にすると、それがやりづらいということのようだ。では、技術力でその難題を克服できないのだろうか。そのためにスマートグリッドがあるのではないだろうか。
山地は「技術で欠点を補えませんか」という問いに「可能だが、大変なコストがかかる」と言って、次のように続けた。

「供給側が暴れることによって、やむを得ず生じる余剰電力を蓄積し、再び供給するための設備が要る。発電設備への投資とは別に必要になる。2020年までの国の目標である2800万キロワットていどの太陽光発電でも、数兆から十数兆円が必要になると試算されている。…(電気料金が)高価であれば、製造業は国外へ逃げてゆくことになるだろう」

スマートグリッドについては一言もふれず、自然エネルギー発電量のコントロールをするための蓄電供給設備に言及し、それに要する投資が巨額で、ワリに合わないことを強調する。

一方、原子力発電所の建設に投じられる地元対策費や交付金、使用済み核燃料の再処理、放射性廃棄物の処分、管理、貯蔵などにかかる巨額な費用については棚に上げたままだ。

そこで、山地の言う数兆から十数兆円という試算がどこから出た数字なのかをさがしてみた。経産省のホームページでは、2020年の2800万キロワットという太陽光発電の目標値は見つかったものの、「数兆から十数兆円」に該当する資料は見当たらない。

ようやくそれらしき数字に遭遇したのは、山地が所長をつとめる地球環境産業技術研究所のウェブサイトに公開されている資料「日本の発電コスト比較」のなかである。

これは、石炭、天然ガス複合、原子力、風力、太陽光それぞれについて、発電費、その他費用の推定値を表にまとめたものだが、まず驚くべきことに風力と太陽光のみに記入されている系統安定化のための追加費(周波数調整、余剰電力、配電対策等)に、こんな但し書きがつけられている。

「限られた文献からの引用となったため、引用文献の一部については、前提条件の想定が適当とは考えられないものや精度の高い推定と考えられないものも含まれるので、注意が必要」

あらかじめこんな注意書きをつけた太陽光発電の「系統安定化のための追加費」の欄には以下のごとく、経産省研究会と環境省研究会の試算が記されている。

◇【経済産業省研究会試算2009年7月】 
2,800万kW:3000億円程度(2030年まで累積)
~5,100万kW:4.6兆円程度(2030年まで累積)
~5,321万kW:最大7兆円(2030年まで累積)
【経済産業省研究会試算2010年5月(出力抑制無、系統側蓄電池ケース)】
2,800万kW:16.2兆円(20年まで)
【環境省研究会試算2009年2月】
~7,900万kW:3.56兆円(2030年まで累積)◇

この数字のバラツキはどういうことであろうか。山地の言う2,800万kWの場合、「経産省研究会試算2009年7月」では、30年までの累積で3000億円に過ぎないのに、「経産省研究会試算2010年5月」だと、20年までで16.2兆円かかることになっている。
そして、環境省研究会試算では、30年までの累積で3.56兆円である。

3000億円、3.56兆円、16.2兆円の3つの試算があるのだから、山地は「数千億から十数兆円」と正しく言うべきところを、あまりの数字の開きにバツが悪いのだろうか、「数兆から十数兆円」とごまかしてしまったようだ。

この明らかにいい加減な数字を駆使して、自然エネルギーは高くつく、ゆえに増やすべきでないと主張するのは、あまりに国民を愚弄しているといわざるを得ない。

日本の不幸は、権威に胡坐をかいたエリートがこのように国民をバカにし、平気で騙すことである。