2012年6月24日日曜日

やっと声をあげた日弁連会長:原子力規制委員会設置法成立に対する声明

 日弁連の会長が、原子力規制委員会設置法に関する声明を出した。ごく一部の弁護士が、全国の原発訴訟のために懸命に闘っているが、原発災害を惹き起こした東電及び原発関係者に対する刑事告発を昨年の3月以降、全く行おうともしない当局に対して、ほとんどの司法従事者は黙して語らず、見てみぬふりを続けてきた。

 この日弁連会長の声明も、原発の再稼働を是認するものであり、日本国民の生存権、生命権を守るべき法律の専門家という立場にありながら、彼自身が、あるいは日弁連が、一体何を根拠に原発再稼働の安全性を認めるのかという部分の議論が全く欠落していることには大変大きな不満と疑問が残る。

規制庁が経産省から独立したものでなければならないこと、改革法案が、安全保障の名のもとに、原発の軍事転用の余地を残すような危険性を孕んでいること、原子力利用に関して非公開のものを作り出し、「自主、民主、公開」の大原則を空洞化させる懸念があることの問題を指摘している点は評価できる。

しかし、会長が、あるいは日弁連が、原発の運転期間を30年と定める根拠はどこにあるのか。日本全国のどこかに今後30年に大地震などの自然災害があった場合、あるいは電力会社の社員のケアレスミスによって、全国の海外に立地している原発に、フクシマのような大災害が、二度と起こらないことを一体、誰が何をもって保障できるというのか。

保障できないのであれば、無責任に「30年は動かしてよい」などというような発言はすべきではない。

推進派は、「原発を止めたあとどうするつもりなのか、それを考えずに止めろ止めろというのは無責任極まりない」などというような詭弁を弄している。

しかし、公共事業に従事し、すべての状況を想定した上で、どんな事態が生じても国民に安定した電力供給をすべき立場にありながら、地域独占と総括原価方式の上にあぐらをかいて、他国は安価で燃料を輸入しているにもかかわらず、殿様商売で天然ガスを高値で買い取るようなことを続け、営業努力を全く怠ってきたこと、アメリカ、ドイツをはじめ他の先進諸国では原子力以外の代替エネルギーの開発を飛躍的に進めてきたにもかかわらず、日本の電力会社や御用学者たちはそうした努力をほとんど行わず、オール電化を奨励し、金儲けのできる原発依存症に陥っていた人間にこそ、もっとも大きな責任があるのではないのか。

日本経済火の車で増税せずにはいられないという時代に、玄葉大臣は相変わらず景気よく外国に血税をバラマキ続けている。玄葉氏は、リオ+20で、日本の優れた省エネ技術を活用して、途上国のグリーン経済への移行を支援するために、2400億円を拠出するという。
他国を支援できるような金と省エネ技術があるのであれば、原発の再稼働などに血道を上げず、まずそれを自国を救うことに使うべきではないのか。

 ついでにいえば、玄葉氏の外遊、バラマキはこれに限らない。たしか4月終わりには、軍事優先を評価して金正雲に平和賞を送った、ネパール政府に対して、2億5000万円もの支援を約束している。

そんなにばらまきたいならば、個人の私財からばらまいて頂きたいものである。

外務省辺りには、ばら撒けば、日本の地位を不動にできると錯覚している人が多いようだが、日本を金づると考える国は多くても、日本の外交は、世界のどこからも全く評価されていないという厳しい現実をもっと真摯に受けとめ、むやみなバラマキは即刻辞めて、外交官の養成を根本的にやり直すべきである。

金子勝氏ツイッターより

原子力規制委員会法の成立に関する日弁連会長声明です原子力基本法にあ

った「原子力の平和利用」を投げ捨て、「安全保障」という目

的を加えたことで軍事利用へ拡大解釈される危険性を指摘。政

経塾内閣は、武器輸出三原則緩和を含めて最悪かもしれませ

2012年6月23日 - 2:28 webから · 詳細


原子力規制委員会設置法成立に対する会長声明

本年6月20日、参議院で原子力規制委員会設置法案が可決、成立した。本法案は、政府と自民党・公明党からそれぞれ原子力規制改革に関する法案が提出されていたところ、政府と自民党・公明党間の協議の結果、最終的に自民党・公明党案を基本として、合意に達したものとされている。



当連合会は、本年6月1日付け「原子力発電所について独立性の高い規制組織の設置と新たな安全基準を既存原発に適用することを求める会長声明」において、今回の原子力規制改革に関する法案について、①原子力規制のための組織は経済産業省から完全に独立し、これと明確に分離されたものとすること、②「バックフィット制度」と「過酷事故対策の法規制化」及び「原発寿命制限」の規定を確実に残すこと、③緊急時には内閣総理大臣の指示監督の権限を残し、規制機関との連携の手続を法律であらかじめ定めておく仕組みを残すことを強く要望した。



本法律において、原子力規制委員会を国家行政組織法第3条に基づいて設置される行政委員会(いわゆる3条委員会)とすることで、委員の身分を保障し、職権の独立性を強化したことについては高く評価できる。



一方で、本法律については、以下の問題点を指摘せざるを得ない。



(1) 本法律さらには原子力基本法の目的規定に「我が国の安全保障に資すること」が加えられている。これは、従前の原子力基本法の目的である「人類社会の福祉と国民生活の水準向上」に異質のものを持ち込むのみならず、安全保障を掲げることによって原子力利用について非公開のものを作り出し「自主・民主・公開」の基本原則(原子力基本法2条)を空洞化させる危険がある。



また、国会における審議において、安全保障を掲げることにより軍事転用を図ることはないとの答弁がなされ、さらに、附帯決議において、「我が国の非核三原則はもとより核不拡散についての原則を覆すものではないということを国民に対して丁寧に説明するよう努めること」とされているとはいえ、従前の原子力基本法では、原子力利用が「平和の目的に限」られていたところ、「安全保障」の名の下に軍事転用を許す懸念は払拭できない。このことは、東京電力福島第一原子力発電所事故の反省の下に原子力利用の安全性を確保しようとする本法律の目的とは全く異質のものである。




このように原子力基本法の目的規定に安全保障を掲げることが、広島・長崎・福島を経験した我が国において、さしたる国民的議論もないまま国会で実質的議論がなされることもなく、原案のまま成立したことについては、深い憂慮を覚えるものである。



(2) 発電用原子炉の運転期間については、原則として40年に制限されたものの、例外として20年を超えない期間で1回に限り延長の認可をすることができるとされている。これについては、政府提出法案にも延長の規定があった。当連合会は昨年7月15日付けの「原子力発電と核燃料サイクルからの撤退を求める意見書」において、運転期間は30年とし例外を認めてはならないと提言したところであり、運転期間が30年と40年で10年の開きはあるが、少なくとも例外としての延長を認めるべきではない。さらに、当該条文の附則において9月に発足する原子力規制委員会が速やかに再検討すると明記しているが、細野原発担当大臣は、運転期間は原則40年であり、その延長は例外中の例外である旨発言していたことに照らしても、本附則は、この原則を覆し、老朽化した原発の運転期間を更に延長させる可能性を残すものであり、このような見直しが安易になされてはならない。



(3) 最新の安全基準を満たさない発電用原子炉に運転停止等を命じることができるいわゆるバックフィット制度が規定されたことは評価できる。ただし、施行の状況を勘案して速やかに検討が加えられ、必要があると認められるときは、その結果に基づいて所要の措置が講じられるものとする旨規定されている点については、運用次第でバックフィット制度自体が実質的に骨抜きにされる可能性が残されているものの、附帯決議において世界最高水準のバックフィット規制の導入を図るとされていることからも、厳格な運用がなされるべきである。



(4) 原子力規制庁職員について、いわゆるノーリターンルールが規定されたことは評価できるものの、原子力規制庁発足後5年間は職員の意欲、適性など勘案して例外を認めるというただし書を設けている。これについては、衆議院において、できる限り例外は認めないとの附帯決議が付されているものの、福島原子力発電所事故の反省を踏まえて、原子力利用の安全確保の強化及び規制の推進のために原子力規制庁が設置されるものである以上、法律に例外規定は設けずに、附帯決議に沿って運用されるべきである。



したがって、当連合会は、新たな原子力規制組織の下で、真に国民から信頼される独立した規制行政が確立され、安全性の確認されない原子力発電所の再稼働を認めることなく、福島原子力発電所事故のような事故を二度と起こすことのないような原子力規制行政が確立されることを強く求める。

2012年(平成24年)6月21日

日本弁護士連合会
会長  山岸 憲司






















































































大飯は「再稼働すべきではない」:米MIT原子力科学・工学部長レスター教授の弁

 WSJの電子版のよれば、原子力推進の立場に立つMIT原子力科学・工学部長のレスター教授は、日本は原発の技術的、制度的な問題をクリアし、国民を納得させられない限り、原発の再稼働をすべきではないと述べている。

原発推進の立場に立つレスター氏でさえ、現時点での日本の原発再稼働には、はっきりNoであると表明し、原発についての安全性の判断は発電業者や首相が行うべきではないとしていることは注目すべきである。

レスター氏はさらに、日本が何十年も前にアメリカが採用していた金属キャスクを未だに採用していることについて、使用済み燃料棒などの放射性廃棄物を長期間保存するためには、現在アメリカが採用している中性線やガンマ線、X線などを遮蔽する、コンクリート製のドライキャスクがより適切であると指摘する。

日本の電力会社がコスト高の金属製キャスクにこだわる理由は何なのか。

御用学者の勉強不足か、そうでなければおよそ金属キャスクを作るメーカーや、ホッソ樹脂を作る化学会社の既得権益のいずれかなのだろう。


http://jp.wsj.com/Japan/node_465590

米MIT原子力科学・工学学部長に聞く「国民の自信回復なしに再稼働すべきではない」

2012年 6月 22日 11:20 JST

日本時間6月8日、関西電力大飯原子力発電所3号機と4号機(福井県おおい町)の再稼働に反対し、永田町の総理大臣官邸前で何千人もの市民がデモを 行うなど、反原発の声もいまだに強いなか、16日、野田佳彦首相は、「国民の生活を守る」ため、大飯原発の再稼働を正式に決めた。その前日には、3000 人とも1万人とも言われる人たちが官邸前に再稼働反対を訴えて集まったと、ネット上で報じられている。

 決定を伝える欧米メディアの報道も多く、野田首相が根強い反対の声を押し切って再稼働を決断したことで、今後、支持率にさらなる影響が出かねないといっ た慎重な論調も目立つ。ツイッターなどの反響を見ても、米国の世論が、日本の原発再稼働の行方に大きな関心を持っているのが分かる。

 はたして米国の識者は、再稼働問題をどう見ているのか。また、廃炉に向けて作業が進められている東京電力福島第1原子力発電所の現況については、どのよ うな認識を持っているのか。再稼働の正式決定直前に米東海岸のマサチューセッツ工科大学(MIT)を訪ね、化石燃料による気候変動の観点などから原発の利 点を唱えるMIT原子力科学・工学部長のリチャード・レスター教授に話を聞いた。

――近々辞任する予定のヤツコ米原子力規制委員会(NRC)委員長は6月12日、米国内での講演で日本の原発再稼働について触れ、国民の信頼と有用な規制制度が必要だと示唆した。日本国内での再稼働反対派の声も、依然として根強い。

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MIT原子力科学・工学部のリチャード・K・レスター学部長

レスター教授 (再稼働について)考慮すべきことは2つある。まず1つ目は、原子炉が、地震など、一定のリスクに耐えられるかどうかという 技術的な側面だ。そして2つ目は、規制当局が原子炉の安全性について正当で独立した判断を下せるという自信を国民が持てるかどうか、つまり、制度上の問題 である。ヤツコ委員長の考えは、技術的な面よりも制度的な観点を重視しているように思われる。日本の人々にとって、制度上の論点は明らかに合理的なもの だ。

 規制当局は、制度的に有用で、独立し、信頼に足る判断を下すことができるのか――。大飯原発について言えば、技術的な耐久性よりも、そうした点のほうがより大きく、複雑な問題に思える。

――その点をクリアするまでは再稼働すべきでないと?

レスター教授 すべきではないと思う。日本国民、特に原発周辺に住む地元の人たちが、規制当局の効果的な機能性について何がしかの自信を持 つことが、再稼働の必要条件だ。すべての問題が解決されることが再稼働の前提とは思わない。とはいえ、規制当局が安全性について独立した判断に達すること ができる、という自信を日本の人たちが持つことは必須だ。発電業者(である東電)や首相に頼ることなどできない。首相は原子力エンジニアではないし、(原 発について)何も分かっていない。頼るべきは、判断を下す能力がある組織だ。国民を十分に納得させることができるような、安全性に関する独立した評価が不 可欠な条件である。

――第1原発の現況についてはどうか。4号機の使用済み核燃料プールの脆弱性を指摘する声が大きくなるなか、先月、細野豪志原発事故担当相は4号機の原子炉建屋内を視察し、建屋は東日本大震災と同規模の地震にも耐えられると言明した。

レスター教授 第1原発は、安定はしているものの、依然として重大なリスクを伴っている。何号機が最もリスクが高いかは言えないが、安定しているからといって、リスクがないわけではない。

 (4号機の)使用済み核燃料プールが余震に耐えられるかどうか、独立機関による調査を行うことは非常に重要だ。調査が済んだら、あとは、どれだけ早く燃 料プールを空にし、取り出した燃料棒をドライキャスク(大型容器)に移すかどうかだが、答えは、独立機関によるプールの強度の評価や調査結果しだいだ。現 時点で東電が安全だと請け負っても、十分とは思えない。

――教授は、使用済み核燃料や低レベル放射性廃棄物などの管理に関する授業も担当されている。日本では、米国で何十年も前に使われていた金 属キャスクが今も用いられており、(使用済み燃料棒などの保管用に)米国で使われている割安なコンクリートキャスクは使用されていないと聞く。

レスター教授 金属は、肝心の放射性物質を遮へいする十分な機能を持っていないはずだが……。東電のウェブサイトに載っている写真を見る と、第1原発では、確かにコンクリートは使われておらず、ホウ素入り樹脂で覆われた金属キャスクが使われているようだ樹脂には、(原子核を形づくる素粒 子の)中性子線を遮へいする機能がある。金属キャスク外面の線量率を許容レベルにまで下げるのが目的だろう

――コンクリートでなくても、十分に遮へいされるものなのか。

レスター教授 少なくとも米国では、使用済み燃料を入れる固定収納容器としてはコンクリートキャスクが使われ、原発敷地内に保管されてい るだが、日本では、明らかに事情が違うようだ。原則的には、異なる素材を使って遮へいすることは可能だが中性子やガンマ線、エックス線をどれだけ吸収 できるかで、効果的な遮へい素材かどうかが決まる。

 最終的に、使用済み燃料はどこかに埋めることになるが、(それまでの間)コンクリートキャスクには、数十年以上、使用済み燃料を安全に保管できる能力が ある。使用済み燃料は長期にわたって保管されることになり、それにはコンクリート製ドライキャスクがより適しているということに、大半の人たちは同意する と思う。

――東京都などは、可燃ガレキなどの受け入れを決め、一定のベクレル以下のガレキを焼却するという。だが、放射性物質が空中に放出されることなどへの懸念から、反対する市民も多い。

レスター教授 そもそも可燃ガレキ自体がそれほどあるとは思えないが。不燃性の低レベル廃棄物は、地中に埋設して封じ込める。ドラム缶やコンクリート・トレンチ(立て抗)なら、放射性核種が地表水や飲料水に浸出するのを防ぐための十分な防御効果を有している。

 だが、第1原発で多いと思われる高レベル放射性廃棄物は、基本的に最終貯蔵所を造って、そこに入れることになるだろう。放射性廃棄物の処理方法は、汚染 度によってまちまちであり、汚染レベルは非常に幅広いため、これという決まったメソッドはない。非常に複雑で時間がかかるプロセスだ。

――教授は、第1原発に関する本紙への寄稿(2011年4月6日付)で、「スリーマイルやチェルノブイリの事故の後、最も優れた原子核科学者・技術者たちがこの分野を後にした」と書いている。東日本大震災後、同じことが起こっているか。

レスター教授 そうであってほしくない。優秀な技術者や科学者に対する最先端の原子力技術開発のニーズは、非常に大きい。そうした有能な若 手専門家が研究を続け、将来、より安全で経済的な形で電力が供給できればいいと願っている。MITについて言えば、今も原子力の勉強を希望する学生は大勢 いる。人数は、以前とほとんど変わらない。フクシマは、原子力に対する米国民の見方にネガティブな影響を及ぼしたが、工学者や科学者たちは、世論には必ず しも影響されないものだ。

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肥田美佐子 (ひだ・みさこ)