2011年4月30日土曜日

節電はテレビ放送の短縮から、財源は恩恵を浴した者から:隗より始めよ

例の工程表が出て以来、原発関連のテレビ番組はみごとに減った。
スポーツに、通販、バラエティに、歌、料理に、旅番組。震災のニュースといえば「頑張ろう」というボランティアの奨励と津波被害にあった被災地の復興を意図したもののみに絞られるようになった。

原発に関しては、衆議院予算会議の、指名された本人が答弁を避けるような緩い茶番劇と東京の節電の仕方とエネルギーをめぐる議論を除いては、原発現場での現状がどうなっているのか、被災地から東北、関東方面への風向きや海流、スピーディなどによる政府筋が計測した正確な数値は一向何処からも出てこない。近頃では保安院の発表すら、一般の国民はもはや自分の耳で直接確かめる術さえなくなってしまった。

ニュースではほんのわずかな数分間、申し訳のように、どこの誰が何時何分どんな風速や風向き(海流)のどういうスポットで、どんな計測器を使ってどういう状況のもとで測定したかも、はっきり定かでないような無意味な数値、(原子炉内のプールだのトレンチだのの水位やどこどこの線量や温度が上がっただの、下がっただの、どこどこのコウナゴやしいたけの放射能物質のシーベルトが上がっただの、下がっただのといった数値)がとってつけたように報じられるのみ。

今日の夕方のBSのAsian Voiceでは、IAEAのOlli Heinonen,氏( deputy director general of the International Atomic Energy Agency ) がテレビ中継で登場し、福島の原発の現状について「まだまだ予断を許さない深刻な状況である」といっていたけれども、日本の首都圏に近い福島で未曽有の大災害が未だに収束せず、毎時放射能物質がじわじわ水蒸気や水に混じってあちこちに垂れ流し状態であるにもかかわらず、この国にテレビ放送は、ついに、臭いものにフタをして、見て見ぬふりをするというスタンスをとり始めた。こういう番組が今の時代、日本語に翻訳もされずに報道されることも大いに疑問だ。


昨日も、テレビ朝日のニュースで、原発事故の対応にあたっていた内閣官房参与の小佐古東大大学院教授の辞任が報じられたが、他社はもっぱら英国のロイヤル・ウエディングやアイススケート大会の結果ばかりを報じていた。今朝になって、その問題が取り上げられるかと思ったけれども、単に「政府はこれを単なる個人の見解の差ととらえ、これまでの方針を変更しない」という表明が報じられたにとどまった。


福島の原発事件は、どこかの人里はなれた田舎の工場が単なる失火で炎上している事件とは違うのだ。国の将来、国民の将来を左右するような大きな人災によって国が国難に直面しているというのに、テレビ番組に製作に携わっている者たちは何を優先的に報じるべきか、報道に携わる人間としての重責、使命感すら抱かないのだろうか。他国の結婚式を朝から晩まで繰り返し繰り返し報じたり、昨日見ても今日見ても全く同じような中身のない番組を垂れ流す間にどれだけ無駄なエネルギーが浪費されることか。


「隗より始めよ」という言葉がある。
テレビで「節電節電」とそんなに心配ならば、まずテレビ局がくだらないテレビの放映時間を短縮してもらいたい。各社が放送時間を決めておいて、緊急地震・気象速報だけは、必ず放送中のテレビ局が責任をもって流すという体制をとれば十分である。


国も、年金財源の流用だとか、消費税値上げだの特別税だの公務員給与の引き下げだのという前に、まずこれまで原発で大きな利権を得た政治家や経産省や内閣府の高級官僚や電力会社の役員たちと御用学者はこれまで受けてきた役員報酬、賞与、退職金、補助金の全てを国に償還し、個人の資産を売却してでも賠償金を支払うべきではないのか。むろん大型株主も応分の責任を負うべきではないのか。


特に、日本の国会議員の年収は、月額190万円程度で、これと賞与の630万円を合わせると、平成19年で推定2896万円、総理は5141万円だという。これとは別に文書通信交通滞在費として月100万円支払われるが、文書通信交通滞在費と政党に所属している場合に支払われる立法事務費は経費として非課税になり、単純計算すると年収4200万円を超えるという。イギリス、フランス、ドイツでは1000万程度、アメリカでも1700万円程度である。国会で自らが指名されても、他の人間に答弁を任せてはばからないような、議員の歳費を一人当たり半年間300万円削減するという話があるらしいが、その程度でお茶を濁していいのか。
http://money.jp.msn.com/banking/columns/Columnarticle.aspx?ac=fp2005101241&cc=05&nt=05


電もたった50%役員報酬の削減(社員は20%)をすると提案しているようだけれども、日本はおろか周辺諸国にまでこれほど大きな迷惑をかけておいて、まったく当事者意識が欠如していると言わざるを得ないのでは?


これまで責任ある立場にありながら安全軽視、国民軽視で、十二分に甘い汁を吸い、恩恵に浴してきた人たちが、責任を負うのが世の道理なのでは?