2012年8月16日木曜日

種蒔きジャーナルの存続は、日本のジャーナリズムが腐りきっているか否かを測るバロメーター

 毎日放送ラジオの種蒔きジャーナルはフクイチの原発災害以降約1年間は、ほぼ毎日のように京大助教小出裕章氏を出演させ続けた。

ここ半年ばかり、小出氏の登場回数は減ってしまったが、フクイチの現状分析や放射能汚染の影響など、原発エネルギー問題に関して、私たち一般市民が、原子力工学の専門的な見地から唯一的確かつまともな情報を得ることができる稀有のニュース源として、種蒔きジャーナルは、1年5ヶ月にわたって非常に大きな役割を果たし続けてきたことは、改めて記すまでもないことである。

 ところがどうやらここに来て、関電筋の圧力によって、毎日放送は秋からの番組再編成に乗じて、種蒔きジャーナルを廃止する意向であることが明らかになっている。

 日本のジャーナリズムは地に堕ちている。NYタイムズ東京支局長のマーティン・ファックラー氏は、とりわけ日本の新聞ジャーナリズムについて、その著書の中でCredibility Lostとまで言って斬り捨てているほどであるし、テレビに至っては朝日系列のニュース・ステーションの古舘伊知郎とモーニングバードの玉川徹の二人が、なんとかかろうじて健闘を続けているものの、後は全く目も当たられないような状況で見るに値しないような番組ばかりを垂れ流し、電力の無駄遣いも甚だしい現状にある。

朝日ニュースターのニュースの深層が今年の4月以降、全く骨抜きになってしまった中で、種蒔きジャーナルは、日本のジャーナリズムがまだ完璧に腐りきっていないバロメーターとしての存在意義を保ち続けてきた。TBSの種蒔きジャーナルを直接視聴できなくても、オンエアで収録された小出氏の解説をYOU TUBEなどで見た国民は数知れない。

ここで種蒔きジャーナルまでもが、毎日放送から姿を消してしまえば、あるいは骨抜きにされてしまえば、日本のメディアは一層、国際世界から馬鹿にされ、信頼に値しないものとしての評価を強くするに違いない。

フクイチの原発災害はまだ収束していないというのは、国会の事故調の最終報告で国民すべての前に明らかにされた事実である。そのフクイチが完全に廃炉になるまで、そして日本に原発というものがなくならない限り、放射能廃棄物が安全な形で完全に処理されない限り、種蒔きジャーナルの小出裕章氏による原発に関する解説コーナーは、国民の知る権利を守る上で、必要不可欠なものとして存続させなければならない。

8月4日【たね蒔きジャーナル打ち切り問題】「国がでたらめな情報しか流さず、事実を知らせなければいけないと思った時に声をかけてもらった。私の考えを伝えられ大変ありがたかった。打ち切りが本当でしたら残念です」小出裕章(東京新聞)

8月4日、小出裕章さんのコメントを東京新聞「こちら特報部」が掲載しました。

存続が危ぶまれている「たね蒔きジャーナル」に関するものです。



8月4日【たね蒔きジャーナル打ち切り問題】「国がでたらめな情報しか流さず、事実を知らせなければいけないと思った時に声をかけてもらった。私の考えを伝えられ大変ありがたかっ...