2011年6月27日月曜日

「大爆発する」可能性があると言われている玄海原発説明会の限界

昨日、佐賀で玄海原発の住民説明会があったという。

周知のとおり、東大名誉教授の井野博満氏によれば、老朽化が激しい原子炉の圧力容器は、地震、停電、故障などの原因で通常の冷却機能が停止し、緊急炉心冷却装置が作動して、急冷されるとその際に容器そのままが、パリンと割れて大爆発する可能性があるのだという。

原発の老朽化を測る重要な指標である圧力容器の中性子照射脆化がもっとも進んでいるのが現在運転中の玄海原発であり、それに続くのが、福井の原発銀座にある美浜、大飯、高浜、敦賀の各原発であるという。

脆性爆発が起きれば、被害は九州にとどまらず、大阪にまで及び、九州から大阪までの住民がその地域に住めなくなるというのが、元京大原子炉実験所講師の小林圭二氏である。

九州電力は、その玄海原発で、現在稼働中のこの危険極まりない1号機を停止するどころか、さらに定期検査中のプルサーマルの3号機と、4号機をも再稼働させようというのである。

原発再開をめぐる説明会は、NHKによれば、この説明会は非公開で、政府に選ばれた7名の一般市民だけが参加するという極めて閉鎖的なものであり、時間も1時間半という短かい時間に実施され、参加した出席者からは、「時間が短すぎる、保安院の説明に専門的な用語が出され難しすぎた」など、様々な不満が出たという。

説明会は、地元ケーブルテレビの加入者だけが見られるケーブルテレビや、インターネットで中継されただけで、NHKの公共放送などによる公開は一切行われなかった。

このような説明会を開催したことについて、保安院は「妥当であり、これはこれで成果が出た」と自画自賛し、佐賀県知事は、原発再開に前向きの意向を示し始めたという。

国が税金を使って説明会を開く以上は、公開の場で、井野氏など、この原発について今まで専門的な研究成果を蓄積してきた専門家を多数交えて、国民の納得のいくまでしっかりやっていただきたい。日本には公共放送のチャンネルが複数あるのだから、その説明会の模様は、全国民が見られるよう、公共放送を使ってと中継して頂きたいものである。

原発の被害は、矮小な地元地域にとどまらない。
市町村どころか、国や地方の境界をはるかに超えて、国民の生活の安全を脅かす重大な事象なのである。

原発で大事故が起こったときに、これまで原発からの恩恵に良浴してきた地元の人たちの税金と電力会社だけで、自分たちをはじめ他府県に及ぼす被害の代価を負えるのであれば、地元民の了承をとりつけるだけで再開するのも結構だ。

しかし、原発事故の被害や負担は、九州電力とはなんの関係もない地域に住む住民にも及ぶのである。

そうであるならば、国民に納得できる形での公開説明会を度々開催し、それを公共放送で中継することを求めたい。そして国民の合意形成を国民投票という形で実現するまでは、軽々に再稼働の決定などしてもらいたくないと思うのは、薔薇っ子だけだろうか。


http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2011062600171

相次ぐ批判にも「妥当」=玄海原発の再開説明会-保安院

九州電力玄海原発の再稼働に向けた住民説明会で、経済産業省原子力安全・保安院の西山英彦審議官は26日夕の記者会見で、説明会が非公開の上、地元住民7人だけの出席となった件について「妥当と言えると思う。厳しいやりとりもあり、忌憚(きたん)ない意見が出たので、これはこれで成果が出た」と強調した。
この説明会をめぐっては、事前に選ばれた7人のみの出席で、細野豪志首相補佐官も「7人は必ずしも多くない」と発言するなど批判が相次ぎ、さらに強い反発が出る可能性もある。
住民説明会は約13万3000世帯が加入する地元ケーブルテレビやインターネットで中継されたという。(2011/06/26-19:47)