2011年7月23日土曜日

原子力損害賠償法の改正:原子力事業者の無限責任主義は当然では?

 今日のニュースで経産大臣は、汚染牛の賠償金について、「東電も一部支払うべきである」などといった発言をしている。

しかし、放射能汚染の賠償は、何を置いてもまず東電が率先して行わなければならないものであり、いくら東電が賠償金の支払いを渋って速やかに行わないからと言って、軽々に国民の血税を流用すべきではない。

そんなに東電が守りたいのならば、政治家や官僚、銀行家、東電に出資している、あるいはしてもらっている会社の役員、東電や原発関連企業の役員やそのOBなど、今まで原発でさんざん私腹を肥やしたお歴々が、己の私財を好きなだけ投じればいいではないか。

原子力損害賠償法(第4条)には、無限責任主義と言って、原子力事業者には、事故の過失・無過失にかかわらず、無限の賠償責任があるという法律がある。まさにハイリスク・ハイリターンの理にかなった法律である。

自公民の実務者はどさくさ紛れに、無限賠償責任を見直すことを視野に入れ、国の賠償責任を条文に明記するという修正案を来週の国会で成立させるらしい。

国の賠償というと、日本では安直に税金の投入で手打ちをすることを意味するが、これは責任をとるべき人間が大きな責任を逃れ、国民につけをまわし、責任を分担させるという措置であり、全く当を得たものではない。

法改正をするならば、これまでメディアを懐柔し、安全神話の風評を垂れ流し、都合の悪いことはことごとく隠蔽して国民の知る権利を蹂躙し、原発の危険性を指摘する専門家の声に耳を傾けず、原子力推進の国策を推進してきた原子力産業関係者(役員、社員、OB、株主、取引銀行)、政治家、官僚、メディア関係者、御用学者及びそのOBにまず厳しい賠償責任が及ぶような法改正をすべきである。

こういう電力会社や官僚にとって都合のよい、つまらない法改正は早々と決まっていく。国会議員はこんな電力会社を守るような法改正について審議している時間があれば、今の日本にとって、最も大切な国民投票法制度の成立とか、電気事業法、電源三法の大幅改正にさっさと取り組んでもらいたいものである。


http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2011072302000040.html?ref=rank

原発賠償法案 国の責任を明記

2011年7月23日 朝刊
 東京電力福島第一原発事故の損害賠償問題で、民主、自民、公明三党の実務者は二十二日、「原子力損害賠償支援機構法案」の修正で大筋合意した。原子力事業を推進してきた国の賠償責任を条文に明記し、自公が求めてきた国の損害賠償の責任を明確化した。
 修正案は二十六日の衆院の東日本大震災復興特別委員会に提出され、委員会を通過する見通し。早ければ週内に衆院を通過し、今国会で成立する見通しとなった。
 修正案は、付則に一年後をメドに原子力損害賠償法を見直すことを盛り込むことで一致した。現在、原発一カ所につき千二百億円を上限としている国の負担額の引き上げや原子力事業者の無限責任の見直しも検討する。
 支援機構法案は、国が東電を資金支援する際の受け皿となる原子力損害賠償支援機構を設立することが柱。支援機構に対し、東電以外の原発事業者も負担金を拠出し、賠償支払いを支援する仕組みにしていた。
 政府案に対し、自公両党は「負担が電気代に転嫁され、東電以外の電力会社管内で電気料金の引き上げにつながる」と指摘し、修正を要求。民主党は当初反対したが、各電力会社の負担金の使途を分別管理し、賠償に使われた分は最終的に返済し、東電と国が責任を負う形で合意した。
 また、野党五党が提出した国が東電に代わり賠償金の半額以上を立て替え払いする「原子力事故被害緊急措置(仮払い)法案」は、民主党が野党原案を受け入れる。仮払い法案は支援機構法案と同時に採決される見通し。早ければ八月下旬から国の立て替え払いが可能になる。