2011年10月19日水曜日

「死の街」は悪くて、「(津波が来ているのに)逃げなかった馬鹿もいます」は良いのですか。

 平野復興担当大臣が津波災害に関して自分の高校時代の友人のように大きな津波がきているのに、「逃げなかった馬鹿もいます」という発言をしたという。

このニュースは、テレビ朝日系のニュースで軽く報じられただけで、夜のニュースでもほとんど各社どこも大きく取り上げてはいない。

政治家の問題発言としては、先日辞任に追いやられた鉢呂経産相の「死の街」
発言がある。死の街発言は、放射能をつけてやる発言が報じられる前から、各社火がついたように騒ぎ立て、非難轟々であったが、平野復興大臣の失言は野党が問題にしているだけで、メディアはそしらぬ顔でスルーしている。

日本では死の灰という言葉が市民権を得て長い。未曽有の放射能漏れがあり、死の灰が降り注ぎ、ひとっ子一人いなくなった街を死の街と表現したことが、それほど大きな失言なのだろうか。それを非難するならば、平野復興大臣の発言はどうなのか。彼の発言こそ、津波で命を落とした多くの死者に対する冒涜以外の何ものでもない。東電や東電に取り込まれた人間のせいで、街が街として機能しなくなり、人が人らしい生活をできなくなってしまった事自体が問題なのであって、鉢呂氏は、そのような街の状態を目の当たりにし、それを彼なりの言葉で表現したに過ぎない。むろん、それが大臣としてふさわしい発言かどうかといえば、一体どれだけの大臣が国の代表としてふさわしい格調の高い発言をされているかと逆に問いたい。

ところで平野氏は、後で高校時代の友人に対する個人的な思いがあって、そのような問題発言をしてしまったなどと言っているが、後付けの苦しい弁明に過ぎないことは火を見るより明らかである。
平野氏が亡くなってしまった友人について語っているのであれば、その友人をバカなやつといおうが、間抜けな奴とやつといおうが、それが適切か否かは彼と友人との関係性の中で判断できないことである。

しかし、明らかに平野氏の発言は、逃げ遅れた一人の友人について語っているわけではなく、津波で逃げ遅れた死者について語る場面の中から出てきたものであり、不適切、不謹慎きわまりない発言である。

問題はそれを取り上げるメディアの姿勢である。鉢呂大臣は、脱原発に向かおうと大きな舵取りを始めようとした、まさにその直前にマスコミに足をすくわれ、辞任に追い込まれた。一方、平野氏といえば、省庁が地方に出先機関をつくるのは望ましくないとの批判の声がそこかしこで高まり、復興庁についても東北に本部を置くべきという意見がある中、中央官僚のいいなりになり、東京に復興庁の本部を置き、3県の沿岸部に出先機関を置くという組織作りを提唱している人物である。

国のために改革をと考え、動こうとする政治家はメディアによってたかって足を引っ張られ、引き摺り下ろされ、官僚のいいなりになっているような政治家はどじょう君をはじめとして、メディアに擁護されるーー何かが違っているのではないかと思うのは、薔薇っ子だけだろうか。

またそれほど言動が不適切であったはずの鉢呂氏がつい先日、TPPの対応検討委員会の座長となったが、それに対して、メディアは何ひとつ批判の声をあげはしなかった。

経産大臣ならば「放射能を付けてやろう」発言は悪いが、TPPの対応検討委員会の座長ならば、それが許されるというのだろうか。そんな理屈はまったく通らない。

結局、鉢呂氏をめぐる処遇は経産大臣に脱原発に向かって大きな方向転換をしてもらっては困るという経団連を始めとする大企業の顔色を伺い、電力会社や原発推進派の企業経営者に都合のよい報道をしなければ、広告料を止められ経営が成り立たないメディア各社の妨害以上のなにものでもなかったのではと言われても、反論の余地はあるまい。

http://mainichi.jp/select/seiji/news/20111002k0000m010095000c.html


平野復興担当相:「復興庁」の組織イメージを明らかに

 平野達男復興担当相は1日、東日本大震災の復興事業の企画・調整、実施を担う「復興庁」の組織イメージを明らかにした。司令塔となる本部を東京に設置し、岩手、福島、宮城3県に「復興局」などの支部を置くほか、津波被害に遭った沿岸部にも数カ所の出先機関を置く方針。同庁の機能については「すべての権限を集めて強力に指導する前提には立っていない」と述べ、被災自治体の支援に重点を置く考えも強調した。東京都内で記者団に語った。
 復興庁については「本部を東北に設置すべきだ」という声が出ているが、平野氏は「本部は司令塔として東京に置くのが基本だと思う。3県に支部を置くのが一つのイメージだ」と述べ、被災地と中央省庁の調整に当たる本部は東京に置くのが適切との考えを強調。さらに「沿岸に何カ所か(出先機関を)置き、じかに市町村を回るような仕組みもあっていい」と述べた。
 また平野氏は、復興庁のあり方について「復興事業の執行は、ほとんど県や市町村が主な役割を果たす。(国は)市町村に復興計画を決めてもらう流れは維持することが大事だ」と指摘。復興庁は地元自治体の要望を聴取し、調整する役との考えを示した。
 復興庁は省庁縦割りの弊害を廃して復興を迅速に進めるため、施策の企画や総合調整、実施権限を持たせる新組織。6月に成立・施行された復興基本法で早期設置が定められた。自公両党などには復興庁について、各省庁から権限を移譲して強力に施策を進める「スーパー官庁」を求める声があり、自治体のサポートを重視する平野氏の構想とは温度差がある。
 政府は次期臨時国会に復興庁設置法案を提出する方針で、早ければ来年1月の設置を目指しているが、同庁のあり方については今後の与野党協議などでさらなる議論となりそうだ。【中井正裕】

http://news.tv-asahi.co.jp/ann/news/web/html/211018047.html


「逃げなかったばかもいる」平野大臣が発言を釈明(10/19 00:05)

 平野復興担当大臣が、震災での津波被害に関連し、「高校の同級生みたいに逃げなかったばかもいる」と発言しました。平野大臣は釈明しましたが、野党は「許されざる言葉だ」と批判しています。

平野大臣は、党の研修会で津波の教訓を話すなかで、「前の津波の経験から、この高さなら大丈夫ですよと逃げた人。逆に、私の高校の同級生みたいに逃げなかったばかもいます」と発言しました。ただ、平野大臣はこの後、次のように釈明しました。
平野復興担当大臣:「その同級生の個人的な思いが、ちょっと、ぼんっと重なってしまいまして、ああいう表現になったと。不快な思いをされたということであれば、私の本意でもありませんし、その表現についての稚拙さということがもしあったとすれば、お詫びを申し上げたい」
自民党・大島副総裁:「どういう理由にしろ、亡くなった方をばかという表現は、大臣として許されざる言葉だと思います」
野党側は、20日からの国会でも追及する構えです。