2011年6月30日木曜日

原発の再開は株主総会の判断と地元の首長の方針だけで決めることですか?

各電力会社は昨日株式総会を開催し、脱原発提案を否定して、無事総会を終えたという。その後、電力株は軒並みに急騰、委任状を送りつけた大型株主にとっては、めでたしめでたしの結末ということだろうか。猛暑の中、わざわざ株式総会に足を運んだ多くの個人株主にとっては、全くの徒労であり、怒り心頭に発する結果に終わったようだ。

大型株主は電力会社から得られる既得権益を簡単に手放す訳もなく、株主総会の筋書きは最初から描かれており、個人株主はまさに無駄な抵抗、ごまめの歯ぎしりをしたということなのであろう。

こうした結果に勢いづいたように海江田経産相は今日、早速玄海原発再稼働のために現地を訪れ、玄海町の町長と佐賀県知事からおよその合意を取りつけたようである。政府は玄海の再開を弾みにして、一挙に全国の現在停止中の原発の再稼働に踏み切ろうという算段なのだろう。

100日以上たって収束の目処もたたない無様な対処しかできず、国民からの信頼が失墜した東電が原発継続の是非を大型株主の意向だけで、決めていいのだろうか。

冗談じゃないといいたい。事故の賠償を、会社と大型株主だけですべて負うというのであれば、まだしも、株主は責任を負わず、経営陣は高給に、高い企業年金、退職金ととれるものはなんでも分捕り、大きな負担と責任は、国民に押し付けておいて、何が原発継続の決議か。

地元の首長や県議会の決定で、原発の再稼働を決めるという旧態依然としたやり方も、原発事故の放射能被害が決して1つの県内にとどまらないことから考えれば、全くもっておかしいのではないか。

交付金をもらった自治体が、事故の被害を自分たちの市町村や県内だけにとどめることができ、何が起きても全責任をすべて自分たちだけで負うと確約するのであれば、こうした物事の進め方も理にかなっていると言えるかもしれない。

しかし、地元は交付金をもらえるだけもらい、さんざんいい思いをして危険な原発を容認し、事故が起きれば負担と責任だけを国民に押し付ける。そんな不公正なことが、いつまでも容認され続けていいのだろうか。

原発を継続するか、しないかは、消費税や電気代支払っている国民全体が投票で決めることであるし、そのためにテレビ中継による公開説明会、シンポジウムを何度も開催し、原発の専門家の中でも立場の違う専門家を入れて堂々と意見をたたかわせた上で、国民に最終的な判断を委ねる
べきではないか。







http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920018&sid=ayZQ5BWhr3qU

電力株が軒並み急騰、東電の脱原発提案否決でコスト上昇懸念が後退

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6月29日(ブルームバーグ):東京電力中部電力など電力株が軒並み高く、東証1部の値上がり率上位に多数入っている。きのうの東電の株主総会で、「脱原子力発電所」の株主提案が否決されたことから、燃料コスト高に対する懸念が後退した。
東電は前日比6%高の335円、中部電は5.1%高の1549円、東北電力は5.7%高の1134円、九州電力は5.4%高の1395円までそれぞれ上昇。東証1部33業種で、電気・ガスは午前の上昇率トップ。
大和証券投資情報部の高橋和宏部長は、「株主総会で原発阻止の方向性にならなかったことから、イベント通過を受けて買い戻しが優勢になっている。仮に可決されていれば脱原発でコスト高につながってしまう懸念があった」と話していた。
東電は28日夜、同日に開催された株主総会で株主が提案した「脱原発」議案について、賛成8%、反対89%、棄権や無効3%だったと発表した。





http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110628/dst11062821010022-n1.htm


【株主総会】
東電株主「茶番も甚だしい」怒りと落胆…荒れに荒れ 

2011.6.28 20:58 (1/2ページ)
演壇に立つ勝俣久会長ら経営陣に詰め寄ろうとして制止される東京電力の株主=28日、東京・芝公園のザ・プリンスパークタワー東京
演壇に立つ勝俣久会長ら経営陣に詰め寄ろうとして制止される東京電力の株主=28日、東京・芝公園のザ・プリンスパークタワー東京
福島第1原子力発電所事故の収束の見通しが立たない中、28日に開かれた東京電力の株主総会。怒声が飛び交い、議事進行に不満を持つ株主がたびたび経営陣に詰め寄るなど、6時間を超えた総会は荒れに荒れた。安全性への不信感が募る原発。暴落したかつての“優良株”。詰め掛けた9千人以上の株主の顔には怒りと落胆の表情が浮かんでいた。
会場となった東京都内のホテルには、午前10時の開始を前に大勢の株主のほか、反原発を訴える市民団体も詰め掛け、入り口では荷物検査が行われるなど物々しい雰囲気に包まれた。周辺では数百人の警察官が警戒。会場は入場制限が行われたが、それでも会場に入ろうとする人が後を絶たなかった。
総会は勝俣恒久会長の謝罪で始まったが、午前中に質疑に立った株主は全て反原発の立場。「本来なら東電は倒産している。(役員は)全財産を売却して賠償に充てるべきだ」との厳しい意見も出た。
総会が紛糾したのは東電側の議事進行をめぐってだ。
2011.6.28 20:58 (2/2ページ)
演壇に立つ勝俣久会長ら経営陣に詰め寄ろうとして制止される東京電力の株主=28日、東京・芝公園のザ・プリンスパークタワー東京
演壇に立つ勝俣久会長ら経営陣に詰め寄ろうとして制止される東京電力の株主=28日、東京・芝公園のザ・プリンスパークタワー東京
東電側が提案した取締役選任を求める議案で、勝俣会長が挙手で採決を求めたところ、賛成数が瞬時には判断できなかったにも関わらず、勝俣会長が「賛成多数とみなす」と即断。会場の株主から「茶番も甚だしい」「何のための株主総会なのか」といった怒号が飛び、十数人の株主が経営陣に詰め寄った。
また、株主総会の議事録の配布と公開を求めた株主に対しても、勝俣会長は「会社法に基づき、配布・公開の必要はない」と拒否し、会場がざわめく場面もあった。

Le plus important est invisible

Le plus important est invisible 「本当に大切なものは目に見えない」ーー有名な星の王子様の一節だが、今度の原発の放射能汚染にも当てはまる実に含蓄のある至言だと思う。


「影響が目に見えてわからないんだから、深く考えたくない」という人間がこの国には多いようだ。「どっちみち、3人に一人は癌になるというし、まぁ人生なるようにしかならないかぁ~~」などと安易に考えている大人たちが、原子力発電の再稼働を喜び、あるいは黙認し、あたかも何もないかのように振る舞い、与えられた既得権を享受し続けようとしている。

こんなに列島があちこちで揺れ続けているにもかかわらず、大型株主らは、今後どのような不始末をしでかすかわからないような信頼のできない私企業に危険な原発再稼働を委ね、国交省は首都機能移転を企画立案する首都移転課の廃止を決定したという。

「目に見えない大切なもの」は、愛や友情など、美しいものだけではない。

心して、目に見えないものに向き合う勇気を持たなければ、自分たちだけの問題ではなく、次世代に対して、取り返しのつかない不幸な課題を突きつけることになるのではないのか。


以下は小出裕章氏の「非公式まとめ」からの転載である。

http://hiroakikoide.wordpress.com/

6月27日 「ストロンチウム内部被曝はホールボディカウンターではわからない」


内容要約
・(汚染水をいかにして浄化していくかという課題。本日も夕方始まったが1時間半で停止。感想を教えてください。)今日夕方からやったのはいわゆる循環冷却という試みをして、それがうまくいかなかった。その前にやっていたのが汚染水の浄化作業。これもトラブルを繰り返しながらここまできた。技術というのはトラブルを経験しながら一歩一歩行くしか無いもの。循環冷却もトラブルが続く。乗り越えながらなんとかやるしかない。うまくいって欲しい。
・(やり方を学んでうまくいくものなんですか?)わかりません。原子力発電所の事故は放射能を相手にします。普通の工場のトラブルであれば直して乗り越えていけばいいが、原子力発電所の事故の場合は放射能があり被曝は避けられない。トラブルがあれば被曝が重なる。そしてトラブルによって汚染が広がっていくので被曝がおおくなってしまう。
・(しかしこの方法しか今はないんですか?)循環冷却はずっとやって欲しいと言い続けていました。原子炉の炉心がまだ健全であれば絶対やらなければいけないし、やるべきだと思ってきた。しかし、5月の中頃に東京電力が既に炉心がメルトダウンをしてしまっていると主張を変えたわけですから、循環冷却には意味が無いかもしれないと思っている。
・(梅雨で水位が上がるが、溢れ出すという可能性がありますよね)なんとか避け無くてはいけないが、既にもう漏れてしまっているわけですから、汚染水を循環冷却をしようとしまいと循環冷却が成り立つか成り立たないか、そんなこととは全く無関係に汚染水を除去しなくてはいけない。これが進んでいないことが私には不思議です。
・(福島県民の被爆調査が始まった。調査のやりかた今のもので十分でしょうか)よくわかりません。いわゆる原爆被爆者の調査をずっとやってきたわけで、その経験を何とか活かしながらやろうとしているのだと思う。何月何日にどこにいたかということを聞き取り調査しながら、積み上げていくということ。考えて欲しいのですが、100日前のある時に自分がどこで何をしていたかを正確に思い出すことができるかというと、かなり不正確だろうと思う。かなりの誤差をもってしか評価できない事になっていると思う。内部被ばくを測定するということも、全く手段がないわけではないが100日も前の内部被ばくの量を評価するのはほとんどできないというか、相当な困難がある。
・(調べる放射性物質がヨウ素とセシウムだけでいいのですか)本当はよくありません。プルトニウムも敷地内で検出されたし、敷地外でも距離の近いところでは被曝はあったと私は思う。セシウムについで重要なのはストロンチウムだと思うが、これはホールボディーカウンターで測っても測定できない。(え? ストロンチウムはホールボディーカウンターではわからないのですか)わかりません。私たちのバイオアッセイという、おしっことかうんことかいわゆる排泄物を分析することでしかわかりません。仮にそれをやったところでもものすごい誤差がある。
・(ストロンチウムは大変人体に影響がある物質ですよね)そうです。(わからないんですか)はい。(影響が出てきて初めてわかる?)推測の手段はいろいろあります。土がセシウムでどれだけ汚れている。ストロンチウムでどれだけ汚れている。あるいは水がセシウムでどれだけ、ストロンチウムでどれだけ。食べ物がセシウムでどれだけ、ストロンチウムでどれだけ、ということを積み上げていけば、セシウムの汚染度とストロンチウムの汚染度がそれなりにわかる。人間の中に取り込んだ量がどれだけ。被曝がどれだけ。であると推定することはできる。しかし相当大きな誤差を含んでしまうことは覚悟しなくてはいけない。
・(調査結果だけで安心してくださいとは福島の人には言いにくいということですね)はい。言いにくいし、結果が出るのを見るのは何十年も調査を続けて、癌で死ぬ方の数を見るわけですから。大変な作業がこれから待っていると思わなくてはいけない。
・(原発で生み出される核燃料のゴミについて。使用済み核燃料が燃料プールで冷やす必要があるが、全国の原発で行き場のない使用済み核燃料がそれぞれの場所で保管され続けているという報道があったが、プールの7割はすでに使用済み核燃料いわゆる核のゴミで埋まってしまっているということですが、これどこへ持って行くんですか)これまでは原子力発電所の敷地には使用済み核燃料は残らないと国も電力会社も言ってきた。なぜなら再処理を必ずやるので、再処理工場に送りますと約束をしてきたから。従来はイギリスとフランスの再処理工場におくってしまって向こうで再処理をしてもらうということにしながらここまで来た。最近、イギリスやフランスに頼まず自分の国で再処理をしようと青森県の六ヶ所村に再処理工場をつくろうとした。だが、本来なら1997年から操業開始するはずだったが、難しい課題が次々に出てきて未だに実現していない。再処理工場には使用済燃料を受入れないと、原発の使用済燃料プールがどん詰まりになるというので3000トン分の使用済燃料プールを前倒しで作って、そこにすでに3000トン分だけ受け入れた。既に六ケ所の使用済燃料プールもいっぱいになっている。このまま行くともうすぐ各地の原子力発電所の使用済燃料プールがいっぱいになって、糞詰まりになって原子力発電所を止めなくてはいけなくなる、そういう状況に近づいてきた。
・(地上で保管しようという案。そんなことできるのか)それを私たちは中間貯蔵施設と呼んでいる。なぜ中間と呼んでいるか。その後再処理をするので再処理ができるようになるまでの中間的な置場。すでに東京電力は青森県のむつ市、下北半島の最北端。そこに5000トン分の使用済燃料の保管施設、中間貯蔵施設をつくろうとしている。既に建設が始まっている。(あぶなくないんですか)もちろん危ないです。5000トンなんていうのは、1つの原子力発電所が1年間で生みだす量に比べると160倍から170倍ある。とほうもない核のゴミを貯蔵するということになる。
・(地震で倒れたりして、地上にあるものがどうなるのか)可能性は0ではないわけで、だからどこの自治体でも受け入れたくないと言ってきた。しかし青森県のむつ市が受け入れるという決断をして建設している。









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