2011年6月4日土曜日

日本はドイツと肩を並べることはできないのか?:新エネルギー改革

今日のNewsweekの、「原発を捨て、経済力を維持したまま自然エネルギーに移行する。それができるとすれば、ドイツしかないがーー」という小見出しのついた記事には、メルケル首相の新しいエネルギー政策への取り組みが取り上げられていた。

日本では政財官が一丸となって電力(関連)会社・原発を擁護するあまりに、送電線分離、電力の自由化も全く顧みられず、雑草や木材を利用したバイオマスや太陽光発電、風力発電、地熱発電、潮力発電などといった再生可能なエネルギーの開発についてもほとんど全く重視されてこなかった。原発が未だアウトオブコントロールの状態である今でさえ、送電線分離、電力の自由化の話が話題に上がった途端に、原子力産業を推進する企業の長である経団連の会長が「あまりにも唐突」と早々に水をさす始末だ。

おかげで、日本は再生可能な新エネルギーの開発では、先進諸国から見て大いに水をつけられてしまっているというのが現状である。

原発を停止することによるエネルギー不足に関しては、すでに小出氏や武田氏が、揚水発電、火力発電、企業の自家発電を活用すれば、そんなことにはならないと繰り返し力説されている。CO2など多少出ても、高濃度の放射性物質を大気中や土壌や海洋に撒き散らし・垂れ流しにするよりはよほどマシである。

そして原発が決して低コストではないことも今回の事件で、十二分に分かった。二度とこのたびのような事故が起きないようにするためには、地震大国日本の場合、活断層、海底活断層の上や近くにある原子炉は全て廃炉にし、それ以外の場所でも震度9以上でも壊れない地震対策、15メートルの津波対策、半径40キロ圏内には人が住まないような対策を立てる必要があるし、ポンコツ自動車のごとく老朽化した原子炉は当然廃炉にすべきであり、そのコストだけでも実に膨大なものとなる。その上に、今後避けて通れなくなる、使用済み核燃料の再処理や最終的な処分にかかる時間・場所・リスクが伴い、気が遠くなるほどのコストがかかることは容易に想像がつく。しかも、ひどいことに、どの国もまだ使用済み核燃料の処分にまともに成功している国はないのだという。

もう一つ脱原発を阻む正当な理由があるとすれば、それは原発をやめることで仕事を失うかもしれない作業員の雇用の問題である。

以下は、ドイツが再生可能エネルギーの電力供給を0.5%上昇させたことに伴い、再生可能エネルギー部門の雇用は前年度比で8%上昇の37万人に達したという記事である。明らかに再生可能エネルギーの拡大は大きな雇用を生むことを示している。

フクシマで働いた原発作業員の多くは今度の事件の事後処理で、被爆量が一定値を超えてしまうと、もはや原発では働けなくなる。高齢のOBを再雇用するといっても、一定の限界があるし、身元の不確かな外国人労働者の雇用すれば、それはそれで大きなリスクにもつながる。フクシマで働く作業員の人たちが一定の職業訓練を経て、再生可能エネルギー部門で雇用されるならば何ら問題はないのではないか。


2010年、独の再生可能エネルギーの割合は17%へ、雇用は37万人へ増加
カテゴリー:エネルギー政治法律社会経済
(ドイツ連邦環境・自然保護・原子力安全省より)
ドイツ連邦環境・自然保護・原子力安全省(BMU)は3月16日付けのリリースで、2010年のドイツの再生可能エネルギーが電力供給で占める割合は、前年比0.5ポイント増加で17%へ上昇したと発表した。これは、BMUのために再生可能エネルギー統計作業部会(AGEE-Stat)が算出した暫定結果である。
2010年は風が非常に少なかったため、風力発電量が365億キロワット時と、2006年以降で最低を記録したにも関わらず、風力エネルギーは、再生可能エネルギーの重要な柱の役割を維持し、電力供給全体の約6%を占めた。太陽光・熱発電が占める割合は2倍に増え、電力供給全体の約2%に達した。
現在のシナリオでは、わずか10年以内に、ドイツでは再生可能エネルギーが電力供給量の40%を占める可能性が示されている。年間120億キロワット時の増加が現実的だと考えられている。
また、2010年には、再生可能エネルギーの利用により、温室効果ガスの排出量を約1億2,000万トン(2009年は1億1,100万トン)削減できた。このうち約5,800万トンは再生可能エネルギー法(EEG)によるものと見なすことができる。
再生可能エネルギーの拡大は、雇用の数値にも表れており、2010年の再生可能エネルギー部門における雇用は、推定約37万人だった。これは前年比約8%の増加で、2004年の2倍以上に相当する。                                       (2011年3月22日)
日本は技術立国の意地をかけても、「原発を捨てて経済力を維持したまま自然エネルギーに移行する」と、第一に名乗りを挙げなければならない国なのではないのか。80年以来、どこの途上国の原発でも起こしていないような大きな事故を引き起こし、地球の大気中に、海洋に、3月11日以来、汚染物質を垂れ流し続けていることの重みを推進派の人たちはどのように考えているのだろうか。
事故はまた必ず起こるだろうが、自分たちの本社や自宅は、原発から何百キロも遠く離れた場所に置いておきさえすればそれほど大きなリスクはないし、次に事故が起こっても、また身内で適当に報告書をまとめ、事故の失敗を次に活かしていけばいいだろうというぐらいにしか考えていないのだろう。
この国で、まだどうしても原発を推進したいというならば、まずスウェーデンのように送電発電を分離し、電力の自由化を図り、原発のエネルギーを使う消費者とそれ以外のエネルギーを買う消費者に分けてもらいたい。
むろん原発エネルギーを売る電力会社と買う消費者は、どんな事故が起きてもその事故の保証や、発電所の設備のメンテナンス・廃炉、放射性廃棄物の処理・処分などにかかる費用は、一切自分たちが自己負担で分担しあい支払うというシステムにすべきである。それが利権や交付金で汚染された人々をデトックス(detox)するのに最も有効な方法でもある。

エネルギー

ドイツの「脱原発」実験は成功するか

Germany Embarks on a Green Energy Revolution
原発を捨て、経済力を維持したまま自然エネルギーに移行する──それができるとすればドイツしかないが
2011年06月02日(木)16時55分
デービッド・ロー
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福島エフェクト メルケルは物理学者でもあるが、政治家として決断を下した Johannes Eisele-Reuters
 物理学者でもあるドイツのアンゲラ・メルケル首相は、普通の政治家より原子力発電のリスクを冷静に判断している。福島第一原発の事故の前後で、ドイツ国内の原発17基の危険性が変わったわけではないと分かっている。
 しかし政治家としては、原発のリスク判断を変えざるを得なかった。メルケルは5月30日、早急な原発廃止を求める国民の要求に応え、国内のすべての原発を2022年まに全廃すると発表した。ドイツはこれで、1986年のチェルノブイリ原発事故後に国内すべての原子炉を停止したイタリア以降、先進国としては初めて、脱原発に向かう国となる。
 ドイツでは現在、原子力が電力供給の約4分の1を占め、製造業が牽引する国の経済を支えてきた。その原発停止で失われる電力の大半は、風力や太陽光など再生可能エネルギーで代替していくという。
 ドイツの試みは、クリーンエネルギーへの道を模索する世界にとって、極めて重要な「実験」になると専門家たちは指摘する。ドイツは既に、経済力を維持しながら「エコ国家」になることに成功している。そのペースについては激しい議論が行われてきたものの、クリーンエネルギーへの移行は政治的合意も取れている規定路線。国民の間でもクリーンエネルギーへの支持は大きく、原子力への不信感は昔から根強い。

インドや中国のエネルギー政策への試金石

 そういった素地が整っているドイツが脱原発に失敗すれば、世界に悪いメッセージが示されることになると、ドイツ外交政策協会研究所のマルセル・ビートル(エネルギー・環境問題専門)は言う。
「(原子力から再生可能エネルギーへの)移行は可能だという先例と、その方法を示す歴史的なチャンスだ」とビートルは言う。「国家としての競争力を損なわず、経済成長の妨げにならずに実現することは可能なのか? 堅調な成長を減速させたくないと考える中国やインドなどの新興国にとっては重要な問題だ。もしわれわれが失敗したら、誰が同じ道を進もうとするだろう。失敗すれば世界レベルで悪影響をもたらす」
 ドイツ国民の多くも、今回の試みを「賭け」だと思っている。メルケルにとって脱原発を宣言することは、これまでの政策を180度転換させる「大きな挑戦」だ。メルケルは昨年、既存原発の稼動年数を平均12年延長する決定を下したばかりだった。
 現在のドイツは電力供給の約23%を原子力に頼っており、再生可能エネルギーは17%、石炭火力は50%、天然ガス火力は13%だ。今後の目標は、2020年までに再生可能エネルギーの比率を35%に引き上げること。移行期の原発停止による不足分は、天然ガス火力を増やすことで補う考えだ。
 5月30日、メルケルはこの計画を「エネルギー革命」だと絶賛した。これは未来の世代にとって「大きなチャンス」であり、ドイツを国際舞台の主役に押し上げるだろうと彼女は語った。
 全体的としては、ドイツは今後10年間での自然エネルギーへの移行計画に前向きなようだ。メルケルにとっては脱原発への路線変更になるが、彼女の前任者ゲアハルト・シュレーダー首相(当時)が2000年に打ち出した段階的な原発廃止計画に立ち返っただけともいえる。
「現実的で、実現可能な計画だ」と、ドイツ経済調査研究所のエネルギー・交通・環境部門を率いるクラウディア・ケムフェルトは言う。「多くの企業が同意した(シュレーダー時代の)脱原発路線に戻ることになる」

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かんちゃんとポッポくんのクラス日誌  千代田区永田小学校 3年B組

「かんちゃんが委員長では、クラスが全然まとまらないし、何もきまらないよぉ」
「そうだ、そうだ。」という声がクラスの中で、だんだん強くなってきた。

「なんとかしなきゃ、どうしよう?」
「大人はこういうとき、内閣不信任決議っていって、皆で投票して,決めるみたいだよ。」「へぇ~~」
「よ~~し、僕たちもそれやってみよう!」

いよいよ投票の日になった。
予想では賛成派、反対派のどちらが勝つか分からなかった。

そこで、前の委員長のポッポくんとそのお友達は考えた。
せっかく投票しても僕らが負けちまったら、かんちゃんの続投が続いちゃう。かんちゃんの方だってここで負けたら惨めだし、そんな惨めな結果になるのは嫌だと思っているに違いない。

ポッポくんが言った。「ここは何とか、かんちゃんが自分から辞めるように、僕が選挙前に、もう一回、かんちゃんと話しあってみるよ。」

かくして、かんちゃんとポッポくんは選挙の朝、会って相談をすることになった。
かんちゃんはポッポくんに「夏祭りの準備のめどがついたら委員長をやめる」って口約束したらしい。

その話し合いの後、投票の直前になってホームルームでかんちゃんは言った。
「クラス行事のめどがつくまで僕が責任をもってやり、適当な時期が来たら次の委員長にバトンタッチするから。」

そのあと、みんなで投票した。

ポッポくんとその仲間たちは、最初は委員長おろしに票を投じるつもりだったし、他の子たちにもそう明言した。しかし、かんちゃんの「夏祭りの準備のめどがたったら辞める」という言葉を信じて、委員長おろしに賛成しなかった。いろんな理由で投票を棄権した子も何人かいた。

「かんちゃんはどうせあと1~2ヶ月で辞めるんだから、わざわざ今引き下ろすようなことをして、かんちゃんたちのグループに恨まれるようなことは避けたい」と思った子、この忙しいときに、かんちゃんを引き下ろしたり、委員長選挙をして役員を変えたりするのは億劫だと二の足を踏む子、「新しく選挙をし直したあと、今就いている役得のある役から外されては大変だ」と心配する子たちは、かんちゃんの不信任決議案に反対票を投じた。

投票の結果、不信任決議は否決され、かんちゃんは委員長を続投することになった。

ところがその直後、かんちゃんは言った。「運動会とか学園祭とか大事なクラス行事の準備のめどがつくまで、僕はクラス委員長として責任をもって頑張り、それから辞めます。」ポッポくんは怒り狂って「委員長のくせにうそつき、ペテン師」とかんちゃんを罵ったけど、かんちゃんの子分のエダリンくんは「かんちゃんは一度も『すぐ辞める』なんて言ってないよ」とかんちゃんを弁護した。

学校の規則で、この投票は1年に1度しかできない。ホームルームが紛糾して、収拾がつかなくなっては困るから、他のクラス委員から、「かんちゃんとぽっぽくんは、もう一度二人でよく話し合ってみたら」と言われている。

同じようなことを震災や原発事故の収拾もつかない状況のもと、1日億単位の税金を使ってやっている大人たちが何百人もいる。みんなこの国の代表者と言われる立派な大人達である。それどころか、その前は何も大切な事を決めないで「誰が水を入れた、止めた、止めない」で丸1週間、責任のなすりあいに明け暮れていた。

国会中継でテレビに映っている皆さん、子供や孫があれば、聞いてもらいたい。彼らはお父(母)さんやおじい(ばあ)ちゃんたちが繰り広げるこんな茶番劇を一体どのようなまなざしでみているのかと。