2011年4月20日水曜日

首都機能移転は荒唐無稽?

首都機能移転への反対意見の中で、もっとも大きいものとして財源の問題が指摘される。しかしどうなのだろうか。

2,3週間前のBSフジの番組で、榊原英資氏が今回の震災はわずか5~6%程度のGDPの地域だから、日本経済全体に与える影響は大きくないといった発言をされていたのを見られた方も多いと思う。

それでも今回の多重災害の復旧・復興にかかる費用は16兆~25兆円にも登ると言われているのだ。どのように算出されたのか算出の根拠や詳細は不明だが、福島原発の後始末だけで10兆円はかかるそうだから、25兆円という算出は非常に甘いと言われなければならない。

同様の広域多重災害が人口密度の高い首都圏を中心にとした地域を襲い、津波で東海村の原発の冷却機能がマヒし、今のように手がつけられないような状況に陥ってしまった場合の被害総額はいかほどのものであり、瓦礫の撤去、仮設住宅の建設などの復旧にかかる費用・原発事故の後始末・その後の復興にかかる費用はいかほどのものになるだろうか。

ロンドンやパリのように地震・津波の危険性が極めて少ない国土ならば、一局集中のリスクは杞憂と一蹴できるかもしれない。しかし残念ながら、東京、神奈川、千葉、茨城を中心とする地域に大規模な地震が発生する確率、アウターライズ地震が発生する確率が高いことは指摘されている。

西日本の岩盤の安定した地域を探し、大災害の復旧・復興にかかる費用を捻出する代わりに、首都機能移転のために投資し、そこに雇用を生み、リスクの低減を図ることが必要なのではないだろうか。

東京や首都圏での既得権益を死守し続けたいと考える人々が多いことはわかる。しかし日本列島の下で地殻変動が活発化してきたが、それを克服するのに現代の我々の有する科学技術の力はまだまだ無力であるという状況を無視して、東京の一極集中を維持し続けることは、危機管理意識の欠如といわなければならないのではないか。