2011年7月29日金曜日

What a Shame ! : 醜悪の保安院・資源エネルギー庁

 ここに来て、保安院や資源エネルギー庁が原発推進のために住民集会を開き、動員、意見誘導の依頼をしていたことが明らかになった。この調査は電力会社に自己申告をさせるような形で行われたものであり、隠蔽体質の電力会社が正直に洗いざらい自己申告をするわけはなく、顕在化したものは氷山の一角であることは自明であろう。

それだけにはとどまらない。

資源エネルギー庁に至っては、血税を投じて、原発推進原理主義に対して、ブログやツィッターで、疑問や異議を唱える国民の声を監視するという。


公僕であるはずの役人が、大手を振って、罪のない国民の言論の自由に大きな圧力をかけ、自分たちの既得権益の障害になるものを徹底的に排除するため、風評被害防止のためという名目で、監視の目を光らせ続けているのである。


秀逸なのは、増税をしなければ何ともならないような緊迫した財政状況の中、去年までは、わずか4000万円だった情報監視事業に、今年は2倍に近い7000万円も投じて外部委託をするというのである。少なくとも過去の情報監視事業は電力会社の社員が理事や役員を務める団体に受注していたそうである。それについては、最後に毎日新聞の記事を転載する。 


 
 今回の政府による動員や意見誘導の依頼に関しては、第3者委員会を作って調査をさせるに留まるという。何の権限も持たない第3者委員会などいくつ作って、調査したところで、何の抜本的な問題解決にもつながらない。そのまま放置していたら、一部野党や、反対派が騒がしくなってまずいから、第3者委員会でも作って体裁を整え、とりあえずは、問題に対応している姿勢だけを示しておけばいいというような経産大臣の思惑は明白である。

こんなたちの悪い役人たちに安全チェック(ストレステスト)を任せ、原子力の再稼働を黙認するほど危険なことはない。

ちなみに九電のやらせメール事件の後、作られた第三者委員会は、九電の経営者責任を迫ったが、九電会長は全く耳を傾けもせず、堂々と2時間を超えて九電はいい会社だと演説をしてみせ、社長の辞任を慰留する強い意向を示しているそうである。

九大の副学長吉岡氏は保安院を即刻解体すべきであるとおっしゃっているそうだ。むろん保安院は大きな問題がある。しかし、経済産業省、資源エネルギー庁、安全委員会などにも同じぐらい大きな問題があるのではないか。彼らのエネルギー政策を見る限り、国民の健康、安全があっての、経済の安定、発展があるという最も重要な点が全く欠落しているからである。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110729/t10014557061000.html

保安院 中部電力に“やらせ”依頼

7月29日 17時43分 twitterでつぶやく(クリックするとNHKサイトを離れます)
浜岡原子力発電所がある静岡県御前崎市で4年前に国が開いた原子力関連のシンポジウムを巡り、中部電力は、経済産業省の原子力安全・保安院から、事前に地元の人に賛成側の質問をしてもらうよう、いわゆる「やらせ」の依頼を受けていたことを明らかにしました。
中部電力は、佐賀県の玄海原発の説明会を巡る九州電力のメール問題で、経済産業省の指示を受けて内部調査を行い、その結果を29日、国に報告しました。それによりますと、浜岡原発がある御前崎市で4年前の平成19年8月に「プルサーマル」について国が開いたシンポジウムで、原子力安全・保安院の担当者から事前に、会場に空席が目立たないよう参加者を集めることや、質問が反対派に偏らないためにあらかじめ文案を作り、地元の人に賛成側の質問をしてもらうよう、いわゆる「やらせ」の依頼を受けていたということです。中部電力は、参加者について、浜岡原発の幹部が社員や関連会社に参加を働きかけたものの、賛成側の質問についてはコンプライアンス上問題があるとして応じなかったとしています。シンポジウムは、使用済み核燃料からプルトニウムを取り出し、再び燃料として使う「プルサーマル」の必要性について、国が地元の理解を得るために開いたもので、中部電力によりますと、500人余りの出席者のうち社員が150人ほど参加していたとみられるということです。浜岡原発でのプルサーマルについて静岡県は、シンポジウムのよくとしの2月に計画の受け入れを表明しています。中部電力の寺田修一法務部長は「『やらせ』の依頼については、地域の人々の信頼を重視した結果、応じられないとなった。一方、参加の呼びかけは、議論を誘導する意思があったと誤解を招くおそれがあり、深く反省している。改めておわびする」と述べて、陳謝しました。また、中部電力の水野明久社長は「保安院からの依頼について私が話す立場にはないが、当時はいろいろな方がシンポジウムに参加するなか、空席を埋めようという意識は国と共通で持っていた。これがコンプライアンスに抵触すると思っていなかったが、今になって考えれば、議論を誘導する意思があったと誤解を招くおそれがあり、深く反省する。今後は公正さに疑いを持たれることがないよう、私が責任を持って指導していく」と述べました。これについて海江田経済産業大臣は「こうした事態は極めて深刻で、国が特定の意見表明を誘導したのであれば、大変申し訳なく思う。法律の専門家からなる第三者委員会を設置し、厳しい調査を行ってほしい」と述べ、事実関係の調査を急ぐ考えを明らかにしました。一方、原子力安全・保安院の森山善範原子力災害対策監は、記者会見で「大変深刻な事態と受け止めていて、事実であれば、申し訳なく思っている」と謝罪しましたが、詳しい事実関係については「調査は、今後設置する第三者委員会が行う」と述べるにとどまり、内部調査はみずから行わないことを明らかにしました。政府の中で原子力の規制を担当する立場の原子力安全・保安院が、推進側と受け取れ、しかも、「やらせ」の依頼をしていたことは、今後、大きな問題となりそうです。佐賀県の玄海原発の説明会を巡って九州電力のメール問題が明らかになって以来、国の関与が分かったのは、今回が初めてです。

国が指示と中部・四国電=「やらせ」問題、経産相が陳謝

 中部電力と四国電力は29日、2006~07年の国主催の原発関連シンポジウムで、原子力安全・保安院から「やらせ」の指示を受けていたと発表した。原発推進をめぐる「やらせ」問題の深刻さが浮き彫りになった。海江田万里経済産業相は同日、緊急記者会見し、「事実であれば大変申し訳なく思う」と陳謝。第三者委員会を設置して事実関係を調査し、8月中に結果を取りまとめる方針を示した。
今回の問題発覚は、九州電力が玄海原発(佐賀県玄海町)再稼働をめぐる国主催の説明番組で、関連会社や取引先に賛成意見の「やらせメール」投稿を指示していたことがきっかけ。経産省が電力会社7社に対し、過去5年間に国主催で実施した原発関係のシンポジウムについて、この日までに同様の事例の有無を調査し報告するよう求めていた。


四国電は、06年の伊方原発(愛媛県伊方町)のシンポジウムで、同じく保安院から円滑な運営への協力を求められ、社員や関連会社に対し会場で質問するよう要請。実際に質問した15人中、10人が四国電の要請を受けていたことが明らかになった。(2011/07/29-18:33)


電力3社に質問や動員を依頼

7月29日 21時18分 twitterでつぶやく(クリックするとNHKサイトを離れます)
電力各社は、この5年間に開かれたシンポジウムなどについて、情報の提供や出席の要請などがなかったかどうか調査した結果を国に報告しました。このうち、中部、九州、四国の各電力会社は、経済産業省の原子力安全・保安院や資源エネルギー庁から事前に質問や動員などの依頼があったとしています。

九州電力は、去年5月、鹿児島県で開かれた川内原発3号機の建設についてのヒアリングで、資源エネルギー庁から「会場の席が埋まっていたほうが望ましいと言われた」として、事実上、動員を求められていたとしています。四国電力は愛媛県伊方町で平成18年6月に開かれたプルサーマルについての国主催のシンポジウムの際、原子力安全・保安院から参加者を集め活発な議論が行われるよう依頼されていたとしています。一方、中国電力は、国が開いた説明会で地元の事業所やグループ会社に出席を要請したところ、参加者の半数が中国電力の関係者だったとしている


“保安院は早急に解体すべき”

7月29日 18時53分 twitterでつぶやく(クリックするとNHKサイトを離れます)
浜岡原子力発電所がある静岡県御前崎市で4年前に国が開いた原子力関連のシンポジウムを巡り、中部電力は、経済産業省の原子力安全・保安院から事前に、地元の人に賛成側の質問をしてもらうよう、いわゆる「やらせ」の依頼を受けていたことを明らかにしました。原子力政策に詳しい九州大学副学長の吉岡斉教授は「電力会社ばかりでなく、政府まで関わっていたことが分かり、ここまできたかという気がした。国民に対して責任を負う組織が片方に加担するのは、やってはいけないことで、許されないことだ」と厳しく批判しました。また、問題が起きた背景について、「経済産業省は原子力発電を推進するという価値観を持っていて、その役所に規制する役割を果たすはずの原子力安全・保安院も入り、推進と規制が一緒になっていたということが根本的な原因だと思う」と指摘しました。そのうえで「保安院は早急に解体し、新たに作る規制機関では、これまで推進に関わった人を除き、規制に専念する機関として独立させるべきだ」と話しています。

http://mainichi.jp/select/biz/news/20110729k0000m020062000c.html

エネルギー庁:原発のメディア情報監視事業 ADK落札

 経済産業省資源エネルギー庁が原発に関するメディア情報の監視をしていた問題で、2011年度の事業を広告代理店のアサツーディ・ケイ(ADK・東京)が約7000万円で落札し契約が決まったことが28日、同庁などへの取材で分かった。
 事業は「原子力安全規制情報広聴・広報事業(不正確情報対応)」で、監視対象は短文投稿サイト「ツイッター」やブログなどのインターネット情報。同庁によると、入札には2社が応募し、企画内容と価格を総合的に勘案して同社に決まった。事業は来年3月まで。
 アサツーディ・ケイは「(事業が)福島県における風評被害を防止するという目的なので応募した」としている。
 エネ庁は類似の事業を08~10年度も実施。計約4000万円で外部委託し、電力会社幹部が理事などを務める団体が受注してきた。
毎日新聞 2011年7月28日 20時35分


テレビで報道されないバズビー教授の来日や森議員の発言

  また、低線量被曝の研究者であるECRRのChristopher Basbey教授が来日し、東日本でいくつ

かの招待講演を行い、大変重要な発言を繰り返している。ここでは、バスビー教授が5月半ばに

行ったインタビューと共に以下、転載する。

 









Fukushima LDP Lawmaker: My Party Also to Blame

Perhaps inevitably, Japanese government officials have officially accepted the administration bears a degree of responsibility for the Fukushima Daiichi nuclear crisis in slightly clearer terms in recent days.

European Pressphoto Agency
Residents of Okuma pray for the victims of the March 11 earthquake and tsunami at a memorial service in Okuma on July 24. Okuma is located at 20 km from the Fukushima Daiichi nuclear power plant.
But in a less predictable turn, a lawmaker from the opposition Liberal Democratic Party took a stand Monday, saying her own party should also be blamed for the Fukushima accident, and to no small degree.
Upper house lawmaker Masako Mori said Monday during a special parliamentary committee session that the LDP, which had long ruled the roost in post-World War II–Japanese politics and promoted nuclear power policy for decades, is responsible for the recent crisis to a considerable degree.
“I think the Liberal Democratic Party has the big responsibility,” said the lawmaker, herself from Fukushima originally and the area she currently represents in parliament.
Ms. Mori is known for not holding back in loud exchanges in parliament, but began her comments Monday in a slow, sober tone, abandoning a prepared document before her. “As the ruling party, it (the LDP) had for a number of years promoted the nuclear power policy. This kind of accident occurred as a result. Our party has major, grave responsibility.”
“The accident seriously harmed those who work at the site and those affected in Fukushima and caused so much trouble to people around the country,” Ms. Mori continued without any notes. “Our party should trace back the history, reflect on it with sincerity, examine what went wrong and apologize to the people.”
Boldly admitting faults of one’s own party contrasts with the tone often struck in recent months by government officials, who have reiterated the stock phrase that “the primary responsibility for the accident falls on (Tokyo Electric Power Co., the nuclear plant operator) Tepco,” sticking to a narrow interpretation of the existing nuclear accident compensation law.
“I hate this phrase that ‘the primary responsibility falls on Tepco,’” Ms. Mori said in her comments. “People in Fukushima are saying that they are tired of hearing that.”
She said the government should bear the responsibility of the compensation payments as does Tepco.
Echoing recent departures from that line, Chief Cabinet Secretary Yukio Edano said Monday during the same committee session that the government has responsibility for being unable to prevent the Fukushima nuclear accident, as his cabinet attempts to secure the swift passage of a bill to create a state-backed entity to support Tepco financially.
The special committee approved the bills Tuesday to create the state-backed entity and to expedite provisional compensation payments to those affected. At the request of opposition lawmakers, the revised new entity bill added an article near the top stating the government has the social responsibility for having promoted the nuclear power policy.
http://mainichi.jp/select/weathernews/news/20110718ddm012040064000c.html

東日本大震災:福島第1原発事故 内部被ばく最も懸念--クリストファー・バズビー氏

 ◇健康影響、長期追跡を提言--欧州放射線リスク委員会科学議長、

クリストファー・バズビー氏

 放射線による健康影響を分析する「欧州放射線リスク委員会」のクリストファー・バズビー科学議長(65)=英国=が17日、東京都内で毎日新聞の単独インタビューに応じた。東京電力福島第1原発事故に伴う健康影響について、内部被ばくが最も懸念されると指摘し、住民の健康とその要因になる大気や土壌など環境中の線量の調査が必要と訴えた。【坂本智尚】
 バズビー氏は、英国の核燃料再処理工場周辺の調査から、河川付近や谷地などが放射線量が局地的に高くなる「ホットスポット」になると指摘。「日本でも原発から200キロ圏内の放射線量をきめ細かく測定し、インターネットで詳細データを公表すべきだ。現状の汚染は深刻だ」と警告。また、健康影響を把握するため、行政から独立した機関が5000人規模を対象に科学的に長期間追跡するよう提言した。
 放射性セシウムに汚染された牛肉の流通問題では「食品による内部被ばくは代謝で体外に排出されるので危険性はあまり高くない。呼吸で放射性物質を取り入れる方が問題だ」と語った。
 バズビー氏は、低線量放射線による健康被害の専門家として知られ、英政府の内部被ばく調査委員会などの委員を務める。今回、福島県郡山市の保護者ら、児童・生徒の「集団疎開」を求める市民団体の招きで来日した。
毎日新聞 2011年7月18日 東京朝刊
ECRR ( 放射線リスク欧州委員会 ) は、ICRP ( 国際放射線防護委員会 )の放射線被害評価モデルの批判などから、生まれた組織です。ICRP のモデル(線形閾値なしモデルと呼ばれる)は外部被曝に関する資料に基いてつくられたもので、たとえ少量でも体に取りこんでしまった放射性物質の長期間にわたる影響をみてゆくこと、予測することができません。その欠陥に対する指摘は、広島と長崎で原爆投下後から現在まで健康被害に苦しんでいる方々、英国の水爆工場、再処理工場の所在地ウィンズケール(現セラフィールド)周辺に広がる白血病その他の被害、そしてチェルノブイリ惨事の影響についての研究で裏付けられると同時に、アブラム・ペトカウ ( Abram Petkau ) による(外部被曝とは異なる)低線量被曝のメカニズムの発見が根拠となっています。
ECRR の初代委員長はアリス・スチュアート ( Alice Stewart ) でしたが、胎児の診断にレントゲン写真を使わなくなったことは彼女の研究が発端となっています。また、福島原発事故を受けて発表された ECRR の勧告書には、放射線の健康被害に関して重要な研究を提供し続けているロザリー・バーテル (Rosalie Bertell ) の名も記されています。おふたりともノーベル賞より価値があるとも言われるライト・ライヴリフッド賞を受賞しています(蛇足ながら)。 
ECRR の発表には確かにぞっとするような数値が含まれていますが、国内のテレビや新聞で言っていることよりも真実に近いでしょう。ぞっとするとはいえ、被害予測を立てたうえで行動する時、参考にすべきだと思われます。日々日本語のインターネットで読める関連文書はふえていますが、先週の時点で私が把握していたものは参照URLで確認していただけます。
投稿日時 - 2011-04-13 21:29:12