2011年10月14日金曜日

第三者委員会の限界:玄海原発やらせ事件の調査結果

フクシマ原発災害以降、東電や九電などの電力会社が原発に関連してやらかした事件の真相を究明すべく、フクシマ原発の事故調査委員会、九州電力やらせ事件の調査委員会など、さまざまな第三者委員会なるものが作られた。


 そのなかで郷原信郎氏は、九電のヤラセメール事件、説明会への社員動員事件などについて、胸のすくような徹底追究をし、調査結果をまとめて九電に最終報告書を提出された。しかし、九電は、ヤラセメール事件は佐賀県知事の発言が発端であるという調査委員会が指摘した部分を勝手に削除し、独自の調査結果を経産省に報告してしまったというのである。

しかし、考えてみたら元来政府の審議会や委員会、検討会などのすべてが、やらせで成り立っているようなものである。

霞が関官僚と自分たちはまったく対等で(あるいはそれ以上で)、何でもやり放題の特権階級と自らをアイデンティファイなさっている電力会社の役員の方々にとっては、第3者委員会なるものは、本来、自分たちの手足となり、「いちいちごもっとも」と、何を言われても、疑問を抱かず、口をはさまず、自分たちの思惑通り、素直に言うことを聞き、都合よく手足となって立ち働いてくれる応援団以上の何ものでもない。郷原氏も、はじめは九電側から、「原発推進派」と見込まれ、第3者委員会の委員長に登用されたようで、とんだ誤算だったにすぎない。

そんなわけだから、ヤラセメール事件は、九電や原発再稼働推進派からしてみたら「経営者の暴走」どころか、「第三者委委員長の暴走」以外の何ものでもなかったのである。

政府や電力会社の巧みな戦略の一つとして、

①「第3者委員会を作りました」と大々的にメディアに宣伝させ、
②世間の厳しい非難や批判を一時的にかわしておいて、
③しばらく時間をおいて、ほとぼりが冷めたころを見計らって、
④自分たちに都合のよい腑抜けのような最終結果を勝手にまとめて、手打ちにする

というやり方があるということである。

今回の九電ヤラセメール事件の帰結は、第3者委員会などというものには、自ずから限界があるという良い例であろう。この国の司法が手を拱いている限り、社会正義は守られず、利権に群がる権力者集団の暴挙はとどまるところがないということに尽きる。

http://www.nikkei.com/news/local/article/g=96958A9C93819891E3E0E2E3E48DE3E0E3E2E0E2E3E393918BE2E2E2;n=9694E3E4E3E0E0E2E2EBE0E0E5E2


やらせメール対応「経営者の暴走」 九電第三者委委員長 

2011/10/13 2:14
「経営者の暴走」と言わざるを得ない――。
九州電力の「やらせメール」問題を巡り、同社の第三者委員会委員長を務めた郷原信郎弁護士は12日に配信した自らのメールマガジンで、第三者委の調査結果に反論を繰り返した経営トップの対応を厳しく批判した。
第三者委は9月末の最終報告書で、九電玄海原子力発電所(佐賀県玄海町)の再稼働を巡る佐賀県民向け説明会でのやらせメール投稿は、九電幹部への古川康知事の発言が「決定的な影響を与えた」と認定した。九電は「知事発言の真意と異なる(社内)メモが発端」との主張を展開。両者の対立が深まっていた。
郷原氏はメルマガで、メモが知事発言を正確に記載している以上、「メモが発端」という九電の見解は「論理的に全く成り立ちえない」と強調。九電が14日にも経済産業省に提出する最終報告で自社の見解に固執した場合、それは「社会常識に反する行為」であり、「現在の経営体制を維持しようとする」意図を映していると断じている。
郷原氏は「経営者の暴走」で九電の信頼が失墜し大きな損失が生じれば、容認した取締役、監査役が「株主代表訴訟によって損害賠償請求を受ける可能性もないとは言えない」と同社役員をけん制。特に社外役員は「臨時取締役会などの場で適切に対応し、『暴走』を止めるために最大限の努力を行うべき」だと、異例の“呼びかけ”も試みている。
郷原信郎氏のツイッターより
『九州電力の「経営者の暴走」を止めることはできるのか~日本型コーポレートガバナンスと監督行政の真価が問われている~』と題する論考を昨日メルマガ配信した件、朝刊で各紙が報じています⇒日経[やらせメール対応「経営者の暴走」九電第三者委委員長」


http://mainichi.jp/select/wadai/news/20111013k0000m040094000c.html

やらせメール:郷原氏が九電批判…第三者委結論「無視」で

第三者委員会の委員長を務めた郷原信郎弁護士=梅田麻衣子撮影
第三者委員会の委員長を務めた郷原信郎弁護士=梅田麻衣子撮影
九州電力が「やらせメール」問題に関する最終報告書で、古川康・佐賀県知事の発言がやらせの発端となったという第三者委員会の結論を受け入れない方針を固めたことについて、第三者委の委員長を務めた郷原信郎弁護士は12日、配信したメールマガジンで九電を痛烈に批判した。「第三者委の報告書を無視し、独自見解に基づいて経産省に報告を行おうとしているとすれば、現在の体制を維持しようとする経営者の暴走」などとしている。
九電は14日に臨時取締役会を開いて眞部利應(まなべとしお)社長ら経営陣の処分を検討し、その日のうちに眞部社長が上京して最終報告書を経済産業省に提出する方針。
郷原氏はメルマガで「第三者委に調査・検討を委託した九電が、第三者委報告書の指摘と異なった独自の社内調査結果を経産省に報告すること自体、常識では考えられない」と非難した。【福永方人】