2011年5月28日土曜日

原子炉、水注入しかオプションはないのか?

原子力工学の錚々たる専門家が、国内にどれほど大勢いらっしゃるのか今度の原発事件で初めて知ることになった。今もVTRに残っているが、「原子炉建屋なんか吹っ飛んでもどうってことはありません。あれは原子炉の隣りに建ててある小屋みたいなものですから、なくてもいいようなものなんです。」などと公言される方など、随分いろんな方がいらっしゃったが。

今フクシマ第一原発では先日からの水の注入で高濃度の汚染水が溢れんばかりの状態になっているという。そんな最中、列島は例年より2週間近くも早い梅雨入りを迎え、早々と台風の襲撃に見舞われるといった状況にある。

今は水の注入しかないように言われているけれども、安全な地下水汚染を最大限に防ぐためには、別のオプションを考えるべきときに来ているのではないのか。

原子力工学の専門家は、すでに汚染されてしまった土壌や自ら国民をどう守るかという議論は、もっと安全学の専門家に任せ、自らは専門分野である原子炉の問題、発電所からの汚染物質の放出を最大限に食い止める方法についての議論をもっと積極的に展開し、国民の前に提示してもらいたいものである。

世界一の研究・技術水準を誇り、高い自負を持って今も原発を推進している学者の先生方は、膨大な税金による援助を受け、営々と研究に勤しんでこられたのであるから、IAEAやフランス、アメリカの力にばかり依存していないで、今こそその知見を、叡智を、社会全体に、国民全体に還元して頂きたいものである。

東電の株主の中に、脱原発を訴えている人達がいて、その人達が次のようなサイトを立ち上げていることを知った。

http://todenkabu.blog3.fc2.com/blog-entry-133.html


東京電力株式会社
      会長 勝俣恒久様 
      社長 清水正孝様 
国際開発原子力開発社 
      社長 武黒一郎様
株主からの提案
2011年 5月 17日 
脱原発・東電株主運動

前回の要求と勧告から十日足らずの間に、事故収束のための工程表が大幅に遅れる可能性のある事実が明らかになりました。
1号機のメルトダウンと、原子力建屋地下での3000トンと見積もられる汚染水の存在です。燃料がほぼ溶け落ちていることから考えても、汚染水の放射能濃度は再処理工場の高レベル廃液並みになっていると思われます。
このような汚染水を拡大再生産する水の投入は危険すぎます。
私たち株主は、鉛を投入することを提案します。
鉛を散弾のような小さい粒にして水といっしょに送り込み、一定の量に達した段階で、給水を止めるのです。核燃料もしくは核燃料のなれの果てである高レベル放射性物質は、鉛に覆われて冷却できるようになると考えられます。
鉛は融点が低いので燃料冷却能力が相当程度期待でき、さらに放射線を遮る効果があり、また仮に漏えいしても水のように流出することがないと考えられます。鉛の融点は約330度、沸点は1700度以上なので、圧力容器を破壊する危険性は低いはずです。
2号機と3号機についても同様の事態が生じていると思われます。もはや水は無くなっていると仮定して、鉛投入をすべきではないでしょうか。
この案を考えたのは、株主運動の仲間であり、原子力産業に従事している者ではありま せん。またこの案をよしと判断した私たちも、原子力には素人です。しかし、事態は切迫しています。梅雨の季節がすぐそこに迫り、とうとう先日は台風も西日本を脅かしました。
このような状況下、神奈川県南足柄市の茶葉や岩手県滝沢村の牧草から暫定基準値を上回るセシウムが、さらに福島県のアユやワカサギなどの淡水魚からもセシウムが検出されるようになっています。このままでは東日本の一次産業は壊滅してしまいます。せっかく生き残った東日本大震災の被害者の方たちの生業も奪いかねません。
また、日本のみならず諸外国にとっても脅威となるでしょう。一刻も早い事故の収束が望まれます。素人の考えだなどと等閑に付せず、私たちの提案を早急に真摯に検討することを希求します。
ただちに吉田昌郎第一原発所長へ伝え、検討に入ってください。
また、結果について、5月25日までにご回答ください。

線量データ紛失?:苦言を呈するだけですまされるのか

フクシマで震災直後の線量データが紛失したという。 

福島原発の現場の管理をいつまで東電・保安院・安全委員会などという全く信頼ならない面々に任せ続けるつもりなのだろうか。東電は、見苦しい責任逃れの情報隠蔽、改ざん、そしてついに証拠隠滅まで、全くやりたい放題である。

メディアに追究されれば、「探したら、どこそこから出てきました」ということになるのか。あるいは、「東電社員の誰それがちゃんとコピーを保存していました」などととぼけた美談がいかにも誇らしく報じられるのだろうか。

この国の司法はこのような重要な事件にメスを入れ、真相究明する権限さえないのか。とすれば、このような法の仕組みを作った者の責任は重大である。司法に携わる人々は、もっと真剣にこの問題についての議論をしてもらいたいものである。

どこかの田舎の小さな小学校で、担任が子供の成績の入ったファイルを紛失したというだけでも、担当者は名指しで責任追及を受け、釈明を求められ、メディアは個人情報漏洩事件として大きく騒ぎ立てる。

それに対して震災直後の線量データ紛失など、比べ物にならないほど国家的なレベルの由々しい事件であって、通産省の大臣が苦言を呈するぐらいで済まされていいのか。
トップニュースとして扱われても良いような出来事であるにもかかわらず、テレビ局各社は口をつぐんで、何も言わない。

現場の収束が第1であり、責任追及は2の次と行っている間にどんどん重要な証拠物件が隠滅されていくのをただ手をこまねいてみていてよいのだろうか。

http://mainichi.jp/select/weathernews/news/20110528ddm003040051000c.html

東日本大震災:福島第1原発事故 東電、線量データ紛失 「2分間隔」公表せず

 ◇原発西側、震災直後分

 東京電力は27日、震災直後に測定した福島第1原発近くの放射線モニタリングデータの一部を紛失していたことを明らかにした。経済産業省原子力安全・保安院にはすでに提出していたため、東電は保安院からデータを取り寄せた。28日にも公開する。
 東電によると、紛失していたのは3月11日から5日間、第1原発西側でモニタリングカーが採取したデータの一部。測定値を紙に書いていたが、紙に付着した放射性物質を除去するために外部に保管していた際、紛失したという。すでに公開しているモニタリングデータは10分間隔で放射線量の推移を記録しているが、紛失したデータは主に2分間隔のもの。海江田万里経産相は「データをなくすようなことはあってはならない」と苦言を呈した。【中西拓司】