2011年4月18日月曜日

放射線感受性(radiosensitivity):個体差を無視していませんか?

同じ部位に癌ができた患者さんが同じ線量の放射線治療を受けた場合、副作用もほとんどなく、照射の効果が出てみるみる元気になる人もあれば、急性障害、晩期障害などの副作用に苦しむ人もいる。

言うまでもなく、放射線に対する感受性は個人差がある。DNA修復酵素の活性に個人差があることからして当然である。

実際、広島・長崎の爆心地から1キロも離れていない屋外で被爆した若い人たちの中には、爆風で吹き飛ばされ、ガラスや瓦礫で顔や手足に軽傷は負ったけれども、60数年たっても、未だ癌など一度も発症していないという人も決して稀ではない。

同様に、わずかな線量で放射線の影響を強く受ける人もまた存在するということである。乳児は成人より、放射能物質の影響をうけやすいといわれているが、すべての成人が皆同じような影響を受けるわけではない。「低線量だから何シーベルトならば安全」なんてことが、一体どんな根拠を持って言えるのか?

大人の身体はみんな一緒ではない。スギ花粉に悩む人も入れば、スギ花粉の真下にいても全く平気な人もいる。数ヶ月にわたって鎮痛剤を服用しても全く平気な人もあれば、1錠でアナフラキシーショックに陥る人もいる。そんなことは誰でもわかることなのに、こと放射線の話になると、いきなり
大人の身体にはあたかも個体差などというものがないかのような言説が支配する。