2011年7月13日水曜日

幹部の意識と世間の意識:玄海原発をめぐる状況

 玄海原発に関して今日もいくつかのニュースが掲載されていた。

ひとつは九電幹部の問題意識と世間の常識とのギャップの落差を示すもの。

ひとつは玄海原発の安全性チェックに関するもの。原子炉の高経年化の問題の専門家会議を設置するというが、佐賀県は原子力ムラのブレーンを連れてくるつもりなのだろうか。それとも本当に県民の安全ということを第1に考えた人選に踏み切るのだろうか。

残りの二つは、地元自治体の政治家の玄海原発の利権に絡むニュースである。
こういった人たちに我々の、我々の子供や孫の世代に重要な影響を与えるような大きな決断をさせる権利が一体どこにあるのだろうか。そんなにやりたければ、太陽系ではないどこかの星にでもでかけて行って、自己責任で勝手にやって頂きたいものである。



http://kyushu.yomiuri.co.jp/news-spe/20101001-862625/news/20110712-OYS1T00739.htm

「文面がまずかっただけ」九電幹部ら問題意識低く

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 「やらせメール」問題で、九電の内部調査が行われている最中も、同社幹部やOBからは「文面がまずかっただけ」「『やらせ』と言われるほどのものなのか」といった発言が聞かれる。信頼回復に努める立場にもかかわらず、問題意識の低さが浮き彫りとなった形だ。
 真部利応としお社長は6日の記者会見で、「やらせメール」が誰の指示だったのか報道陣に質問され、「それが誰かというのは、大きな問題ですか」と、逆に聞き返した
 九電内には、メール問題を悪質だと認識していない空気がある。役員の一人は、「やらせメールが小さな問題とは言わないが、電力会社としては夏場の安定した電力供給の方が比べものにならないくらい大問題」と言い切る。
 10日、賛成メールの2割が「やらせ」だったと報じられると、執行役員は「過半数だったら大問題だけど、2割というのは多いのかなぁ」と話した
 11日の鹿児島県議会に出席した幹部は「部下の課長が安易に呼びかけた」と責任逃れとも受け取れる発言をした。
 また、玄海原発のプルサーマル発電計画に伴う公聴会で、関連会社員らを動員したことについて、ある取締役は「動員は他の電力会社でもやっているでしょ」と平然と語る。他の関係者も、「佐賀県にとっては原発を動かすのが何より重要。動員をお願いすることは普通のこと」(元佐賀支店長)、「反対派も人集めやってるんですから、こちらも集めないと」(取締役)などと擁護している。
 ただ、現状を深刻に受け止めている幹部もいる。
 ある取締役は「九電は意識がずれていると言われると本当にそう。再発防止に力を入れる」と話し、別の執行役員も「世間の常識と離れ、コンプライアンスの意識が低かった」と社内改革を進める決意を語った。
(2011年7月12日  読売新聞)
玄海劣化 佐賀県独自に判断、専門家会議設置へ


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 佐賀県は11日、九州電力玄海原発1号機の高経年化問題を検討する専門家会議を設置すると発表した。1975年の運転開始から約36年経過した1号機の圧力容器については、予想以上に劣化が進んでいるとの指摘もあり、県が独自に安全性を判断する。
 県によると金属材料が専門の大学教授ら5、6人で構成。九電に提出させた中性子量などのデータを基に、劣化状態を計算する。運転中の1号機は12月頃、定期検査に入り、来年2、3月の再稼働を計画。再稼働までの結論を目指す。
 鋼鉄製の圧力容器は核分裂に伴う中性子を浴びてもろくなり、一定範囲を超えると、緊急冷却などの温度変化に耐えられず壊れる恐れもある。電力会社は容器内に試験片を入れ、時々取り出してもろさの指標「脆性ぜいせい遷移温度」を算出。この温度が高いほど劣化は進んでいる。
(2011年7月12日  読売新聞)

玄海町長の実弟企業が九電工事、15年間で56億円

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 九州電力玄海原子力発電所が立地する佐賀県玄海町の岸本英雄町長の実弟が経営する建設会社「岸本組」(本社・佐賀県唐津市)が2008年度までの15年間に、九電発注の原発関連工事だけで少なくとも約110件、総額約56億円分を受注していたことがわかった
 原発の再稼働を巡っては、九電が岸本町長の了承を条件の一つにしている。再稼働の判断を握る立地自治体の首長の親族企業が、九電から多額の工事を受注している実態に、識者は「一種の隠れ献金ではないか」と指摘している。
 岸本組の工事経歴書などによると、同社は1994年度以降、消防倉庫、固体廃棄物貯蔵庫、原発従業員の社宅修理など様々な原発関連工事を受注。2008年着工の温室熱供給設備設置工事など1億円を超える事業を多数請け負っている。
 同社は町長の曽祖父が1911年(明治44年)に創業。実弟が佐賀県建設業協会長を務めるなど県内を代表する建設業者で、旧建設省や県などのOBの天下りも受け入れている
(2011年7月11日  読売新聞)

http://kyushu.yomiuri.co.jp/news-spe/20101001-862625/news/20110713-OYS1T00187.htm


玄海町議親族会社も原発関連工事、4年間で4億円

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 九州電力玄海原子力発電所が立地する佐賀県玄海町の中山昭和てるかず町議会原子力対策特別委員長(66)の次男が経営する建設会社「中山組」(本社・玄海町)が、2009年度までの4年間で原発関連交付金を財源とした工事を少なくとも12件、総額約4億200万円分を受注していたことがわかった。
 岸本英雄町長に続き、原発問題を審議する町議会特別委員長の親族企業も、原発事業に依存している実態が浮き彫りになった。
 中山組が県に提出した工事経歴書によると、同社が06~09年度に受注した工事の総額は約12億4700万円。毎年、町が発注した電源立地地域対策交付金事業の道路改良工事など、原発関連交付金を財源とする工事を受注。08年度までは約4100万円~約8300万円(各1~3件)だったが、中山氏が特別委員長に就任した09年度は7件約2億1000万円になり、同社の受注総額の6割近くに上った。
(2011年7月13日  読売新聞)

たった2日の検査で運転再開ですか??:異例のなし崩し運転を続けていた関電と北電の原発

 最近の世の中、どうも理解の出来ないことが多すぎる。以下は今日の朝日テレビのWeb Pageに載っていた今日のニュースだが、全く理解に苦しむことばかりである。


①関電と北電の2原発は、本来ならば1ヶ月程度で最終検査を受けるべきところ、今まで検査の申請を行わず、異例の4ヶ月に及ぶなし崩し的な調整運転を続けていた。


原発事故が収束せず、地震で列島があちこち揺れているような時、こともあろうに、原発の稼働について、法令上問題になるようなことを平然とやってのけている、関電、北電に何の罰則も適用されないのだろうか。タクシー会社が百も承知で、車検切れのタクシーを市中走らせて涼しい顔をしているのと何も変わらないのでは?


②この長期の調整運転に「法令上問題があるのでは」との批判が上がったので、関電・北電は最終検査の申請をすることに踏み切ったが、その検査たるやわずか2日程度で修了するらしく、検査が終わると、2つの原発は早々に運転再稼働するというのである。異例の4ヶ月に及ぶなし崩し的な調整運転を続けてきた原発の検査が、これまでの原発の安全基準が甘すぎると各方面から指摘されているにもかかわらず、わずか2日程度で修了するという。車の場合、車検をして車のどこかに問題があれば完全に修理が完了し、運輸局の確認が終わるまでは、車を走らせることができない。ところが、原発に関しては、検査をする前から、2日後には即運転再稼働が決まっているかのごとくである。一部ダクトが壊れたり、安全弁が開かないだけでも、日本全国に深刻な被害をもたらしかねない原発がかくも、緩いいい加減な検査で、再稼働を許されてよいものなのだろうか




http://news.tv-asahi.co.jp/ann/news/web/html/210713045.html




定期検査中に異例の4カ月に及ぶ調整運転を続けている2つの原発が、営業運転に入るための最終検査を近く申請する方針を固めました。

 関西電力の大飯原発1号機と北海道電力の泊原発3号機は、3月11日の震災直前に発電しながら原子炉の状態を確認する調整運転に入りました。通常、1カ月程度で国の最終検査を受けて営業運転に移りますが、いずれも地元自治体に配慮して検査を申請していません。しかし、4カ月という長期の調整運転に「なし崩し的な運転」「法令上問題がある」などの批判が上がっているほか、原子力安全・保安院から指導されたことから検査を申請する方針を固めました。検査は2日程度で終わる予定で、営業運転が認められると、震災後に再稼働する初めての原発となります。

2011年7月12日火曜日

A Midsummer Night's Dream: Reflets dans l'eau et Jeux D'eau

真夏の夜の夢: 涼を求めて、水2題 (フランス編)

Arturo Michelangeli 
http://www.youtube.com/watch?v=LLbpQl1cCl8

Martha Argerich

http://www.youtube.com/watch?v=J_36x1_LKgg&feature=related

電力会社のやらせは日常的なこと?

玄海原発の再稼働をめぐる九電のやらせメールに関して、毎日新聞主筆の岸井成格氏は、あるテレビ番組で、今回の事件のような出来事は、電力会社にとって極めて日常的なことであり、何がそんなに大きな問題になったのかと、電力会社の内部で動揺が走っているようだと述べた。

京都大学の小出氏もこれが電力会社の普通のやリ方であり、驚くに足りないという内容の発言を最近の非公式ブログのインタビューの中でも述べている。

以下は朝日新聞からの転載だが、2300人もの同社及び関係会社の社員が少なくとも目を通したというメールに対して、わずか100名の社員しか、本店のやらせメールの要請に答えなかったとは非常に考えにくい。

賛成意見と反対意見が拮抗していたといえばいかにも聞こえがいいが、実際ヤラセメール・ファックスは実際のところ、もっと多数送られていたのではないか。

親会社が要請すれば、たとえ命の危険を冒してでも、危険な原発に作業員を差し出さなければいけないのが電力会社と子会社の関係であるようだ。それほど大きな権力関係の下、親会社のやらせメールやファックスを送るようにというような要請を、子会社の社員や支店の社員がほとんど無視してかかるなどということは、非常に考えにくいからである。

 経産省主催のこの県民説明会は、九電の息のかかった地元ケーブル・テレビとインターネットで 甘生中継するという形をとったが、7名の民間の参加者に限って参加を認めるという、素人めから見ても大変うさんくさい催しであった。むろんこの7名の民間の出席者を一体どんな基準で選んだのかということについても、全く明らかにされてはいない。

http://www.asahi.com/national/update/0711/SEB201107110062.html


賛成意見の3割が「やらせ」 九電関係者が送信


九州電力の「やらせメール」問題で、玄海原発(佐賀県玄海町)2、3号機の運転再開に理解を求める国主催のテレビ番組に、九電関係者がメールやファクスで少なくとも約100件の賛成意見を送っていたことが、社内調査でわかった賛成意見の約3割が「やらせ」だったことになる。
11日までの社内調査でわかった。これまでに約50通の賛成メールを送っていたことが判明している。
 九電の課長級社員は原発の運転再開を後押しするため、6月22日付の電子メールで、番組に賛成意見を送るようグループ社員らに指示。番組に寄せられたメールとファクスは合計589件で、うち賛成は286件、反対は163件、その他は140件だった。やらせの意見を除くと、賛成と反対意見はほぼ伯仲する。
今日13日のニュースでさらにヤラセメールの数が増加。130人超えるというが、実際のところはもっとあったのでは?


http://kyushu.yomiuri.co.jp/news-spe/20101001-862625/news/20110713-OYS1T00726.htm

やらせメールで賛否逆転、九電指示で投稿130人超

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 玄海原子力発電所(佐賀県玄海町)2、3号機の再稼働を巡る九州電力の「やらせメール」問題で、九電本社の指示に従って、国主催の佐賀県民向け説明会に再稼働への賛成意見を投稿した社員らは、130人を上回ることが13日、九電の内部調査でわかった。国の発表では「賛成」が「反対」を123件上回っていたが、「やらせ」がなければ賛否が逆転していたことになる。九電は調査報告書にまとめ、14日、経済産業省に提出する予定。
 説明会は6月26日、ケーブルテレビやインターネットで生中継された。県民からの意見や質問は25日から募集し、番組の中でも一部紹介された。
 メールやファクスで寄せられた再稼働への意見は、賛成286件(メール226件・ファクス60件)、反対163件(メール119件・ファクス44件)。「やらせメール」問題が発覚した今月6日に国が明らかにしていた。
(2011年7月13日  読売新聞)

ストレステスト:安全を測るためではなく、「『安全』と言うためのテストか」?

九大工学部の工藤氏が先般「ストレステストをしても結果は変わらない」というような発言をされていたことから、薔薇っ子は、原発で実施されるストレステストの項目や手順がどのようなものなのかとても関心をもつようになった。

何か今までの日本の原発の安全審査にはなかった新しく、かつ厳しい審査基準をたくさん設けて、これまでなされてきた安全審査の在り方を根本的に覆すような査定を行うかのように思われたからである。

そのように単純にころっと騙されてしまったのは、先般ドイツがEU版のストレステストをした結果、対テロ対策に対して安全性を担保することができないと判断を下し、結局それが脱原発に踏み切る際の大きな判断材料の一つになったという報道が頭の片隅に残っていたからである。

日本でこの度実施されるストレステストに関して、今日のモーニングバードの報道によれば、

日本で実施されるストレステストの流れ

電力会社 ⇒ 保安院 ⇒ 安全委員会 という形で実施されるそうだ。

ちなみにEUにおけるストレステストの流れは、

電力会社 ⇒ 27か国の原子力規制機関 ⇒ 別の国の原子力の専門家

と大きな違いがある。

日本版のストレステストは、同じ穴のムジナである、東電と保安院さんと安全委員会さんが、ストレステストの項目の選定から基準の設定、手順、実施、評価に到るまで、何もかもを請け負うらしい。

IAEAへの報告では、今回のフクシマ原発人災事故の反省点の一つとして、保安院や安全委員会の組織の在り方を根本的に考えなおすということだったのではないのか?原発再稼働の条件となるテスト作成・実施・評価は東電を始めとする電力会社がすべて自社で行い、それを保安院と安全委員会が確認するというのだから、なにをかいわんやである。

人災事故の大元である東電と先般、日本の原発に対して安全宣言を出したばかりのお役所の面々がテスト結果を評価するのだから、「どこどこの原発はテストをした結果、安全ではなかった」などというような結論は、彼らのメンツにかけても、出てくるはずがないのである。

ストレステストは「『安全』と言う為のテスト」ではないかと番組の終わりに女子アナが指摘していたけれども、このテストには、何も新しいことは期待できないということは、原子力安全委員会の専門委員である奈良林氏の以下の発言からも明白である。

「ストレステストの調査項目や実施手順は、現在検討中であり,近日中に明らかにしたい。調査項目については今週中にも結論を引き出したい」と官房長官は宣うたが、本来ならば今日の時点ではまだ作成検討中であるはずのテストについて、安全委員会の奈良林氏が早々と次のように結論づけている点は実に興味深い。

http://jp.wsj.com/Japan/node_271489

 奈良林直・北海道大学大学院教授(原子炉工学)は「ストレステストが実施する検査の大部分は3月11日以降の安全性点検で既に実施されている。(後略)」 とみている。
             「日本政府、2段階の安全評価を実施―原発再稼働で」より



さて、以下は武田邦彦氏のストレステストについての言及である。
「ストレステストは実に馬鹿らしいことであり、国民がこのようなテストにごまかされるようでは、日本での原発はダメだ」と指摘し、ストレステストの問題点を以下のように指摘している。


その上で、氏はストレステストは今までやってきたことを、「名前を変えてハードルを上げたように見せかける卑劣な提案と思う」と述べる。つまりこれから新しい何かが始まるのではなく、ストレステストという名の、現政権延命のための茶番劇が新たに展開されると考えたほうがよさそうである。



http://takedanet.com/2011/07/post_8ef8.html
ストレス・テストの怪・・・誤魔化されるようなら日本はダメだろう

 原発再開のために政府は突如として「ストレス・テスト」というのを出してきた。


内容を聞くと「震度6の地震がきた」とか「10メートルの津波が来た」というように「危険なことが起こる想定」をして、その時に原発がどうなるかをシミュレーションで調べると言う。
・・・・・・
実にバカらしいことだ。このようなことで、もし日本国民が納得したら、やはり「日本では原発はできない」ということになるだろう。
この方法の欠陥は3つ
(1)   従来からの方法と変わらない
(2)   コンピュータは「現在想定していることしか分からない」
(3)   想定外のことが起こった福島原発の教訓が生きない
原子力発電所の大事故については、多くの研究や検討があり、普通は[シビア-・アクシデント]と呼ばれていた。
つまり、臨界事故や今回のような冷却が出来なくなる事故などは、大事故として予想されていた典型的なものだ。
それなのになぜ、今回のような大事故になったのだろうか?
・・・・・・・・・
沸騰水型の原子炉では、冷却水の循環は比較的、単純で原子炉の熱で直接、水を沸騰させて高圧の蒸気にして、それでタービンを回し、その後、熱交換機(復水器)を使って海水で冷却して、また原子炉の戻す.
この場合、たとえば次のようなことが起これば冷却ができなくなる。
1)  原子炉への配管が割れたり、外れたりする、
2)  タービンに異常が起こり、タービンからの蒸気を復水器に回せなくなる、
3)  復水器につまりが起こり、そこで冷却が停滞する、
4)  海水の推移が急激に下がり、取水口から海水を取水出来なくなる、
5)  循環ポンプが故障する、
6)  循環ポンプや電磁弁への電気が来なくなる、
7)  温度や圧力を測定する計装系に異常が起こり、たとえば冷却水が止まっているのに、冷却していると誤認して循環を止める、
8)  人間が非常時を誤って判断して、冷却を止める、もしくは冷却を止めるつもりはないが、スイッチを間違える。
・・・・・・
このような非常時の想定は幾らでもあって、どの異常は起こるが、どの異常までは起こらないという「想定」が必要である。
今回は、「3つの電源を一度に失うことはない」という前提(想定)があった。それは主電源、予備電源、非常用発電(ディーゼル発電)の3つを一度に失う「確率」がきわめて小さいと見られたからである。
ところが現実には電気は止まった。
原因は、2つ考えられる。
一つは:震度6の地震で配管が破壊された。もしくは冷却系に異常が起きた。
二つは:津波で電源が水をかぶった。
今のところ、どちらであるか分かっていない。事故が起こったことから考えると、どちらでも良いが、それが「想定外」だったからだ。
たとえば主電源、予備電源、非常用発電のいずれもが建屋の地下にあり、津波の水をかぶったということが原因と言われている.
もし、これが本当なら、なぜ「大雨」、「洪水」、「津波」など普通の災害を考えなかったのか?ということになる。
この「想定」をすれば「ストレス・テスト」ではなくても、普通の「安全性検討」で安全に疑問が生じるはずである.しかし、安全については東電内部の検討、保安院の審査、それに一般的な考え方についての安全委員会の了承は得られている.
これまでの「シビア-・アクシデント」の研究で、「洪水」が想定されていなかったとすると、ストレス・テストでも想定しないだろう。
・・・・・・・・・
実は「安全」というのを守るためには「程度問題」との戦いであることが分かる。
「北朝鮮が原発を爆撃してくる」・・「そんなことは起こらない」
「大雨の時に従業員が建物の戸を閉めるのを忘れる」・・「水浸しになるまで誰かが気が付く」
など、
「こういうことが起こる」・・「そんなこと、起こらない」
というのとのせめぎ合いである。楽観的な人は途中でバカらしくなってくるし、悲観的な人は普通にはあり得ないところまで考える.だから、なかなかケリがつかない。
・・・・・・・・・
なにしろ、現在は東日本の原発は、青森の東通、宮城の女川、福島の福島第一、第二、茨城の東海の各原発が2011年の震度6で壊れ、新潟の柏崎、石川の志賀が2007年の震度6で壊れ、静岡の浜岡が自主的に停止している。
つまり、「震度6」の地震を乗り切った東日本の原発は皆無であるという現実もある。
一方、震度6以上の地震はここ10年で13回あったから、西日本に地震が起こるとほぼ間違い無く原発は壊れる。
震度6の想定もしていなかった。
それでも、「玄海原発の安全宣言」が出たぐらいだから、適切で今までの事故例を参考にしたストレス・テストの前提を作れるはずもない。
私は「ストレス・テスト」というのは今までもやっていることを、名前を変えてハードルを上げたように見せかける卑劣な提案と思う
もう少し誠意を持って欲しい。もし、政府が「原発は危ないけれど
電気がいるから動かす」というなら、そのように言って、住民をあらかじめ退避させるとか、救命ボート(バス、マスク、風向計)を準備するとかして、誠意を見せたらどうか。
(平成23712日 午後4時 執筆)

原発の再稼働、国民投票で決めませんか。

震災から4ヶ月たってしまった。もし原発による人災が起きなかったら、大地震と津波だけであったら、東日本大震災の救援、復旧、復興は、今よりもっともっと早いスピードで進められたに違いない。特に放射能汚染は、第一次産業の復興の大きな足かせとなっている。

以下は、あなたの望む原発対策について問うたロイターオンライン調査の今日の結果である。
88%だから、ほぼ9割の44万6千人以上が原発の全廃を望んでいることがわかる。

わずか5%の推進派の中には、電力会社・原発プラント設計建設会社とその関連会社の社員や株主、取引銀行の行員、電力会社から恩恵を受けすぎるほど、受けてきた政治家、地元住民、御用学者などが含まれているのだろうが、取るに足りない数字である。


原発の再起動は、経産大臣の判断や、地元自治体の議会、首長の判断などに任せるべきではない。

たびたび書くが、「政府は信頼できない」、「地元自治体の議員や首長らと電力会社の癒着が酷い」と言われている今、ひとたび大きな人災事故が起これば、4ヶ月たっても政府も誰も事態を収拾するめどさえ立たず、地元自治体などは、はるかに超えて、セシウム牛肉を始め、日本全国広範囲に高濃度の汚染が広がっている。

牛肉の牛などの家畜に高濃度の放射能汚染が広がっていることは、素人でも早くから推測できたことであるが、政府は安心、安全と叫び続け、ひたすら地元の一次産業を保護するために、ろくな検査も実施せずに汚染牛肉を全国に流通させてしまったのである。

牛肉は氷山の一角である。鳥や卵、豚肉、魚、海藻、貝類、コメ、野菜、果物の汚染は、今後まだまだ広がり、日々蓄積されていくばかりである。

こうした現実から考えても、原発政策をどうするかというような国民の生命にかかわるような重要な案件は、国民投票で決定すべきであろう。

もちろん投票の前に、喧しく電力不足を訴えている各電力会社の供給量に関するデータを、外部の専門家がちゃんとチェックできる体制をつくって、正しいデータを国民の前に開示することが不可欠である。

併せて、電力会社が自社のサボタージュで既存の火力発電所などのメンテを怠り、いざというときに安定した電力供給を保証できないのであれば、せめて自家発電によってエネルギーを供給する会社に対して高額の送電線使用料などを徴収して、自家発電エネルギーの供給を抑止するような制度を即刻改めさせるべきなのではないか。

いずれにしても発送電の分離をし、電力の自由化を急がない限り、九電や東電の旧態依然とした企業体質はどんなに大きな人災事故を引き起こそうと何も変わらないということである。


http://jp.reuters.com/article/jp_quake/idJPJAPAN-22136520110711


これまでの投票結果

  • ■ 計画通り、原発を増設
       25148票 (5%)
  • ■ 計画を見直し、原発を減らす
       36117票 (7%)
  • ■ 原発を全廃
       446279票 (88%)

2011年7月10日日曜日

ストレステスト、ヨーロッパ版より短く?:安全委員会さんが関与ですか?



 すべては今日明らかになるようだが、日本の原発のストレステストはどうやらEUのストレステストの短縮版を作るそうで、かの「私は何だったのでしょう」発言で名高い原子力安全委員会さんがこれに関与なさるらしいということが、以下のロイター、WSJの記事から推察される。


確かに、テスト信仰の厚い日本人を黙らせるには、テストがもってこいである。しかもヨーロッパでやっているテストを導入するんだといえば、素人は誰しも「そんな国際的なテストにクリアしたのなら、再稼働させても文句ないんじゃないの」と判断してしまうだろう。


それじゃ一体、EUでやっているストレステストってどんなものなの?


不思議なことに、この報道が発表されてからというもの、様々な報道にちょろちょろ目を配っているが、管見の限りでは、誰もEUのストレステストがどんなものであり、それがどのようになされるかを詳しく論じてくれるものがない。


EUの原子力関係の文献資料などを引っ張り出してきて読めばすぐにわかるのかもしれないが、日本ではそれをそのまま使うわけではないらしいから、今知識不足の中で、軽々にEUで実施されているテストの項目や実施方法について、あれこれ議論するつもりはない。


そんなことよりも気になるのは、政府がEUのテストより短期間でできるものを原子力安全委員会に作らせ、再稼働に拍車をかけるための切り札に利用しようとしている点である。


日本の原子力安全委員会が、国民の安全のために原発の安全性をチェックする機関ではなく、原子力ムラの安寧のためにありとあらゆる努力をする機関であることは、残念ながら、3.11以降、もはや国民の誰の目にも明らかになっている。そんな安全委員会に関与させるというのであるから、テストそのものの妥当性も、アセスメントの客観性についても、結果はやる前から見えているようなものである。


しかも、EUで実施されているテストは時間がかかり過ぎるので、短縮版を作るのだという。なんというご都合主義だろう?


結局は、体裁だけ整えて、表向き「とりあえずチェックしました」ということにするだけのことらしい。これでは、保安院さんの意味不明な安全チェックと何も変わらない。


そんないい加減なテストを実施するために、またもや膨大な費用や手当が我々の税金から流出してしまうのだろうか。


 確かドイツはこのストレス・テストの1つの項目であるドイツの原発のテロに対する脆弱さを、脱原発に舵をとる大きな理由の一つとしていた。テストは何をどう測るかということも大切であるが、テストの結果を誰がどのような観点から分析し、そこからどんな結論付けに至るかというところが最も重要である。


初めから「再稼働ありき」のシナリオに沿って作られ、実施されるようなテストなら、やるだけ無駄であるし、「ストレステストは政権延命のための単なる時間稼ぎ」と言われても首相は全く反論できまい。


世界で類をみない最悪の原発災害を引き起こし、汚染物質を今なお世界中に撒き散らしている当該国であり、大地震・大津波に見舞われる可能性が高く、原発立地には適さない小さな島国日本においては、EU以上の厳しい安全基準に基づいた査定が行われてしかるべきである。


それにはカネと権力に魂を売り渡した原子力ムラのお歴々ではなく、国民の健康と安全を守るという最も重要な観点から原発について考えることのできる専門家集団が、テストの作成、実施、分析を実施し、結論だけを示すのではなく、どのような根拠のもとにどんな調査項目が作られ、どういった方法でアセスメントがどのように行われているのかを国民に明示することが重要である。


海外の原子力推進派ではない専門家も招きいれ、世界の専門家集団に示しても恥ずかしくない、世界の原発の安全基準の基となるような立派なテストを作ってもらいたいものである。たとえそのテストを実施することによって、日本の原発を全部止めなければならなかったとしても、安全大国日本が名誉挽回するチャンスは、もはやそれぐらいしかないのだから。



http://jp.reuters.com/article/kyodoPoliticsNews/idJP2011071001000538


原発耐性テスト、欧州より短期に

2011年 07月 10日 18:40 JST


民主党の岡田幹事長は10日、原発再稼働をめぐり政府が実施を表明したストレステスト(耐性評価)に関し「欧州連合並みの長期間のテストでは産業、国民生活面で影響が及ぶ。日本版テストをどのように作るかだ」と述べ、評価期間短縮を検討すべきだとの認識を示した。岩手県で記者団の質問に答えた。岡田氏は耐性評価を再稼働の前提とすることに否定的考えを示していたが、再稼働の条件とする政府方針を容認する姿勢に転じた。


http://jp.wsj.com/Japan/Politics/node_269939


追加テスト、事実上義務付け=11日に統一見解―原発再稼働

政府は9日までに、定期点検中の原発の再稼働について、欧州連合(EU)が行っているストレステスト(耐性評価)を参考にした安全評価を設け、その実施が「望ましい」とする統一見解をまとめた。これまで経済産業相の判断で可能だった再稼働に、追加の基準を事実上義務付けることで、より安全性を高めるのが狙い。基準策定に内閣府の原子力安全委員会を関与させる方針も固めた。
九州電力玄海原発(佐賀県玄海町)の再稼働問題で混乱を招いたことから、政府は統一見解の文言を慎重に詰め、11日に公表する方針だ。
菅直人首相は9日の民主党全国幹事長会議で、統一見解について「国民に納得してもらえる、安心してもらえる手続きをどのように取るのか、方針について週明けにはきちっとした方向性を出すことができる状況だ」と強調。細野豪志原発事故担当相も同日のNHK番組で、「遅くとも11日には、枝野幸男官房長官と海江田万里経産相と私で見解をしっかりまとめて示したい」と述べた。 
[時事通信社]