2012年10月24日水曜日

原発がなければ、日本経済が空洞化する状況:誰の責任?いつまで続けるつもり?

 過ごしやすい秋が来て、原発を動かさなければ電力不足だという、脅迫めいたメディアのプロパガンダが沈静化しているが、少し気温が下がれば、たちまち再稼働しなければ、凍死でもしかねないような報道が相次ぐことだろう。

 暑い夏と厳しい冬が巡ってくるたびに、それに便乗するかのように、経団連と経済同友会の代表が、原発を動かさなければ日本経済が空洞化してしまうと大きな声で吠え立てるに違いない。

 同時に反原発を唱える市民に対して、原子力ムラの連中は「代替エネルギーの問題を解決できないのに、反原発を唱えるのは無責任だ」と厳しく斬り捨てるが、最も無責任な人間どもから、「無責任だ」などと罵られる筋合いはない。

 再生エネルギーにせよ、シェールオイル・ガスの採掘にせよ、スマートグリッドの技術開発にせよ、日本は十年も、二十年も、アメリカやヨーロッパに遅れをとっている。

欧米先進諸国が、原子力だけに頼らないエネルギー戦略をいち早く立て、新しい技術革新に力を入れてきたのに、日本の政財官のリーダーたちは、原発という金になる木から得られる利権に取り憑かれ、原発以外のエネルギー産業や技術発展の可能性からあえて目を背けてきた。

他国が原発の限界を見て、代替エネルギーの可能性に向けて大きく舵取りしている間、新しいエネルギー政策の可能性を追求しようともしなかった者たちにこそ、一番大きな責任がある。

電力会社の地域独占を廃止し、発送電を分離するだけでも、日本の問題だらけの原子力依存の電力供給システムに大きな風穴が開くはずだ。古いものにしがみつき、新しいモノづくりの可能性を封じてきた者こそが、日本経済を空洞化させる原因を作ってきたというべきではないのか。

極めて危険でコストの高い原発に依存したエネルギー供給の仕組みを作り、うそと隠蔽でそれを下支えしてきた者こそが、高い電気料金と税金を支払わされてきた消費者に対して、新しいエネルギー産業とそれに関連した技術開発を、1日でも先駆けて促進する責任を追わなければならないのではないのか。

反原発を唱えている市民に対して、「無責任」などと謗る暇があれば、日本経済を空洞化させた朱印が、一体誰にあるのか、霞が関や大企業のトップらは、自らの胸に手を当てて考えるべきである。

東電の社長はこの期に及んでもまだ、フクシマ原発の再稼働を目論んでいるようである。
金子勝氏は、30年代原発ゼロを閣議決定しなかった効果であるという。メディアを操作して、フクイチの原発災害を風化させ、自公連立政権を待って、一挙に再稼働に走る算段だろうか。どこまでも、ひどい話である。

河北新報によれば、新しい規制庁の審議官は、原発の「廃炉は事業者が一義的に決定する」と宣うたという。国民の税金でかろうじて生かされている、国有化されてしまった事業者に、廃炉の決定を一任するとは、いかがなものかという議論が、どうして、どこからも湧き上がらないのだろうか。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2012101902000156.html


【社説】

シェールオイル 海外視野に技術を磨け

 秋田県の油ガス田で、地中の頁岩(けつがん)層に眠るシェールオイルの試掘が続いている。国内では初めてだ。埋蔵量が少なく商業生産の成否は不透明だが、採掘技術を蓄積すれば海外で生かす道も開ける。
 「新たな資源開発の可能性が広がった」。試掘に成功した鮎川油ガス田を抱える秋田県由利本荘市では、早くも新産業育成に期待を寄せ始めた。シェールオイルは米国で本格生産が始まっている。天然ガスを含む頁岩層も多くの国で見つかり、「シェール革命」と言われているが、手放しで喜ぶわけにはいかない。
 成功とはいっても埋蔵量は約五百万バレル。日本の一日当たりの原油消費量、四百五十万バレルを少し上回る規模にすぎず、エネルギー安定確保とは程遠い。日本のエネルギー自給率はわずか4%。試掘の成功は、むしろ海外の油ガス田開発を手元に引き寄せる好機が到来したと受けとめるべきではないか。
 通常、原油やガスは自噴し、圧力が下がった油層ではポンプでくみ上げる。これを在来型資源と呼び、それ以外の新しい採取方法が必要な資源を非在来型という。
 シェールオイル、ガスは非在来型であり、頁岩層を高圧水などで破砕して採取する技術が欠かせない。その技術は十年以上前に米国で確立されたものの、米国以外での開発は緒についたばかりだ。
 現在、世界のシェールオイルの埋蔵量は調査段階だが、ガスは全世界の消費量の百年以上に相当する埋蔵が確認されている。日本も採取技術を蓄積すれば資源国との共同開発に展望が開けるだろう。
 資源大国・ロシアのプーチン大統領は「アジアとの経済関係を相互利益にかなうものにしていく」と東方進出に意欲を示した。ロシアが抱える苦悩が垣間見える。
 ロシアの貿易拡大の牽引(けんいん)役は原油・ガスの輸出だ。国の歳入の五割を占めるが、頼みの欧州向けが金融危機を境に減り続け、アジア重視への転換に迫られている。
 加えて、シェールオイルの技術開発も大きく出遅れており、西シベリアの開発では米エクソンモービルなどに頼らざるを得なくなっている。
 日本にもロシア初のガス液化施設建設に協力した実績がある。激動する世界経済に揺さぶられるプーチン氏のシグナルを読み解き、海外の油ガス田の権益を獲得しつつ安定確保の土台を築きたい。
 資源に乏しい日本は採取技術を磨き、攻めの経済外交で資源国との相互利益を目指すべきだ。

金子勝氏ツイッターより

原発事故後初の福島県議会エネルギー政策議員協議会に対して、広瀬東電社長は第1原発5、6号機と第2原発4機の全基廃炉について「未定」とした。「30年代原発ゼロ」を閣議決定しなかった効果。東電は自公政権の復帰を待って福島原発を動かすつもり?

2012年10月21日 - 10:31 · 詳細

http://www.kahoku.co.jp/news/2012/10/20121020t61022.htm


東電社長、福島全廃炉明言せず 県議会エネ政策協

県議らに廃炉作業の現状などを説明する広瀬社長(奥の左端)
 福島県議会は19日、福島第1原発事故後初のエネルギー政策議員協議会を開き、東京電力の広瀬直己社長に廃炉作業の安全性や今後の経営方針をただした。広瀬社長は第1原発5、6号機と第2原発1~4号機の全基廃炉について「廃炉を求める県や県議会の意向を踏まえて判断しなければならないが、現時点では未定とさせていただく」と明言を避けた。

 広瀬社長は報道陣に、政府が9月に新エネルギー政策を決めるまでは「はっきりした答えに基づいてというイメージがあった」と廃炉の決断を検討していたと明かした。「今は確固たる見通しをつかめない。(エネルギー政策の)大きな変更があるのかどうか、もう少し判断を留保したい」と述べた。
 広瀬社長は東電の社内組織「原子力改革特別タスクフォース」が12日に「津波評価に基づく対策や過酷事故対策を取っていれば事故に対処できた」との見解を示した点を議員に問われ、「『天災でどうしようもなかった』では対策が打てない。何かできたはずだという姿勢で今後はやっていく」と説明。「知見を超えた地震、津波で想定できなかった」と不作為を否定した社内事故調査委員会の結論を修正した。
 協議会には原子力規制庁の山本哲也審議官も招かれ、11月上旬に第1原発を改正原子炉等規制法に基づく「特定原子力施設」に指定し、12月にも原子炉の冷温停止や燃料冷却を維持する実施計画を東電に提出させる方針を明らかにした。
 第1、第2両原発の廃炉と再稼働について、山本審議官は「廃炉は一義的に事業者が判断する。稼働させるかどうかは政府が判断すべきで、規制委員会、規制庁は安全上の判断しかしない」と強調した。
 協議会は原子力政策の在り方や原発事業の問題点を議論するため、県議会が2001年に設置。10年12月を最後に開催が途絶えていた。会長の斎藤健治議長は「疑問や不明点が全て解明したわけではない。今後の対応を検討する」と話した。

2012年10月20日土曜日




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