2012年4月23日月曜日

東電会長人事、これでよいのでしょうか?

東京新聞によれば、下河辺氏は仙石氏の抜擢で、東電の経営財務調査委員長を務め、廃炉や賠償の費用を低く見積り、債務超過ではなく、資産超過として報告し、東電を法的処理せず、存続に導いた。電事連や政府を初めとする原子力ムラの面々にとって、これほど心強く、好都合な人事はあるまい。
 東電会長人事に関して、どんなニュースがあるのか、ネット検索をしてみた。各紙、下河辺氏が東電の経営実態を把握し、企業再生に詳しい弁護士であるということで、諸手を上げて歓迎し、期待するという論調に偏っている中、東京新聞は毅然と「東電会長人事 脱原発が後ずさりする」の見出しを掲げ、骨のある報道をしている。

 サンデー・モーニングでは、コメンテーターの金子勝氏が、唯一、この人事の問題点を厳しく指摘している。

口先三寸で、詭弁を弄して黒いものも白いものに変える弁護士さんが政府の中枢にあって、原子力政策を牛耳り、原発の安全性に関して重要な決定をするーーなんて恐ろしい国になったものだろう。

下河辺氏の起用で、国民は電力会社の不始末で引き起こされる過酷事故のつけを、半恒久的に回されることが決まったようなものだ。民主党政権のおかげで、ピンチをチャンスに変えるかけがえのない好機として、国際世界から一時は期待された、脱原発への道のりから、この国は、ますます遠のいたといっても過言ではない。


金子勝氏のツイッター


東京新聞の社説「東電会長人事 脱原発が後ずさりする」です。

下河辺新東電会長は、「集団自殺」の仙谷政調会長代行の子

分で、表向きリストラだけをやったフリをして、福島県民への賠

償や除染を手抜きしつつ、何とか原発再稼働で賄う路線でしょ


東電会長人事 脱原発が後ずさりする

 東京電力新会長に原子力損害賠償支援機構運営委員長の下河辺和彦弁護士の起用が決まった。原発再稼働に積極的な民主党の仙谷由人政調会長代行の意向を反映した人事だ。脱原発が危うくなる。
 下河辺氏は福島第一原発の事故後、東電の財務状況を精査する政府の「経営・財務調査委員会」の委員長に就き、周辺地域から避難している人たちの就労不能など賠償額を四兆五千億円とする報告書をまとめた。
 巨額の賠償を見込みながら、二〇一一年三月の財務状況を債務超過ではなく資産超過との結論を導き出している。燃料棒が溶けて漏れ出す最悪の過酷事故なのに、廃炉費用として計上した額は一兆一千五百億円。三十年はかかる廃炉費用などをあえて低く見積もり、東電を法的整理せずに存続を打ち出したとの疑念がぬぐえない。
 枝野幸男経済産業相は東電への一兆円規模の公的資金投入と引き換えに、二分の一超の株式を取得して政府の支配下に置く方針を明確に打ち出している。報告書は東電の経営予測についても「原発を再稼働しなければ四兆~八兆円の資金不足が生じる」と原発存続の意図を巧みに潜り込ませた。
 仙谷氏は東電と原発をめぐる議論をリードする立場にあり、関西電力大飯原発の再稼働問題でも積極的に動いている名古屋市内で行った講演では「原発全停止は日本が集団自殺をするようなことになる」とまで言い切り、民主党内からも反論が続出した。
 政府は勝俣恒久現会長の後任に経済人の起用を検討していたが、こうした党内のごたごたが原因となって相次ぎ固辞されている。
 弁護士資格を持つ仙谷氏と下河辺氏は司法修習生時代から昵懇(じっこん)の間柄とされ、現在の運営委員長も仙谷氏の抜擢(ばってき)人事だ。仙谷氏には格好の人物だろうが、企業経営に疎い下河辺氏に務まるだろうか。
 さらに懸念されるのは枝野経産相が力説してきた脱原発の後退だ。「原発依存を、ゼロを目標に引き下げる」が「原発は引き続き重要な電源」へと変節してしまった仙谷氏は枝野氏の「政治の師」であり、異を唱えにくかったのだろう。
 日本の新エネルギー政策は政府のエネルギー・環境会議で目下議論している段階だ。にもかかわらず原発の再稼働に議論が偏り、脱原発を実現する手だてなど根っこの議論が抜け落ちている。骨太のエネルギー政策を欠落させては、日本の電力の再構築は望めない。
 

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