2012年2月6日月曜日

高い燃料費は、地域独占のせいですか?: 電力会社の電気料金

東電の電気代値上げについて、「人件費・広告費の削減ぐらいでは、簡単に相殺されるものではない。原発を停めることで、燃料費が跳ね上がるから、値上げはやむをえないのだ」と言われれば、、「いくら円高とはいえ、原油が高騰しているんだから、やむを得ない」 と素直に納得してしまう人も、世の中には、いるだろう。

しかし、「シェールガスの増産で、LNGの価格が世界的に非常に低下しているのに、どうして東電は石油価格の高騰ばかりを理由にするんだろう」と不思議に思っている人も、少なくないはずだ。

以下のロイターの記事を読めば、電力会社の算定する燃料費が、なぜ馬鹿のように高く見積もられているか、その理由がよくわかる。

要するにかつては、石油の価格が安かったし、国内に指標となる天然ガスの市場がなかったために、天然ガスの値決め基準に、原油の輸入価格連動方式を採用してきた。それゆえに、世界の天然ガスの価格下落の恩恵を、日本だけは浴することができないのだという。


つまり、電力会社は地域独占で、コスト削減意識が希薄なため、全く企業努力を行わず、ずっと高いLNGガスを購入し続けてきたのだという。


一体石油の価格が安かった時代とは何十年前の話か?原油の価格が沸騰し、アメリカもヨーロッパも中国も、石油や原発には依存できないと、シェールガスに目をつけ、その市場を着々と開拓している間、日本の電力関係者は原発を増やして私腹を肥やすことだけに血道を上げ、燃料調達の努力を全く怠ってきた怠慢な電力会社のおかげで、高いつけを回されてきたということなのである。


電力会社などに任せておいては、国民は膨大なつけを回され、企業も個人も彼らの犠牲になるだけである。未だに赤いガスに抵抗感を示している財界首脳もいるそうであるが、くだらないことにこだわらず、韓国が、EUがしているように、日本も海外との交渉をきちんとやって、できるだけ安い燃料を調達するための方途を、政府が一丸となって一刻も早くみつけるべきなのではないのか。


それにつけても、電力会社の地域独占の弊害がどれほど多大であるかを、我々はもっと知らされる必要がある。



シェールガス増産で米LNG安価に、日本の輸入価格引き下げ急務

2012年 02月 6日 08:46 JST
 
[東京 6日 ロイター] 米国で新型ガス、シェールガスの増産が進み、天然ガスの価格下落が進む中、韓国ガス公社(KOGAS)(036460.KS: 株価企業情報レポート)が1月末に安価な米国産の液化天然ガス(LNG)を20年間の長期にわたり調達する契約を結んだ。日本のLNG調達価格は国際的にも割高で、調達先の多様化や資源外交を含めた抜本的な対応が急務となっている。
<シェールガス増産で米天然ガス価格は2年で半値以下、カタール産LNG余剰に>
米国では、地中の岩盤層から産出されるシェールガスの増産が急ピッチで進んでいる。米エネルギー省は1月、米国が2016年にLNGの純輸出国になるという予測を発表した。大増産を背景に米国の天然ガスの市場価格は過去2年間で半値以下に急落しており、現在100万BTU(英国熱量単位)当たり2.5ドル前後と、日本のLNG輸入価格と比べた場合8割も安くなっている。
このため米国は、同国向け需要をあてにしてLNG増産を進めてきたカタール産LNGの輸入が事実上不要となった。当初、カタール産LNGの受け入れ拠点を目指していたルイジアナ州サビーヌパスの輸入基地は、米国産ガスの輸出拠点に転換され、韓国ガス公社と契約した。契約価格は米国の市場価格に連動し、100万BTU(英国熱量単位)当たり4─5ドルと日本の3分の1程度とみられる。
<31年ぶり貿易赤字の裏に割高なLNG調達価格>
米国の増産により余剰となったカタール産LNGは、欧州などに転売されている。この結果、欧州はロシアとの天然ガス価格交渉で強気になり、世界的に天然ガスの価格低下が進んでいる。
これに対し、日本のLNG輸入価格は100万BTU当たり16ドル前後と世界で最も割高な水準だかつて原油価格が安かったことと、日本には指標となる天然ガスの市場がなかったことなどから日本では値決め基準に原油の輸入価格連動方式を採用してきた。現在のように原油価格が中東情勢の緊迫で高止まりしていると、世界的な天然ガス価格の需給緩和による価格下落の恩恵を享受できない。
2011年に日本の貿易収支が31年ぶりに赤字に転落した要因として、原子力発電所の稼働停止に伴いLNGの輸入量が前年比12%と急増したためと説明されることが多い。しかし電力・ガス会社が地域独占を背景にコスト削減意識が希薄なため、割高な価格でLNGを輸入し続けてた事実も見逃せない。  
<中国のシェールガス採掘で東アジアのエネルギー地図一変、パイプライン輸入に検討余地>
日本は国内原発の再稼働時期のめどが立たず、LNGの輸入増は避けれられない。輸入コスト抑制のため、調達先の多様化や契約価格の見直しが必要だ。特に安価な北米産LNGの調達は急務だ。三菱商事(8058.T: 株価ニュースレポート)が東京ガス(9531.T: 株価ニュースレポート)などと共同でカナダ産シェールガスをLNGに加工して日本などアジアへ輸出するプロジェクトなどが動き始めており、同様の取り組みが拡大することが期待される。
また東アジアのエネルギー供給体制は大きく変わりつつあり、パイプラインによるロシアなどからの天然ガス調達も検討の余地がある。中国はトルクメニスタンの天然ガスをパイプラインで輸入しており、その価格(100万BTU当たり10ドル前後)を基準として、ロシア産天然ガスの輸入では強気の値引き要求をつきつけて交渉している。中国はシェールガスも米国を上回る可採埋蔵量があるとされ(米エネルギー省試算)、昨年に英蘭資源大手ロイヤル・ダッチ・シェル(RDSa.L: 株価企業情報レポート)が採掘に成功したのを契機に大規模な増産を進める予定。
中国のガス調達力強化で、ロシアは売り手確保に躍起になっており、北朝鮮を経由した韓国向けパイプラインの敷設計画を急ぐ。日本は財界首脳がかつて「赤いガスはいらない」としてサハリン産ガスの輸入に難色を示すなど、ロシア産エネルギーへの依存度を高めることを警戒する向きが多いが、国益を考えれば「メンツを捨てなければいけない」(石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の石井彰特別顧問)との見方もある。
(ロイターニュース 竹本能文:編集 山川薫)

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