2011年11月19日土曜日

また、ばら撒きですか。。

APEC参加の土壇場までだんまりを決め込んで逃げていた野田氏であったが、11日の国会質疑において佐藤ゆかり氏のITP条項に関する質問に全く答えられないという失態を見せた。

条約は国内法の上位にあることを首相や経産相たるものが認識していなかったことが露呈した(経産相はいやしくも弁護士であるから、認識していなかったはずはなく、国民に対して都合の悪いことは詳らかにしなかったということだろうか)。

あわてて、ハワイに土産物持参でかけつけたが、ときすでに遅く条約の大枠の合意に至る会議にオブザーバーとして参加することさえ許されず終わりながら、「参加表明ができた」とへらへら笑いで集合写真のおさまる日本の総理、何たる醜態、何たる外交力のなさだろう。

野田氏はその後、ASEANプラス6の会議にでかけ、途上国に2兆円のインフラ整備を約束し、殿様気分でご満悦の様子であったが、結局日本は途上国にニコニコ顔で金をばらまくだけの気のよいカモでしかない。北朝鮮ではないけれども、外交手腕さえあれば、闇雲にあちこちに気前よく金なぞばらまかなくても、周辺国が一目置く存在になることはできるはずである。

金がない、増税だ、増税だと騒ぎ立てる一方で、3.11以降、原発災害を過少に見せかけることに汲々とし、被災者を故郷にとどまらせ、補償額を最小限に抑えておきながら、やれODAだのなんだのと途上国には大盤振る舞いを約束する。このインフラ整備もつまるところは、大手ゼネコンとそれに繋がる霞が関や政治家、途上国をほくそませるだけで、国民は、老いて衰えても容赦なく、死ぬまで働くことを余儀なくされ、税金という高い代償を支払わされるだけである。一体全体なんというひどい国になったのだろうか?

アメリカの超党派議員は日本とのTPP交渉判断を慎重にとオバマ政権に要請しているという。評論家の中では、TPPにいれてもらえなければ、日本の経済はお終いであるかのような論調の者もいるが、日本の経済が凋落の一途をたどっていることは、TPPに入ろうが、入るまいが関係ない紛れもない事実である。

そんな日本が今やらなければならないことは、是が非でもTPPに入れてもらって、世界に誇る日本の医療制度や食物の安全基準をアメリカン・スタンダードに押し曲げることなどではない。外圧などに依存せず、農家への戸別所得補償制度のような悪しき農業政策を自主的に撤廃し、ASIAN諸国やインド、ブラジルとしっかり手を組み貿易の自由化を促進する一方で、中国とアメリカを上手く相手取って、国益のために立ち振る舞うことである。

国家である以上、国家を代表するものが国益のために、国民のために立ち働くのは当然である。

税金のばら撒きとアメリカへの追従しかできないのであれば、霞が関官僚も政治家も(緊急事態に備えて待機が必要な者以外は)直ちに公務員・議員宿舎を返上し、とりわけ幹部は給料・手当・退職金の大幅な削減に甘んじて頂きたいものである。

むろん、国益を守るための必要最小限度の法律のルール(条約が国内法よりも上位にあること)すらご存じないような総理には、早々に外交交渉の場から、お引き取り願いたい。

以下、ロイターの記事及び佐藤ゆかり氏の国会質疑の一部を転載する。

http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-24069420111109

「日本とのTPP交渉判断慎重に」、米超党派議員がオバマ政権に要請

2011年 11月 9日 14:28 JST
 
 [ホノルル 8日 ロイター] 米下院歳入委員会と上院財政委員会の幹部を務める超党派議員4人は8日、オバマ政権に対し、日本が今週環太平洋経済連携協定(TPP)交渉に参加する意向を表明した場合、議会との事前協議なく早急に決断することがないよう要請した。
 議員グループが米通商代表部(USTR)のロン・カーク代表に宛てて書簡を送った。
 それによると、議員らは「日本が交渉に参加すればTPP交渉に新たな次元と複雑性が加わることになる。このため(米政府に対し)いかなる決断も下す前に連邦議会その他の関係者に相談するよう強く求める」と要請した。
 その理由として、同書簡は「日本は長い間、国内市場を意味のある競争から保護してきた」と指摘し、米国は日本政府が本気で市場を開放し、米自由貿易協定(FTA)が求める高い水準を満たす用意があるのかを十分確認する必要があるとしている。
 ハワイ州ホノルルには、今週末に開催されるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議を控え、各国の高官が集結しつつある。12日には、このうちTPP交渉に参加する米国、オーストラリア、ニュージーランド、チリ、ペルー、シンガポール、マレーシア、ベトナム、ブルネイの9カ国の首脳による個別の会合も予定されている。

http://blog.livedoor.jp/amenohimoharenohimo/archives/65774846.html
http://youtu.be/XJtWmYBNKck

2011年11月11日国会 佐藤ゆかり議員TPP質疑


議長「佐藤さん」
佐藤「まあこのISD条項とかですね、このTPPの条約というのはやはり悩ましいのはですね。先ほど小宮山厚労大臣からは、この患者さんの外科手術の特許についてお答えいただきました。今国内法でそういう特許は許されていないと。そしてまた鹿野農水大臣からはですね。まあ今こういう国内で外国企業を差別化するような法律はないと、いう事を伺ったわけでありまして。
仮に今後ですね、日本が国内法において、『これは水の安全保障に関わる事案であるから、国内法を設置して外国企業と国内企業によって水資源の近隣の土地の買収は何らかの差別化をするんだ』と、そういう事案を設けたとしてもですね。これは条約ですから、国内法が曲げられるんですよ。そのことをですね、野田総理いかがお考えですか? 総理、お伺いします」
議長「野田内閣総理大臣」
野田「あのーまさにこれ通商の交渉だけではなくて、あの社会的な影響が色々出る分野があるということをよく理解をしながら、踏まえながら対応していきたいと思います」
議長「佐藤さん」
佐藤「国内法が条約によって曲げられるという認識について、TPPの絡みでどう思いますか?
議長「野田内閣総理大臣」
野田「基本的には我が国の守ってきたその法律で、対応できるように交渉をしていきたいというふうに思います」
議長「速記をとめる、速記をとめる」
※速記止まる。
字幕「ただいま速記を中止しておりますので音声は放送しておりません」
※音声復活(16:59)
議長「はい、それじゃあ答えてくれますか?」
※喧騒
議長「はい。野田内閣総理大臣」
野田「国内法よりも条約のほうが上位にあって、それに対応しなければいけないという、その現実の中でどう対応するかということを考えるということでございます」
※「何をいってるんだー!」「おいおいおいおい」
議長「佐藤ゆかりさん」
※「どうやって対応できるんだよー!」「何いってるんだよ本当に」「とんでもないことをいったよ今」※個人的に出川哲朗さんの声に似ていてちょっと吹いた。
※なんか話し合い
議長「はい、それじゃあ。速記は止まってるんですよ」
※速記止まる。
字幕「ただいま速記を中止しておりますので音声は放送しておりません」
議長「内閣総理大臣野田佳彦くん」
野田「これですね。投資協定、えー、裁判管轄の問題を国際仲裁に判断に委ねる、そういうような場合ですね。うん。仲裁人が入ってきて、仲裁人によって決めていくということなんで。というプロセスがあるということで、よん、えー……」
※「これほんとに、委員長申し訳ないですけど、」「おい総理ーなにをしてんだよー」
※速記止まる。
字幕「ただいま速記を中止しておりますので音声は放送しておりません」
議長「それでは内閣総理大臣野田佳彦くんに答弁を求めます」
野田「あの、ISDSの話で、あの、話だったもの、もんですから、ちょっと私あまり寡聞にしてそこ詳しく知らなかったんで充分な答えじゃなかったんですが。あのその中で、あの、まさに条約と国内法との上下関係だったらそりゃ条約です。だから、だからこそ、この我が国が守ってきたもので、いいものだというものを条約を結ぶために、それを殺してく、壊してく事はしないというのが基本的な考え方でございます」
議長「佐藤ゆかりさん」
佐藤「あのーすでにですねー日本は仮に総理がAPECで参加表明をしてもですね、米国で先ほど言いましたように90日議会で承認手続き掛かるんですよ。要するにTPPの中身の、条約の中身の交渉は、我が国日本としては手遅れなんですね。もう、決まった段階で二者択一で、日本政府これを丸のみするんですかしないんですか、どっちにしてください、どちらかにしてくださいよと、それを半年後以降に言われるしかないんですよ。
ですから、日本の国内法というのは条約が上位にあるわけですから。TPPで決められたものを丸呑みすれば、国内法は曲げなければいけない、変えなければいけない。TPPを選ばなければ国内法はそのまま我が国が管理をすると。そういうシナリオになるんですね。その条約のことをお答えいただかなかった。総理、これあの、ごく当たり前の質問でしてね、憲法に書かれてることですから、私はお伺いしたまでで、ちょっとすぐにお答えいただかなかったのは非常に、これは、ある意味驚愕して、まあここで決めるってことはですね、こういうことも分からないで、お決めになるということはあまりに国民軽視ではないだろうかな、非常に大きな問題を感じたわけであります。」
※「断念しろよ!」「ハッキリ言えよ!」
佐藤「さてあの、それでですね、この水ビジネスの件は今、我が国日本でも関わってますから、少し掘り下げてお伺いしたいと思いますが。え、この、いわゆるISD条項の賠償リスクについてですね。ISDというのはInvestor-State Dispute(=投資家対国家間の紛争)。えーステイト、国に対する訴訟なんですね。まあというふうに理解をされてるわけでありますが。ステイトの定義についてもう1度確認をしたいと思います。あの連邦政府、アメリカやカナダによってはですね。連邦政府があって、ブリティッシュコロンビアのように州政府がある、訳でありますから。ステイトに日本の地方自治体が入らない、当然入らないとは思いますが、確認をさせてください」
議長「はい、それは、あ、山口外務副大臣」
山口「ステイトは締約『国』を指すと解釈してます」
議長「佐藤さん」
佐藤「えーその確認ができましたので。それでですね、そうすると、この水ビジネスの例にもありますように。これからですね。地方自治体が我が国日本では、まあ復興予算もつけます、企業立地もこれからやってかなければいけない。円高で空洞化対策もやってかなければいけない。いろいろ地方自治体が受けた予算や税制を駆使してですね。企業誘致をしていかなければいけないんですね。
で、その時に様々な安全性の角度から規制強化をするような自治体もあればですね。あるいはこの企業誘致で様々な行政で、この企業、外国企業も引っ張ってくる事例というのも出てくる訳でありますが。その中で特に空洞化対策で言えばですね、やはりこの、政府発注、公共事業の発注などにおいてもですね。地元の業者を優先的に発注するような事例っていうのはどうしても出てくると思うんですね。
で、そうした中でこのISD条項というのが関わってきますと。当然ながら外国企業はですね、この地元優先の事業、政府調達、不公平じゃないか、我々の利益が損なわれたといって、まず、これは日本の国が訴えられますよ。そして、こういうですね、様々な地方自治体のやる、様々な地方行政措置についてですね、国が1つ1つそれをモニターしてリスク管理することはできないんです。でも実行するのは地方自治体ですよ。でも、訴訟を受けるリスク、管理をするのは国なんです。これをどうマネージをしていくとお考えですか? 総務大臣お答えいただきたいと思います」
議長「総務大臣川端達夫君」
川端「えー、現在も先生よくご案内だと思いますけども。えー、アメリカは入っております、え、FT、え、アメリカとはやっておりませんが、諸外国と15の投資協定9つのEPAを締結しております。この中で、の、ものに関してはISDSの手続きを組み込むということで協定を結んでおります。そういう意味におきまして、えー……総務省の立場だけで申し上げますと、そういう事で、えー要するに、外国との差別をしてはいけないということが全部含まれておりますので、そのルールに基づいた部分で、えー……、シッカリとそれが……、遵守されるということを関係省庁と連携をしながら、徹底をしているところであります。その延長線上にあるということであります
議長「佐藤ゆかりさん」
佐藤「まあ特にですね。この、国内政策において、先程からですね、社会保険の分野でもそうですし、水ビジネスの分野でもそうです。そして、政府調達の分野でもそうですが。
やはりこの地方自治体の努力とですね、国の訴訟リスク、これをどう管理していくか、これは到底できない話でありましてね。そういう中でISD条項のほうが日本の国内法より優越してくるわけでありますから。非常にこれはある意味危険な時期尚早な判断というのは、野田総理、ぜひ避けていただかなければいけないなあ、というふうに思うわけであります。
先ほど衆議院の予算委員会のご答弁でですね。枝野経産大臣もおっしゃっておられましたが。まあ国内法でですね。こういったものをしっかりと守るんだから、例えば先程のご答弁では、遺伝子組み換え食品についてですね、あるいはBSEの食肉の問題について、輸入を強要されればですね、国内安全基準できっちりと守るから大丈夫なんだと、そういう枝野大臣ご答弁されておられましたね(笑)。先程午前中。無理なんですよ、国内法がこのISD条項にえー、の劣位にあるわけですね。ですからそんなことは、とっても無理なことであって。ご答弁、午前中のご答弁は余りに無理であると。えー問題であるということを申し上げておきたいと思います。
まあ要するにこのISD条項というのは、治外法権で」
議長「いやあ、しかしねぇ。あの…」
※「発言中に手を上げるのはけしからんよ」
議長「いや、いやいや。名前を言ってるから手を上げてるんで。そういう答弁……」
※速記止まる。
字幕「ただいま速記を中止しておりますので音声は放送しておりません」
佐藤「まあ要するにですね、国内法は曲げられる、治外法権を含むですねISD条項を含む、TPP条約、TPP協定だということを、あの、明言をしておきたいと思います。
さて時間もないので次に移りたいと思いますが。えーこうしたですね、デメリット……社会保障の問題、あるいは、農業の問題、いろいろ上がりました。水ビジネスの問題ありました。で、そのデメリットに対してメリットをできるだけ大きくして、そしてトータルで日本経済として前に進んでいくにはどうしたらいいかと。そういう議論が大事なわけであります。
そこで先ほど冒頭の話に戻りますが。総理にお答えいただきましたし。また衆議院の予算委員会で総理は繰り返しおっしゃっておられました、このTPPがFTAAPに向けてのベストのシナリオなんだと。そしてこれで約10年間で2.7兆円実質GDPを押し上げると。まあ0.54%実質GDPを押し上げるという数値が内閣府のGTAPモデル(ジータップモデル)の試算結果で出ているわけでありまして。これが総理のまあ考えの拠り所になっていると、いうふうに、認識をしてるわけであります。
そこでですね。このパネルをご覧頂きたいと思いますが……。
まあこの同じ内閣府のですね、GTAPモデルなんですが。残念なことに内閣府の中で独自にこのGTAPモデルを回せる人がいないと、いうことで外部のですね。川崎研一さんという方が唯一、政府の委託でやっていると。まあそういう政府の委託で外部の人が試算したものに則って、総理がこれから数時間後にTPP参加表明をするかどうかと。いうことをやるというそういう次元の話を私たちはしているわけでございます。
まああの、いろいろですね。このパネルをご覧頂きますと。いろいろな包括的自由貿易協定ってのは種類があります。FTAAPに向けてですね、TPPが右のコラム、赤ですね。そして日中韓のもありますし。ASEAN3、ASEAN+6。
まあ要するに結論から言いますとね。このASEAN+6の青の、青の部分とTPPの赤。下のグラフで御覧ください。えー日本、シンガポール、オーストラリア、米国、全て経済押し上げ効果が高いのは青いほう、ASEAN+6であって、TPPじゃないんですよ。」
※会場「おおーーーー」
佐藤「それで、一番右の米国だけ、アジアに入ってないわけですから、どうしてもTPPが欲しいわけですね。ですから、アジアはもうすでに、日本もですね、全てEPAを組んでいますから、そのベースでどんどんASEAN+6に向けて広げていけば、TPP以上の経済効果が得られるんですよ。これが内閣府の使っているGTAPモデルの結果でもあるんです」
※「誰のための条約なんだいったい!」

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