2011年5月15日日曜日

8割が「その他の原発も中止すべき」: ロイター・オンライン調査の投票結果

全国紙各紙の統計を見ていると、(福島第1・浜岡以外の)「原発を止めるべき」という意見があたかも少数であるかの如くに見える。

大体、新聞各紙や放送局各社が実施する世論調査ほどあてにならないものはない。

私は、昔からいったいどんなデータのとり方をしているのか大変興味があり、これまで何十年にもわたって、いろんな場面で接触した日本国籍を有する何千人もの、様々な年齢層、出身地、業種(主婦・無職も含む)の成人男女を対象に、「自身や兄弟姉妹、友人、知人、家族の中に、新聞各社や放送局などが実施する世論調査の類に協力を求められたことがある人がいるか」問い続けてきた。

大変興味深いことに、「ある」(本人ではなく、家族の中に)と答えた者は、いまだかつてたった一人しかいなかった。

しかも、その70代の農業従事者の男性一人に限っては、これまで新聞やテレビなど、複数の世論調査への協力を求められていたというのである。

このことから考えても、いかにこの種の調査がうさんくさく、偏ったものであるかがわかるし、結局、マスコミが、自分たちの都合のいい方向に大衆を誘導する意図で実施していると疑いをもっても致し方がないような方法で、行われていることが容易に推察される。

前のブログに、最近行われたNHKの原発の賛否を問うた世論調査の結果について書いた。原発の周辺住民に賛成するものが多く、それ以外の人たちに反対者が多いというような、わざわざ調査しなくてもいいような陳腐な結果が公表されていた。

いうまでもなく電力会社やその恩恵を浴してきた関連企業の社員やその株主、賄賂や交付金などを受け、さんざん甘い汁を吸ってきたメディア各社のジャーナリストや政治家、御用学者、原子力関連事業に関わってきた公務員とその家族は、震度8クラスの地震に伴う大津波が列島の海岸沿いにあと何回押し寄せ、各地の原発の冷却装置が故障し放射能漏れが続いたところで、自分がそこの住人ではない限り、みんな声を大にして、脱原発に大反対をするだろう。

しかし、ことさら原発がなくても何の支障もない、それどころかお粗末で無責任極まりない電力会社や国のつけを、支払わされるはめになる国民が、原発の危険性とコストの大きさを知った今なお、原発を温存させる意見に賛成であるとは、いくらおかみに弱い日本人とはいえ、常識的にみて、非常に考えにくい。

唯一そうした人々が「原発に賛成せざるを得ない」と考えている大きな理由があるとすれば、それは、「日本の電力は原発に頼らなければやっていけない。原発を一つ止めただけで大停電を覚悟しなければならず、国の経済活動が停滞してしまうのだから、止めてしまっては大変なことになる」とか「原発以外だと、非常に高いコストがかかり、たちまち電気代に跳ね返る」と、信じこまされていることに拠るものであろう。

現に、私自身も福島の原発事件が起こるまでは、そのように信じ込んでいた一人である。

しかし、「原発に頼らなければ何ともしようがない」といった考えが、実際、何の根拠もないものであることについては、小出裕章氏が、今日本各地にある火力発電所を遊ばせずにきちんと稼働させるだけで(水力発電までフル稼働させなくても)十分にまかなえることを力説されている。

また原発がいかに高コスト事業であるかという点についても、大島教授や河野太郎氏が説明している。

そうしたこれまでは、原発推進派によって社会の片隅に押しやられてきた人たちの意見に、真摯に耳を傾ければ、地震大国の日本が、海外線上に54基もの原発を持つということが、いかに無謀で危険極まりないことであり、致命的であるかは、火をみるよりも明らかである。

実際、今日のロイターの日本語版のウエブページの、ロイターオンライン調査の結果は、新聞やテレビ局の世論調査の結果とは異なり、納得できるものであった。、

「30年以内にM8級の東海地震発生の可能性87%」を根拠に浜岡原発の全面停止を菅総理が要請し、それを中部電力が受諾。あなたの考えはーーという質問に対して

●停止の必要なし
●停止決定に満足
●他の原発も停止すべき


の3択の回答項目に対する、投票結果は


停止の必要なし  (7128 votes, 9%)
停止決定に満足   (9094 votes, 12%)
他の原発も停止すべき  (61371 votes, 79%)

http://jp.reuters.com/

となっており、「他の原発も停止すべき」といった意見が圧倒的多数を占めているのである。 

むろんロイターのウェブページを見るような人たちは、世界の出来事に関心をもった人々であり、
わざわざ投票をする人はこの問題に関心の高い人といえるが、少なくとも日本の電力会社や政府の圧力からフリーな報道機関が実施した世論調査結果の一つとして高く評価できるものと言えるのではないか。

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