2011年7月3日日曜日

コピペ資料 WSJ 設計上の欠陥が「事故を悪化させた 原発 


http://jp.wsj.com/Japan/node_257234

設計上の欠陥が事故を悪化させた―福島原発


東京電力の幹部技術者らは、福島県の5基の原子炉に危険を生じ得る設計上の欠陥があったことを、長年にわたり把握していた。しかし、東電はその欠陥を十分に改善せず、震災が起こった際に事故が起こる結果となったことが、ウォール・ストリート・ジャーナルの調べで明らかになった。
イメージTepco
爆発により損傷した、福島第1原発の1号機
この記事は、東京電力の現役、および引退した幹部技術者十数人に対する取材を元にまとめた。その中には、1970年代に行われた、設計に関する決定に深くかかわった技術者もいる。そのうちの数人は、ここ数十年の間に、東電は古い原子炉を改良する機会があったと言う。それができなかったのは、大丈夫だと思う気持ちと、コスト削減の圧力と、規制の緩さが原因だと、彼らは話す。
「(新しい)6号機で使い始めたやり方を、福島第1の原子炉に当然すべて採用すべきだった」と、88歳の豊田正敏氏は言う。東電の元副社長で、原子炉建設の監督に力を貸した人物だ。彼は設計の欠陥に気づかず、のちにそれを修正しなかったとして、自身を責める。
イメージNorihiko Shirouzu for The Wall Street Journal
東京電力元副社長の豊田正敏さん
東電の広報担当者は、現在日本政府が事故の原因について調査を進めているとして、この件に対するコメントを控えた。
古い原子炉を使っているのは日本だけではない。米国も30年以上稼働している原子炉が数十基あり、そのうち23基は福島の旧型の原子炉と同じ、ゼネラル・エレクトリック(GE)製のものだ。今後数年のうちに、運転許可の更新が必要なものが数台ある。ドイツやスイスでは古い原子炉をそのまま引退させ、福島の事故後、原子力発電も止めるという決定をした。
福島県の発電所は新型のものも含めて、すべてがGEの設計を基盤としている。GEは日本にあるGEの原子炉の点検・修理などを行うという実入りの良い契約を結んでおり、パートナーである日立とともに、古い原発の寿命を延ばすべく、世界で活動を行っている
GEは福島の原子炉の欠陥については、東電が設計変更を担当していたのだから、GEの責任ではないと言う。GEの広報担当、キャサリン・ステンゲル氏は、福島第1原発における非常用ディーゼル発電機の設置は、東電と行政当局が確認して、許可されたと言う。
福島で最も古い原発の建設は、1960年代に行われた。震災以後の放射線問題すべてを引き起こしている福島第1原発は、東電にとって最初の原発だった。同原発は太平洋に面しており、ある意味、実験室のような位置づけだった。第2次世界大戦の終結からわずか20年ほどだった当時、日本には自国で原子力発電所を設計する能力はなかった。そこで、GEから原子力技術を卸してもらったのだと、日本の技術者たちは言う。
初期の原子炉はGEの「マーク1」を用いていた。建設を担当したのは、アメリカのエバスコ(Ebasco)という企業で、同社は現在は存在しない。原子炉を小さく、安価にするためにエバスコは原子炉建屋を小さくしたと、豊田氏は言う
原子力発電所は、不安定な核燃料を継続的に冷却し続けなければならない。このための冷却装置は電気で動き、電気は通常その国の電力網から引いてくる。電力網が機能しなくなった場合、原発のディーゼル発電機などの非常用電源が作動し、冷却装置を動かし続ける。これらの機器が作動しなければ、原発は炉心溶融の危険にさらされる。
東電の最初の原子炉建屋は小さかったため、非常用発電機は別の場所に置かなければならなかった。技術者らは、発電機を隣のタービン建屋に置いた。原子炉建屋は要塞のように厚いコンクリートの壁に囲まれており、頑丈な二重扉がついていた。それに比べるとタービン建屋、特にその扉はずっと造りが貧弱だった。
「原子炉の安全が主目的。だから、原子炉建屋に置くのが当たり前だ。耐震設計でクラスAの場所に置かなきゃいけない」と、豊田氏は言う。「津波が起こっても、ディーゼル発電機が原子炉建屋に入っていれば、今回のような事故は起こらない。ディーゼル発電機がタービン建屋にあったということを、私を含めて気がつかなかったのは残念だと思っている」
東電で原発技術担当の幹部だった岸清氏は、最初に設計が行われた当時は、福島の太平洋岸で大きな津波は「起こり得ない」というのが常識だったという。のちに東電は、この原発の(すべてではなく)一部を手直しし、5.7メートルの津波に対応できるようにした。だが、3月の津波はその倍以上だった。
1970年代以降、何度も福島第1原発を訪れたというある東電の技術者は、原子炉建屋は非常に窮屈で、通常の作業をするあいだ、バルブひとつを設置するのにも苦労したという。「マーク1はひどい設計。1人しか上れないようなはしごを上らなければいけない。時間もかかって、非常に効率が悪い」と、その技術者は言う。
東電の技術者らによると、東電はマーク1にまったく満足しておらず、福島第1原発の6号機を計画している途中で、別の設計を採用することにした。もっと細身のGEの原子炉、「マーク2」を導入し、建屋自体も大きくしたことで、6号機の建屋には予備の発電機を内部に置けるだけの十分なスペースができた。
1970年代後半、11キロほど離れたところに福島第2原発の建設を始める際には、東電はさらに設計を改善した。4基の原子炉がつくられ、そのすべてでマーク2が採用された。また、このマーク2には、津波や地震に対応しやすい仕組みを施しており、「ずっと日本向け」の仕様になっているのだと東電の技術者らは話した。
GEによると、同社は1980年代に米国と日本で、技術の進歩に合わせてマーク1の設計を改良したという。GEはマーク1は安全だという。
1987年、東電は福島県で最後となる、10番目の原子炉を開設した。福島第1原発の1号機から5号機までは旧型で、残りの5基は新型だった。
その後、東電は原発を繰り返し改善し続けた。日本政府も、何度も耐震基準を厳しくした。旧型の原子炉用の非常用ディーゼル発電機を納めたタービン建屋は、耐震安全性評価ではクラスBで、新型の原子炉用の非常用電源が入っている原子炉建屋のクラスSよりも、低い評価だった。
非常用ディーゼル電源の不統一な置き方、設置のやり方についてはみんな気が付いていた」と、東電の原子力部門を指導してきた幹部技術者は言う
その技術者によると、1987年に政府による定期検査の準備をしていた時、この予備発電機の置き場所は「違いが際立っていた」という。彼は同僚に「この問題を解決すべきか」と尋ねたと話す。
別の専門家は、タービン建屋の地下だから、耐震上大丈夫だと言ったという。結局、その技術者は、「特にこだわってやるマスト・フィックス(必ず直すべきこと)ではない」と考えたと話す。
副社長の豊田氏は言う。「その後たびたび、耐震設計などの見直しをやっている。それでもやっぱりお金がかかるということで、言い出せなかったのかもしれない」
東電はこの頃から、電気料金の高さを批判されており、そのような大きな変更は困難だったと、同社の元幹部は言う。
1998年、新たな規制に対応するため、東電は福島第1原発の各原子炉に、少なくともそれぞれ2台の予備ディーゼル発電機を設置することを決めた。新しく設置することが決まった2号機と4号機の予備発電機は原子炉の隣、山側の高い位置に新たに建てられた専用の建物に納められた。これらの新しく追加された非常用電源を通して、福島第1の6基の原子炉はすべて、脆弱なタービン建屋以外の場所に設置された発電機を備えることになった。
これは安全性の面で大きな進歩だった。3月11日の津波が起こったときには、すべての原子炉で予備の電力を確実に得られるようになるまで、あと一歩のところまで来ていた、と言うことができる。具体的にあと一歩とは、追加された予備発電機から原子炉の冷却装置に電気を送る配電盤の問題だった。日本の技術者たちは、この配電盤を「メタクラ」と呼んでいた。配電盤のカバー「メタル・クラッド(金属製の覆いの意)」を省略した言い方だ。
1990年代後半に3機の非常用電源が追加された後も、第1号機から第5号機の「メタクラ」は依然として、耐震安全性評価クラスBの脆弱なタービン建屋にあった。それは、電源追加の機会にも変更されなかった(6号機ではそもそもの設計がより進歩していたため、すでに「メタクラ」は原子炉建屋に入っていて、追加の電源もこの配電盤を通して原子炉の冷却装置につながれた)。
東電の元副社長で、1990年代後半に予備発電機など、原発設備を担当していた友野勝也氏は言う。「やりやすかったからじゃないか。それ以外には想像できない。メタクラが(タービン建屋のなかに)あるのだから、わざわざ新しいメタクラをつくらなくてもいいと。設計グループの中に入って、喧々諤々と議論をした事実はない」
2001年には、福島第1原発1号機の、30年間の運転許可が切れることになっていた。東電は10年間の更新を求め、受理された。2011年初め、東電は再度の更新許可を得た。事故のわずか5週間前だった。政府審議を要約した議事録によると、規制当局は、旧型の原子炉の基本的な設計に欠陥があるか否かを、検討し直すことはなかった。
原子力安全・保安院、原子力発電検査課の青山勝信氏は、設計については原発建設の時点で検討されたという前提で、更新が行われたと話す。したがって、そもそもの設計や建設については議論されず、焦点となったのは、パイプの適合具合などだったと言う。
原子力安全・保安院は、経済産業省の一機関であり、原子力発電を促進する役目も担う。経済産業省は、原子力発電を日本の発電量の半分以上にすることを目標としている。昨年は30%ほどだった。この目標はごく最近、2010年6月に菅直人首相により再度確認された。
3月11日午後3時30分頃、マグニチュード9.0の地震が起きてから45分後に、大津波が福島第1原発を直撃した。送電網は使えなくなり、1970年代からタービン建屋に置かれていた予備発電機は水につかった。
1990年代後半に追加され、山側の建物に置かれていた3台の発電機は動き続けていた。しかし、そのうちの2台は、1号機から4号機では役に立たなかった。なぜなら、非常用発電機から冷却装置に電気を送る「メタクラ」が、タービン建屋の中で水につかっていたからだ。「スイッチヤード(配電盤)に水がついたら全部だめになる」。東電の友野元副社長は言う。
その後、1号機から3号機までで、核燃料が過熱し始めた。核燃料が溶け出し、放射線を放出するリスクがあった。数時間のうちに、1号機の燃料はほぼ完全に溶け、圧力容器の底に落ちたと東電は言う。
その数日後、1号機と3号機で爆発が起こり、原子炉建屋はひどく損傷した。3号機から漏れた水素が4号機の建屋の爆発を引き起こしたと考えられ、2号機でもおそらく爆発が起こった。複数回の爆発により、空気中に放射性物質が放出された。
一方で、5号機と6号機、および福島第2原発は、安全に冷温停止状態となった。6号機では、原子炉建屋内に置かれた2台の発電機が一時的に作動しなくなった。おそらく、排水管から水が内部に入ったためだろうと、東電の関係者は言う。だが、別の建物に置かれた非常用ディーゼル発電機が作動し続け、損傷していなかった「メタクラ」を経由して、電力を原子炉建屋に供給した。東電はこの電力を、隣の5号機にも使うことができた。
大きく損傷した原子炉は、冷温停止に至るまでまだ何カ月もかかる。
東電の元幹部で、原子力発電技術を担当していた岸氏は、自分が何十年をも費やしてきた原子力発電所が、煙となっていくのを見た。岸氏は、福島の旧型と新型の原子炉の違いは、「あまり数字に出ない。一見大した違いには見えない」という。
だが、振り返ってみると、と岸氏は言い、東電が高い基準を一貫して適用しなかったことが、「基本的な欠陥」だと言う。それが、福島の運命を決め、世界中の原子力発電の未来に影を落としている。

未必の故意に加担した人間は罰せられるべきでは?:封じられてしまった原発事件回避の好機

去年、フクシマ原発が、大事故を回避する最後の大きなチャンスがあったという(WSJ)。にもかかわらず、それは原子力安全基盤機講の担当者によってあえなく封じられてしまったらしいし、審議会の出席者は推進派側の意見を是認してしまった。
マスコミや事故を調査する委員会は、名指しでこの審議会に誰と誰が参加し、何処の誰がどんな検査結果を提出し、原子力安全機講の誰がどんな発言をしたり、対応をして、大事故回避のチャンスを見過ごしたのかを明らかにすべきではないか。
「未必の故意」に加担した関係者は厳罰に処するべきである。
電力会社や、原子力推進者がすべてこの事件の収束にかかる莫大な損害費用を100パーセント、自分たちで責任を持って負担するわけでもなく、国民から電気代や税金を絞りとってそれを充当しようとするのであれば、国民は事の次第を知る権利がある。
そもそも誰のせいで、このような馬鹿げた状況が引き起こされたのか、誰も事の顛末の責任をとらず、責任を負うべき電力会社は地元首長を懐柔して、原発再稼働をしようとやっきになっている。玄海などは、専門家が大爆発する可能性があるとも言っているにもかかわらず、全く聞く耳を持たないどころか、経産相が地元にでかけて、積極にあたっているような始末だ。
危機管理も、危機意識すらもてないような金の亡者の暴走を国民はいつまで黙って看過ごすつもりなのか。新しい原発の建設はいうまでもなく、老朽化した原発、大事故が発生した場合人口密集地に影響が及ぶ地区、活断層や海抜の低い土地に設置された原発は直ちに止めてしかるべきである。

ましてや福島原発の事故の責任を問わないと最初に明言するような手緩い事故調査委員会などに、事故の調査を委ねていては、抜本的な問題が追及されず、同じような事故が繰り返され禍根を遺すばかりの結果になることは、はじめから目に見えている。

事故調査委員会のトップのセンセイは、事故の繰り返しによって、だんだん技術が向上するという思想の持ち主らしい。しかし、原発は、電車や車、回転ドアとは本質的に違う。原発で大事故がおこり、水蒸気爆発でも起これば、日本のような小さな国土は確実に消滅しかねない。その最も根本的なところを全く抑えておられないのではないかと思われてならないのは、 薔薇っ子だけだろうか。

福島原発―逃された事故回避のチャンス


【東京】日本の規制当局は気づいていなかったが、昨年、福島第1原発1号機の事故を未然に防ぐ最後のチャンスがあった。
イメージJAPANESE SELF-DEFENSE FORCE/AFP/Getty Images
福島第1原発1号機(3月末)
それは、東京電力の申請に基づき、経済産業省原子力安全・保安院が福島第1原発1号機の今後10年間の運転継続について検討したときのことだ。検査官が2日間をかけて原子炉を見て回り、あらゆる主要部分について技術仕様と損傷を精査、何百ページにもわたる報告書をまとめた。
原子力安全・保安院は通常の手続きの一環として、外部の専門家で構成する審議会を開催し、このデータの検討を行なった。審議会は経済産業省のビルの最上階にある会議室で9カ月間に5、6回、会合を開催、審議の時間は4時間におよぶこともあった。
日本政府は審議会の議事録の概要を公表したものの、議事録全文は公表されなかった。概要によると、最初の3回の会合は平穏無事に行なわれ、参加者は官僚が用意した山のような書類を受け入れた。
しかし、2010年11月5日、出席者の一人が現状に疑問を呈する場面があった。この専門家が誰であるかは議事録の概要では明らかにされていないが、技術基準を監督する立場にある原子力安全基盤機構(JNES)を厳しく非難したのだ。この専門家は福島第1原発に設置されている非常用電源の天候悪化時の備えについて、JNESの対応が甘いと指摘した。この非常用電源は3月11日の大津波の被害を受け、作動しなくなるものだ。
JNESは福島第1原発1号機の検査を実施した。他の原発の原子炉では雨や海水による腐食が記録されていたにもかかわらず、1号機の検査では雨や海水による腐食は可能性が低いとして検査から除外された。
審議会に出席したJNESの担当者はこの専門家の批判に対して、一言、「わかりました」と述べた。その後、何らかの措置がとられたかどうかは明らかではない。この審議会の会長を務めた東京大学大学院工学部の幹部はコメントを差し控えた。
この批判が再び取り上げられることはなかった。今年1月19日に行なわれた最後の会合で、東京電力の一人の幹部が耐震措置について説明をした際に、異論を唱えるメンバーはいなかった。外部の専門家で構成された審議会は原子力安全・保安院に最終報告書のとりまとめをまかせた。
原子力安全・保安院は審議会が原発全体の構造ではなく、特定の部品や設備の耐久性に注目し、議論が狭い範囲にとどまったことを認めている。
1971年に運転を開始した福島第1原発1号機の構造は時代遅れだ。しかし、米国の規制当局が、安全性の向上確保と機能改善で原発を安全な状態に維持するという条件で、運転開始から何十年も経過した原発の運転継続を許可していたことから、日本も安心していた。
原子力安全・保安院は2月7日、福島第1原発の原子炉は60年間、安全に運転できるとの結論を出した。その際に、米原子力規制委員会が米国内の同様の原発に関して出した提言を引き合いに出している。ここで言及された米国の原発は地震が頻発する地域にあるわけでもなく、また、津波の脅威にさらされているものでもない。
そして、原子力安全・保安院は福島第1原発1号機の運転継続を認可、2021年までの運転が可能であると判断した。3月11日に東日本大震災が起き、1号機で核燃料のメルトダウンが発生して、原子炉建屋が爆発したのは、認可の日からたった5週間後のことだった。

2011年7月2日土曜日

小佐古氏 vs.西山氏: フクシマ原発をめぐるインタビュー

 ウォールストリートジャーナルは7月2日、元内閣官房参与で放射線安全学の第一人者と言われる小佐古敏荘氏をインタビューした。政府の放射能問題対応に涙の抗議をして辞任会見後、メディアの取材に初めて応じたという。

氏は今後放射能汚染の脅威がさらに露呈する可能があると警告し、政府の意思決定メカニズムはとても民主主義社会のそれとは思えず、東アジアの途上国のような状況であると言い切っている。

海外メディアにあれこれ発信するのも結構であるが、日本の国民に対しても、出版その他の形で、専門的な立場からしっかりとした発信をしていただきたいと願う。莫大な研究費が国民の税金の中から支払われたものであるならば、研究成果を国民に還元することことが、研究者としての第1の使命であろう。

このインタビューと好対照なのが、以下のブログの中に収録されている経産省の元スポークスマン、西山審議官の最近のインタビューである。

気になるのが、日本のエリート官僚の中でも最高位にいるとされる彼が、かくも稚拙な答弁しかできないという点である。それよりも何よりも、専門的なバックグラウンドを持たないド素人で、東電が娘の就職先であるという極めて個人的な繋がりを持つ彼が、原子力の専門家のごとく、東電に対して客観的な公人という立場にあるかのごとくにふるまい、発言している点に呆れ果ててしまう。

とりわけ、日本のエネルギーの30%は原発に依存してきたのだから、これからも必要であるという理由にもならない理由で議論を締めくくっている点などは秀逸である。

モラルといい、品性といい、教養といい、英語によるパブリック・スピーチの能力といい、日本の上級公務員試験・採用方法の在り方、エリート官僚の育て方を抜本的に見直さなければならない曲がり角に来ているのではないか。



【インタビュー】日本の放射能問題は深刻=元内閣官房参与・小佐古氏


【東京】菅内閣の元官房参与、小佐古敏荘氏(61)が原発事故に対する政府の対応を痛烈に批判し、今後、放射能の脅威がさらに露呈する可能性があると警告した
イメージAgence France-Presse/Getty Images
辞任会見で涙を見せる小佐古氏
 ウォール・ストリート・ジャーナルのインタビューに応じた小佐古氏は、菅内閣は海の汚染や魚への影響について迅速な分析ができておらず、汚染除去コストを最小限に抑えるために特定の放射能の危険性を過小評価していると述べた。日本の放射線安全学における第一人者である小佐古氏がメディアの取材に応じたのは、4月に内閣官房参与を辞任して以来初めて。
 同氏は、茶葉やほうれん草など、食品の汚染については、既に散発的に報告されているものの、今年後半、特に日本人の主食である米の収穫が始まった頃に、より広範な、憂慮すべき問題が明らかになるだろうとした。
 同氏は、「今年の秋の収穫の時期が来れば混乱がおきる。収穫した時に米の中に、どのようなレベルかわからないが、放射能が入っている。それがスキャンダルになり、東北の米は買わないということになれば、やっかいなことになる」と述べた。
 さらに、3月11日に原子炉が津波の被害を受けて以来、福島s第1原発の状況に対して政府がとってきた対応は、日本の政策決定のまずさを露呈したとし、「政府の意思決定メカニズムははっきりしない。どういう理屈で何を決めているのかはっきりしない。とても民主主義社会とは思えない」と述べ、東アジアの発展途上国のような状況になっているとの見方を示した。
 小佐古氏は、具体的に、校庭における放射能の許容水準を超える学校が17校にとどまるよう、政府は許容水準を比較的高いレベルに設定した、と述べた。同氏が主張していたようにより低い水準に設定した場合、何千校もの学校で全面的な放射能除去作業が必要になる。菅首相率いる民主党は補正予算の国会承認を得るために苦慮しており、同氏は、このようにコストがかかる選択肢は支持されなかった、としている。
 「今の内閣は生き延びるためだけに、色々な対策をうっているとしか私には考えられない」と同氏は述べた。
 本紙が小佐古氏の主張について政府のコメントを求めたところ、内閣府の高官が匿名で回答し、政府は海の放射能除去に向けて最大限の努力をしており、漁業従事者やその他関係者と緊密に協力していると述べた。
 同高官は、「特に主食の米には細心の注意をはらっている」と述べ、既に作付けは制限されているが、もし基準値を超える放射能が検出された場合は出荷を停止すると付け加えた。
 また、学校の問題については、政府は許容レベルの引き下げに向けて検討中であり、追加措置も考慮しているとした。
 今年4月30日、政府や学界の審議会などに数多く参加してきた東京大学教授の小佐古氏が菅内閣の官房参与を辞任したため、政府の原発事故対応をめぐる懸念に拍車がかかった。小佐古氏は、同氏を含む専門家が行った多くの申し入れは取り入れられなかったとしており、政府が定める校庭の放射能許容水準は「受け入れられない」とした。自分の子どもでもそういう目に遭わせることはできないと記者会見で涙をぬぐう同氏の姿は全国に放映された。
 その後2カ月間、同氏は東京大学で放射線安全学の講義に集中してきたが、まずは海外で心の内を明かす準備ができたと述べ、今後数週間は米国や台湾で講演を行う。
 同氏は、特に、被災した原子炉から周辺の海に廃棄された大量の放射性物質が海を汚染する可能性について懸念を深めている。政府は、福島第1原発の原子炉冷却過程で、何が海に廃棄されたのか、大ざっぱな報告しか発表していない。小佐古氏は、海水の監視や、汚染水の拡散状況の予想をこれまで以上に行い、海草から貝類、魚類にいたるまで様々な種類の汚染に対応するための措置を実行するように求め、「ずっとやれやれといってきたのに、やっていない」と述べた。
 同氏は辞任の際、官房参与だった6週間に行ったすべての申し入れをまとめた、「福島第一原子力発電所事故に対する対策について(参与提言を中心に)報告書」と題する分厚い文書を政府高官に提出した。本紙は独立した情報源からその文書のコピーを手に入れている。
 3月16日に官房参与に着任して以来、小佐古氏とその他の専門家の一部は幅広く様々な提言を行ってきたが、中には何週間も経ってから一般に知られるようになったものもある。例えば、3月17日には、政府の緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)で「合理的な最悪のケース」を使い、住民の被曝レベルを予想することを提言した。
 3月18日には、政府の原子力安全委員会に対し、SPEEDIによるシミュレーションに基づいて、当初の避難区域の妥当性を再考するように勧告した。
 しかし、SPEEDIデータは3月23日まで一般には公開されず、避難区域は4月11日まで変更されなかった。政府を批判する向きは、そうした遅れによって、何千人もの福島県住民が高レベルの放射能にさらされた可能性があるとしている。

2011年6月30日木曜日

原発の再開は株主総会の判断と地元の首長の方針だけで決めることですか?

各電力会社は昨日株式総会を開催し、脱原発提案を否定して、無事総会を終えたという。その後、電力株は軒並みに急騰、委任状を送りつけた大型株主にとっては、めでたしめでたしの結末ということだろうか。猛暑の中、わざわざ株式総会に足を運んだ多くの個人株主にとっては、全くの徒労であり、怒り心頭に発する結果に終わったようだ。

大型株主は電力会社から得られる既得権益を簡単に手放す訳もなく、株主総会の筋書きは最初から描かれており、個人株主はまさに無駄な抵抗、ごまめの歯ぎしりをしたということなのであろう。

こうした結果に勢いづいたように海江田経産相は今日、早速玄海原発再稼働のために現地を訪れ、玄海町の町長と佐賀県知事からおよその合意を取りつけたようである。政府は玄海の再開を弾みにして、一挙に全国の現在停止中の原発の再稼働に踏み切ろうという算段なのだろう。

100日以上たって収束の目処もたたない無様な対処しかできず、国民からの信頼が失墜した東電が原発継続の是非を大型株主の意向だけで、決めていいのだろうか。

冗談じゃないといいたい。事故の賠償を、会社と大型株主だけですべて負うというのであれば、まだしも、株主は責任を負わず、経営陣は高給に、高い企業年金、退職金ととれるものはなんでも分捕り、大きな負担と責任は、国民に押し付けておいて、何が原発継続の決議か。

地元の首長や県議会の決定で、原発の再稼働を決めるという旧態依然としたやり方も、原発事故の放射能被害が決して1つの県内にとどまらないことから考えれば、全くもっておかしいのではないか。

交付金をもらった自治体が、事故の被害を自分たちの市町村や県内だけにとどめることができ、何が起きても全責任をすべて自分たちだけで負うと確約するのであれば、こうした物事の進め方も理にかなっていると言えるかもしれない。

しかし、地元は交付金をもらえるだけもらい、さんざんいい思いをして危険な原発を容認し、事故が起きれば負担と責任だけを国民に押し付ける。そんな不公正なことが、いつまでも容認され続けていいのだろうか。

原発を継続するか、しないかは、消費税や電気代支払っている国民全体が投票で決めることであるし、そのためにテレビ中継による公開説明会、シンポジウムを何度も開催し、原発の専門家の中でも立場の違う専門家を入れて堂々と意見をたたかわせた上で、国民に最終的な判断を委ねる
べきではないか。







http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920018&sid=ayZQ5BWhr3qU

電力株が軒並み急騰、東電の脱原発提案否決でコスト上昇懸念が後退

はてなlivedoorYahoo!Newsing it!Buzzurl
6月29日(ブルームバーグ):東京電力中部電力など電力株が軒並み高く、東証1部の値上がり率上位に多数入っている。きのうの東電の株主総会で、「脱原子力発電所」の株主提案が否決されたことから、燃料コスト高に対する懸念が後退した。
東電は前日比6%高の335円、中部電は5.1%高の1549円、東北電力は5.7%高の1134円、九州電力は5.4%高の1395円までそれぞれ上昇。東証1部33業種で、電気・ガスは午前の上昇率トップ。
大和証券投資情報部の高橋和宏部長は、「株主総会で原発阻止の方向性にならなかったことから、イベント通過を受けて買い戻しが優勢になっている。仮に可決されていれば脱原発でコスト高につながってしまう懸念があった」と話していた。
東電は28日夜、同日に開催された株主総会で株主が提案した「脱原発」議案について、賛成8%、反対89%、棄権や無効3%だったと発表した。





http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110628/dst11062821010022-n1.htm


【株主総会】
東電株主「茶番も甚だしい」怒りと落胆…荒れに荒れ 

2011.6.28 20:58 (1/2ページ)
演壇に立つ勝俣久会長ら経営陣に詰め寄ろうとして制止される東京電力の株主=28日、東京・芝公園のザ・プリンスパークタワー東京
演壇に立つ勝俣久会長ら経営陣に詰め寄ろうとして制止される東京電力の株主=28日、東京・芝公園のザ・プリンスパークタワー東京
福島第1原子力発電所事故の収束の見通しが立たない中、28日に開かれた東京電力の株主総会。怒声が飛び交い、議事進行に不満を持つ株主がたびたび経営陣に詰め寄るなど、6時間を超えた総会は荒れに荒れた。安全性への不信感が募る原発。暴落したかつての“優良株”。詰め掛けた9千人以上の株主の顔には怒りと落胆の表情が浮かんでいた。
会場となった東京都内のホテルには、午前10時の開始を前に大勢の株主のほか、反原発を訴える市民団体も詰め掛け、入り口では荷物検査が行われるなど物々しい雰囲気に包まれた。周辺では数百人の警察官が警戒。会場は入場制限が行われたが、それでも会場に入ろうとする人が後を絶たなかった。
総会は勝俣恒久会長の謝罪で始まったが、午前中に質疑に立った株主は全て反原発の立場。「本来なら東電は倒産している。(役員は)全財産を売却して賠償に充てるべきだ」との厳しい意見も出た。
総会が紛糾したのは東電側の議事進行をめぐってだ。
2011.6.28 20:58 (2/2ページ)
演壇に立つ勝俣久会長ら経営陣に詰め寄ろうとして制止される東京電力の株主=28日、東京・芝公園のザ・プリンスパークタワー東京
演壇に立つ勝俣久会長ら経営陣に詰め寄ろうとして制止される東京電力の株主=28日、東京・芝公園のザ・プリンスパークタワー東京
東電側が提案した取締役選任を求める議案で、勝俣会長が挙手で採決を求めたところ、賛成数が瞬時には判断できなかったにも関わらず、勝俣会長が「賛成多数とみなす」と即断。会場の株主から「茶番も甚だしい」「何のための株主総会なのか」といった怒号が飛び、十数人の株主が経営陣に詰め寄った。
また、株主総会の議事録の配布と公開を求めた株主に対しても、勝俣会長は「会社法に基づき、配布・公開の必要はない」と拒否し、会場がざわめく場面もあった。

Le plus important est invisible

Le plus important est invisible 「本当に大切なものは目に見えない」ーー有名な星の王子様の一節だが、今度の原発の放射能汚染にも当てはまる実に含蓄のある至言だと思う。


「影響が目に見えてわからないんだから、深く考えたくない」という人間がこの国には多いようだ。「どっちみち、3人に一人は癌になるというし、まぁ人生なるようにしかならないかぁ~~」などと安易に考えている大人たちが、原子力発電の再稼働を喜び、あるいは黙認し、あたかも何もないかのように振る舞い、与えられた既得権を享受し続けようとしている。

こんなに列島があちこちで揺れ続けているにもかかわらず、大型株主らは、今後どのような不始末をしでかすかわからないような信頼のできない私企業に危険な原発再稼働を委ね、国交省は首都機能移転を企画立案する首都移転課の廃止を決定したという。

「目に見えない大切なもの」は、愛や友情など、美しいものだけではない。

心して、目に見えないものに向き合う勇気を持たなければ、自分たちだけの問題ではなく、次世代に対して、取り返しのつかない不幸な課題を突きつけることになるのではないのか。


以下は小出裕章氏の「非公式まとめ」からの転載である。

http://hiroakikoide.wordpress.com/

6月27日 「ストロンチウム内部被曝はホールボディカウンターではわからない」


内容要約
・(汚染水をいかにして浄化していくかという課題。本日も夕方始まったが1時間半で停止。感想を教えてください。)今日夕方からやったのはいわゆる循環冷却という試みをして、それがうまくいかなかった。その前にやっていたのが汚染水の浄化作業。これもトラブルを繰り返しながらここまできた。技術というのはトラブルを経験しながら一歩一歩行くしか無いもの。循環冷却もトラブルが続く。乗り越えながらなんとかやるしかない。うまくいって欲しい。
・(やり方を学んでうまくいくものなんですか?)わかりません。原子力発電所の事故は放射能を相手にします。普通の工場のトラブルであれば直して乗り越えていけばいいが、原子力発電所の事故の場合は放射能があり被曝は避けられない。トラブルがあれば被曝が重なる。そしてトラブルによって汚染が広がっていくので被曝がおおくなってしまう。
・(しかしこの方法しか今はないんですか?)循環冷却はずっとやって欲しいと言い続けていました。原子炉の炉心がまだ健全であれば絶対やらなければいけないし、やるべきだと思ってきた。しかし、5月の中頃に東京電力が既に炉心がメルトダウンをしてしまっていると主張を変えたわけですから、循環冷却には意味が無いかもしれないと思っている。
・(梅雨で水位が上がるが、溢れ出すという可能性がありますよね)なんとか避け無くてはいけないが、既にもう漏れてしまっているわけですから、汚染水を循環冷却をしようとしまいと循環冷却が成り立つか成り立たないか、そんなこととは全く無関係に汚染水を除去しなくてはいけない。これが進んでいないことが私には不思議です。
・(福島県民の被爆調査が始まった。調査のやりかた今のもので十分でしょうか)よくわかりません。いわゆる原爆被爆者の調査をずっとやってきたわけで、その経験を何とか活かしながらやろうとしているのだと思う。何月何日にどこにいたかということを聞き取り調査しながら、積み上げていくということ。考えて欲しいのですが、100日前のある時に自分がどこで何をしていたかを正確に思い出すことができるかというと、かなり不正確だろうと思う。かなりの誤差をもってしか評価できない事になっていると思う。内部被ばくを測定するということも、全く手段がないわけではないが100日も前の内部被ばくの量を評価するのはほとんどできないというか、相当な困難がある。
・(調べる放射性物質がヨウ素とセシウムだけでいいのですか)本当はよくありません。プルトニウムも敷地内で検出されたし、敷地外でも距離の近いところでは被曝はあったと私は思う。セシウムについで重要なのはストロンチウムだと思うが、これはホールボディーカウンターで測っても測定できない。(え? ストロンチウムはホールボディーカウンターではわからないのですか)わかりません。私たちのバイオアッセイという、おしっことかうんことかいわゆる排泄物を分析することでしかわかりません。仮にそれをやったところでもものすごい誤差がある。
・(ストロンチウムは大変人体に影響がある物質ですよね)そうです。(わからないんですか)はい。(影響が出てきて初めてわかる?)推測の手段はいろいろあります。土がセシウムでどれだけ汚れている。ストロンチウムでどれだけ汚れている。あるいは水がセシウムでどれだけ、ストロンチウムでどれだけ。食べ物がセシウムでどれだけ、ストロンチウムでどれだけ、ということを積み上げていけば、セシウムの汚染度とストロンチウムの汚染度がそれなりにわかる。人間の中に取り込んだ量がどれだけ。被曝がどれだけ。であると推定することはできる。しかし相当大きな誤差を含んでしまうことは覚悟しなくてはいけない。
・(調査結果だけで安心してくださいとは福島の人には言いにくいということですね)はい。言いにくいし、結果が出るのを見るのは何十年も調査を続けて、癌で死ぬ方の数を見るわけですから。大変な作業がこれから待っていると思わなくてはいけない。
・(原発で生み出される核燃料のゴミについて。使用済み核燃料が燃料プールで冷やす必要があるが、全国の原発で行き場のない使用済み核燃料がそれぞれの場所で保管され続けているという報道があったが、プールの7割はすでに使用済み核燃料いわゆる核のゴミで埋まってしまっているということですが、これどこへ持って行くんですか)これまでは原子力発電所の敷地には使用済み核燃料は残らないと国も電力会社も言ってきた。なぜなら再処理を必ずやるので、再処理工場に送りますと約束をしてきたから。従来はイギリスとフランスの再処理工場におくってしまって向こうで再処理をしてもらうということにしながらここまで来た。最近、イギリスやフランスに頼まず自分の国で再処理をしようと青森県の六ヶ所村に再処理工場をつくろうとした。だが、本来なら1997年から操業開始するはずだったが、難しい課題が次々に出てきて未だに実現していない。再処理工場には使用済燃料を受入れないと、原発の使用済燃料プールがどん詰まりになるというので3000トン分の使用済燃料プールを前倒しで作って、そこにすでに3000トン分だけ受け入れた。既に六ケ所の使用済燃料プールもいっぱいになっている。このまま行くともうすぐ各地の原子力発電所の使用済燃料プールがいっぱいになって、糞詰まりになって原子力発電所を止めなくてはいけなくなる、そういう状況に近づいてきた。
・(地上で保管しようという案。そんなことできるのか)それを私たちは中間貯蔵施設と呼んでいる。なぜ中間と呼んでいるか。その後再処理をするので再処理ができるようになるまでの中間的な置場。すでに東京電力は青森県のむつ市、下北半島の最北端。そこに5000トン分の使用済燃料の保管施設、中間貯蔵施設をつくろうとしている。既に建設が始まっている。(あぶなくないんですか)もちろん危ないです。5000トンなんていうのは、1つの原子力発電所が1年間で生みだす量に比べると160倍から170倍ある。とほうもない核のゴミを貯蔵するということになる。
・(地震で倒れたりして、地上にあるものがどうなるのか)可能性は0ではないわけで、だからどこの自治体でも受け入れたくないと言ってきた。しかし青森県のむつ市が受け入れるという決断をして建設している。









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2011年6月29日水曜日

原発の再開は株主総会の判断と地元の首長の方針だけで決めることですか?

各電力会社は昨日株式総会を開催し、脱原発提案を否定して、無事総会を終えたという。その後、電力株は軒並みに急騰、委任状を送りつけた大型株主にとっては、めでたしめでたしの結末ということだろうか。猛暑の中、わざわざ株式総会に足を運んだ多くの個人株主にとっては、全くの徒労であり、怒り心頭に発する結果に終わったようだ。

大型株主は電力会社から得られる既得権益を簡単に手放す訳もなく、株主総会の筋書きは最初から描かれており、個人株主はまさに無駄な抵抗、ごまめの歯ぎしりをしたということなのであろう。

こうした結果に勢いづいたように海江田経産相は今日、早速玄海原発再稼働のために現地を訪れ、玄海町の町長と佐賀県知事からおよその合意を取りつけたようである。政府は玄海の再開を弾みにして、一挙に全国の現在停止中の原発の再稼働に踏み切ろうという算段なのだろう。

100日以上たって収束の目処もたたない無様な対処しかできず、国民からの信頼が失墜した東電が原発継続の是非を大型株主の意向だけで、決めていいのだろうか。

冗談じゃないといいたい。事故の賠償を、会社と大型株主だけですべて負うというのであれば、まだしも、株主は責任を負わず、経営陣は高給に、高い企業年金、退職金ととれるものはなんでも分捕り、大きな負担と責任は、国民に押し付けておいて、何が原発継続の決議か。

地元の首長や県議会の決定で、原発の再稼働を決めるという旧態依然としたやり方も、原発事故の放射能被害が決して1つの県内にとどまらないことから考えれば、全くもっておかしいのではないか。

交付金をもらった自治体が、事故の被害を自分たちの市町村や県内だけにとどめることができ、何が起きても全責任をすべて自分たちだけで負うと確約するのであれば、こうした物事の進め方も理にかなっていると言えるかもしれない。

しかし、地元は交付金をもらえるだけもらい、さんざんいい思いをして危険な原発を容認し、事故が起きれば負担と責任だけを国民に押し付ける。そんな不公正なことが、いつまでも容認され続けていいのだろうか。

原発を継続するか、しないかは、消費税や電気代支払っている国民全体が投票で決めることであるし、そのためにテレビ中継による公開説明会、シンポジウムを何度も開催し、原発の専門家の中でも立場の違う専門家を入れて堂々と意見をたたかわせた上で、国民に最終的な判断を委ねる
べきではないか。


http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920018&sid=ayZQ5BWhr3qU

電力株が軒並み急騰、東電の脱原発提案否決でコスト上昇懸念が後退

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6月29日(ブルームバーグ):東京電力中部電力など電力株が軒並み高く、東証1部の値上がり率上位に多数入っている。きのうの東電の株主総会で、「脱原子力発電所」の株主提案が否決されたことから、燃料コスト高に対する懸念が後退した。
東電は前日比6%高の335円、中部電は5.1%高の1549円、東北電力は5.7%高の1134円、九州電力は5.4%高の1395円までそれぞれ上昇。東証1部33業種で、電気・ガスは午前の上昇率トップ。
大和証券投資情報部の高橋和宏部長は、「株主総会で原発阻止の方向性にならなかったことから、イベント通過を受けて買い戻しが優勢になっている。仮に可決されていれば脱原発でコスト高につながってしまう懸念があった」と話していた。
東電は28日夜、同日に開催された株主総会で株主が提案した「脱原発」議案について、賛成8%、反対89%、棄権や無効3%だったと発表した。





http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110628/dst11062821010022-n1.htm


【株主総会】
東電株主「茶番も甚だしい」怒りと落胆…荒れに荒れ 

2011.6.28 20:58 (1/2ページ)
演壇に立つ勝俣久会長ら経営陣に詰め寄ろうとして制止される東京電力の株主=28日、東京・芝公園のザ・プリンスパークタワー東京
演壇に立つ勝俣久会長ら経営陣に詰め寄ろうとして制止される東京電力の株主=28日、東京・芝公園のザ・プリンスパークタワー東京
福島第1原子力発電所事故の収束の見通しが立たない中、28日に開かれた東京電力の株主総会。怒声が飛び交い、議事進行に不満を持つ株主がたびたび経営陣に詰め寄るなど、6時間を超えた総会は荒れに荒れた。安全性への不信感が募る原発。暴落したかつての“優良株”。詰め掛けた9千人以上の株主の顔には怒りと落胆の表情が浮かんでいた。
会場となった東京都内のホテルには、午前10時の開始を前に大勢の株主のほか、反原発を訴える市民団体も詰め掛け、入り口では荷物検査が行われるなど物々しい雰囲気に包まれた。周辺では数百人の警察官が警戒。会場は入場制限が行われたが、それでも会場に入ろうとする人が後を絶たなかった。
総会は勝俣恒久会長の謝罪で始まったが、午前中に質疑に立った株主は全て反原発の立場。「本来なら東電は倒産している。(役員は)全財産を売却して賠償に充てるべきだ」との厳しい意見も出た。
総会が紛糾したのは東電側の議事進行をめぐってだ。
2011.6.28 20:58 (2/2ページ)
演壇に立つ勝俣久会長ら経営陣に詰め寄ろうとして制止される東京電力の株主=28日、東京・芝公園のザ・プリンスパークタワー東京
演壇に立つ勝俣久会長ら経営陣に詰め寄ろうとして制止される東京電力の株主=28日、東京・芝公園のザ・プリンスパークタワー東京
東電側が提案した取締役選任を求める議案で、勝俣会長が挙手で採決を求めたところ、賛成数が瞬時には判断できなかったにも関わらず、勝俣会長が「賛成多数とみなす」と即断。会場の株主から「茶番も甚だしい」「何のための株主総会なのか」といった怒号が飛び、十数人の株主が経営陣に詰め寄った。
また、株主総会の議事録の配布と公開を求めた株主に対しても、勝俣会長は「会社法に基づき、配布・公開の必要はない」と拒否し、会場がざわめく場面もあった。



東電が総会で原発撤退の株主提案を否決、勝俣会長ら役員選任

2011年 06月 28日 16:32 JST
 
 6月28日、東京電力は定時株主総会で、株主から原発撤退の提案があったが反対多数で否決。勝俣会長など取締役17人を選任する会社提案が賛成多数で可決された。写真は都内の同社本社(2011年 ロイター/Toru Hanai)

 [東京 28日 ロイター] 東京電力(9501.T:株価ニュースレポート)は、28日午前10時から都内で定時株主総会を開いた。議長を務めた勝俣恒久会長は冒頭、福島第1原子力発電所で大事故が発生したことに対し「株主や立地地域、広く社会に多大な迷惑をかけ、心よりお詫びする」と陳謝した。
 株主から原発撤退の提案があったが反対多数で否決。勝俣会長など取締役17人を選任する会社提案が賛成多数で可決された。総会は約6時間で終了した。
 株主からは勝俣会長の議長不信任の動議が出されたが、否決された。会場では怒号が飛び交う中、株主からは経営責任についての質問が相次いだ。総会後も経営陣として留任する勝俣会長は「原子力の安全性に対する信頼性を損ない大変申し訳ないが、事態の収束に継続して取り組むことも必要」と弁明した。
 東電が過去に原発のトラブル隠しやデータ改ざんの不祥事を重ねたことに触れながら、「東電的体質を直さないと何度でも事故が起きる。事故の責任を取れない人たちに経営を任せていいのか」と問いただす株主もいたが、勝俣会長は「新しい人で、という考えもあるが、単に辞めるのではなく(会社を)更生させることで責任を取る」などとと釈明した。
 今後の賠償について勝俣会長は、異常に巨大な天災地変の場合、事業者の免責があるとする原子力損害賠償法第3条を指摘しながら、「免責されるとの解釈も十分可能だと考えるが、専門家の意見は分かれている。裁判が長期化すれば被害者が救済されず、当社の事業も立ち行かなくなる」などと説明。政府の支援を受けながら東電が損害賠償にあたる「原子力損害賠償支援機構法案」が国会に提案されており、同会長は「法案の早期をお願いしている」と述べた。
 総会後の退任が決まっている清水正孝社長は、今後の原発事業あり方について、「事故の調査結果、エネルギー政策全体の議論を踏まえていくべき問題と認識している」と語った。年金カットを求める質問もあったが、会社側は「全ての面で費用削減を目指しており年金は対象外ではないが、年金は法的な保護もある」(山崎雅男副社長)として、削減に踏み込むとの具体的な言及はなかった。
(ロイターニュース、浜田健太郎 編集:北松克朗)