2011年5月31日火曜日

どうしてニュースにならないの?

福島第1原発4号機付近で爆発音、放射線量に変化なし=東電

2011年 05月 31日 17:29 JST

 5月31日、東京電力は、福島第1原発4号機の原子炉建屋付近で、無人重機によるがれきの撤去作業中に爆発音がしたことを明らかにした。写真は6日に撮影した4号機。東京電力提供(2011年 ロイター)


[東京 31日 ロイター] 東京電力(9501.T:株価ニュースレポート)は31日、福島第1原子力発電所4号機の原子炉建屋付近で同日午後、無人重機によるがれきの撤去作業中に爆発音がしたことを明らかにした。

東電によると、周辺の放射線監視装置の数値に変化はなく、けが人もなかった。がれきの中にあったボンベが壊され、爆発音がした可能性があるという。

4号機の建屋近くの瓦礫で爆発音がおきたという。放射線監視装置の数値に変化はないと東電は発表しているそうだが、高濃度の放射能物質が飛散したはずである。都合が悪くなれば、また監視の計測器も壊れていたという一言で済ませるつもりなのだろうか。それにしても、今日の夜のニュースにもならないのはなぜなのか。スポーツの勝ち負けのほうが大切なのだろうか。一体この国のテレビ局はどこまでおかしくなってしまったのだろうか。



 

フェイドアウトする原発関連報道

5月27日に京都大学の原子力の専門家小出裕章氏は、フクシマ原発の状況を「とてつもなく困難な状況」と言い切った。にもかかわらず、原発の状況を示す報告やニュースは、どんどんテレビ画面からフェイドアウトしている。

「フクシマに家があるわけでも、仕事があるわけでも、親戚がいるわけでもない」多くの人々の意識の中から原発の現在進行形の事件はどんどん風化していくのだろうか。

それを助長するようなテレビ番組作成者・スポンサーの姿勢に絶望感を感じずにはいられない。

今日は国会中継があり、衆議院東日本大震災復興特別委員会がひらかれフクシマ原発に関する集中審議が行われ、NHKはそれを9時から12時、2時から4時までの間、中継放送した。

いつも国会は決まって中継放送が行われる。別に中継放送が悪いというつもりはない。
しかし、集中審議で、〇〇という代議士が9時に発言しようが、4時に発言しようが、体勢は何も変わらない。つまりゴールデンアワーまで待って、放映することによって支障をきたすような理由、どうしても昼間に中継しなければならない必然性は何もないのである。

なぜそのようなことを問題にするかといえば、朝や昼から夕方にかけての時間帯にテレビの画面にかじりついていられるのは、ほとんどが納税していない人々である。

国の経済を揺さぶり、多くの人々の将来に大きな影を落とす、とてつもなく困難な状況が一向に収束できていない時局の中で、ゴールデンアワーに中国人の天才将棋少女の番組や古い昔の歌番組を流している時間があれば、国民が選んだ政治家たちがこの大事な時期に何を考え、どんな答弁をしているのか、納税者のために、集中審議の模様をしっかり報道してこそ、はじめてNHKは大きな顔をして、公共放送をやっていると言えるのではないか。

さて、薔薇っ子は、この前の海水注入の茶番劇について、考えてみた。なぜ吉田所長は1週間もたってから、自分の判断で海水注入を続けていたなどと言ったのか。1つだけ思い当たるフシがある。実は5月23日(月曜日)に参議院・行政監視委員会がひらかれ、「原発事故と行政監視システムの在り方」というテーマで、京都大学原子炉実験所の小出裕章氏、元東芝のフクシマの原発設計に関わった後藤正志氏、地震学の専門家である神戸大学の石橋克彦氏、それにソフトバンクの孫正義氏が参考人として招致された。
http://hiroakikoide.wordpress.com/2011/05/23/sangiin-may23/

これまでの、東電の息のかかった原発の安全・安心だけを訴える御用学者とは違う顔ぶれであり、どのような証言をされるのか、非常に興味が持てたし、話題の孫正義氏までもが招致され、発言するのであるから、マスコミもこれを取り上げないわけにはいくまいと思った。しかし、この行政監視委員会に関する報道は、「言った」、「言わない」の海水注入茶番劇に完全にとって代わってしまったのである。

しかもこの茶番劇は、自分の発電所が未曽有の人災を起しながら、被災者に対して一度も謝罪さえしないような発電所所長を一大ヒーローに仕立て上げるという、大団円でみごとに結ばれているのである。

あまりにも出来すぎているではないか。

2011年5月30日月曜日

被災地汚染土壌、削りとった表土はどこへ?

ことしの梅雨の入りは例年になく早く、2ヶ月半程度つづくかもと言われている。その上に5月には例をみない2つの台風の襲来。幸い勢力が衰え熱帯低気圧に変わったが、それでも被災地は強風と大雨に見舞われている。

フクシマの学校では、1ミリシーベルト以下を努力目標に表土の除去をすることになったという。
どんな方法がとられるのだろうか。表土を削ってそれを校庭の隅に積み上げ樹脂で固めものをブルーシートで覆っただけか、あるいは土の入れ替えをするといった方法だろうか。

高濃度の汚染物質が雨でどんどん土の中に深く滲みこみ、地下水の汚染に繋がるようなことにならなければいいけれども、それが一番怖い。

汚染土は学校の敷地内などに貯め置かないで、早急に搬出する必要がある。
武田邦彦氏は搬出場所は福島原発の敷地内しかないと言ったが、もっともなことかもしれない。
梅雨が本格化するまえに早急に判断しなければならないことである。

今後の気象条件、海流や原発の状況によって広がっていく汚染物質の動向を明らかにする詳細な汚染マップを国が毎日作成し、土壌においては、汚染度の高いところから優先して除去・搬出を進める必要があるだろう。

NHKのETV特集で何度も繰り返し再放送されている、木村真三氏と岡野眞治氏の汚染マップ作り、
http://green.ap.teacup.com/fine/1230.html
実に勇気ある偉業であるが、これは本来、国がやるべき仕事である。

海外から飛散する放射能物質の線量を測定するために、地上18~20メートルの高さに取り付けられた線量計を使って線量を測り(あえて別の方向に風が吹いているときを見計らって測定したのかどうかは定かではないが)、「線量はわずかであり、人体に影響はない」とまことしやかな発表を続けている間に、木村氏や岡野氏はフクシマ原発の周辺を3000キロも自分たちの足で回って、被曝を恐れず、真実の追究を行ったのである。

社会が子育てを支援するというようなことを政府が本気で考えているのならば、子ども手当など、後で確実に次の世代につけがまわるような小金のばら撒きをする暇に、フクシマの子供たちの健康被害を最小限に食い止めるための手を、もっと素早くどんどん打っていくべきなのではないか。

2011年5月29日日曜日

もんじゅの白煙はただの水蒸気?:福井原発、早く辞めなくていいのか?

5月23日の参議院行政監視委員会参考人として招致された神戸大学名誉教授、石橋克彦氏は、地震学の見地から、今一番危険な地域は若狭湾だと言い切った。


関西電力の14基もある福井の原発銀座がそこにあることは言わずと知れたことである。
原子核工学の武田邦彦氏も今、最も危険なのはもんじゅだと言い切っている。


そのもんじゅから昨日白煙が出たという。
http://www.asahi.com/national/update/0528/OSK201105280053.html


もんじゅで白煙? ネットで騒ぎ 実は試験で出た水蒸気

2011年5月28日19時24分
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福井県敦賀市の高速増殖原型炉「もんじゅ」から「白煙があがっている」という話題が28日、インターネットの掲示板やブログで広がった。もんじゅを運営する日本原子力研究開発機構がネット上で15分おきに公開しているパノラマ写真に、白煙のようなものが写っていたため。同機構によると、放射能を含まない水蒸気で、外部の環境への影響はないという。
 同機構によると、もんじゅは現在運転停止中で、2月から発電関連の機能を確認する試験をしている。白煙は、試験で使ったボイラーの余分な蒸気が発電所外に放出されたものだという。
これだけならば、どうってことはないと思えるかも知れない。しかし、以下5月25日、23日のニュースによれば、もんじゅはすでに落下装置の撤去作業に入っているはずではないのか。

もんじゅ:落下装置の引き抜き作業開始 今月末から本格化 /福井

毎日新聞 5月25日(水)16時50分配信
 日本原子力研究開発機構は24日、高速増殖原型炉「もんじゅ」(敦賀市)で昨年8月に原子炉容器内に落として変形した炉内中継装置(長さ約12メートル、直径46センチ、重さ3・3トン)を、同容器の上ぶたの一部ごと外して引き抜く作業を開始した。現場作業の一部を報道各社に公開した。
午前9時20分ごろから、中が空洞になっている同容器の上に金属製のふた(直径約50センチ、厚さ約6・5センチ、重さ約80キロ)をかぶせる作業を開始した。同容器内には空気と激しく反応するナトリウムがあるため、新たに製作した専用の器具で外気混入を防ぎながら慎重に行われ、午後4時40分ごろ取り付けを終了した。作業には、経済産業省原子力安全・保安院が立ち会った。
25日には同装置の上部を囲う筒にも、部品などの落下を防ぐ金属製のふた(直径約60センチ、厚さ約6センチ、重さ約110キロ)をかぶせる予定。作業は今月末から本格化し、同装置の上部にある大型器具を撤去する。同装置を上ぶたの一部ごと外して引き抜く作業は6月中旬の見込みで、大がかりな作業には保安院が立ち会う。【柳楽未来】



高速増殖原型炉:もんじゅの落下装置撤去、24日にも着手

高速増殖原型炉「もんじゅ」=福井県敦賀市で2010年11月16日、本社機から竹内紀臣撮影
高速増殖原型炉「もんじゅ」=福井県敦賀市で2010年11月16日、本社機から竹内紀臣撮影
経済産業省原子力安全・保安院は23日、高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)で、定期の保安検査を始めた。もんじゅでは昨年8月、燃料交換に使う炉内中継装置(長さ約12メートル、直径46センチ、重さ3.3トン)を原子炉容器内に落とし、抜けなくなっている。
今回の検査では、日本原子力研究開発機構が策定した撤去工事計画も確認する。機構は同日、福井県に説明し、24日にも同装置撤去の作業工程に入る方針。 炉内中継装置などを引き上げるのは6月中旬の見込み。【柳楽未来】
ただの水蒸気なのであれば、朝日はどうして、「もんじゅは、原子炉内に落として変形してしまった装置の撤去作業の途中にあった」ということを明らかにしないのだろうか。
フクシマ原発で、建屋が水素爆発したときに、白煙や黒煙が出たときに、専門家の先生方が「あの白煙は何なのでしょうか。大丈夫なのでしょうか」と問われたときに、「水素爆発しただけだから、あれは水蒸気が出ているだけです」と一蹴したのを覚えている人も数多いと思う。
「国民がパニックに陥らないためには、国民の生命や生活を脅かす危険なニュースを隠蔽しても当然である」といった考え方が横行する社会に生きていると、ひとつひとつの発表やニュースに虚偽がないか、何か大切な真実が隠蔽されているのではないかといった警戒心が出てしまうのは、人としてごくごく自然の心理ではないのか?
美しい日本の国土、水、空気をこれ以上汚さないためにも、地元の人々を奈落の底に突き落とす前に、関西電力は代替エネルギーを何処に求めるべきか早急に考え、一刻も早く福井原発を全炉廃炉にする必要があるのではないのか。
福井原発の配管が大型地震で壊れたら、今度は日本海が汚染されるのみならず、放射性物質は確実に偏西風に乗って日本本土に広く飛散し、琵琶湖を水源にしている人たちは水を飲むことさえできなくなり、関西、北陸、中部地方の経済活動は大きな打撃を被るのだから。





Into Eternity

放射性廃棄物が無害なものになるまで、10万年もかかるという事実を知っていましたか。
渋谷で、Into Eternity, 「10万年後の安全」というフィンランドの放射性廃棄物の永久地層処理処分場建設のドキュメンタリー映画を見るまで恥ずかしながら知らなかった。

3月11日以来、テレビに登場する錚々たる日本の原子力の専門家先生方から「プルトニウムは飲んでも体外にでるから人体に全く影響がない」、「低線量の放射能はかえって健康に良い」「(注水ができないと報じられている最中に)フクシマ第1はチェルノブイリやスリーマイルズとは違って原子炉は完全に停止しているのだから、燃料は、しばらくしたらそのうちに冷えてきますから、全然大丈夫です」などというような教育を受け続けてきた。それゆえに、フィンランドにおける10万年後まで廃棄物を封印するために、地下都市のような巨大な処分場設計の事実は、非現実のSF映画のようにさえ写ってしまう。

しかし、この映画は2010年パリ国際環境映画祭グランプリをはじめ、アムステルダム国際ドキュメンタリー映画祭りの最優秀賞も受賞している作品だ。

日本は廃棄物の処理場をモンゴルに求めようとしている。
http://mainichi.jp/select/world/asia/news/20110509k0000m040142000c.html
http://mainichi.jp/select/world/america/news/20110509k0000m040144000c.html

過疎地に交付金をばらまき、危険きわまりない原発を建設し、狭い国土には溢れ出したゴミの処分場がないとなると、今度は発展途上国にそれを押し付ける。なんというエゴだろう。「向こうも豊かになることを望んで交渉に応じたのだから、何が悪い。自分で経済的な自立ができないものたちを支援してやっているだぞ」という論理なのだろうがーー。

豊かさとは何なのだろうか。自然の豊かさ、恵みを破壊する科学技術はあっても、一端破壊されてしまった自然を元のままに復元できる科学技術はまだどこにもない。

それにしても放射性廃棄物の処分にかかる費用、時間の気の遠くなるような大きさにため息が出る。

2011年5月28日土曜日

原子炉、水注入しかオプションはないのか?

原子力工学の錚々たる専門家が、国内にどれほど大勢いらっしゃるのか今度の原発事件で初めて知ることになった。今もVTRに残っているが、「原子炉建屋なんか吹っ飛んでもどうってことはありません。あれは原子炉の隣りに建ててある小屋みたいなものですから、なくてもいいようなものなんです。」などと公言される方など、随分いろんな方がいらっしゃったが。

今フクシマ第一原発では先日からの水の注入で高濃度の汚染水が溢れんばかりの状態になっているという。そんな最中、列島は例年より2週間近くも早い梅雨入りを迎え、早々と台風の襲撃に見舞われるといった状況にある。

今は水の注入しかないように言われているけれども、安全な地下水汚染を最大限に防ぐためには、別のオプションを考えるべきときに来ているのではないのか。

原子力工学の専門家は、すでに汚染されてしまった土壌や自ら国民をどう守るかという議論は、もっと安全学の専門家に任せ、自らは専門分野である原子炉の問題、発電所からの汚染物質の放出を最大限に食い止める方法についての議論をもっと積極的に展開し、国民の前に提示してもらいたいものである。

世界一の研究・技術水準を誇り、高い自負を持って今も原発を推進している学者の先生方は、膨大な税金による援助を受け、営々と研究に勤しんでこられたのであるから、IAEAやフランス、アメリカの力にばかり依存していないで、今こそその知見を、叡智を、社会全体に、国民全体に還元して頂きたいものである。

東電の株主の中に、脱原発を訴えている人達がいて、その人達が次のようなサイトを立ち上げていることを知った。

http://todenkabu.blog3.fc2.com/blog-entry-133.html


東京電力株式会社
      会長 勝俣恒久様 
      社長 清水正孝様 
国際開発原子力開発社 
      社長 武黒一郎様
株主からの提案
2011年 5月 17日 
脱原発・東電株主運動

前回の要求と勧告から十日足らずの間に、事故収束のための工程表が大幅に遅れる可能性のある事実が明らかになりました。
1号機のメルトダウンと、原子力建屋地下での3000トンと見積もられる汚染水の存在です。燃料がほぼ溶け落ちていることから考えても、汚染水の放射能濃度は再処理工場の高レベル廃液並みになっていると思われます。
このような汚染水を拡大再生産する水の投入は危険すぎます。
私たち株主は、鉛を投入することを提案します。
鉛を散弾のような小さい粒にして水といっしょに送り込み、一定の量に達した段階で、給水を止めるのです。核燃料もしくは核燃料のなれの果てである高レベル放射性物質は、鉛に覆われて冷却できるようになると考えられます。
鉛は融点が低いので燃料冷却能力が相当程度期待でき、さらに放射線を遮る効果があり、また仮に漏えいしても水のように流出することがないと考えられます。鉛の融点は約330度、沸点は1700度以上なので、圧力容器を破壊する危険性は低いはずです。
2号機と3号機についても同様の事態が生じていると思われます。もはや水は無くなっていると仮定して、鉛投入をすべきではないでしょうか。
この案を考えたのは、株主運動の仲間であり、原子力産業に従事している者ではありま せん。またこの案をよしと判断した私たちも、原子力には素人です。しかし、事態は切迫しています。梅雨の季節がすぐそこに迫り、とうとう先日は台風も西日本を脅かしました。
このような状況下、神奈川県南足柄市の茶葉や岩手県滝沢村の牧草から暫定基準値を上回るセシウムが、さらに福島県のアユやワカサギなどの淡水魚からもセシウムが検出されるようになっています。このままでは東日本の一次産業は壊滅してしまいます。せっかく生き残った東日本大震災の被害者の方たちの生業も奪いかねません。
また、日本のみならず諸外国にとっても脅威となるでしょう。一刻も早い事故の収束が望まれます。素人の考えだなどと等閑に付せず、私たちの提案を早急に真摯に検討することを希求します。
ただちに吉田昌郎第一原発所長へ伝え、検討に入ってください。
また、結果について、5月25日までにご回答ください。

線量データ紛失?:苦言を呈するだけですまされるのか

フクシマで震災直後の線量データが紛失したという。 

福島原発の現場の管理をいつまで東電・保安院・安全委員会などという全く信頼ならない面々に任せ続けるつもりなのだろうか。東電は、見苦しい責任逃れの情報隠蔽、改ざん、そしてついに証拠隠滅まで、全くやりたい放題である。

メディアに追究されれば、「探したら、どこそこから出てきました」ということになるのか。あるいは、「東電社員の誰それがちゃんとコピーを保存していました」などととぼけた美談がいかにも誇らしく報じられるのだろうか。

この国の司法はこのような重要な事件にメスを入れ、真相究明する権限さえないのか。とすれば、このような法の仕組みを作った者の責任は重大である。司法に携わる人々は、もっと真剣にこの問題についての議論をしてもらいたいものである。

どこかの田舎の小さな小学校で、担任が子供の成績の入ったファイルを紛失したというだけでも、担当者は名指しで責任追及を受け、釈明を求められ、メディアは個人情報漏洩事件として大きく騒ぎ立てる。

それに対して震災直後の線量データ紛失など、比べ物にならないほど国家的なレベルの由々しい事件であって、通産省の大臣が苦言を呈するぐらいで済まされていいのか。
トップニュースとして扱われても良いような出来事であるにもかかわらず、テレビ局各社は口をつぐんで、何も言わない。

現場の収束が第1であり、責任追及は2の次と行っている間にどんどん重要な証拠物件が隠滅されていくのをただ手をこまねいてみていてよいのだろうか。

http://mainichi.jp/select/weathernews/news/20110528ddm003040051000c.html

東日本大震災:福島第1原発事故 東電、線量データ紛失 「2分間隔」公表せず

 ◇原発西側、震災直後分

 東京電力は27日、震災直後に測定した福島第1原発近くの放射線モニタリングデータの一部を紛失していたことを明らかにした。経済産業省原子力安全・保安院にはすでに提出していたため、東電は保安院からデータを取り寄せた。28日にも公開する。
 東電によると、紛失していたのは3月11日から5日間、第1原発西側でモニタリングカーが採取したデータの一部。測定値を紙に書いていたが、紙に付着した放射性物質を除去するために外部に保管していた際、紛失したという。すでに公開しているモニタリングデータは10分間隔で放射線量の推移を記録しているが、紛失したデータは主に2分間隔のもの。海江田万里経産相は「データをなくすようなことはあってはならない」と苦言を呈した。【中西拓司】

2011年5月27日金曜日

オバマは言った:G8サミット

G8が開催された。冒頭にスピーチをさせてもらえるというだけで、まるで学芸会に出て有頂天になっている、日頃存在感の薄い目立ちたがり屋の小学生のように嬉々としている我が国の代表者

にたにた笑ってカメラマンに手を振っているような場合だろうか。

梅雨入り前に猛烈に大きな台風が列島に接近しているというのに、
水棺に失敗し、多量の高濃度汚染水がこの瞬間もどんどん増えだしているのに、
専門家は「福島第1のこの状態をどのように収束していいのかわからない」とまで言っているのに、「フクシマは安定した状態にある」などというような大嘘を平然と世界主要国の首脳の前で言ってのける我が国の代表者

一体、誰があんなオトコに国の命運を委ねたのか。私は彼のような人間を、彼の所属するあのような政党に一票を投じた数多くの国民だけに責任転嫁するつもりはない。

多数決原理の上では、自分が選ぶと選ばざるとにかかわらず、それが誰であれ選挙で選ばれれば
「国民の総意」で選ばれた代表者ということになるのだから。

そして前の選挙のあの時点で、多くの人々が自分たちの一票で、政治の流れを変える必要があると認識したこと自体、正しい選択だったと思うし、「他に選択肢がない」と判断した国民が大勢いてもやむを得ない状況であったと思うから。


ところでアメリカは世界一の原発推進国だという。たしかにアメリカには105基の原発があり、日本には54基しかない。しかし良く考えてみたい。

オバマはサミットで昨日発言した。
「アメリカはエネルギーの5分の1を原子力発電に委ねているーーー」と。

それに対して日本はどうだろうか。日本は国のエネルギーの3分の1を原子力発電に委ねているのである。

しかも、アメリカの国土面積は日本の国土面積の約25倍。
人口密度にいたってはアメリカの人口密度は日本の10分の1にすぎないのである。

そんな狭い国土で人口が密集した国が、

使用済み燃料を処理する技術さえ十分にもたず、処理済み燃料を捨てる場所すらないような狭い国が、

地殻活動が活発になりいつまた巨大な地震や津波などが発生するかもしれないと言われている危険極まりない地震・津波大国が、

いざというときに使いものになるような無人ロボット一機すらなく、多額の費用を拠出して他国の民間会社の力を借りなければ、汚染水の処理すらできない技術力のない国が、

エネルギー資源に乏しいフランスなどとは異なり、水力発電、地熱発電、太陽光発電、潮力発電のポテンシャルが十分に引き出されていたはずの国が、

エネルギー源の3割をも原子力発電に委ねて来たという命知らずの事実に、今更ながら驚き呆れる。そして、それ以上に、そうしたことの愚かさと危険性について、これまで認識したことがなかった自分自身に対して。




2011年5月25日水曜日

人の噂も75日?:めっきり減ったテレビ各社の原発報道、これでいいのか?

事態は深刻だという。IAEAの査察団が入ったせいか、勢い東電からいろいろ都合の悪いデータが汚染水のごとくに湧出し始めた。海外メディアのニュースに着目していれば、このような情報はすでに事故前後にわかりきっていたことだ。

メディアの中で事件後初めてメルトダウンという言葉が使われ、原発の状況を危ぶみ、それに伴う放射能汚染による健康被害を危惧するような発言がネットを通して専門家や市民の中から出始めた途端に、政府のあるお偉い方が、メルトダウンなどというような表現は軽々しく用いるべきではないと宣うた。

そして別のお偉い方が、1つ、2つとるに足らないデマを例に挙げて、ことほどさように、政府筋の正しい情報を黙って有り難く拝聴するにとどまらず、それを超えるような、あるいはそれに反するような情報を流すことは、人命に関わる悪質な犯罪行為であり、処罰の対象になるものと考え、大いに慎むべきであるとの厳しい言論統制を行ったことは、いまだ我々の記憶に新しいと思う。

メルトダウンや深刻な放射能汚染が本当にデマ・風評であり、心配するような事象でないのであれば、新聞の第1面やテレビに見たこともないような大きな見出しで、MELT DOWNと踊らせた世界のメディアに対して政府や外務省は、猛烈に各国のメディアに対して厳しく抗議声明を行うべきだったはずだ。それが本当にデマならば、安全神話の国にとって、これほど著しく国益を損ねる由々しい報道はないはずだからである。

そういった政府の動き一つをとって見ても、真実は奈辺にあるのか見え隠れしている。

それから77日、人の噂も75日というが、これだけ事態は深刻だというのに、めっきり原発報道がテレビから激減してしまっている。

朝から晩までテレビにかじりついている訳ではない。しかし早朝や休日のニュース番組や討論番組、トーク番組などをとってみても、福島第1に関しては、次々に明らかになる深刻な事態について、ほんの申し訳程度に短い報道がなされるだけで、各社「臭いものには蓋をする」という報道姿勢が顕わである。

たとえば昨日の早朝、また浜通りを震源地とする震度5弱の余震があったようだが、そのことについても全くといっていいほど報道がなされていない。今のような状況下で震度5クラスの地震が溶け落ちた燃料にどのような影響を与えるのだろうか。今こそ専門家の説明が頂きたい。

「これはまだほんの一部」とされている東電の広告宣伝費90億円と交際費20億円の鼻薬の効果は、テレビ局にとってよほど絶大と見える。むろん電力各社がメディアに及ぼす絶大なる権力は何も東電に限ったことではないがーー。

福島第一は今こそ世界の叡智を結集させて、問題収束への手がかりを見出すべく最善の努力をすると同時に、厳しい目で徹底的に事象の原因究明・責任追及を行う必要がある。

残念ながら、今はもはやまったりバラエティ番組にうつつを抜かして薄ら笑いをしてすまされるような時局ではない。

国民は今この瞬間にも原発で何が起こっているのか真実を知る権利があるし、全電源喪失の瞬間のあの日から、福島でいつ何がどのような形で誰によって対処され、それが誰を通してどのように報じられてきた・いるのか、この事態が完全に収束するまで、目を見開き、えりを正してしっかり見守り続ける義務を背負わされたのだから。

2011年5月24日火曜日

原発事故は単なる失敗?:事故調査委員長の人選

 復興構造会議の委員長に財務省との繋がりが大きい五百旗頭氏を選び、第1回の会議から早々予算、増税の話題が提示されたのと同様に、事故調査委員長の人選も、恐らく政府にとって都合のよい人材をトップに据えるに違いないことは容易に推察されることであったが、委員長は失敗学でおなじみの畑村氏になったという。

原子力工学の専門家で、原子力村の汚染を受けていない志の高い研究者が我が国にもいるにもかかわらず、あえて畑違いの機械工学の専門家を原発の事故調査委員長に据えたのだろうか。

心臓手術の事故調査をするのに、皮膚科の医師を委員長に据えるようなものである。

あえて失敗学の専門家を委員長に据えるということから見えてくるのは、政府側が福島原発の事象を、単なるひとつの不幸な事故、人であれば誰でもがおかすであろう過ちや失敗としての側面からとらえるという枠組みを委員会の中に作ることで、この事象の大きな組織犯罪としての側面を覆い隠してしまいたいと考えているのではないかということである。

ちなみに私は、福島第一での事象は、事故ではないと思う。

事故とは「予期せずに人や物などに損傷や損害を及ぼす出来事のことであり」、福島原発の事象ということも、決して予期できないものではなかったからである。

(原発では、過去に何度も深刻なトラブルが起きていたにもかかわらず、それに対する抜本的な対策が何も講じられず、改善策が講じられなければ、さらなるトラブルが生じる可能性があること、耐久年数が来ればその危険性が刻一刻と高まることは、馬鹿でない限り十分に認識していたはずであること、大型地震や津波が来たら持ちこたえられないことも、全電源喪失から回復できなければ炉心溶融は免れないことも、どんな状況で電源が喪失するかも、中学か高校レベルの理科を学んだことがある人間であれば、わからなかったというはずはないからである)。

もし都心の東電本店の真横に原発が設置されていて、そこでこの事件が起きたのであれば、まだ「電力会社は原発を安全だと信じ込んでいた。誰しも危険であることに目を向けたくないから、彼らも危険であることに目を向けようとしなかっただけである」と言えるかもしれない。

しかし、そうではない。明らかに危険なものであるという認識があったからこそ、東京都の中には建設せず、あえて人里はなれた場所に設置し、安全であると言って地域住民を洗脳し続けたのだからーー。

せめて地域住民を対象にこういう緊急事態が起きたときに、彼らが避難時に何をすべきかという安全講習ぐらいは定期的に行い、簡単なマニュアルぐらいは当然配布しておくべきであった。

ところが、それさえもなされていなかったのだから全くひどいものである。私が一番呆れ返ったのは、10キロ圏内から避難民が屋外避難をしている状況が、テレビ画面に写し出されたときに(今にして思えば、あの地域一帯に高濃度の放射能物質が飛散していたわけであるが)、住民の中で、マスク、手袋、帽子(フード)の少なくともこの3点セットで最低限身を守っている人がほとんど誰もいなかった点である(風邪でマスクをしている高齢者の姿や、寒い時期であったせいか帽子をかぶっている人はちらほら見られたけれども、赤ちゃんや子供は外出用に厚着をさせているだけで、ほとんど何も防御が施されていなかった)。

福島の事件は決して「失敗」などという次元で片付けられるような事象ではない。

事故後の対応に関しても、周知のとおり、政府、官邸、東電はいずれも責任の所在を明らかにせず、都合の悪いデータの隠蔽を繰り返し、人々の健康や暮らし、財産や生産活動に甚大な損害や損傷を与えるような事象を引き起こしているにもかかわらず、未だ消費者や周辺住民に当然提供すべき正しい情報開示を意図的に行っていないのであるから、これは、むしろ検察庁が早急かつ集中的に捜査を行う必要がある案件ではないのだろうかとさえ、思えるのである。

もう一点、畑村氏が調査委員長に委嘱された理由は、以下の氏への「原発事故考」というMSN・産経ニュースに記載されているインタビューの内容を見れば明らかであろう。畑村氏は、「悪いのは東電ではなく日本企業文化である」とし、「人類は原発を知り尽くしていない。だからこれからも事故は起きるだろうが、事故を克服して原発を使っていくべきだ」との考えからも明らかなように、未曾有な原発事故を引き起こしまだ収束のめどさえつかない技術力でありながら、「他の代替エネルギーとともにこれからも原発を推進していく」などと世界に言い放って、憚らない政府や東電にとっては、誠に都合のよい人物なのである。

http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110421/dst11042103130002-n1.htm

もちろん他の電力会社をはじめ、日本企業が、今回の原発災害を他山の石としなければならないことは言うまでもない。しかし、今回のこの事件は、単なる日本企業文化論で片づけられるような事象だろうか。

原発災害は、氏がこれまで手がけてきたような回転ドアの事故や交通事故とはその規模も、災害が世代を超えて人や環境に及ぼす期間も全く次元が異なる。原発による今回のような未曾有な大災害は、失敗を繰り返して推進すればいいものではなく、二度と引き起こされてはならないのである。

この原発災害から我々が学ぶことがあるとすれば、日本のような地震や津波の被害を受けやすい、国土の狭い国が、国土が広いアメリカや岩盤のしっかりしたフランス並に原発を持つということが、どれほどリスキーで馬鹿げているか、そして貪欲なごく一握りの人間の利権を守るために、どれだけ多くの人間が今も、そしてこれから何十年にもわたって大きな不安にさらされ、かつ多大なつけを支払わされ、被害や迷惑を被らなければならないかということである。

せめて調査委員には国民の目から見て、この人物ならば政府にも、役所にも、電力・電力関連会社にもなびかず、原子力工学・法律・放射線安全学などの専門性を持ち、公正な目で事故原因や経過を吟味・検証できると思えるような信頼できる専門家を多数委嘱しない限り、事故調査委員会は、名ばかりのものとなることは自明であろう。















【話の肖像画】

原発事故考(下)失敗学会理事長・畑村洋太郎

2011.4.21 03:11
 ■企業文化が生んだ組織災害
 --想定外を失敗学の視点から捉えるとどうなりますか
 畑村 (繰り返すけど)起こると困ることは考えようとしない。(考えないから)それが想定外になる。
 --そうすると、災害対策における重要なことは
 畑村 (1)自分の目で見る(2)自分で考える(3)自分で決める(4)自分で行動する。この4つが重要で、第三者が決めたことに従って失敗すると、「自分は悪くない」と言い訳をする。
 --それを東日本大震災の大津波のケースに当てはめると
 畑村 三陸海岸では小学校で津波に対する教育や訓練を日ごろから実施していた。しかし、あらかじめ町や村が決めた避難所に逃げたのに津波にのみ込まれてしまった惨事がある一方で、決められた避難所よりもっと高い場所に逃げないと危険だと自分たちで早く判断して逃げて助かった小学校もあった。
 --自分たちで判断するか、判断しないかが明暗を分けたわけですね
 畑村 はい。人間は想定だけでは生きられない。現実を見て判断することが大切だ。
  《ウラン燃料が発する崩壊熱を下げるため、原子炉圧力容器や燃料貯蔵プールへの注水作業は続けなければならない。だが、核分裂生成物がこの水に入り込んで放射能汚染が拡大する悪循環が起きている》
 --この悪循環を断ち切るには
 畑村 すでに悪循環を断ち切るための時間を失してしまった。東京電力にも政府にも時間のあるうちに考える人がいなかった。放射能汚染が広がる前に配管をつなげて新たな冷却システムを取り付ければよかったのだが、もう別のことを検討しなければならない。
 --どうして早くそれができなかったのですか
 畑村 東電が悪いというわけではないが、日本的企業の体質がそこにあると思う。国の基準を守っているから問題ないという東電の考え方は、緊急事態では機能しない。他者に下駄(げた)を預けるような企業文化がそうした考えを生む。今回の原発事故は起こるべくして起きた組織事故、いやもっと大きいから組織災害といった方がいいだろう。
 --今後、日本は原発とどう付き合っていけばいいのですか
 畑村 人類は原発を知り尽くしていない。だからこれからも事故は起きるだろうが、事故を克服して原発を使っていくべきだ。(論説委員 木村良一)

2011年5月23日月曜日

公務員給料カットや増税の前にまずやるべきこと!:復興・福祉・年金財源はどこから?

 政府がどんなに努力をしても、どうしても復興財源がないというのならば、あるいは年金・福祉政策を破綻させないために、国民は「消費税の増税もやむなし」と思うに違いない。

しかし新しい政権は事業仕分け、再仕分けの対象となったはずの8~9割の無駄な事業の復活を座視するだけで、何ら対応をしてこなかった。国会議員の定数を大幅に減らすという議論については全く俎上に上がる気配すらない。

財務省が、会計方式を変えて、累積180兆円以上といわれている特別会計余剰金の取り崩しを図れば震災復興予算などなんとでもなる話である。さらに、60兆円もの米国債があるのだから、まことに逼迫しているならば、それを売却すればよい。

ところが「金がない、金がない」といいながら、日本政府は、アメリカに対して、米軍への思いやり予算を今後5年間に1兆円も拠出することをやすやすと確約している。

それどころか、この未曽有の国難の最中に、途上国援助のODA予算として5700億円以上も計上し、公共事業費として、元森総理のお膝元である北陸新幹線に1800億近い公共事業費をつぎ込もうとし、それらのつけをすべて公務員の給料カットと消費税の増税で賄おうとしているのである。

ただでさえ消費が落ち込んでいる状況下で、給料カットや消費税増税が消費をますます鈍化させることは必至である。

政府は特別会計は取り崩せないと主張しているが、国債整理基金を復興に回してもなんら支障がないことを、以下に元内閣参事官の高橋氏が明らかにしている。

http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20110421/plt1104211621002-n1.htm


国債整理基金から10兆円を復興に回しても支障はない 財務省の言い分は間違いだ

2011.04.21
 日曜日(17日)朝のフジテレビ報道番組で、江田憲司みんなの党幹事長が、「国債整理基金の余りカネ10兆円を大震災復興のためにあてよ」と発言した。これに対して、岡田克也民主党幹事長は「国債整理基金への繰入があるから国債の信認が保たれているのでできない」と言った。

この言い分は財務省そのままだ。もちろん正しいなら問題ないが、間違った意見をそのまま鵜呑みにするのは政治家としてまずい。

まず国債整理基金の仕組みを整理しよう。国債整理基金(特別会計)は国債の償還や利払いを行うための区分整理会計である。この特別会計は、いろいろな特別会計からの繰入が多く、特別会計の間の「結節点」になっているもので複雑だが、国債の償還・利払いだけに着目すれば、構造は簡単だ。

その歳入は、借換債発行による収入、一般会計からの繰入、前年度からの剰余金で、歳出は国債の償還、利払いとなる。借換債発行によって国債の償還をするということからわかるように、満期が到来した国債はロールオーバーされている。

一般に国債発行というと、今年度予算では44兆円といわれるが、これは新規国債というもので、ロールオーバーのための借換債が110兆円発行される。このほかにも財投債14兆円が発行され、総計169兆円発行される。

新規債、借換債、財投債といっても、マーケットではまったく同じ条件なので、マーケットの人はそもそもどれを扱っているかさえもわからない。

国債整理基金の国債償還の部分は、おおざっぱに言えば、借換債110兆円、一般会計から20兆円、前年度からの剰余金10兆円が収入で、償還120兆円、利払い10兆円が支出になって、次年度への剰余金が10兆円となる。

だから、国債整理基金の収入のうち10兆円を震災復興に回しても、次年度への剰余金がなくなるだけで、国債償還には支障ない。

問題は、岡田幹事長のいうように、10兆円を回したら国債の信認が失われるかだ。このように国債整理基金を作り一般会計から一定額を繰り入れる仕組みを減債制度というが、この仕組みは日本だけのもので海外にはない。だから、この仕組みによって国債の信認を得ているという説明は海外ではまったく通用しない。

国債の信認は日本経済の実力やマクロ経済運営の巧拙などから出てくるのだ。このような奇妙な日本の仕組みを説明すると、日本はマクロ経済運営で重大なミスをしてそれを隠蔽するために、変な口実をしていると勘ぐられるのがオチだ。

民主党は、さっそく復興増税を言い出すなど財務省に完全に操られている。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

2011年5月22日日曜日

原発事故調査委員会のメンバー

原発の事故調査委員会メンバーは原子力村の村民や原子力村の利権に群がっていた議員たち以外から構成すべきである。前にも書いたが、海外の専門家を招き入れることは当然だ。

ただ、海外の専門家といったときに、安易に(東電寄りの見解を示すような)IAEAのメンバーやアメリカやフランスの推進派の専門家を加えることが考えられているかもしれない。

しかし、IAEAは所詮原子力の平和利用を推進することを目的とする機関であるし、アメリカやフランスの推進派は、ヨーロッパの先進諸国が脱原発に向かい原発に逆風が吹く中、仲間を失いたくないという思惑を持っていることを熟慮した上で人選すべきである。

利益優先や関係者の庇い合いではなく、国民の安全と健康という観点からこの事象を客観的に調査してくれるであろうメンバーを中心に、ドイツの原子力安全規制行政委員会のメンバーなど、海外の専門家を加えるべきである。

事故調査委員会のメンバーとしては、

小出裕章氏ーー事故調査委員長を中心に、小佐古敏荘氏、武田邦彦氏、後藤政志氏、中村幸一郎保安院審議官に三顧の礼を持ってしてもお願いすべきであろう。国会議員をこれに加えるとすれば、河野太郎氏が適任である。

なおこれからの日本のエネルギー対策を考える新エネルギー政策検討実施委員会のメンバーとしては、

河野太郎氏、小出裕章氏、古賀茂明氏、金子勝氏、内橋克人氏を委嘱し、これらのメンバーを中心に大胆かつ斬新な新しいエネルギー政策を立案・実施してもらいたいと願うのは薔薇っ子だけだろうか。

Too big to fail ? :That is the big question

 賠償の国民負担を求める前にすべきことがいくつもある。前のブログでも書いたが、東電、特に経営陣及び原発推進に関わった管理職経験者の責任は重大であるし、会社が保養施設や社宅、ホテルなどの資産を全て売却すべきであることは言うまでもない。また、銀行もそのような企業に融資を続けた貸し手責任を取ることは当然であろう。しかしそれ以上に行うべきことは、社債権者及び株主責任を問うことである。


 「(企業)は大きければ、何をしても許される。」、「大きければ当然お目こぼしに預かれる。」「いざとなれば、波風が収まるまでテレビの前で、2,3度頭を下げておきさえすれば、後の責任は国(国民)に押し付ければそれで済むんだから」といった、とんでもない甘い目算のもとに、原発の安全神話は打ち立てられ、今度のような大きな人災を引き起こす結果を生み出したのである。


 原発を有する各電力会社が、このような事件を二度と引き起こさないためにも、上っ面だけの手ぬるいリストラ策だけで断じてお茶を濁すべきではない。


 TOPCOのような津波対策も地震対策への進言にも全く耳を貸さず、40年もたった老朽化した原発の稼働延長をさらにそのまま申請するような杜撰で企業倫理のかけらもない全く信用ならない企業の株や社債を購入して企業活動を支え、多額の配当を得てきた組織や個人が、免責されなければならない理由などはどこにも見当たらない。


騙された人たちは気の毒である。株主の中には退職金の虎の子をつぎ込んだ人もいるだろう。しかし、それはこれまで株式投資で失敗をしたすべての株主に言えることであり、TOPCOだけが例外ではないし、また断じて例外にすべきではない。


少なくとも投資家である限りは、自分が投資する会社がどんな体質の会社なのかを十分に眼を向けるべきであり、それを怠ってきた責任が今問われるのであるという一言に尽きる。


 減資は当然の措置であるし、それに加えて、賠償スキームの中には、国営化や大幅な電力改革(自由化)をも視野に入れた抜本的な対策を盛り込むべきなのではないか。

2011年5月21日土曜日

工程表の9ヶ月:福島で原発作業員を確保できるぎりぎりの限界なのか?

福島原発の作業員の内部被曝の状況は相当に深刻であるらしい。にもかかわらず、同原発で作業員の内部被曝を計測するホールボディーカウンター4台は空気中の放射線量が高すぎて正確に測定できず、使えるのは福島第2原発といわき市の東電施設、柏崎刈羽原発の3カ所のみであるという。3000人もの作業従事者がいるというのに、なんというお粗末な話だろうか。

およそ本店の上層部は、現場で働く下請けの作業従事者など、札束で頬を叩けばどうにでもなる「捨て駒」にしか思っていないのあろう。そのような体質の企業をしっかり監督し、作業員の安全・作業の保安を考え、会社に適切な指導をするのが政府の原子力関係者の責務なのでは?

多くの作業員は内部被曝の検査を受けずに県外に出て、県外の原発で被曝が判明しているようである。このままでは福島の作業員が大量に失業する可能性があると懸念されているが、ここでも不可解なのは半減期の少ないヨウ素とセシウムの数値しか示されていない点である。

先週だったか、大臣の一人が原発対応の方針の中に、外国人の雇用を増やすというようなことを匂わしたが、国内で原発作業員を確保できなくなったときには、海外から労働力を買うのだろうか。その場合、絶対にテロの危険性が伴わないような対応はしっかり考えられているのだろうか。しっかりした危機管理能力が求められる。


以下は毎日新聞jpから

内部被ばく:県外原発で働く福島出身作業員から相次ぎ発見

ホールボディーカウンターの一つ=経済産業省原子力安全・保安院のホームページから
ホールボディーカウンターの一つ=経済産業省原子力安全・保安院のホームページから
東京電力福島第1原発の事故後、福島県外で働く同県出身の原発作業員から、通常ならめったにない内部被ばくが見つかるケースが相次いでいる。大半は事故後に福島県に立ち寄っており、水素爆発で飛散した放射性物質を吸い込むなどしたとみられる。周辺住民も同様に内部被ばくした可能性もあり、福島県内の一部自治体は独自に検査を検討している。【日下部聡、石川淳一、町田徳丈、袴田貴行、池田知広】

 ◇事故後立ち寄り…内部被ばく4766件

経済産業省原子力安全・保安院の寺坂信昭院長が16日の衆院予算委員会で明らかにしたデータによると、3月11日以降、福島第1原発を除いた全国の原子力施設で、作業員から内部被ばくが見つかったケースが4956件あり、うち4766件はその作業員が事故発生後に福島県内に立ち寄っていた。柿沢未途議員(みんなの党)の質問に答えた。
保安院によると、体内からの放射線を測定できる機器「ホールボディーカウンター」による検査で、東電が内部被ばくの目安としている1500cpm(cpmは1分当たりに検出された放射線量を示す単位)を上回った件数を電力各社から聞き取った。1人で複数回検査を受けるケースがあるため、件数で集計した。1万cpmを超えたケースも1193件にのぼった。
いずれも福島第1原発近くに自宅があり、事故後に家族の避難などのために帰宅したり、福島第1、第2両原発から他原発に移った人たちとみられる。
柿沢氏によると、北陸電力志賀原発(石川県)で働いていた作業員は、3月13日に福島県川内村の自宅に戻り、数時間滞在して家族と共に郡山市に1泊して県外に出た。同23日、志賀原発で検査を受けたところ5000cpmで、待機を指示された。2日後には1500cpmを下回ったため、作業に戻ったという。
取材に応じた福島第2原発の40代の作業員男性は第1原発での水素爆発以降、自宅のある約30キロ離れたいわき市で待機していた。その後、検査を受けると2500cpmだった。「大半が(半減期の短い)ヨウ素で数値は(時間の経過で)下がると思うが、不安だ」と男性は話す。
同県二本松市には「市民から内部被ばくを心配する声が寄せられ」(市民部)、市は乳幼児や屋外作業の多い人などを選び、県外のホールボディーカウンターで内部被ばくの有無を測定することを検討している。

 ◇内部被ばく◇

呼吸や飲食などで放射性物質を体内に取り込み、体内から放射線を浴びること。体外からの外部被ばくに比べ継続的で危険が高い。体表から10万cpmを超す線量を検出すれば放射性物質を洗い落とす「除染」が必要とされるが、東電は内部被ばくの恐れがあるとする目安を、ホールボディーカウンターで1500cpm超の場合としている。大量の内部被ばくはがんになるリスクを高める一方、時間と共に排せつされ、排せつも含めた「半減期」は成人ではヨウ素131で約7日、セシウム137で約90日。

 ◇扉ゆがむ棟「そこで食事すれば体に入って当然」…福島第1の作業員

福島第1原発で作業拠点となっている免震重要棟は、3月に起きた1、3号機の水素爆発で扉がゆがみ、放射性物質が一時入り込みやすくなっていたという。40代の作業員男性は「そこで食事しているから(放射性物質は)体に入っているでしょう」とあきらめ顔だ。「『ビール飲んで(尿で体外に)出しゃいいよ』って感じですよ」

 ◇空気中線量高く機器測定不能に

今月現場に入った作業員男性(34)は内部被ばくの検査態勢の不十分さを懸念する。「周りのほとんどは検査を受けていない。特に20代の若手が不安がっている」。東電は3カ月に1回の定期検査のほか、恐れのある時の随時検査を定める。だが今月16日現在、検査したのは全作業員の2割程度の約1400人、このうち結果が確定したのは40人にとどまる。最も高い線量を浴びた作業員は240・8ミリシーベルトで、うち39ミリシーベルトは内部被ばくだった。
東電によると、同原発のホールボディーカウンター4台は空気中の放射線量が高すぎて正確に測定できず、使えるのは福島第2原発といわき市の東電施設、柏崎刈羽原発の3カ所のみ。今後増設するとしているが、内部被ばくした場合、作業に従事できないのが通例だ。県内のある下請け会社社長は「このままでは福島の作業員が大量に失業する可能性がある」とも懸念する。
毎日新聞 2011年5月21日 2時36分

原発賠償:役員の退職金返上や企業年金の減額は当然では?

日本の実業家はまことに吝嗇である。一等地の大邸宅で暮らし、贅沢三昧の暮らしをしていても、彼らは自分たちの儲けをほとんど社会に還元しようとはしない。孫正義氏がこのほどの震災で100億円の義援金を出したことは大きな話題になったが、会社や団体の義援金はあっても、企業家の中で個人で1億以上の義捐金を出したのは、薔薇っ子の知る限りでは、ファーストリテーリングの柳井氏と、楽天の三木谷氏、ニトリの似鳥氏のみである。

アメリカなどでは、一定の収入を得ている企業家たちは、多額の寄付をすることによって、自らが得た利益を社会に還元するのが当然とされ、何もしないことのほうが異常視される。それに引き換え、現代日本の企業家や富裕層たちは、我が身と家族さえよければそれでよいという方々ばかりで、およそノブレス・オブリージュなどといった言葉からは程遠い存在のようだ。

東電は社長交代案を提示したが、役員報酬だけでも7200万円と言われる大企業の役員や管理職の退職金や企業年金が満額支払われた場合、一体いかほどになるのだろうか。

彼らは一般庶民とは異なり、今更退職金や企業年金などに頼らなくても、過去何十年にもわたって、分不相応で、償還しても、余りあるほどの報酬を得ているはずである。

品性のかけらもない彼らに今更ノブレス・オブリージュを求めても所詮無理な話だから、政府がリストラ案の中に盛り込み、そぎ落とす以外はない。

2011年5月20日金曜日

銀行の債権放棄、当然では?

賠償金の賠償金の原資をどうするかのひとつとして銀行の債権放棄が提示され、それについて様々な物議がもたらされているという。

公営事業に近い企業に銀行が貸付をするのは当然のことであって、銀行に貸し手責任はないと銀行の肩をもっている議員がいるそうだ。

しかし、活断層の上で耐久年数を過ぎたような設計段階ですでに欠陥があるような原子炉を、ろくな津波対策もせずに、40年も稼動させ、様々な事故が起きるたびに隠蔽に明け暮れ、まともな対応をしてこなかったような企業に対して、それが公営事業に等しい企業だからというだけの理由で、安易に多額の貸付を行ってきた責任は、一切ないと言えるのだろうか。

銀行は、それが公的な事業であろうが、なんであろうが企業の業務内容・企業価値やリスクを的確に調査・把握し、何があっても慌てふためかずとも済むよう、適切な取引先と取引額を析出する判断力・審査能力を持たずして、厳しいグローバル社会の中で生き残っていくことはできまい。

特に電力会社に多額の融資を行ってきたメガバンクは、新しいエネルギー開発に積極的にチャレンジしているような中小企業への融資を渋り、隠蔽体質の事故処理もまともにできない危険な企業に多額の資金を貸し続けてきた責任を大いに問われるべきなのではないか。

東電賠償について、銀行に責任の一端を担わせることで、銀行は、今後公的な企業の業務内容やリスク管理のあり方を、今以上に厳しくチェックするようになり、小規模でも将来性のある優良な企業に対してもっと積極的に貸付けを行うようになるなど、これが日本の銀行の融資業務の改善・変化の契機となることを強く望みたい。

2011年5月19日木曜日

ノーモア福井、ノーモア伊方、ノーモア島根、ノーモア六ヶ所村

浜岡原発は一時停止になった。津波対策をすればまた再開もという含みを残したようだが、活断層の真上にある原発が「津波対策さえすれば大丈夫だ」と主張する前に、まず中部電力の役員を始めとする推進派の方々は、すべて浜岡原発の敷地内に家族ぐるみで転居し、そこに永住することを条件にしてもらいたい。

現在試運転中あるいは建設中の原発や再処理工場は、即刻建設・試運転中止をすべきであることは言うまでもないが、同時に敦賀や美浜など、福島よりさらに老朽化した原発や、アウトオブコントロールのもんじゅがある福井の原発銀座は全炉を即刻廃炉にすべきである。

福島のような人災事故が起こり、日本海側の原発に偏西風が流れれば列島への空気汚染の拡大はもはや福島の比ではないし、琵琶湖の水の汚染の危険性についても前に触れたとおりである。

同じく老朽化した島根原発についても、近くに大都市松江を控えており人口密度の高い市街地の近くに原発があることは、危険極まりない。


昨今この島根原発を保安院が島根原発に立ち入り調査をして安全宣言をしたそうだが、共同通信によれば、「産業省原子力安全・保安院は立ち入り検査や専門家による審議会を経た上で、ことし2月に福島原発第1に10年間の運転継続を認可したばかりだった」と報じている。設計に欠陥がありしかも老朽化した原発に対してさらに10年も運転継続のお墨付きを与えるという、重大な管理ミスをしておきながら、事故後2ヶ月以上たっても誰一人謝罪すらせず、責任を全くとらない恐るべき保安院が、いくら原発の安全点検のみ直しをしたところで、彼らの管理、点検能力が0であり、国民の健康や安全など歯牙にもかけない組織であることは、日本国民のみならず、もはや全世界の人々が知るところとなっている。

原発は安全点検さえすませれば、そのまま稼働し続けてよいなどと首相は言っているそうだけれども、保安院や安全委員会や原子力村のメンバーによる安全点検は、国民をさらなる危険にさらすだけであることを今やすべての国民は認識し、懸念しているのである。


もちろんメディアンラインの間近にある伊方原発もロートル原発の一つであり、南海地震が発生すれば、恐らくひとたまりもない。これも併せて即刻に中止すべきであろう。


政府は環境にやさしい新しいエネルギー政策を打ち出し、電力の自由化促進を図る一方、原発に頼らないクリーン・エネルギーの開発に力を入れ、そこに多くの雇用を生み出し、そこから生み出された高い技術を世界に輸出することこそが日本再生への道だと考える。

http://www.47news.jp/47topics/e/202570.php


東日本大震災で事故を起こし、危機的状況が続く東京電力福島第1原発1号機が26日、営業運転開始から40年となった。国内で運転している中では、日本原子力発電敦賀原発1号機、関西電力美浜原発1号機(いずれも福井県)に次いで3番目に古い原発だ。
福島第1原発1号機は1971年3月26日に運転を始めた沸騰水型炉で、出力46万キロワット。事故で炉心が損傷しているとみられる上、冷却のために海水が注入されており、運転再開は絶望的。枝野幸男官房長官も廃炉との認識を示している。
全国的に原発の新増設が進まない中で電力各社は既存原発の延命を図っているが、今回の事故を受け、運転延長の受け入れに難色を示す地元自治体が増えるのは確実。日本の原子力政策は厳しい局面を迎えそうだ。
福島第1原発1号機について、東電は事故前、運転開始から40年になった後も運転を継続する方針を表明。2010年3月、国の指針に基づき、さらに20年間運転を続けても温度管理や点検の強化で安全性は確保されるとする評価書と、今後10年間の保守管理方針を国に提出した。
経済産業省原子力安全・保安院は立ち入り検査や専門家による審議会を経た上で、ことし2月に10年間の運転継続を認可したばかりだった。
原発の寿命に法律上の規定はないが、各電力は当初、30~40年の運転を想定していた。国内の商業原発54基のうち、中国電力島根原発1号機(島根県)など18基が、運転開始から30年を超えている。(共同通信 2011年03月26日)

海洋汚染の調査は国が独占せず、一刻も早い情報開示を!

世界中で、グリーンピースによる環境調査を拒否した国は日本とインドネシアしかないと聞いた。

朝日系列の朝の番組で、食物連鎖による生物濃縮の話に及んだ。
水産庁が魚の放射能汚染状況を調査する場合、はじめに魚をま水でよく洗い、頭と内臓を落として、身の部分だけを計測しているのだという。

それに対して、キャスターやコメンテーターは、頭から食べる魚もあるし、さんまの内臓なども苦味があって美味いのに、身の部分だけを計測するのはいかがなものかと指摘した。

これに対してある水産学者は、ヨウ素、セシウム、ストロンチウム、テクネチウムの半減期を示す表を示し、少し半減期の話をした後で、セシウムは筋肉に集まりやすいから、水産庁がセシウムの量を計測するには、いかにも妥当だというような役所よりの発言をしていた。

いかにも中途半端な番組である。ストロンチウムの計測値を示さないことにはどんな問題があるのか。半減期21万年や2万2千年のテクネチウムやプラトニウムの数値を以前としてしっかり公開しないことの問題性はどこにあるのか。そこまで突っ込んでもらいたかった。

食物連鎖による生物濃縮という点で言えば、一体どこの魚が小魚を真水で洗い、頭を内臓を落としてから身だけを食べるのかということである。

高濃度の汚染水漏れが今この時点でもまだ100%否定できない限り、今も海はじわじわ汚染され
続けていると想定し、国に能力がないのであれば、グリーンピースにでも何でも依頼して信頼性のあるデータの開示を、もっと様々なモニタリングスポットで実施すべきであろう。

現状では福島原発から南のエリアに比して、福島から北の宮城や岩手ではほんの2,3箇所のスポットでしか計測されていない。都市大学教授の本田氏は、福島沖の海流は必ずしも南にばかり流れるわけではないし、汚染水は同心円状に均等に広がるわけではなく、まだらに拡散する可能性があると示唆していた。さらにグリーンピース・ジャパンの海洋調査の担当者は、あらゆる種類の魚について検査を行う必要があると言明していた。

今から秋に向けて水産業の復興に心血を注いだ宮城や岩手の沿岸部の人たちが数ヵ月後、大量に水揚げした大型魚を全て破棄しなければならないような徒労に終わらせてはならない。そのための唯一の方法は、政府だけではなく、計測能力を持つ世界の機関に海洋汚染や海流の計測を要請し、出来る限り詳細かつ正確なデータを収拾し・それを広く公開した上で、世界の海洋学者を結集し、大型魚の食物連鎖による生物濃縮がいかほどになるかシミュレーションを行い、万が一の事態に一刻も早く備えるべきないのか。

東北沿岸部の復興は、農村部と同様、原発事故による海洋の放射能物質汚染がいかほどで、それが地元の生産物に与え続ける影響がどの程度なのかをしっかり頭に入れた上で、粛々と行われるべきであり、悠長に文明論を論じているような場合ではない。

捕獲禁止や自主規制によって、この春人間が食べなかったコウナゴや小魚をたらふく食べた大型魚たちの体内には、どれほどのストロンチウムやセシウムが蓄積されているのだろうか。