朝日系列の朝の番組で、食物連鎖による生物濃縮の話に及んだ。
水産庁が魚の放射能汚染状況を調査する場合、はじめに魚をま水でよく洗い、頭と内臓を落として、身の部分だけを計測しているのだという。
それに対して、キャスターやコメンテーターは、頭から食べる魚もあるし、さんまの内臓なども苦味があって美味いのに、身の部分だけを計測するのはいかがなものかと指摘した。
これに対してある水産学者は、ヨウ素、セシウム、ストロンチウム、テクネチウムの半減期を示す表を示し、少し半減期の話をした後で、セシウムは筋肉に集まりやすいから、水産庁がセシウムの量を計測するには、いかにも妥当だというような役所よりの発言をしていた。
いかにも中途半端な番組である。ストロンチウムの計測値を示さないことにはどんな問題があるのか。半減期21万年や2万2千年のテクネチウムやプラトニウムの数値を以前としてしっかり公開しないことの問題性はどこにあるのか。そこまで突っ込んでもらいたかった。
食物連鎖による生物濃縮という点で言えば、一体どこの魚が小魚を真水で洗い、頭を内臓を落としてから身だけを食べるのかということである。
高濃度の汚染水漏れが今この時点でもまだ100%否定できない限り、今も海はじわじわ汚染され
続けていると想定し、国に能力がないのであれば、グリーンピースにでも何でも依頼して信頼性のあるデータの開示を、もっと様々なモニタリングスポットで実施すべきであろう。
現状では福島原発から南のエリアに比して、福島から北の宮城や岩手ではほんの2,3箇所のスポットでしか計測されていない。都市大学教授の本田氏は、福島沖の海流は必ずしも南にばかり流れるわけではないし、汚染水は同心円状に均等に広がるわけではなく、まだらに拡散する可能性があると示唆していた。さらにグリーンピース・ジャパンの海洋調査の担当者は、あらゆる種類の魚について検査を行う必要があると言明していた。
今から秋に向けて水産業の復興に心血を注いだ宮城や岩手の沿岸部の人たちが数ヵ月後、大量に水揚げした大型魚を全て破棄しなければならないような徒労に終わらせてはならない。そのための唯一の方法は、政府だけではなく、計測能力を持つ世界の機関に海洋汚染や海流の計測を要請し、出来る限り詳細かつ正確なデータを収拾し・それを広く公開した上で、世界の海洋学者を結集し、大型魚の食物連鎖による生物濃縮がいかほどになるかシミュレーションを行い、万が一の事態に一刻も早く備えるべきないのか。
東北沿岸部の復興は、農村部と同様、原発事故による海洋の放射能物質汚染がいかほどで、それが地元の生産物に与え続ける影響がどの程度なのかをしっかり頭に入れた上で、粛々と行われるべきであり、悠長に文明論を論じているような場合ではない。
捕獲禁止や自主規制によって、この春人間が食べなかったコウナゴや小魚をたらふく食べた大型魚たちの体内には、どれほどのストロンチウムやセシウムが蓄積されているのだろうか。
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