昨年の3.11以降、原子力ムラへの批判があちこちで繁く行われてきた。
にもかかわらず、毎日新聞によれば、原子力政策の原案は、あいも変わらず原発推進派ばかりのムラのうちうちで、決められている実態が明らかになった。
原子力ムラの存在を黙認し、原発の安全管理の方法や事故処理の方法はおろか、危険極まりない廃棄物の処理法すらわからない人たちに、これ以上、原発を稼動させ、廃棄物のさらなる増産を任せるようなことをしていてよいのだろうか。
国民の安全で健康な生活を守るというもっとも基本の原理原則を完全に無視し、既得権益のためだけに横車を押すような人々がやりたい放題やれるような仕組みをどこまで温存させるつもりなのか。
情報を公開せず、電気事業者と官僚がつるんで、自分たちにとって都合のよい、脱原発に不利な数字ばかりを弾きだして、高笑いしているような会議は、これだけにとどまるまい。
国民やメディアは、彼らが悪知恵を張り巡らせて弾きだしてきた根拠のない数字に騙され、原発を動かさなければ、やれ電気料金の高騰だの、電力不足で停電だのと煽られているというのが、今の日本社会における偽らず実態なのではないのか。
このような実態を重々知りつつ、伏魔殿で作成された報告案をそのまま有り難く、おし頂き、彼等が描いた筋書き通りに、従順に政策提案・決定をするだけの政治家たちはあまりにだらしなく、情けない。
http://mainichi.jp/select/news/20120524k0000m040126000c.html
核燃サイクル「秘密会議」:まるでムラの寄り合い
毎日新聞 2012年05月24日 02時30分(最終更新 05月24日 03時03分)
扉の向こうに信じがたい光景が広がっていた。4月24日、東京・霞が関で開かれた「勉強会」と称する核燃サイクルを巡る秘密会議。一線を画すべき国家公務員と電気事業者が談笑する様は、まるで「原子力ムラ」の寄り合いだ。参加者の手元にはなぞの文書が配られる。取材班は後に内閣府原子力委員会の小委員会で示される報告案の原案だったことを突き止めた。【核燃サイクル取材班】
◇反対派批判、一斉に笑い
4月24日午後5時前、東京・霞が関の中央合同庁舎4号館7階743会議室。開けっ放しのドアから三々五々、背広姿の男たちが入室していくのを記者は目撃した。原子力委員会、内閣府、経済産業省・資源エネルギー庁、電気事業連合会、日本原燃、東京電力……。反対・慎重派の姿はなく、推進派ばかりだ。
青のワイシャツ姿の男が脇に書類の束を抱えて入室してきた。机にどんとおろす。一山にすると崩れるからか二山に分けて置いた。高さは片方が20センチ、もう片方が10センチぐらいだろうか。後に判明した事実によると、文書は「原子力発電・核燃料サイクル技術等検討小委員会」の報告案の原案。実際に審議されたのは14日も先だ。
核燃サイクル原案:秘密会議で評価書き換え 再処理を有利
毎日新聞 2012年05月24日 02時30分(最終更新 05月24日 02時57分)
内閣府原子力委員会が原発の使用済み核燃料の再処理政策を論議してきた原子力委・小委員会の報告案を作成するため4月24日、経済産業省・資源エネルギー庁、電気事業者ら推進側だけを集め「勉強会」と称する秘密会議を開いていたことが分かった。表紙に「取扱注意」と記載された報告案の原案が配られ、再処理に有利になるよう求める事業者側の意向に沿って、結論部分に当たる「総合評価」が書き換えられ、小委員会に提出された。政府がゼロベースの見直しを強調する裏で、」政策がゆがめられている実態が浮かんだ。
小委員会は修正後の総合評価を踏襲して取りまとめ、23日、「新大綱策定会議」(議長・近藤駿介原子力委員長)に報告して事実上解散した。近く政府のエネルギー・環境会議に報告される。
毎日新聞はA4判79ページの資料を入手した。表紙右上に「4/24勉強会用【取扱注意】」、表題は「原子力発電・核燃料サイクル技術等検討小委員会(第13回)」で、4月27日に論議される予定の報告案の原案だった。
核燃料処理:全量直接処分が最安 総事業費試算やり直し
毎日新聞 2012年04月27日 21時28分
原発の使用済み核燃料を再利用する「核燃料サイクル」の今後を検討している内閣府原子力委員会の小委員会は27日、処理方法ごとの総事業費に関する試算をやり直した結果を公表した。使用済み核燃料をすべて地中に埋める「全量直接処分」は、前回の試算では最も割高とされたが、一転して最安となった。国の従来方針の「全量再処理」は逆に最も高くなり、政策転換に結びつく可能性がある。
新試算は、2030年までに発生する使用済み核燃料の処理がすべて終わる約300年先までの総事業費を、▽全量再処理▽全量直接処分▽両方を併存−−の3方法ごとに計算。全発電量に占める原発比率が(1)30年に35%(2)同20%(3)20年に0%−−の3ケースを想定し、比較した。
原発存続を前提とする(1)と(2)で、全量直接処分は11.8兆〜14.1兆円となり、全量再処理や併存をそれぞれ4兆円程度下回った。再処理する必要がなくなる脱原発シナリオの(3)だと全量直接処分に8.6兆〜9.3兆円かかるとされた。
原子力小委:使用済み核燃料 処分法7項目で総合評価
毎日新聞 2012年05月08日 13時27分(最終更新 05月08日 17時18分)
原発の使用済み核燃料を再利用する「核燃料サイクル」のあり方を検討する内閣府原子力委員会の小委員会(鈴木達治郎座長)は8日、処理方法ごとの経済性に実現可能性などを加味した総合評価結果を提示した。国の原発政策が決まるまで判断を先送りする「留保」という選択肢を新たに加えた。評価結果は、次回まで議論した上で関係閣僚らで作る国家戦略室の「エネルギー・環境会議」に送られ、同会議が夏にもまとめる予定のエネルギー戦略に反映される。【阿部周一】
評価した処理方法は、2030年までに原発から出る使用済み核燃料を▽全量再処理▽全量直接処分(地中埋設)▽両者の併用−−とするもの。30年時点の原発依存比率が(1)35%(2)20%(3)15%と、(4)20年までに全廃−−としたシナリオを想定し、▽燃料の量と貯蔵容量▽核拡散リスク▽実現の困難さ▽経済性▽ウラン資源確保▽放射性廃棄物の発生量▽政策としての柔軟性、の7項目で評価した。