規制委候補4人に原子力マネー 経歴調査資料で判明
2012年7月31日 21時51分
政府が国会に提示した原子力規制委員会の委員長・委員候補5人のうち4人が、原子力関連会社などから報酬を受け取っていたことが31日、政府の経歴調査資料で判明した。 資料によると、委員長候補の田中俊一・前原子力委員会委員長代理は2011年度に原稿料や講演料として、原子力の啓発活動などを行う日本原子力文化振興財団から20万円、放射線関連商社、日本原子力産業協会から受け取っていた。
委員候補の更田豊志・日本原子力研究開発機構副部門長、中村佳代子・日本アイソトープ協会主査、島崎邦彦・地震予知連絡会会長の3人も振興財団から講演料を得ていた。
原子力規制委:人事案「ベストの陣容」…細野原発事故相
毎日新聞 2012年07月26日 21時28分(最終更新 07月26日 22時20分)
細野豪志原発事故担当相は26日、記者会見し、 員会の人事案について「この5人がベストの陣容だ」と述べた。]
委員長とした田中俊一氏については原子力の専門家としての経歴に加え、東京電力福島第1原発事故後、「数いる専門家で最も深い反省をした人物」と評価した。
また、原子炉の専門家である更田(ふけた)豊志氏を「研究者として脂の乗った現役」と指摘し、緊急時に即断できる能力を重視したと説明した。
中村佳代子氏については福島第1原発事故後、放射線の健康相談などに携わり、情報発信能力があると評価したと明かした。大島賢三氏に関しては国連大使時代の実績のほか、幼少時に広島で被爆体験があることも考慮したという。島崎邦彦氏は福島第1原発事故が起こる前から政府の地震・津波対策の不備を指摘していたことを踏まえ、起用したという。【笈田直樹】
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120802-00000003-mai-pol
<田中氏所信>「40年廃炉、厳格に」 原発事故で反省の弁
毎日新聞 8月2日(木)0時35分配信
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衆院議院運営委員会で原子力規制委員会委員長候補者として所信を述べる田中俊一・高度情報科学技術研究機構顧問=国会内で2012年8月1日、藤井太郎撮影 |
政府が新設する原子力規制委員会の初代委員長候補、田中俊一・高度情報科学技術研究機構顧問(67)は1日、衆参議院運営委員会の所信聴取で「原子力ムラの住人」だったとの指摘に反省の弁を繰り返し、官民の「なれ合い」懸念の払拭(ふっしょく)に努めた。活断層が新たに確認された原発は停止させ、「40年廃炉ルール」を厳格に適用すると強調。ただ、野党には田中氏を含む規制委員候補5人の人選に異論が根強く、民主党は議論を慎重に進める方針だ。
【田中氏の所信】規制、厳格適用の意向
「どんなに反省しても反省しきれない。避難者が早く古里に戻れるようにと取り組んでいる」。田中氏はこう述べ、東京電力福島第1原発事故を踏まえ、厳格化させる安全規制を達成できない事業者には原発の運転を認めない姿勢を強調した。
内閣府原子力委員会の委員長代理を務めるなど、「原発推進」の立場にあったとの批判があるためだ。
田中氏は再稼働したばかりの関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)を挙げ、「事業者任せにせず(新たな活断層の)調査に加わる。活断層があるとなれば、当然止めていただく」と明言。40年廃炉ルールは「機械的に適用するわけではない」としつつも、規制委が「厳しいバリアー(防壁)になる」と訴えた。
政府が同意人事案を国会に提示した後、「脱原発」を唱える各党議員や市民団体などからは田中氏の適性を疑問視する声が相次ぐ。このため田中氏は「原子力委員会の時から推進と規制は明確に分けるべきだという見解だった」と釈明。11年度に原子力関連団体から受け取った約29万円の報酬は、原発事故後、避難者に除染・放射線対策の講演などをした対価だと説明した。
政府は規制委の発足を急ぐが、民主党内では鳩山由紀夫元首相が田中氏起用に「再考を求める」と表明。同党の池口修次参院国対委員長は1日の記者会見で「いろいろな意見がある。相当厳しい人も多いだろう」と述べざるを得なかった。
一方、規制委設置法の成立に協力した自民、公明両党。公明党は規制委の早期発足を重視し人事案を受け入れる方向だ。自民党内にも「バランスは取れている」と容認論はあるが、党政調の1日の協議では賛否が割れた。【笈田直樹、念佛明奈】
規制委員長候補の田中俊一氏への所信聴取の要旨は次の通り。
【就任の決意】
原子力に関わってきた個人として、なぜ事故を起こしてしまったのか、福島の皆さんに申し訳ないとの思いが交錯してきた。悩んだが、日本のため、立地地域のために身を投げ出すべきだと決心した。
【規制行政】
科学的・技術的見地から安全規制や指針を徹底して見直す。技術は日々進歩しており、日々見直す姿勢を貫く。現行の安全基準には明らかに不備がある。
【40年ルール】
古い原発の安全確保に必要な制度だ。40年を超えた原発は厳格にチェックし、要件を満たさなければ運転させないとの姿勢で臨む。
【原発再稼働・大飯3、4号機】
規制委は再稼働させるか、判断する立場にないが、安全性は厳しく判断する。新たな活断層の影響があるとなれば、原発の運転停止を求めるべきだ。大飯原発は事業者任せではなく自らも調査に加わって判断し、活断層があれば止めてもらう。
【原子力ムラ批判】
経歴で言われれば(原子力ムラの住人ではないと)否定するすべはない。ただ、私は研究所が長く、あまり事業者と付き合いはない。独立性、透明性を守ることで、事業者と一線を画した規制行政ができる。
http://mainichi.jp/select/news/20120801k0000m010069000c.html
原子力規制委:人事案「再考を」…超党派の国会議員の会
毎日新聞 2012年07月31日 21時08分
超党派の国会議員で構成する「原発ゼロの会」は31日、国会内で記者会見し、政府が国会に提案した 員会の同意人事案について「『利用と規制の分離』『原子力ムラとの決別』をうたった規制委設置法の趣旨を大きく逸脱している」として、再検討を求める声明を発表した。
「ゼロの会」は民主、自民、公明など8党の議員10人が世話人を務める。声明は、規制委員長候補の田中俊一・高度情報科学技術研究機構顧問について「電力事業者との『秘密会議』が常態化していたと指摘される原子力委員会の委員長代理だった」と指摘。原子力委員会のあり方についての総括▽委員長候補と秘密会議の関与▽委員候補を含め、過去の発言に対する見解など人選に関する政府の考え方−−の3点について、説明責任を果たすよう求めた。
また、同会の声明とは別に、民主党の鳩山由紀夫元首相は31日、鳩山グループ会長として、の同意人事案に関し「再考を求める」とする声明を発表した。声明は田中氏について「『ミスター原子力村』の人物。国民の期待に応えるものになっていない」と批判した。【笈田直樹、木下訓明】