2012年7月22日日曜日

国のエネルギー政策のための意見聴取会、パブリックコメント募集は、単なる通過儀礼?

 国のエネルギー政策を決定するための意見聴取会、パブリックコメントの募集といえば、聞こえがいい。意見聴取会は電力会社の本店所在地に偏った場所選びに不信感を持ったが、案の定開いてみたら、実態は電力会社、原発プラント関係者の動員の場となり、やらせ、通過儀礼の域を超えるものではないことが露呈した。東京新聞が言うように、電力会社の幹部や社員が、国民の意見に真摯に耳を傾けるのが、意見聴取会の意義である。

電力会社はこれまでの何十年間、高い電気料金を広報につぎ込み、あるいはメディアを巧に操って、原発がなければ、安定した電力供給はできない、原発こそがもっとも安価で安全なエネルギーであることを、もう十二分に国民に刷り込んできたではないか。関電社長八木氏はそれでもまだ足りない、電力会社の社員が意見聴取会にまで首を突っ込み、発言することのどこに問題があるのかと強気の発言をするのである。この電力会社トップのセンスといい玄海原発のやらせ事件の際の九電幹部の対応といい、このような反省のない連中に原発の操業を任せていると思うだけで、背筋が凍る。

パブリックコメントの募集などということさえ、大々的に宣伝されていることではない。原発問題自体が、オスプレイといじめとオリンピック報道にかき消されている。こんな形で募集をやったところで、動員によって必死になってコメントを繰り返すのは、電力会社の社員や原発プラントと利害関係にある人間に偏ってしまうことは想像に難くない。

最初からシナリオが決まっている通過儀礼であるならば、内閣府に反原発のコメントなど出しても、逆にどこの誰がコメントをしたか追跡され、ブラックリストに載せられるだけでは分に合わないと考える国民も少なくないのではないか。

これまでの現政権のやり口を見れば、増税にせよ、基地問題にせよ、オスプレイの導入にせよ、TPPにせよ、そして原発問題にせよ、彼等が提供する「民主的なプロセス」など絵空事にすぎないことは自明である。原子力ムラの要となる人物を「しがらみのない実務派」として、新しい原子力規制委員会の委員長に据えるということからして、3.11の教訓が何も生かされていないことは歴然としている。

原発意見聴取会 国民的議論に値せず

 福島原発事故を経て、私たちは変わらなければならないはずだ。国民的議論の上で未来のエネルギー政策を決めるというのも、その一つ。だが、政府も電力会社も、その体質は変わっていない。

 これが、国民的議論の実態なのだろうか。

 仙台市で開かれた二回目の意見聴取会から、迷走が始まった。東北電力の執行役員が「会社の考え方」として、堂々と原発推進論を開陳した。翌日の名古屋でも、中部電力原子力部の課長が「放射能の直接的な影響で亡くなった人は一人もいない」と述べた。

 聴取会は二〇三〇年の原発依存率について、あらかじめ政府が提示した0%、15%、20~25%の三案を支持する応募者の中から、各三人ずつを選んで意見を聞く。両会場とも、発言を希望した人は、0%支持者が圧倒的に多かった。

 全国十一カ所の意見聴取会は、普通の人の声を聞く貴重な機会であるはずだ。

 電力会社の幹部といえば、意見を聞いて参考にする立場である。それが、真顔で「会社の考え」を述べるとは、考え違いも甚だしい。消費者の心の内などわきまえない巨大電力会社の実態が、透けて見えるようではないか。

 選んだ政府も政府である。このように疑問と不信を招く聴取会にしたことに、政府の不実、不熱心すら想像される。電力会社の本店所在地に偏った会場の選び方といい、はじめに結論ありきの「やらせ」、あるいはただの「通過儀礼」ではないのかと、疑問を持たれても仕方がない。

 九州や北海道で開かれたプルサーマル発電の導入をめぐる公開討論会やシンポジウムなどに、電力会社社員が動員されたやらせ問題は、まだ私たちの記憶に新しい。

 そもそも、全国で百人足らずの意見を各八分間、しかも三者択一で聞いて、一国のエネルギー政策を決めようという基本姿勢に無理がある。同時に募集中のパブリックコメント(意見公募)が、どのようにいかされるのかも定かでない。

 政府は今後、電力会社の職員は意見表明をできなくし、発言者の数を若干増やす。だが、その程度では、もう国民の多くは納得しない。

 国民的議論と言うのなら、今は結論を急がす、原発推進、反対、中立などさまざまな主体が運営する議論の場をもっと数多く開催し、不信の溝を丁寧に埋めていくしかない。

http://www.47news.jp/CN/201207/CN2012072201001627.html

電力関係者の辞退相次ぐ 札幌、大阪の意見聴取会


 大阪市内で開かれたエネルギー・環境政策に関する意見聴取会=22日午後

 政府は22日、今後のエネルギー・環境政策について国民から直接意見を聞く意見聴取会を札幌市と大阪市で開いた。大阪では抽選で発言者に選ばれた関西電力の社員2人が、札幌でも電力関連会社の社員1人が、運営の改善策に沿った事務局の要請で参加を辞退した。

 利害関係者である電力会社社員の意見表明を認めないなどの改善策を政府が決めて以来、初めての開催で、電力関係者の辞退が相次ぐ事態となった。繰り上げで発言者が補充されたが、両会場で1人ずつが欠席した。

 2会場の発言者計22人中12人が、30年の原発依存度を三つの選択肢のうちで「0%」案を明確に支持した。

2012/07/22 18:31 【共同通信】



関電社長『問題ない」聴取会の電力会社社員発言(7月20日)

将来の原発の比率などをどうするか国民に聞く政府の意見聴取会で電力会社の社員が発言したことについて、電気事業連合会の八木会長は「問題ない」という認識を示しました。

 電気事業連合会・八木誠会長(関西電力社長):「電力会社の社員というだけで、個人の意見表明まで自粛しなければならないのは違和感を感じる
 八木会長は「エネルギー政策は国を支える重要な基幹政策だ」と指摘し、意見聴取会のあり方について、国民各層の意見を聞いてバランスの取れた議論をするべきだと主張しました。さらに、「国民の一人として電力会社の社員が自主的に意見を申し上げることは問題と考えていない。会社としての発言でも問題ない」という認識を示しました。政府は、やらせ批判も出た意見聴取会の改善策として、電力会社の社員に発言させない方針を決めたばかりです。今回の八木会長の発言は、政府の方針と対立する形となっています。

最新ニュース





ここまでやるか!電力会社のやらせと隠蔽

2012年7月19日 掲載

この国で原発稼動はもうムリだ

<出てくる、出てくる…>

 原子力安全・保安院が18日、北陸電力「志賀原発」(石川)と関西電力「大飯原発」(福井)の敷地内の断層の再調査を電力会社に指示した。原発の耐震指針では、原子炉などの重要施設を活断層の上に設置できない。仮に再調査で活断層の存在が判明すれば即アウトだ。他の原発にも再調査の波紋が及ぶ。やっぱり、この国で原発はムリなのだ。

 再調査のキメ手になったのは、17日に開かれた「地震・津波に関する意見聴取会」だ。会合では、志賀、大飯両原発の掘削資料などを見た専門家から、活断層を疑う意見が続出。中でも、志賀1号機の原子炉建屋の南西に走る「S―1断層」については、今泉俊文・東北大教授が「典型的な活断層。よく審査を通ったな」と呆れていた。
 一方、大飯原発は、2号機と3号機の間を南北に走り、3、4号機の非常用取水路の下を通る「F―6断層」の掘削写真が部分的にしか示されず、委員から「質が悪い」などの声が出た。
 専門家が“隠蔽”を疑ったのだが、これが電力会社の“体質”なのだろう。将来の原発稼働率を決める聴取会でも電力会社社員のヤラセまがいの発言が相次いでいる。今回の活断層“隠蔽疑惑”といい、ますます、国民の不信感が高まっている。
 保安院の意見聴取会で委員を務める遠田晋次・京大防災研究所准教授はこう言った。
「関電が提出した大飯原発の断層写真には、ブルーシートやパイプで隠れた部分があり、肝心な所は見えませんでした。関電に詳細な資料を求めましたが『ない』と言われました。ふつう、電力会社はこうした掘削調査はコンサル会社などに委託する。細かなスケッチを残し、数多くの写真を撮り、保存するものです。それが『ない』というのは考えられません。関電の説明通りなら、ずさん管理だし、あるのに提出しないということであれば疑心暗鬼を招く。これでは、活断層であるか、そうではないかの判断ができません。再調査をしても同じような資料しか出てこなければ、白黒をつけられない。同じことの繰り返しになります」

<再調査指示した保安院のいい加減>

 つくづく、原発の「安全神話」はいい加減だったことが分かる。
 そんな電力会社にお墨付きを与えていたのは、原子力安全・保安院だ。再調査を指示し、当事者でないような顔をしているが、活断層の存在を指摘されながら無視し続けてきた張本人である。大飯原発敷地内の活断層の可能性を訴えてきた渡辺満久・東洋大教授はこう言う。
「再調査を指示したということは、保安院は原発の安全性に疑義があると認めたこと。それなのに、予定通り、再稼働させるというのが全く理解できません。意見聴取会で、過去の事業者の報告や国の審査がいかにずさんだったかがハッキリした。この前提に立ち、あらためてすべての原発を再調査するべきです」
 関電「美浜原発」(福井)、北海道電力「泊原発」(北海道)、東北電力「東通原発」(青森)……。志賀、大飯以外にも活断層の疑いがある原発はゴロゴロある。地震大国の日本にしょせん原発はムリなのである。

原発推進世論操作マニュアル: コピペ

 
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-07-02/2011070203_01_1.html
2011年7月2日(土)「しんぶん赤旗」

原発推進へ国民分断、メディア懐柔

これが世論対策マニュアル


 原子力発電を推進するために学校教育や報道機関に情報提供を行っている日本原子力文化振興財団がまとめた「世論対策マニュアル」があります。原子力発電所の相次ぐ重大事故、度重なる事故隠しやデータ改ざんによる国民の不安感や不信感の広がりに対処するため国民を分断し、メディアを懐柔する指南書の全容とは―。(清水渡)

写真
(写真)日本原子力文化振興財団が1975年に朝日新聞に掲載した10段広告
 「停電は困るが、原子力はいやだ、という虫のいいことをいっているのが大衆である」
 日本原子力文化振興財団が作成したマニュアルは国民をさげすみ、愚弄(ぐろう)する姿勢をあけすけに示しています。この文書は1991年に科学技術庁(当時)の委託を受けてまとめられた「原子力PA方策の考え方」(91年報告)です。電力業界や政府機関への提言となっています。
 91年報告は、さらに「繰り返し繰り返し広報が必要である。新聞記事も、読者は三日すれば忘れる。繰り返し書くことによって、刷り込み効果が出る」と、原発容認意識を国民に刷り込む施策を求めています。
 また、「原子力に好意的な文化人を常に抱えていて、何かの時にコメンテーターとしてマスコミに推薦出来るようにしておく」などと文化人、マスメディア取り込み作戦も具体的に提起しています。

事故は広報の好機

 91年報告は事故をも「広報のチャンス」とします。「事故時を広報の好機ととらえ、利用すべきだ」「事故時の広報は、当該事故についてだけでなく、その周辺に関する情報も流す。この時とばかり、必要性や安全性の情報を流す」「夏でも冬でも電力消費量のピーク時は話題になる。必要性広報の絶好機である」と指摘しています。
 原発反対派とのつながりも強調し、反原発の国民意識を分断させるシナリオも指南しています。マスメディア関係者との関係は、「会って一緒に食事をすることばかりではない」などと述べています。
 原子力の必要性については「電力会社や関連機関の広告に、必ず“1/3は原子力”を入れる。小さくてもどこかに入れる。いやでも頭に残っていく」「放射能があることは誰も知っている。原子力がなければどんなことになるのか、例をあげて必要性を強調するのはよい」など、脅しめいた手法も紹介しています。
 91年報告で指摘されている各種の手法は、東京電力福島原子力発電所の過酷事故を受けて原発反対の世論が広がるなか、原発推進のために各メディアが行っているやり方に通じています。

 PA 「パブリック・アクセプタンス」の頭文字をとったもので、「社会的受容性」とも訳されます。円滑に企業活動や事業の展開ができるように、社会において企業活動の理解促進を図る活動をさします。

マニュアル作成の原子力文化振興財団

税金で「安全神話」PR

 原発「世論対策マニュアル」をつくった日本原子力文化振興財団の活動費の3~4割は税金で賄われています。
 2009年度決算では、文部科学省の「教育支援用情報提供」や経済産業省の「核燃料サイクル講演会」など10事業、3億2200万円を受託しており、年間収入の34・1%を占めます。
 電源立地推進事業としてとりくまれた講師派遣では、年間136回の講演で、旅費606万円、講師謝礼591万円が税金から支出されています。
 同財団の理事長は三菱マテリアル名誉顧問の秋元勇巳氏です。10年8月27日段階の役員名簿によると、理事には八木誠関西電力社長のほか清水正孝東京電力社長(当時)、玉川寿夫民間放送連盟常勤顧問、加藤進住友商事社長、庄山悦彦日立製作所相談役、佃和夫三菱重工会長、西田厚聡東芝会長、林田英治鉄鋼連盟会長などの名前が並びます。
 1969年に設立された同財団の目的は「原子力平和利用に関する知識の啓発普及を積極的におこな」うというもの。ホームページには小中学生・高校生向けの原子力発電所見学会や高校生対象の放射線実習セミナー、報道関係者のための原子力講座、原子力やエネルギーに関するシンポジウムなどの事業が掲載されています。
 放射線実習セミナーを受講した生徒からは「身体の中にも、食物や大地にも放射線があることを知って、放射線が恐ろしいものという固定観念がなくなった」などの感想が寄せられています
 税金で原発「安全神話」を国民に刷り込み続けたのです。
 こうした「刷り込み」は、自民党政権下にはじまり、民主党に政権が代わっても続けられました。歴代政権の責任が問われます。

原発推進マニュアル明記の主な「方策」

国民向け

繰り返せば刷り込み効果

・人気タレントが「原子力は必要だ」、「私は安心しています」といえば、人々が納得すると思うのは甘い。やはり専門家の発言の方が信頼性がある。
・繰り返し繰り返し広報が必要である。新聞記事も、読者は三日すれば忘れる。繰り返し書くことによって、刷り込み効果が出る。いいこと、大事なことほど繰り返す必要がある。
・政府が原子力を支持しているという姿勢を国民に見せることは大事だ。信頼感を国民に植え付けることの支えになる。
夏でも冬でも電力消費量のピーク時は話題になる。必要性広報の絶好機である。広告のタイミングは事故時だけではない。
不美人でも長所をほめ続ければ、美人になる。原子力はもともと美人なのだから、その美しさ、よさを嫌味なく引き立てる努力がいる。

文科系は数字をありがたがる

泥遊びをすれば手が汚れるが、洗えばきれいになる危険や安全は程度問題であることをわれわれはもっと常識化する必要がある。
・戦争でも状況判断ができれば、あわてなくてすむと聞く。軽重の判断をするには基礎知識が欠かせない。文科系の人は数字をみるとむやみに有難がる。
原子力がなければどんなことになるか、例をあげて説明するのがよい。
停電は困るが、原子力はいやだ、という虫のいいことをいっているのが、大衆であることを忘れないように。
・ドラマの中に、抵抗の少ない形で原子力を織り込んでいく。原子力関連企業で働く人間が登場するといったものでもよい。原子力をハイテクの一つとして、技術問題として取り上げてはどうか。

マスメディア対策

良識的コメンテーターの養成

原子力に好意的な文化人を常に抱えていて、何かの時にコメンテーターとしてマスコミに推薦出来るようにしておく(ロビーの設置)
・数名からなるロビーをつくり、コメンテーターの養成に努める役所でレクをするときに、意識的に良識的コメンテーターの名前やそのコメントを出す。
ロビーづくりは無理にしなくとも、記者クラブや論説委員との懇談会を利用したらよい。常設せずとも、必要があれば主婦連の人を集めて意見を聞くなど、臨機応変に対応したらよい。
いいスポークスマンは役所のプラスイメージになる。新聞記者が積極的に彼の意見を求め、記事の中に引用するようになる。そうすると、スポークスマンの考え方が新聞記者間に浸透するようになる。一種のマスコミ操作法だが、合法的世論操作だ。

テレビディレクターに知恵を注入

マスコミ関係者は原子力の情報に疎い。まじめで硬い情報をどんどん送りつけるとよい。接触とは会って一緒に食事をしたりすることばかりではない。
関係者の原子力施設見学会を行う。見ると親しみがわく。理解も深まる。
・テレビ局と科学技術庁のむすびつきは弱い。テレビディレクターに少し知恵を注入する必要がある。
人気キャスターをターゲットにした広報を考える。事件のない時でも、時折会合をもち、原子力について話し合い、情報提供をする。
人気キャスターを集めて理解を求めることが出来るなら、これが最も効果的で、いい方法である。うまくやれば可能だ。それを重視させ得る知恵者を日頃からつかんでおく必要がある。

学校教育

厳しくチェック

教科書(例えば中学校の理科)に原子力のことがスペースは小さいが取り上げてある。この記述を注意深く読むと、原子力発電や放射線は危険であり、できることなら存在してもらいたくないといった感じが表れている。書き手が自信がなく腰の引けた状態で書いている。これではだめだ。厳しくチェックし、文部省の検定に反映させるべきである。さらに、その存在意義をもっと高く評価してもらえるように働きかけるべきだ。
・教師が対象の場合、大事なのは教科書に取り上げることだ。文部省に働きかけて原子力を含むエネルギー情報を教科書に入れてもらうことだ。

原発反対派対策

★つながりをもって

反対派リーダーと何らかの形でつながりをもったらどうか(討論会の開催など)。