日本政府には一刻も早く、電力の自由化を行い、東電から電気を買わなくても、生きていけるような社会を作ってもらいたいものである。
増税と電気料金値上げのダブル収入を得て東電は、ぬくぬくと生き残りを図り、原発再稼働のチャンスを虎視眈々と狙っている。会長も原発所長も罰せられることすらなく、何が悪いといわんばかりの態度で、のうのうと大手を振って生きている。それを政府も、司法もみんな黙認しているのだから、結構な話である。日経や、産経、読売などの大型メディアは、露骨に再稼働を促進するような記事を満載し、今も新聞購読者を洗脳し続けている。
フクイチの災害は、津波で引き起こされた悲劇でも、1人2人の人間のミスで引き起こされた大惨事でもない。したがって東電の技術者が原発の弁の仕組みをきちんと理解し、しかるべき装置に電源を入れ、電源装置を山の上に確保したからといって、そんなもので原発の安全は、保証されない。
安全性を全く無視して経済性しか優先させない電力会社(東電に限ったことではない)経営陣の価値観、トップが責任をとらない無責任体質、隠蔽体質、天下りによる生じる行政との癒着体質、科学者でありながら安全神話の中で安穏とし、甘い汁ばかりを吸ってきた原子力ムラを存続させている、産官学の歪んだシステムが根本的に一掃されない限り、原発災害はまた繰り返されることであろう。
その一方で、幼稚園に待機させておくよりも、良かれと思ってわざわざ混乱の中、子どもたちをバスで安全な場所に避難させようとしたが、不幸にして津波が避難した場所の方に押し寄せ、子どもたちを飲み込んでしまったがために、訴えられている幼稚園経営者もいると聞く。誰が悪いとも言えない、不可抗力としかいえないような悲劇である。もし、幼稚園に待機させてそちらの方に津波が押し寄せていれば、今度は適切な場所に避難させなかったことで、訴えられるのであろうか。
同じ国にあっても、小さい経営基盤のものは厳しく業務上の過失を責め立てられ、巨大なゾンビのような会社の経営陣に対しては、司直の手が全く及ばない、こういう不公平なことがあってよいものだろうか。
毎日新聞によれば、原子力損害賠償支援機構は、今後東電の取締役の過半数を社外から起用するという。今の取締役たちは、我々の税金や高い電気料金から多額の退職金をもらって、悠々自適の一生が保障されるのだろうか。そして、過半数は社外からの起用ということは、さらなる天下りで人員が補填されるというのだろうか。
電力の安定供給を行うと豪語している東電は1月に入ってから停電などトラブル続きである。
たるんでいるのか、停電すれば、どれだけ困った状況になるか、東電のありがたみをちらちら仄めかしているのかは、知るところではないがーー。
以下、迅速かつ的確な情報やメッセージを精力的に発信されている慶大金子勝氏のツィッターからの引用と、家庭用電気料金の値上げ、昨今の東電のトラブルに関するウエブニュースの記事を転載する。
金子勝氏のブログより
東電と支援機構が3月に策定する「総合特別事業計画」の原案では、10年間の国有化で株主責任問わず、原発再稼働に電気料金値上げで黒字化して賠償を支払う予定。福島第2,活断層のある柏崎刈羽、被災した東通も動かすの?電気料金値上げは誰が払うの?http://goo.gl/UfGc4
国策としての原子力産業推進に「議論なし、批判なし、思想なし」の「三さい主義」がはびこり、自己検証はなく、やがて情報隠しからデータねつ造になっていく。技術者像が壊れる状況に、高木氏は「最悪の事故のようなものが避けられないかもしれない」と警告しています。改めてすごいと思いました。
http://mainichi.jp/select/biz/news/20120120dde001020013000c.html
東京電力:家庭向け値上げ、最大10% 支援機構が素案提示
原子力損害賠償支援機構は20日までに、3月末までに策定する東京電力の「総合特別事業計画」の素案をまとめ、主要取引銀行に提示した。公的資金投入による東電の実質国有化が柱で、収支改善策として最大10%の家庭向け電気料金の値上げなどを想定。金融機関からの融資の調整を進めるが、東電は実質国有化への抵抗感が強いほか、家庭向け電気料金の値上げには認可が必要で、枝野幸男経済産業相は慎重姿勢を崩していない。
素案は機構が1兆円規模の公的資金を投入し、取引金融機関が1兆円規模の追加融資を実施することが柱で、今後10年間の資金計画を示している。12年夏ごろに家庭向けの電気料金を最大10%引き上げるなどして、収益改善を図ることを想定。10%引き上げが実現すれば、標準的な家庭で月600~700円の値上げになる計算だ。
また経営監視を強化するため、過半数の取締役を社外から起用、東電を経営陣の人選や報酬を決定する「委員会設置会社」に移行することも検討する。
東電は火力発電の燃料費増大が経営を圧迫。廃炉費用などの負担で債務超過に陥る可能性があるため、金融機関は東電への追加融資の条件として、収支の改善を求めている。
東電は認可不要の企業向け電気料金を4月から平均で17%引き上げることを発表済み。
毎日新聞 2012年1月20日 東京夕刊
http://www.47news.jp/CN/201201/CN2012011801000838.html
東電、広範囲で瞬間停電 送電施設トラブルで
東電によると、停電があったのは茨城、栃木、群馬など1都7県の供給エリアと、東北の一部。東電福島第1、第2原発や東北電力女川原発の使用済み燃料プール冷却システムなども一時停止した。
トラブルがあったのは、発電所から送られる電力をコントロールする「南いわき開閉所」。電圧が一瞬低下し、すぐに復旧したという。
2012/01/18 05:34 【共同通信】
http://sankei.jp.msn.com/science/news/120117/scn12011723190002-n1.htm
工場生産ストップ、蛍光灯点滅…東電設備トラブルで影響相次ぐ
2012.1.17 23:18
17日午後4時10分ごろ、福島県田村市にある「東京電力南いわき開閉所」の設備でトラブルが発生、北関東などの広範囲で電圧が一時的に低下し、工場のラインが停止するなどの影響が出た。東京電力で原因を調べている。
電圧低下の影響で福島第1原発と第2原発では、使用済みの燃料貯蔵プール冷却や汚染水浄化システムの一部が一時停止した。第1原発の原子炉注水や放射性物質のモニタリングには影響がなく、東京電力では「冷温停止状態に問題はない」としている。
東北電力の女川原発1号機(宮城県)でも午後4時すぎ、使用済み燃料プールを冷却するポンプが43分間停止した。電圧低下の影響とみられる。プールの水温は上昇しなかったという。
家庭や工場でも影響が出た。東京電力群馬支店によると「蛍光灯が点滅した」などとする問い合わせが午後6時半現在で75件以上も相次いだ。
日産自動車栃木工場(栃木県上三川町)では午後4時すぎから2時間近く操業を停止。富士重工業の群馬製作所(群馬県太田市)も、工場管理システムのコンピューターがダウンし、約40分間、生産ラインが止まった。車体塗装ラインにある車は、スクラップにする必要が出るなど影響は大きいという。
東京電力では16日夕にも変電所の設備トラブルに起因したとみられる停電が発生。東京都江戸川区で、約5万9000世帯への電力供給が停止した。
http://www.47news.jp/47topics/e/201888.php
【1月17日現在】
◆福島、電圧低下でプール冷却停止 原子炉注水に影響なし
東京電力は17日、送電設備で同日午後4時10分ごろにトラブルが起き、電圧が一時的に低下して福島第1原発と第2原発の使用済み燃料プール冷却や、汚染水浄化システムの一部が停止したと発表した。
第1原発の原子炉注水やモニタリングには影響がなかったが、「冷温停止状態」の維持に不安が残る状況。東電は設備を点検し、復旧を急いでいる。………(2012/01/17 19:20)【共同通信】<記事全文>
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20120117-OYT1T00888.htm
福島第一・第二のプール冷却停止…送電トラブル
17日午後4時10分ごろ、福島県田村市にある東京電力の電力中継基地「南いわき開閉所」でトラブルが発生し、電力供給網の電圧が一時的に低下した。
この影響で、東電福島第一と同第二原子力発電所の使用済み核燃料一時貯蔵プールの冷却が停止した。原子炉の冷却や放射線観測装置などは正常に作動しているという。東電は燃料プールの冷却設備の復旧を急ぐとともに、トラブルの原因を調べている。
(2012年1月17日18時20分 読売新聞)