国の出先機関は廃止すると豪語していたはずの政権が、舌の根も乾かぬうちに、国の財政が逼迫して不況でも増税をしなければやっていけないと言っている時期に、600億円もの総合庁舎の建設を認めるなど、彼らには哲学がなく、大企業や官僚、メディアと、延命のためには手段を選ばない危うさが感じられてならないのは、薔薇っ子だけだろうか。
以下では、野田氏がメディアに対して原発推進に回ったわけではないとやっきになって弁明しながらも、政調会長の前原氏は原発推進を訴え、国の政策委員会の一つで日本の将来のエネルギー政策に関するプロジェクトチームを組織し、元日立製作所の原発設計者で原発推進者の大畠章宏氏を座長にするという人事を堂々と行っていることがわかる。
同時に国はこれまで1ミリシーベルトとしていた国民の健康、安全を考慮して策定された放射能許容の量を、1~20シーベルトまでに引き上げ、それを強引に認めさせるための法改正を行おうとしている。まさに国民の安全を念頭におかない暴挙とも言える。以下では、この問題について小出助教の見解が述べられたYoutubeを添付する。インタビューを行っている女性は、国が除染の範囲を狭めるためにこうした法改正をするのではないかと言っているが、そんな単純な話ではなく、もっと大きな理由があると思う。
1つは本来であれば3.11の原発災害発生直後にチャルノブイリのように国が率先してただちに集団疎開をさせなければならなかった広範囲にわたる地域の人々に対して、逆に「郷土愛を持って地域の復興のために生きることが美徳である」かのようなプロパガンダを全国ネットでさかんに流布し、補償額を最小限に抑えて、これらの人々をこれまでどおり高濃度汚染地域で生活させるために必要不可欠な法改正であり、2つ目には、東北3県の放射能汚染にまみれたがれきを日本全国に分配し処理するために好都合であるという目論見があるのではないか。
いずれにしても自分たちの既得権益を守るためには、国民の命や健康などどうなってもいいという施政者の姿勢は、自民党政権当時から何も変わってはいない。そうしたことについてもっと真剣に独自の取材をし、きちんと時間をかけて報道し、しっかり議論・追及をしようとしない主要メディアは腐り果てていると言うしかない。
被曝限度、年間1~20ミリシーベルトに法改正しようという国の有りようについて(小出助教)
http://www.youtube.com/watch?v=ErLigpobM_s&noredirect=1
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20111006k0000m040144000c.html
被ばく限度:原発復旧期「年1~20ミリシーベルト」
国内の被ばく線量基準を検討する文部科学省の放射線審議会(会長・丹羽太貫京都大名誉教授)の基本部会は、東京電力福島第1原発事故を受け、一般住民の年間被ばく線量の限度について、原発事故などからの復旧期は、年1~20ミリシーベルトの間に設定することを許容する考え方を提言する方針であることが明らかになった。平常時の一般住民の限度は、国の告示などで年1ミリシーベルトと定められている。6日に開く部会で議論する。
国際放射線防護委員会(ICRP)は、原発事故などの緊急時は年20~100ミリシーベルトの被ばくに抑えることを目指し、緊急事態からの復旧期は、「現存被ばく状況」と位置づけ、地域住民の健康などを考慮して年1~20ミリシーベルトの間のできるだけ低い値を目指すべきだと勧告している。
同部会は、放射性物質の汚染が広がる現段階では、年1ミリシーベルトを目指すと必ずしも経済性や社会的側面から合理的な対応が取れない可能性があるため、ICRPが示す「現存被ばく状況(年1~20ミリシーベルト)」の国内制度への適用を検討することにした。
内閣府原子力安全委員会は7月、原発事故で政府が出した避難指示の解除に向け、ICRPの勧告に従い、住民などの年間被ばく量を1~20ミリシーベルトの範囲で決めることを暫定的に認めていた。
基本部会は、緊急時が収束した後も長期間汚染が続く現状を受け、年1ミリシーベルトを長期的な目標に据えつつ、当面の目標(参考レベル)を設定することについても議論する。その際、子どもや妊婦ら放射線の影響を受けやすい人については、特別な配慮を求めるとみられる。
ICRPは「参考レベルは安全と危険の境界を表すものではなく、1~20ミリシーベルトの低い値を選ぶべきだ」との考え方を示している。【久野華代】
毎日新聞 2011年10月6日 2時34分
野田首相:「原発容認」否定に躍起 輸出解禁「言ってない」
野田佳彦首相が「原発容認に変わった」とのイメージの一掃に躍起になっている。5日の衆院東日本大震災復興特別委員会では「これからどんどんと新たな(他国との原子力)協定を結ぶとか、営業努力していくことではない」と答弁。「首相は原発輸出に意欲的」との見方を否定した。
首相は9月22日にニューヨークで開かれた国連の原子力安全会合での演説で「原発の安全性を最高水準に高める」「原子力の利用を模索する国々の関心に応える」と、原子力関連技術の向上と原発輸出継続の意向を表明。首相が原発再稼働に前向きなことと合わせ、野党などから「考え方がぶれた」との指摘も出ていた。
これに対し首相は、9月30日の会見で「(国連演説が)輸出解禁のような話に受け止められているが、そんなことは一言も言っていない」と反論。枝野幸男経済産業相も5日の衆院復興特別委で「交渉が進んでいる案件は信義の問題があるので進めていく」と説明。菅政権時代の8月に閣議決定した、「(トルコなど)交渉が進んでいる案件は推進」との答弁書から方針は変わっていないとの考えを示した。【佐藤丈一】
http://www.asahi.com/politics/update/0921/TKY201109210660.html
前原・民主政調会長、原発輸出に推進姿勢
民主党の前原誠司政策調査会長は21日、朝日新聞などのインタビューに応じ、「日本の原発の安全性に対する信頼は揺らいでいない。輸出はしっかりやるべきだ」と述べ、野田政権でも原発輸出を引き続き推進する考えを示した。
前原氏は菅内閣の外相当時、ベトナムなどへの原発輸出を進めた。東京電力福島第一原発の事故を踏まえ、「より安全性を高める機運は高まっている。事故の原因究明、再発防止策でしっかりと技術を高め、世界に広げる責務がある」と指摘した。
また、国民新党が東日本大震災の復興財源に盛り込むよう求める日本郵政株の売却について「将来の売却益を償還財源に充てる」と語り、民主党案では将来的な税外収入として位置づけるものの、具体的な金額は示さない考えを示した。
民主エネルギーPT座長に大畠氏2011.10.4 19:08 [民主党]
民主党は4日、エネルギー政策のあり方を検討するプロジェクトチーム(PT)の座長に、大畠章宏元経済産業相の起用を決めた。「脱原発依存」を前提に、火力や自然エネルギーなどの効果的な使い分けのあり方を議論する。憲法調査会長に中野寛成前国家公安委員長、社会保障財源などを扱う経済財政・社会調査会長に仙谷由人政調会長代行をそれぞれ充てる人事も決定した。
【政治】
地方庁舎整備を解除 民主公約 凍結一転600億円計上
国の出先機関を原則廃止する民主党の公約に基づいて凍結した全国二十二カ所の地方合同庁舎新設計画のうち四施設の整備費が二〇一一年度予算に計上され、整備が再開されていたことが五日、分かった。一二年度予算概算要求でも別の四施設分が計上された。八施設の総事業費は計約六百億円。野田佳彦首相は同日、東日本大震災の復興財源確保を優先するため、再凍結や中止を検討する考えを国会で表明した。
一一年度に整備を再開したのは前橋(前橋市)、世田谷(東京都世田谷区)、立川(立川市)、熊本(熊本市)。来年度再開するのは帯広第二(北海道帯広市)、仙台第一(仙台市)、大井(東京都大田区)、高松(高松市)。仙台第一は一一年度第三次補正予算案にも一部事業費を盛り込む方針。
再開の理由は老朽化による耐震性の低下。国土交通省は入居予定の出先機関が廃止されても別の機関が入るため無駄は生じない上、一部施設は大規模地震発生時の災害対策拠点として整備する方針だと主張している。
野党側は五日の衆院東日本大震災復興特別委員会で、整備費を復旧・復興に充てるよう要求。首相は「これから一二年度予算編成のプロセスに入るので、造る、造らないも含めて、よく精査したい」と述べた。
民主党は〇九年衆院選マニフェストで国の出先機関の原則廃止を明記。政権交代後、全国で三十五あった地方合同庁舎の新設計画のうち、二十二カ所を凍結した。