大飯再稼働反対 県議会、異例の全会一致
2012年04月27日
県議会は26日、関西電力大飯原発(福井県)の早期再稼働に反対する意見書を全会一致で可決した。原発立地道県の議会で初めての反対表明は、1人会派の提案に、最大会派の自民と政権与党の民主党の県議が賛同するという、異例の道筋をたどった。
「否決されて当然だと思っていた。まさか全会一致とは」。午前の議会運営委員会で、意見書を緊急提案した宮崎泰茂県議(市民リベラルの会)は、驚いていた。
意見書では、東京電力福島第一原発事故の検証や安全対策が不十分で、原子力規制庁が未設置であることなどを理由に早期の再稼働に反対した。「大飯原発の再稼働をベースに、他の原発も『右へならえ』にしたいはずの政府に、それではダメだと釘を刺した」と、可決の意義を強調した。
2009年に九電玄海原発3号機で始まったプルサーマルなどの原子力政策を推進してきた自民党内には当初、来るべき玄海原発の再稼働の議論を控え、「立地県として、とやかく言うべきではない」と、意見書可決に慎重な幹部もいた。
しかし、意見書の内容が「大飯原発」に限定した点に注目。ある議員は「『すべての原発』というなら反対に回っただろう」という。議員団の石丸博会長ら複数の幹部は、玄海原発の再稼働議論とは「まったく別物だ」と口をそろえる。
大飯原発の再稼働を進めている、政権与党・民主党の4人も賛成に回った。
党県連幹事長の内川修治県議は「国民生活を確保することも考えないといけないが、政府がエネルギー政策や電力需給の説明責任を果たすことが絶対必要。それがないなかで、再稼働を推進するのは誰が見ても疑問だと思う」と指摘。「いくら与党でも、原発立地県として慎重な対応を訴えないといけない。忸怩(じくじ)たる思いはある」と、もらした。(岩田正洋)