13日のブログで、震災後4ヶ月も点検を受けず、試験運転中であるにもかかわらず100パーセントのフル稼働している大飯原発と泊原発の問題について疑問を呈したところだが、今日、その大飯原発で冷却システム不具合のニュースが飛び込んできた。
いってみれば、車検を受けずに平然と自社のタクシーを何台も営業させていたタクシー会社と同じようなことである。こんなタクシー会社が世の中に横行すれば大変なことになるからこそ、陸運局が、厳しい制度を作り、違反したものは個人であれ、会社であれ等しく取り締まるのである。車検を逃れた自動車1台が引き起こす事故はどんなに大きくてもしれたものであるが、原発は1度のちょっとしたミスによる事故でも、膨大な数の国民の生活と健康を一瞬にして奪いかねないのである。このような杜撰な点検制度を見ただけでも、こんな状況下で、簡単に形だけの点検をして、再稼働を許していいのかという大きな疑問が生まれる。
福井原発の問題は福井県の問題にとどまらない。福井原発がメルトスルーしたり、水蒸気爆発すれば、汚染が近くの琵琶湖に広がれば、京都、滋賀はもちろんのこと、大阪、兵庫、奈良の住民も決して無傷ではいられない。人口密度だけをとってみても、フクシマ近県の比ではない。
ここで大きな原発災害が発生した場合、関電などでは到底、償いきれない膨大な補償額を捻出しなければならない。すでに原発から十二分に補助金、交付金を得ている福井県民はびた一文支払われなくても文句が言えない立場かもしれないが、近畿地方の住民に対して、日本政府が完全に破綻しても余りあるほどの膨大な補償額を一体誰がどんな形で負っていくつもりなのか。
大飯原発1号機停止へ 冷却システム不具合 16日にも
関西電力は16日、調整運転中の関西電力大飯原子力発電所1号機(福井県おおい町、加圧水型、117.5万キロワット)で、緊急炉心冷却システム(ECCS)を構成するタンクの圧力が低下するトラブルがあったと発表した。関電は保安規定に基づき、同日中にも原子炉を手動停止する。
関電によると、トラブルがあったのは、事故時などに1次冷却系統に冷却水を注水するため複数ある「蓄圧タンク」の一つ。15日夜明らかになったという。このトラブルによる環境への影響はない。
大飯原発1号機は定期検査後の3月10日に原子炉を起動したが、直後に福島第一原発の事故が起こり、営業運転に入るための国の最終検査を受けられなくなった。試験中にもかかわらず、出力100%で運転する状態が4カ月以上続いている。(笹川翔平)
大飯・泊原発、営業運転再開へ 調整運転中、震災後初
大飯・泊原発、営業運転再開へ 調整運転中、震災後初