2011年10月5日水曜日

ガレキの受け入れ拒否はするけれど、原発再稼働は黙認ですか?

 東北の災害地からの東京都のガレキ受け入れに対して、ツイッターなどで多くの抗議の書き込みや、電話での苦情が多数殺到しているという。ガレキ汚染の全量調査を厳密にやってからでない限り(そんなことが物理的に可能であるとは思えないが)、日本全土にあえて高濃度の汚染物質をばらまくことは、愚の骨頂である。

今回の原発災害よりはるかに放射能物質の放出が小規模とされるチェルノブイユでさえ、事故後40~50万人の住人が移住を余儀なくさせられ、大阪府の2倍の大きなの広範囲に亘る地域が今も立ち入り禁止地域となっているのである。

飛び火のような高濃度汚染地域は立ち入り禁止地域を含むと10000平方km(福井、京都、大阪府を合わせた面積)にも及ぶという(京大今中哲二氏による)。チェルノブイリの災厄の教訓を活かせば、被災地住民の帰宅を奨励したり、被災地及びその近県で発生したガレキを全国各地にばらまくなどという発想はまったく理解できないものである。

環境省は日本全土を汚染させることによって、全国各地のゼネコンを中間貯蔵地の建設などで潤わせ、天下り先を確保することにしか目がないのだろうかと穿った見方をせざるをえないほどに、荒唐無稽な発想である。

東京などを中心に国民ががれきの受け入れを拒否するのは、自らの健康や子どもたちの健康を守る立場に立つものとしては当然であろう。

しかし、原発災害は決して対岸の火事ではない。

地震は忘れた頃に来るといわれているが、近い将来、いつまた発生するかもしれない大地震や大津波に対して、あるいは単純な人為ミスで全電源停止状態に陥れば、「絶対安全」の圧力容器はあまりにも脆弱であり、原発技術者も官僚も政治家も電力会社も関係者は皆話にならないほどに無力であり、無責任であることは今回の災害の7ヶ月間の経過を見れば自明である。

この期に及んでまだ原発を再稼働させようとする人、日本の原子力技術が最高であると豪語する人々には、今すぐに福島に飛んでいって即時に事故を収束させ、国民の不安を完全な形で解消させて頂きたいものである。

先日も冷温停止ですべてが解決すると言わんばかりの環境相の発言があったが、メルトダウンをして、圧力容器から燃料が落ちてしまっているのに、その圧力容器付近の外側の温度のみを測って、冷温停止、冷温停止と言っているのは、およそナンセンスであることは、小出氏が再三再四指摘しているとおりである。

電力不足になるだの、電気代が上がるなどと電力会社の脅しに屈せず、原発再稼働、現在稼働中のものを一刻も早く停止させ、廃炉の作業をさっさと進めていかなければ、どこかの原発で福島の二の轍を踏むことになったとき、この国の政府はウクライナやベラルーシやロシア以下の対応しかしてくれないこと。政治家も官僚も、国民の安全や健康を守ることについて、まったく無頓着であることを十分に認識しておく必要がある。

がれきの全国ばら撒きに無駄な税金を使うことはむろんもってのほかであるがーー。

http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/111001/dst11100108470002-n1.htm

【東日本大震災】
都のがれき受け入れ 「放射能入れるな」苦情多数

2011.10.1 08:46
 東日本大震災で発生した岩手県の災害廃棄物(がれき)の受け入れを発表した東京都に対し、「放射能を拡散させないでください」などと反対する電話やメールが寄せられていることが30日、分かった。
 都環境局によると、受け入れが発表された9月28日夜以降、29日に162件(電話129件、メール33件)、30日に283件(電話222件、メール61件)の意見があった。大半が「被災地支援も分かるが、子供がいて不安」「放射能を入れてくれるな」などと受け入れに反対する内容という。
 来年3月までに岩手県宮古市のがれき計1万1千トンを処理する予定。鉄道で都内の民間破砕施設に輸送して処理後、東京湾に埋め立てる。このがれきを処理した焼却灰を岩手県が検査したところ、1キロ当たり133ベクレルの放射性セシウムが検出されたが、国が災害廃棄物の広域処理で定める基準値(1キロ当たり8千ベクレル)を大幅に下回っている。
 都は30日、岩手県などと災害廃棄物の処理基本協定を締結。今後は宮城県とも同様の協定を結び、岩手、宮城両県のがれき約50万トンを受け入れる方針。

http://mainichi.jp/life/today/news/20111005k0000m040097000c.html

環境省:がれき処理、広域で 受け入れ自治体把握へ

 環境省は4日、東日本大震災で発生した災害廃棄物の広域処理を進めるため、廃棄物の受け入れを検討している自治体を把握し、被災地側に情報を提供する体制を整備することを明らかにした。放射性物質による汚染を懸念する受け入れ先の住民の理解を得るため、安全性について証明するパンフレットなどを作成する。
 環境省によると、岩手、宮城、福島の3県の沿岸部で、計2300万トンのがれきが発生したと推計される。住民が生活している地域のがれきは、仮置き場への移動が8月末までに完了している。しかし、各地で処理できる量は限界があり、その後の焼却や埋め立て、破砕処分は進んでいない。
 一方、同省が4月に行った調査では、42都道府県、572市町村などから受け入れ表明があり、年間計488万トンの処理が可能との試算が出た。しかし、その後、放射性物質に対する不安感から受け入れは進んでいない。
 福島県内の廃棄物は県内での処理を原則としているため、広域処理は岩手、宮城の2県で進める。広域処理が必要な廃棄物は、岩手県では処理が必要な廃棄物182万6400トンの約3割に当たる57万3300トン▽宮城県では1819万4000トンの廃棄物のうち、石巻地区だけで294万トン--と試算している。
 広域処理をめぐっては、東京都と岩手県が9月30日に協定を結んだほかは、山形県が実施、大阪府が検討しているだけだ。【藤野基文】