2012年3月1日木曜日

エネ庁のネット監視、言論自由の観点から不適切:五十嵐法政大教授

原発や放射能関連の「不正確」な情報を打ち消すためと称して、エネ庁が多額の税金を投じて、市民の声を封じるために、ブログやツイッターなどの監視を始めたことは、前にもこのブログで言及した通りである。当初はメディアを監視するために、始められた事業であるが、メディアから批判の声があがると、矛先は力を持たない弱い市民に向けられた。
政府発表、あるいは原発関連企業やそこからもたらされるさまざまな利権に群がる官僚、御用学者の発表を「正確で正しい」発表とし、それ以外のものを十把一絡げ、風評だの、デモだの、ガセネタだのと斬り捨てることができるのだろうか。

保安院は、エリート電力会社の社員は、御用学者は、政治家たちは、原発や放射能汚染について、それほどの高い識見を備えているといえるのだろうか。

御用学者たちは、海外メディアが大きく「メルトダウン」を報じているときでさえ、16センチの厚みのある鋼鉄の圧力容器が壊れることは絶対にありえない、メルトダウンなどしていないと再三再四テレビに登場して、自信ありげに解説を繰り返した。

水素爆発をして、建て屋が吹っ飛んだときでさえ、「建て屋は壊れやすい構造に作ってあるものだから、吹っ飛んだところで問題はない」という発言を繰り返していた。政府はといえば、やっと20キロ圏内の住民を避難させることに踏み切ったときも正確な情報を一切与えず、「念のために避難していただくだけ」というような気休めを声を大にして吐きつづけた。

こうした一連の不適切な情報に対して疑問を抱いたり、原子力ムラの村人には不都合な専門家や海外情報などをネット上に提供し始めた個々人の行為を、国民の安全を脅かすデマ、風評を垂れ流す犯罪行為と決めつけ、弾圧し始めた。エネ庁のネット監視は、まさにその一環である。

しかし、NRCのメンバーのインタビューや事故調査委員会の調査から、東電は現場の所長さえ、アメリカ製の冷却装置の簡単な仕組みを十分に理解していなかったというし、保安院の委員長自身が専門性に欠いていたと独白しており、対応にあたった安全委員会の委員長を筆頭に、原発災害への対応について官邸に適切な助言が、事実上誰もいなかったということがはっきりと露呈しているのである。

今日の東京新聞では、そのエネ庁は7000万円もの血税を投じて、広告会社にネット監視をやらせていることを報じ、その会社が依頼されたはずの原発デマ対策HPがいまだに未完成であることを明らかにしている。


法政大学の五十嵐教授は、まず、言論の自由の観点から、ネット監視は不適切であり、放射性物質が人体に与える影響については、専門家によっても意見がさまざまで、ある情報だけが不適切と一律に片付けることは困難であり、事業の難航は当たり前で、事業の正当性、必要性がないと述べている。

以下その記事を東京新聞ネット版から転載する。

同じく東京新聞は、放影研が、アメリカの学会誌に発表した論文について取り上げ、原爆で被爆した被爆者(個人線量が推定できる8万7000人)を50年にわたって追跡調査した結果、30歳で1ミリシーベルトの被ばくをした人が、70歳になったときに固形がんで死亡する率は、被爆をしていない人に比べて、42%も増加することを示している。

食品に含まれる放射性セシウムの新規制値案に関する厚労省の意見公募に対して、放射性審議会の前会長が、「新規制値案は、立ち上がろうとする福島県民の県民感情を無視している。新規制値案を導入すれば地元の農作物や海産物は売れなくなる」などの理由で、「反対意見の投稿要請とも言えるような」メールを関係学会の会員に送っていたことは、すでに2週間ほど前に東京新聞に報じられているが、御用学者の専門性とは何かを物語る事例の一つとして、大変興味深い。

彼のような専門家の威光を借りて提示される基準の危うさ、不適切さに騙されるほど、日本国民はバカではない。

大型メディアは、政治家や権力機関やスポンサーの意向を恐れて、都合の悪い情報はあえて流さず、くだらない記事や番組ばかりを量産したければ、いつまでもすればいい。しかし、結局消費者は、そんな新聞やテレビに愛想づかしをし、見切りをつけるだけである。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/nucerror/list/CK2012030102100004.html

エネ庁ネット監視 原発デマ対策HP 半年経ても未完成

東京電力福島第一原発事故を受け、放射性物質の健康影響などネット上で飛び交う原発や放射能関連の不正確な情報を打ち消すため、経済産業省資源エネルギー庁が正しい情報を発信するホームページ(HP)が、当初予定から約半年経過しても完成していない。同庁は、正しい情報の確認作業が難航しているためとし、完成を三月末に先送りした。
食品への不安や風評被害が広がり、国民が正確な情報を求める中で、事故から一年近くたっても提供できない同庁の事業に批判が集まりそうだ。


同庁をめぐっては、多額の税金を投じ、原発に関する新聞などのメディア情報を監視してきた問題が本紙の調査で判明。今回のHPは、同庁が監視の対象をメディアからツイッターやブログに変更したことに伴い、本年度から着手した。
昨年五月の一次補正で急きょ予算を計上し、一般競争入札で落札した都内の広告代理店「アサツーディ・ケイ」に八月中旬、約七千万円で委託した。
入札仕様書には「速やかに正確な情報を提供」することを重要点として明記。デマ情報を集めた上、事業開始から一カ月程度で三十項目以上、最終的には約百項目をQ&A形式でまとめ、昨秋をめどにHPに掲載するよう求めていた。しかし、HPは「現在改定中」とされ、情報提供が一切行われていない。
 エネ庁の担当者によると、広告代理店がデマ情報として集めた大半が放射能の健康影響についてだったが、専門家の助言が人によって見解が異なっているまた、食品規制や除染など国の対応が変遷したことも影響し「正解」の作成に手間取っているという。
エネ庁原子力立地・核燃料サイクル産業課の武田龍夫原子力広報官は「放射性物質の健康への影響は国民の関心が高く、慎重に対応する方が良いと判断した」と説明している。

事業に必要性ない

 法政大の五十嵐敬喜教授(公共事業論)の話 言論の自由の観点から国が情報を監視すること自体、不適切な上、放射性物質が人体にどんな影響を与えるかは定説がなく、ある情報が誤りだと一律に判断するのは難しい事業の難航は当たり前で、この段階でもホームページが作成できないなら、正当性や必要性がないことは明らかだ。

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2012030101001155.html?ref=rank


被爆でがんリスク42%増加 放影研、50年余の追跡調査

2012年3月1日 14時00分
広島、長崎の被爆者のうち、30歳で1シーベルト被爆した人が70歳になった時に固形がんで死亡するリスクは、被爆していない人に比べて42%増加することが、日米共同の研究機関「放射線影響研究所」(放影研、広島市・長崎市)の研究で分かった。1日付の米放射線影響学会の学術誌に発表した。
放影研によると、1950年から2003年まで被爆者約12万人を追跡した調査に基づく研究で、個人線量が推定できる約8万7千人を解析の対象とした。約5万1千人が死亡し、このうち約1万1千人が、肺がんや胃がんなどのさまざまな固形がんで亡くなった。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/nucerror/list/CK2012021702000165.html

食品新規制値で放射線審前会長 関係学会へ投稿要請

 食品に含まれる放射性セシウムの新規制値案について厚生労働省が実施していた意見公募に対し、案の妥当性について厚労省から意見諮問を受けた文部科学省放射線審議会の前会長、中村尚司(たかし)東北大名誉教授が「(厳しい規制は)福島県の農漁業に甚大な影響を与える」などとして、公募期間中に「反対意見の投稿要請」とも受け取れる依頼を関係学会の会員らにメールで送っていたことが十六日、分かった。
メールには丹羽太貫(おおつら)現会長の名前も出していた。中村氏は「反対意見の投稿を要請したつもりはない」と話しているが、審議会前会長の立場で影響力を行使したとの批判も起こりそうだ。
中村氏によると、一月二十日前後に日本原子力学会の関係者を通じて学会下部組織の会員らに依頼文をメールで送った。実際、何人に送られたかは不明。
メールでは新規制値案をめぐる同審議会の議論について「安全性の評価、社会的影響に関する検討がなされていないと紛糾している」とし「本案が施行されると福島県産の農産物、海産物が売れなくなる」「(福島)県民の感情を無視したもの」と指摘。
意見提出の要領などを記載した、総務省が運営するインターネットサイトの宛先を添付した上で「ぜひ対応して頂くようお願いいたします」としていた。
中村氏は「それぞれで考えて意見を出してほしいという趣旨だった」と説明。前会長の立場での依頼については「すでに会長を辞めており審議会にもタッチしていない」と話した。
厚労省によると、意見公募は一月六日から今月四日まで実施。これまでに約千七百件の意見が寄せられ、もっと厳しくすべきだとの意見は約千四百件、厳しすぎるとの意見は約四十件だった。
中村氏は二〇〇七年三月から昨年二月まで放射線審議会会長を務めた。

◆事実関係把握していない

丹羽太貫・放射線審議会会長の話 ある人から「あなたと(前会長の)中村さんの名前でメールが出ている。これは何ですか」と聞かれたが、事実関係を把握していなかった。中村さんに聞いたら「学会の幹事にメールを送ったら、それが流れた」と説明を受けた。

◆メールのポイント

放射線審議会は「安全性の評価と社会的、経済的影響に関する検討がなされていない」と紛糾。
新規制値案が施行されると、福島県の農業と漁業へ甚大な影響を与え、農作物や海産物が売れなくなる可能性が高まる。
・これは、原発事故から立ち直ろうと除染を進めている福島県の県民感情を無視したものと考える。
・パブリックコメント募集内容を確認した上、対応をお願いする。
・(現会長の)丹羽(太貫)先生とも連絡を取って(個人として厚労省に投稿した)コメントを参考までに送る。

Ac:tivists challenge Japan’s nuclear village : コピペ

http://www.salon.com/2012/02/27/activists_challenge_japans_nuclear_village/singleton/


TOPIC
MONDAY, FEB 27, 2012 4:00 PM 西ヨーロッパ標準時

Activists challenge Japan’s “nuclear village”

A year after Fukushima, an energized civil society pushes for solar power and accountability

A year after Fukushima, Japanese are spurning a nuclear future
A man wearing a mask attends an anti-nuclear rally in Tokyo September 19, 2011.  (Credit: Yuriko Nakao / Reuters)
The quiet resolve of Japanese citizens in the aftermath of last year’s triple disaster of earthquake, tsunami and reactor meltdown quickly turned into frustration as the government failed to adequately respond to the worst nuclear catastrophe since Chernobyl in 1986.
In the nearly one year since the March 11 earthquake, Japan has suffered a bevy of problems, from rolling blackouts and currency woes, to radiation fears, all under the tutelage of a central leadership that has failed to inspire public confidence.
So much so that Japan changed prime ministers last August – now the sixth in five years – amid a pivotal period in the country’s history. Yet the crisis in leadership, lack of transparency and revelations of nuclear safetyoversights have also facilitated activism in a civil society that typically emphasizes cohesion over confrontation.
The fallout from Fukushima and the bungled response have spurred an increasing number of citizens to challenge the bureaucracy and nuclear industry as health and safety concerns still linger. Local areas are undergoing a rapid shift toward renewable energy. And citizen groups – many of which are led by women — are also leading the charge for a more direct democracy by attempting to hold what would be an unprecedented national referendum on the use of nuclear power.
The grass-roots effort is partly in response to Japan’s revolving door politics. The current ruling party, the Democratic Party of Japan, swept into power in 2009 following a landslide election that ended nearly a half-century of political rule by the Liberal Democratic Party. But the hope for change quickly turned into a familiar ebb and flow: new leaders taking the reins promising reform, only to fall victim to parliament’s political gridlock. That sense of disenfranchisement and anger over the Fukushima fallout is changing the landscape of Japan’s lackluster civic participation, which has lagged behind other industrialized countries.
Daniel Aldrich, associate professor of political science at Purdue University, said a similiar increase in activism  happened after the 1995 Kobe earthquake.
“I think what we’re seeing right now – just like after past disasters – is a resurgence of Japanese civil society,” he said. “It’s been very hard in the past to bring people out of their homes, very hard to overcome some of their concerns about possible embarrassment or broader group-think.”
Now, however, several community-based initiatives, protests and rallies have sprung up in the past year. Volunteers have set up a popular website where users crowd-source local radiation levels. Mothers are testing school lunches for radiation. And perhaps in a nod to the Occupy movement, antinuclear activists have camped out in front of the Ministry of Economy, Trade and Industry in Tokyo for more than four months and refused orders to leave. Citizens are also becoming increasingly vocal toward public officials.
“You see people yelling and interrupting these bureaucrats, which I’ve never seen at public meetings,” said Aldrich. “What I’ve been seeing from Fukushima and elsewhere is ‘rituals of dissent’ — local people not willing to be talked down to, not willing to be ignored.”
Others have started referendum campaigns in cities like Tokyo and Osaka to decide whether Tokyo Electric Power Co. and Kansai Electric Power Co. should be allowed to run nuclear plants. In December, the group Let’s Decide Together/Citizen-initiated National Referendum began a petition seeking signatures for a local plebiscite.
While the campaigns have struggled to gain a critical mass, the groups have managed to meet the legal metrics required to hold a referendum. Organizers have collected 55,000 signatures in Osaka and 250,000 in Tokyo from local voters, exceeding the numbers required by law to ask its respective governments to hold a (non-binding) referendum. A separate group led by Nobel laureate Kenzaburo Oe has also collected more than 4 million signatures in a campaign to abolish all 54 nuclear reactors in Japan.
Successful referendums on nuclear power have recently taken place inEurope, but such initiatives are uncommon in Japan. There have been a few local plebiscites in the past but a national referendum would be unprecedented. No law exists for such a measure. A national vote may be difficult but a local referendum could be possible despite ambivalence from the Osaka and Tokyo leadership.
The hangenpatsu [antinuclear] movement certainly has, at least right now, the momentum to carry this,” said Aldrich.
What has become evident through the referendum and civic activism is that the public discourse has dramatically shifted from a tacit acceptance of nuclear energy to one that promotes renewable energy.  Going green was previously viewed as a left-wing idea that prevented many from wholly embracing the idea.
Until Fukushima, politicians, local bureaucrats and power utilities held a stronghold on national energy policy for five decades, building nuclear plants in coastal and rural “nuclear villages” that created a network of dependence on atomic energy. Japan was previously the third-largest consumer of nuclear energy with roughly 30 percent accounting for the country’s power. Its 10 regional utilities relied heavily on nuclear power and dominate the market.
But the monopoly appears to be crumbling. For one, public sentiment has changed. A November poll by national public broadcaster NHK showed that more than 70 percent want to eliminate or reduce reliance on atomic energy.
Andrew DeWit, a professor at Rikkyo University who follows energy policy, says profound changes are also happening at the local level. Most notably, he said the landmark feed-in tariff bill passed last year before Prime Minster Naoto Kan’s resignation is helping to provide incentives to local governments, farmers, businesses and households to invest in renewable energy.
“Now it’s become a huge wave of big capital looking at large scale, mega solar projects in conjunction with the prefectures,” said DeWit.
Still, the government is conducting stress tests to gauge the possibility of restarting reactors in lieu of the summer power crunch, a move that has been pushed by the old guard business lobby. Yet only two of the 54 nuclear plants are currently operating in Japan, and momentum may already be leaning the other way.
“The ground is shifting very rapidly,” said DeWit. “If you see the pre-March 11 as solid ground, this is profound liquefaction of the solid ground that the nuclear village used to stand on.”
Akito Yoshikane is a freelance writer in Chicago.More Akito Yoshikane