無能で何もできない政権より、官僚や組合や大企業のいいなりになって、国を取り返しの付かない破滅に導く政権のほうがはるかに恐ろしい。不況の嵐が吹き荒れる経済状況を鑑みない野田政権の強引な増税政策もさることながら、3.11直後の情報隠し。言論統制に加担した張本人が原発担当の大臣職に当然のように収まって、大きな発言を持ち続け、首相を頭に四身一体になって原発再稼働に向かって特攻隊のように猪突猛進する姿は、全くもって、目に余るものがある。
「(大飯原発の)地元の同意を得て」の地元は何かと問い詰められ、経産相は、「地元は日本全国であり、大阪、滋賀、京都、兵庫も含まれる」と答弁した。翌日朝日新聞が勇み足で、政府は再稼働を辞めるのではというニュースをトップ記事で報じたが、その翌日「法的には立地自治体の理解を求めればよいことになっていて、理解を求めるとは、かならすしも同意を得ることを必要しない」と官房長官が一蹴した。
まんまと経産相の詭弁に出し抜かれた朝日新聞はしぼんだ風船のように腰砕けになったのか、4月7日付けの社説ではこれまで勇ましく脱原発を唱えていたとも思えないトーンダウンぶりで、中日新聞の記事とは対象的なものとなっている。
しかし中日新聞の記事にも様々な問題がある。まず安全基準が即席に作られたから問題があるようなものいいをしているが、多分政府は、前から熟考を重ね準備してきたものであると答えるだろう。2日で作ったか、半年で作ったか、3年で作ったかなどを論じたところで何の意味もない。
電力会社と結託してデタラメの原子力政策を推進した結果、無残な大災害を引き起こし、深刻な放射能漏れで国民の健康・安全を脅かし続けているにもかかわらず、未だ反省のない電力会社にストレステストをやらせ、保安院などにストレステストのチェックや安全基準の作成を任せること自体に重要な欠陥があるのに、どうしてそういう本質的な問題を指摘しないのか。
また、中日は規制庁さえできれば、再稼働を許しても国民は了解するといわんばかりである。しかし前のブログにも書いたように、規制庁には、原発メーカーや電力会社の子会社の社員らが正規職員として雇用されることが決まっている。そんな彼らと、原子力推進派の環境省や経産省の官僚など原子力ムラの面々でおおかた構成されるような規制庁がいくらできても、原子力発電所の安全規制などまともに機能するすべもないのである。
大飯の再稼働の次はどうやら、すでに伊方の再稼働が目論まれているようである。減原発とは、名ばかりで「一度作った原発は大災害を引き起こすまで、とことん稼働させて元を取らないと損」という考えがはっきり見えている。
大飯原発を再稼働して万が一取り返しのつかない大災害が生じた場合、具体的にどこの誰がどんな責任の取り方をするのか、明確な説明を求めたいし、何がなんでも権力を行使して再稼働に踏切というのであれば、誰がどんな責任をとるのか、しっかりと文書化して残して頂きたいものである。再稼働をそそのかしたり、同意した者どもは、反対し続けた者が被害を被った場合、当然応分の責任を果たすべきである。そして再稼働に合意しそれに伴う利益を十二分に享受しておきながら、いざ災害が起これば、また国民に賠償金や支援金を出させるなどというような電力会社や立地自治体、住民の「二重取り」も決して認めてはならないことである。
誰もまともに責任をとらず、これまでの民主党政権が事故以来やってきたように、結局国民に尻拭いをさせ手打ちにするつもりならば、そんな無責任な政治判断など、断じて許されるべきではない。
誤って民主党に一票を投じてしまった無党派層の数多くの国民は、自分たちが愛する国が取り返しのつかない酷い状況に陥る前に、今こそ声を大にして、支持政党に対して異議を唱えるべきなのではないのか。
以下、中日新聞、朝日新聞、伊方原発、フクイチのストロンチウム漏れと、それに対する小出助教の記事を転載する。
http://www.chunichi.co.jp/article/column/editorial/CK2012040702000077.html
大飯再稼働 即席で国民を守れるか
2012年4月7日
大飯原発3、4号機(福井県おおい町)再稼働条件の新安全基準は、わずか二日で作った「即席」だ。暫定とはいえ福島原発事故後の緊急対策の域を出ない。国民の安全を守れるとは到底思えない。
福島第一原発事故拡大の原因者ともいえる経済産業省原子力安全・保安院が、いくらたたき台があるといっても、たった二日で作ってしまう。それを見て「安心しろ」という方に無理がある。
これが野田佳彦首相のいう「納得いくまで徹底的に議論した結果」とすれば、首相と三閣僚は政治家としての資質さえ、疑われても仕方がない。国民の安全最優先が、政治家の務めである。それを軽視するにもほどがある。
五月五日に北海道電力泊原発3号機が定期検査に入り、国内五十四基の原発が初めて全停止する。「原発なき社会」の実現を、よほど避けたい、その可能性を見せたくないとしか思えない。
もし、これほど急を要する事態が起きているのなら、その理由をまず国民に、わかりやすく説明するのが先だ。
枝野幸男経産相は「(大飯以外は)電力需給も再稼働の判断材料にする」という。なぜ大飯は例外なのか。
新基準といっても、ほとんど通り一遍の電源確保と緊急冷却対策程度である。大けがにばんそうこうをはり付けたぐらいの応急措置で、再稼働の実績づくりをひたすら急ぐ。
費用と時間のかかる大規模な対策は、何かと理由を付けて先送りした。事故対応の拠点になる免震施設の完成は四年先。これがなければ福島原発事故の被害はさらに拡大したといわれる重要な施設である。原子力安全委も、必要性を強く訴えていたではないか。
爆発を避けるため原子炉格納容器の圧力を下げる排気(ベント)時のフィルター設置も、除外してしまった。防潮堤のかさ上げが不十分、非常時のアクセス道路に問題があるという重大な指摘も考慮されていない。断層の連動による地震規模の引き上げが進む。敦賀半島が四年先まで大地震に襲われないという保証はない。
繰り返す。少なくとも国会事故調の提言が出て独立の規制機関が動きだすまでは、原発の再稼働を判断するべきではない。さもないと、政治に対する国民の信頼は本当に地に落ちる。
原発再稼働新基準決定 県、四電情報収集急ぐ
関西電力大飯原発3、4号機の再稼働を巡り、政府が関係閣僚会合で安全性を確認する新たな判断基準を最終決定した6日、基準が四国電力伊方原発3号機の判断にも適用される可能性があるため、県や四電は「詳細な内容を確認したい」と情報収集に追われた。
県によると、新基準は3点あり、▽地震・津波による全電源喪失の防止対策を実施▽東日本大震災級の地震・津波を受けても炉心冷却を継続し、燃料損傷を防止できることを政府が確認――の2点は「緊急安全対策」と「ストレステスト」に該当するとみられ、伊方3号機でも実施している。
中長期的に実施が求められる安全対策は緊急安全対策と重複するものもあり、伊方では電気設備への浸水対策や非常用電源対策の強化などは着手している。
ただ、国がどの程度の水準を求めているのか詳細が不明のため、四電は「内容を確認した上で、適切に対応したい」とし、山口道夫・県原子力安全対策推進監は「知事が伊方再稼働の条件にしている『国の明確な姿勢』にかなうものか、国に説明を求める」と話した。
山下和彦・伊方町長は「伊方にあてはめると、どうなるのかを検証する必要がある」と述べた。
(2012年4月7日 読売新聞)
http://www.asahi.com/paper/editorial20120407.html
原発の再稼働―基準作りで解決しない
原発の再稼働をめぐる新たな基準を政府が決めた。だが基準を作ったからといって、国民の納得からはまだ遠い。
新基準は、福島第一原発を襲ったような地震と津波でも炉心溶融をおこさない電源や注水対策が必要としている。これはおもな項目を示したもので、すでに実施した緊急対策でおおむね足りるとみられている。
防潮堤のかさ上げや、原子炉の圧力を外に逃がすとき放射性物質を除去するフィルターなど何年もの工事になるものは、今後の工程表を求めた。工事の完了は条件になっていない。
枝野経済産業相は、電力会社からの説明を厳格に審査すると話している。その言葉を守り、これまで政府が示してきた再稼働への前のめりな姿勢は改めるべきだ。
福島第一原発は原子炉3基が炉心溶融し、1基の燃料プールが危機にある。事故の検証はまだ道半ばだが、この1年で得た教訓を可能な限り、取り入れるべきだ。
原発事故の現場で作業員を守り、最悪の原子炉爆発を避ける操作ができたのは、頑丈な免震重要棟があったからだ。関西電力が再稼働を望む大飯原発などにその建物はない。再稼働して過酷事故が起きた場合、免震棟なしで十分に対応できるのだろうか。
原発から30キロ圏まで拡大される防災重点区域について、住民を守り、避難させる計画もこれからだ。
いま必要なのは、言葉やわかりにくい制度ではなく、実質的な安全性を向上させる対策だ。
原発に100%の安全はないことを、私たちは知った。その意味で、安全対策はどこまでやっても、暫定でしかない。
だから、とりかえしのつかない災害をおこしかねない原発はできるだけ減らす。それが、政権の約束だったはずだ。
そのうえで、最小限の原発を動かすことに国民が納得するとすれば、深刻な電力不足や燃料費の高騰で、日常の生活や経済活動に無視できない被害がおよぶ場合に限られる。
枝野経産相も「電力が足りていれば再稼働しなくてもいい」との考えを示した。
今後、あらためてこの夏の電力需給の見通しを出し、第三者も交えて精査するという。その結果を待ってから慎重に判断するべきである。
原発の立地する状況や古さは炉ごとに違う。基準ができたからといって、電力会社は数十基の原発を次々に再稼働できると考えてはならない。
4月7日付け
http://news24.jp/nnn/news89033850.html
福島第一原発でストロンチウム含む水漏れる
福島第一原発で5日、放射性物質を含む汚染水がホースから漏れていた問題で、この水に放射性ストロンチウムが高い濃度で含まれていたことがわかった。 タンクに移す際にホースから漏れた汚染水について、「東京電力」は成分を調べていた。その結果、ホースの近くでは、放射性ストロンチウムが一リットルあたり1億3000万ベクレルという高い濃度で含まれていた。漏れていた水は約12トンで、最終的に海に流れ出ていたとみられているが、どの程度の量が海に流れたかははっきりしないという。 東京電力は、経産省の原子力安全・保安院から厳重注意を受けていて、調査を続けるとともに再発防止策をとることにしている。4/06News24
小出裕章(京大助教)非公式まとめ
2012年4月5日(木)、MBS(毎日放送)ラジオの「たね蒔きジャーナル」に、小出裕章氏(京大原子炉実験所助教)が出演されました。
テーマは……。
・地元の同意は必ずしも前提条件にはならないという藤村官房長官発言
・ストロンチウムを含む12トンの汚染水漏れが海へ漏れていたこと
・汚染水が、コンクリート建造物のひび割れ部分から漏れ続けていること。
・今後海の汚染が進めば、ストロンチウムがセシウムより問題になる可能性があること
についてです。
録音
▼20120405 たね蒔きジャーナル 京都大学原子炉実験所助教 小出裕章
千葉「京都大学原子炉実験所助教の小出裕章さんにお話を伺います。では小出さん、今日もどうぞよろしくお願い申し上げます」
小出「よろしくお願いします」
千葉「え、今日は毎日新聞論説委員の近藤伸二さんと一緒に、お話を伺います」
近藤「こんばんはー。よろしくおねがいしますー」
小出「はい。近藤さん。こんばんは。よろしくお願いします」
千葉「では、まず…ですね、定期検査で止まっている原発の再稼働について、官房長官が今日記者会見で、地元の同意は必ずしも前提条件にはならないという認識を示しました。え…理由は、法律などの枠組みで同意が義務付けられているわけではない、ということなんですけれども。これを小出さんはお聞きになって、どう感じられますか。」
小出「……。これまでの法律の枠組みという、ものを、政治家の人たちが作ったのですね。」
千葉「はい」
小出「え…そして、原子力を進めるということでやって来ました。えー、自民党がまあ、もともとは作ったし、民主党もそれを引き継いで、原子力を推進するということでここまで来たわけですが。その、結果、事故が起きている、のですね」
千葉「はい」
小出「んで、大変な、悲惨な、被害が今、現実的に進行している、わけで。いったいその、責任は誰にあるのかと、私はいつも、う、考えます。で、私自身もこんな事故を防げなかったことの責任があると、自覚していますけれども。私以上に責任が重いのは、これまで原子力を進めてきた人たち、政治の世界の人達もそうだろうと」
千葉「はい」
小出「思います」
千葉「はい」
小出「え…その人たちが、自分の責任をほとんど自覚していないということが私にとっては驚きです。これまでのやり方ではダメだったってことをどうして気がつかない…のでしょうか。」
千葉「ええ」
小出「本当にいつまでたっても、政治というのは駄目なんだなあと思ってしまいました」
千葉「そうですね。ついこの間まで地元の同意が必要という趣旨で」
小出「はい」
千葉「話をしてたと思うんですけれども。まあ、『理解は必要だけれども、同意までは必要ない』っていうふうに、なってしまいましたからねえ」
小出「はい。法的にはもちろんそうなのですね。でもそれが駄目だったということに、なんで気がつかないのでしょうか。」
千葉「ええ」
小出「はい」
千葉「はあ、近藤さんはいかがですか」
近藤「はい、それとあの、小出さんにちょっとお伺いしたいんですけど。」
小出「はい」
近藤「地元の範囲ということなんですけれども」
小出「はい」
近藤「あの、京都府や滋賀県がですね」
小出「はい」
近藤「自分たちの意見も聞くべきだと」
小出「はい」
近藤「あるいは大阪も、そういった主張を今してると」
小出「はい」
近藤「いう中で、その、そのあたりの地元っていうのはどう捉えたら、いいんでしょうか」
小出「従来の法律的で言えば、立地自治体だったと思いますので。大阪、京都、志賀は、関係ないということになってしまうのでしょうけれども。それは従来…どんなに大きな事故が起きても被害は8キロメートルの範囲で収まるという彼らの前提があったのですね」
近藤「うーむ」
小出「その前提、すでに崩れてしまっている、わけですし」
千葉「そうですね」
近藤「事故を見るともう」
小出「はい」
近藤「完全に前提が崩れてますよね」
小出「そう(苦笑)。はい。ですから、立地自治体、というかまあ、地元というのはもっともっと本当は広く考えなければいけないということを、今、事故が身をもって教えてくれてるのですね。それを学ぶこともできないような政治家たちだとすれば、そういう人達をやはり落選させるしかないと思います」
千葉「はい。…では次の質問、まいります。えーと次はですね。福島第一原発4号機の近くにあるパイプが外れて、高い濃度の放射性ストロンチウムを含む汚染水が漏れて、ほとんどが海に流れ出たと見られる、というニュースが入ってきました」
『東京電力福島第一原子力発電所で、5日朝、配管の接合部分が外れて高い濃度の放射性ストロンチウムを含む汚染水が漏れ出て、一部が海に流出したことを受けて、国の原子力安全・保安院は東京電力を厳重注意するとともに、配管の接合部分を総点検し再発防止策をとるよう指示しました。 ...』
小出「はい」
千葉「漏れた量は12トンということなんですが。ここちょっと、改めてお伺いしますが、このストロンチウムとはどんな物質、なんでしょうか」
小出「え…ウランが核分裂してできる時…の、代表的な核分裂生成物というのがいくつかありまして。」
千葉「はい」
小出「え…1つは、今わたしも含めて1番気にしているセシウム137という放射性物質なのですが。それとほとんど、等しい量ができる、というのが、ストロンチウム90という放射性物質でして」
千葉「はい」
小出「人体に対する危険度で言えば、セシウムの何倍かは高いと考えられている猛毒の放射性物質、です」
千葉「はい」
小出「ただし、揮発性が余り無い、ために、福島第一原子力発電所の事故でも、セシウムは大量に大気中に出てきたのですが、ストロンチウムは大気中には出てこなかった…のです。多分まあ割合で言えば1000分の1ぐらいしか大気中には出てこなかったと、思います。で、ただ、逆に、水には溶けやすい、し、え、なかなか水から捕捉しにくいという性質を持っていますので。え…水、をまあ今、浄化系というのを通して、セシウムを捕まえてはいるのですけれども。ストロンチウムはほとんど浄化もできないまま汚染水の中に、もど、残り続けてきてしまっているのです。え、それがまあ漏れてしまったと、いうことで。これからどんどん深刻な問題になると思います」
千葉「え…あの、今回、その、大部分が海へ流れ出したということなんですけれども」
小出「はい」
千葉「量も12トンということで、まあ、どんな影響が考えられますか」
小出「ええっと。実はこの、今、マスコミというかですね、今日の報道ではその12トンが漏れたから大変だということになってるわけですねえ」
千葉「ええ」
小出「もちろん私はそれは大変だと思いますし、え…循環冷却ということ、をやることの困難さを今、それ、今回のことが示したとも思うのですけれども。」
千葉「はい」
小出「実はもう、毎日、漏れているのです。」
千葉「う…」
小出「はい。福島第一原子力発電所の敷地の中には、かつて12万トンを超える汚染水が存在していると、言われていました」
千葉「ええ」
小出「それは原子炉建屋の地下であるとか、タービン建屋の地下であるとか、トレンチピット、立坑というところに溜まっているのですね」
千葉「はい」
小出「今現在もそうです。」
千葉「はい」
小出「で、ただし、そういう構造物というのは、コンクリートで出来ている、のです。」
千葉「ええ」
小出「え…コンクリートというのは、必ずひび割れています。」
千葉「はい」小出「漏れが無いコンクリートの構造物ってのはないわけで。もう、毎日毎日漏れている、のです。ですから私は去年の3月、事故が起きた直後から、コンクリートの構造物の中に溜まっている汚染水は、漏れのない安全な場所に移さなければいけないと、発言を続けてきました。」
千葉「はい。おっしゃってましたねえ」
小出「はい。で、それは、私のまあ頭に描いたのは、巨大タンカーを連れてきて、それにとにかく移す、というのがいいということで、発言をして。たね蒔きジャーナルの番組の中でも、何人かの政治家の人たちと話をさせていただきました」
千葉「ええ、ええ」
小出「そしてその政治家の方々は、皆さん、そうだ、って認めてくださって。え…それは政治の力でやる、とおっしゃってくださったのですけども。結局何も出来ないまま、汚染水がコンクリート構造物の中に放置され続けてきて、います。」
千葉「はい」
小出「もちろん、もう、毎日毎日漏れているということなの、です」
千葉「じゃあ、もうやっぱり根本的に、その、漏れないところに水を移さない限り、」
小出「はい」
千葉「ずうーっと水は漏れ続けるということな、わけですねえ」
小出「そうです。そうです。管理ができない状態で、漏れてきたし、これからも、漏れてしまうということです」
千葉「ふーん。じゃあ、こういう所で改めて12トン漏れたからって驚いている場合ではないわけですね」
小出「はい。そういうことです」
千葉「ふあー。わかりました。えー…今日もスタジオにですね、実は、たくさん質問メールも届いてますので、これを順番にお聞きしていきたいと思います。まずですね、大阪府にお住まいのラジオネームオルソンさんという方からのメールの質問です。この、汚染水漏れの問題なんですけども、入れ続けている冷却水に入浴剤のような色をつける染色剤を入れてみたら、漏れている場所がハッキリわかると思うんですが。そんなことをするととてつもなく危険な反応、例えば爆発したり、パイプが詰まったりとかする可能性が、あるのでしょうか、という質問なんですが」
小出「え…爆発はしたりすることはないと思いますけれども」
千葉「はい」
小出「多分漏れというのはそこらじゅうで漏れてますので」
千葉「ええ」
小出「染色したところで、んー、どこまで有効な手立てになるのかなと思いますし。え…まあ、東京電力の方では漏れというのをむしろ見つけたくないと思ってる、わけですね」
千葉「なるほど、はい」
小出「漏れてるなんてことは、ないと、むしろ彼らは言いたいわけですから。彼らとしては、そういう手段は嫌がるだろうと思います」
千葉「あーー…それでまあ、あの、危険というところはあんまり考えられないんだけど。」
小出「はい」
千葉「それが実現する可能性としては結構低そうな感じですね」
小出「でも、良い提案だと思いますので、東京電力にやらせたらいいと思います」
千葉「はい。続いてじゃあ、こちらの質問参ります。こちらは、ラジオネームぽんちさんという方ですね。神奈川県にお住まいの方です。え…食品の放射性物質の検査ですが。セシウムばかりの話が多いんですが。プルトニウム、ウラン、ストロンチウムなどの、その他の検査はなぜ話に持ち上がらないんでしょうか。という質問です」
小出「え…本当はやらなければいけない、のです。え…ただし、ストロンチウム、あるいはプルトニウムというものの分析というのは、セシウムの分析に比べて、はるかに手間がかかります」
千葉「はい」
小出「え…100倍、1000倍というぐらいに、手間暇がかかるという、そういう測定法ですので。え…今やってるセシウムと同じぐらいの、う……ん……厳密さというか」
千葉「はい」
小出「まあ、今でも厳密だと私は思いませんけれども。セシウムに匹敵するような測定をするということはなかなか難しいだろうと、思います。で、その上で、今も少し聞いていただきましたが、ストロンチウムという放射性物質は、セシウムよりも本来は危険ですけれども」
千葉「はい」
小出「でも、放出されてきた量が、圧倒的に少ないですので。私たち、の、被曝という意味で言えば、何よりもやはりセシウムに注意をしておかなければいけないと、私も思い、ます。え…プルトニウムもそうです。え…猛毒な放射性物質ですけれども。放出された量が、セシウムよりもはるかに少ないので。今は、とにかくセシウムに気をつけなければいけないと、いうことだと私は思います。え…でももちろん、測定はやったほうがいい、し、これから海洋が、海が汚れてきますので、その時にはストロンチウムが、むしろセシウムより問題になる可能性があると思います。え…しっかりと分析体制を作るべきだ、と思います」
千葉「うん…本来はもう測ったほうがいいもの」
小出「はい」
千葉「なんだけれども、そこまで手が回ってないってのが」
小出「そうです。はい」
千葉「現状だということですね」
小出「はい。おっしゃるとおりです」
千葉「はい。わかりました。」
小出「はい」
千葉「小出さんどうもありがとうございました」
近藤「ありがとうございました」
小出「ありがとうございました」