2011年8月7日日曜日

コピペ: 脱原発の主役は「自然エネルギー」ではない。:Newsweek

http://www.newsweekjapan.jp/stories/2011/08/post-2215.php


エコノMIX異論正論

脱原発の主役は「自然エネルギー」ではない

2011年08月03日(水)10時30分
池田信夫
Bookmark:
  • はてなブックマークに登録
  • livedoorクリップに登録
  • Buzzurlに登録
  • Yahoo!ブックマークに登録
 ドイツのメルケル首相は5月30日、2022年までに国内にある17基の原子力発電所をすべて廃止すると発表した。ドイツでは10年前に原発を全廃する方針が出され、メルケル政権がその延期を打ち出したものの、福島第一原発の事故で元に戻った。ドイツではチェルノブイリ事故で広範囲な汚染の被害が出て以来、左右を問わず反原発の世論が強く、今回の決定も既定方針の追認とみられている。
 原発が危険だからやめようという気持ちはわかるが、その穴は何で埋めるのだろうか。ドイツの電力の20%以上は原発で供給されているが、これを再生可能エネルギー(太陽光・風力など)で埋めるのは無理だというのが専門家の見方だ。今でもドイツはフランスから電力を輸入しており、その電気料金はフランスのほぼ2倍。再生可能エネルギーの補助金が電気料金に上乗せされているためだ。これ以上、原発を減らすと、ドイツの代わりにフランスの原発の電力を使うだけである。
 日本でも原発を新設することは当面むずかしいだろうが、「自然エネルギー」はその代わりにはならない。ソフトバンクが自治体と共同で計画している「メガソーラー」と呼ばれる太陽光発電所は、10基あわせても最大出力が数十万kWと原発の半分以下だ。実際に原発の代わりに使われているのは天然ガスである。東京電力は、この夏のピークに備えてガスタービン発電所の建設を急いでいる。その建設は数ヶ月ででき、1基で20万kW程度の発電が可能だ。
 天然ガスは、これまでは中東の油田から採掘されるものがほとんどだったが、最近は岩盤の中から採れる「シェールガス」が採掘できるようになり、価格はここ3年で1/3になった。世界最大の埋蔵国はロシアだが、第2位はアメリカで、生産量ではアメリカが第1位である。化石燃料の最大の問題は、政治的に不安定な中東情勢に左右されることだが、アメリカが主要産出国だというのは大きなメリットである。
 MIT(マサチューセッツ工科大学)の報告書によれば、世界のシェールガス埋蔵量は160年分と推定されている。アメリカでは、2050年までに天然ガスが石炭をほぼ代替し、二酸化炭素の排出量は50%減るだろう。天然ガスのコストは現在でも石油のほぼ半分であり、自動車の燃料としても有力だ。これは石油メジャーの戦略も変え、彼らもシェールガスに投資を始めている。
 天然ガスの価格が低下したため、コンバインドサイクルと呼ばれる発電技術が注目を集めている。これはガスタービンで発電するとともに、その排熱を使って水を蒸気に変えてタービンを回して熱効率を上げるものだ。東京都の猪瀬直樹副知事の紹介している川崎天然ガス発電所(東京ガスとJX日鉱日石エネルギーが設立)では、ガスタービンで38%、排熱による蒸気タービンで20%、合わせて58%の発電効率を実現している。出力は42万kWと火力発電所なみだが、熱効率は火力の1.4倍だ。小型で環境汚染が少ないので都市に立地でき、建設費も1基250億円と石炭火力より安い。
 東京都内の太陽光エネルギーは、わずか1万7000kW。原発1基分の100万kWを出そうと思うと、山手線の内側いっぱいに太陽光パネルを張らなければならない。もちろん再生可能エネルギーの利用できる地域では進めるべきだが、都市では立地する土地がない。電圧や周波数の管理が必要なベースロードと呼ばれる基礎的電力は火力でまかない、天候に左右される再生可能エネルギーはピーク時に備えるピークロードとして使うのが現実的だろう。両者を組み合わせて、雨の日には太陽光の不足分をガスタービンで補うといった複合型の発電プラントも可能だ。 
 ガスタービンの分野では三菱重工が世界最先端の技術をもつなど、日本のメーカーも有望だ。企業の省エネ投資の意欲は強いので、発電と送電の分離によって新規参入を促進する制度改革を行えば、製造業が工場でコジェネレーション(熱電併給)を行うことも容易になる。ITで制御して消費電力を節約する技術も発達している。電気は電力会社のつくるものと考えるのではなく、製造業やIT企業が参入してエネルギー効率を高めるイノベーションを実現すれば、日本経済の新しい成長エンジンになる可能性もある。

コピペ:クローズアップ2011:広島原爆の日 「脱原発」被爆地も苦悩

http://mainichi.jp/select/wadai/news/20110807ddm003040135000c.html

クローズアップ2011:広島原爆の日 「脱原発」被爆地も苦悩

 ◇平和宣言、踏み込まず 市民、賛否入り交じり

広島は6日、東京電力福島第1原発事故後初めての「原爆の日」を迎えた。原子力への国民の不安が広がるなか、ヒロシマのメッセージが注目されたが、平和宣言は「脱原発」に触れたものの踏み込まなかった。被爆者の間でも原発に対する考え方に微妙な差があることや、政治に翻弄(ほんろう)されるのを回避したいなど、被爆地のさまざまな思いが絡み合った。
松井一実・広島市長は平和宣言で、国民の原発不信を指摘し、エネルギー政策転換を政府に要求したが、脱原発については「主張する人々がいる」と述べるにとどめた。
今回の宣言には初めて公募の被爆体験談を盛り込むことにし、体験談を選ぶため、被爆者を含む委員会(10人)が設置された。議論は非公開だが、原発についても意見が交わされ「核と人類は共存できない」という文言を盛り込むよう提案があった一方、いっそうの安全管理をした上での原発容認を示唆する意見も出たという。松井市長は宣言骨子を発表した2日の記者会見で「原発は国の政策だ。(市民の)意見も割れている」と説明した。
過去の平和宣言も、核実験や核兵器など軍事利用は厳しく批判してきたが、原発に反対する姿勢を示したことはない。
被爆者でもあり、戦後初の公選市長を務めた故浜井信三氏は53年、「(原子力が)殺戮(さつりく)と破壊のために使われるか、全人類共同の福祉のために使われるか」が人類の岐路だと言及、平和利用への期待を語った。同年12月にはアイゼンハワー米大統領が国連で「アトムズ・フォー・ピース(平和のための原子力)」と題して演説、日本での原発導入の契機にもなった。
「核廃絶運動」を支えてきた平和団体も一枚岩ではない。6日閉幕した原水爆禁止日本国民会議(原水禁)系の広島大会の初日、「3団体としては『核兵器廃絶』『被爆者援護』の課題で共闘します」「それ以外の課題は会場内ではご遠慮ください」と書かれた冊子が配られた脱原発の原水禁▽原発推進を掲げる核禁会議▽電力総連なども加盟し、スタンスは「凍結」中の連合--の3団体の共催という形をとったからだ。
原水禁副議長の西尾漠・原子力資料情報室共同代表は「核兵器廃絶の一点で協力してきたが、限界が見えた。福島では労働者が危険な作業を強いられており、労組も声を上げてほしい」と言うが、大会で連合幹部は踏み込んだ発言をせず、核禁会議は別に集会を開いて「資源を外国に依存する中で原子力は重要」とのアピール文を採択した。
一方、9日に原爆の日を迎える長崎市でも、福島原発事故を受け、平和宣言で原発にどう言及するか、田上富久市長を委員長とする起草委員会(18人)で激しい議論があった。
 被爆者ら多くの委員は「脱原発」を盛り込むよう主張したが、市長は慎重姿勢を示し、最終的に「脱原発」には触れずに「原子力に代わる再生可能なエネルギー開発の必要性」を訴える内容に落ち着いた。
 長崎市最大の企業は三菱重工長崎造船所。年間生産額約4600億円(08年)のうち53%を発電プラントが占め、高木義明文部科学相(長崎1区)をはじめ、同労組出身の市議、県議は計10人を数える。
平和宣言の骨子を発表した7月28日の会見で、田上市長は「(宣言は)市民代表として言える最大公約数」と説明。「直線的にいく(すぐに原発をなくす)と産業や市民生活に混乱を起こす。原発をなくすロードマップも示されないなかで『脱原発』の思いだけが先行するのは本意でない」とも語り、産業界への配慮をにじませた。
広島市長を91~99年に務めた平岡敬さん(83)は、福島原発事故後、「原発を『必要悪』として容認してきたのは、誤りだった」と悔いを語っている。広島平和宣言の体験談公募に応じた被爆者の岡田黎子(れいこ)さん(81)=広島県三原市=は「来年は、原発も核兵器も人類の滅亡につながることを、自分の主張として世界に発信してほしい」と注文した。【樋口岳大、下原知広】

 ◇首相、政治利用控え 「慰霊の場」目新しい表現少なく

 菅直人首相は平和記念式典のあいさつで「原発に依存しない社会を目指す」と改めて「脱原発」に言及したが、目新しい表現は「(原発の)安全神話を深く反省する」という程度だった。文案策定を主導した政府高官は「式典は犠牲になった方々の慰霊の場で、原発の話とはしゅん別すべきだ」と政治利用を意識的に控えたと明かす。
首相周辺にはあいさつを政治的アピールに利用すべきだとの意見もあり、与野党議員の間では一時「広島の式典を利用して首相が『脱原発解散』に踏み切るのではないか」との臆測も流れていた。 踏み込みを避けた首相だが、「脱原発」を次期政権にも引き継がせようとする思いは強い。首相は式典後、昨年のあいさつで創設を表明した「非核特使」の被爆者8人と懇談した。「兵器としての原爆と、発電としての原発は異質なものだが、放射能を出す危険性ということでは共通の部分がある」と指摘。海外の政府首脳や市民に幅広く被爆体験を伝えたこの1年間の活動報告を聞き、「私が責任を持つ間はもちろん、今後の政府も引き継ぐよう全力を挙げる」と退陣後を意識した言葉が漏れた。
その後の会見では「原子力に大きく依存してきたエネルギーの将来目標を白紙から見直し、(原発)依存度の低減を段階的に進める。内閣として中間的な方向をまとめ、私のあいさつと一致している」と述べ、自身の「脱原発」発言と、政府のエネルギー・環境会議による原発依存の低減方針に矛盾はないと強調した。【高橋恵子】

 

日銀の為替介入は過去最大: これも国民へのつけまわし?

 5日、ロイターによれば、日銀が4日に実施した為替介入は、日銀が公表している「当座預金増減と金融調節」からの推計から、4兆5000億円規模で、1日の円売り介入額としては、過去最大であったと言う。

この単独介入の成果は当然のことながら一時的なものに留まり、円はただちに78円半ばまで下落し、介入効果は疑問視されている。それどころか、円高の進行を抑制するためには、日銀はマネーを増やす政策にコミットするべきなのではないかという専門家からの声も飛んでいるとロイターは報じている。


にもかかわらず、4日以来、この介入について、国内メディアにおいては、「一時的にせよ効果があった」だのといった意見ばかりが報じられているのである。


以下東洋経済の記事においては、経団連に属する輸出で利益を得ている大企業の擁護のために行ったものであるが、円高は経済の構造上自然な流れであって、効果が薄いばかりか、国民の大きな負担を強いるものでしかないことを明らかにしている。


 財政が逼迫しているような時期に、経団連の輸出に依存する企業に対する無意味なご機嫌取りなどやめて頂きたいものである。いくら高くても、ベンツやVMやロレックスは確実に売れている。日本の大企業が、価格競争しなければ売れないようなものばかりを飽かずに大量生産して続けてきたことの限界が自明になっているというだけのことである。


経団連に属する大手製造業は、原発の電力に依存しなければ生産ができないような電気食い虫の製品を大量に作り、熾烈な価格競争をして海外市場に売りさばくといった従来通りの産業形態から脱皮していち早く斬新的な転換を図る必要がある。政府やメディアや省庁の圧力をかけて、原発の再稼働だの、為替介入だのと、国民にばかり負担を強いるようなことは避けて頂きたい。


かのドラッカーも言っている。「傲るな。企業は、「社会」に存在させていただいているものである


円高は必ずしもマイナスばかりではない。なぜか毎月電気代は上がる一方であるし、輸入商品の大幅な値下げも行われないため、庶民にとって円高効果は全く眼に見えないものとなっている。


しかし、明らかに円高で原油価格は安くなっているということは、当面化石燃料に頼らざるを得ない日本にとっては、むしろ喜ぶべきことであるし、仮に食糧汚染による食糧不足が生じることがあったとしても、円高であれば海外輸入が容易になる。下手な介入をしている暇があるならば、円高によって潤う産業の振興でもしている方がはるかにましである。


以下では、為替介入をほめそやかすメディアの姿勢についても言及し、経団連に属する大企業の尻馬に乗って原発の安全神話を流布し、推進の一翼を担ってきたのと全く同じではないかと論じている。


http://www.toyokeizai.net/business/industrial/detail/AC/d476acb8b6e662a9b2b0049fcf298215/

政府・財務省の円売りドル買い介入の大いなる罪、相場の総崩れ招く - 11/08/05 | 17:56

 政府・日銀が昨日8月4日の朝方から円売りドル買い介入を実施、本日5日も市場では午後から介入を再開したとの観測が流れている。しかし、円売りドル買い介入は効果が薄いばかりか国民負担が発生し、大きな禍根を残しかねない。

円高は経済の構造上、自然な流れ

 まず、今般の円高の背景は、野田佳彦財務相の言うような「投機的、無秩序な動き」ではない。欧州周辺国のソブリン危機、米国の債務上限引き上げ問題に加え、景気回復期待の後退があって、世界中の投資家がリスク回避モードになり、円が買い戻されている。欧米は金融危機後のバランスシート調整に時間がかかり、景気への不安が幾度もぶり返す状態にある。民間の負担を減らすために財政出動を行ったが、財政余力には限りがある。市場はそこを不安視している。

 加えて、長期的な流れとして、米ドルは他の通貨に対しても下がる傾向がある。米国は経常赤字国で、円ベースで世界最大の252兆円余の対外純債務国、これに対し、日本は経常黒字国で、世界最大の251兆円余の対外純債権国。現在のように、金利差がほとんどない状態になると、ドル安円高傾向になる。米国はインフレ、日本はデフレであることからも、ドル安円高で調整されるのは当然の動き。つまり、ファンダメンタルズを反映したものだ。
外為特会に膨らむ損失

過去の介入の結果、日本の国庫には大きな損失が残っている。対外純資産のうち3分の1は外貨準備だが、その中身は惨憺たるありさまだ。

 JPモルガン・チェース銀行の佐々木融債券為替調査部長は、「過去に110兆円余りの円を借り入れてドル買いの介入を行って、外国為替資金特別会計には40兆円近くの含み損が出ている。クーポン収入をためていれば理論上は収支トントンとなるが、これを予算で使ってしまっているので、外貨準備を取り崩すと損が実現する」という。いわゆる”埋蔵金活用”ということで、予算で使ってしまったのである。

 今回も、初日の介入額だけでも4兆円という推定がなされているが、これも円高が再び進めば評価損を抱える。自国通貨高は購買力を増す。政府がカネを使って、これを抑制しようとするのは、家計から見ればとんでもない背信行為であるばかりか、財政赤字がさらに膨らみ、いずれは国民負担に付け回される。

 円売りドル買いの介入とは、輸出企業への補助金にほかならない。もし、本当に円安方向に転換できて、輸出企業が潤い、雇用を増やしたり従業員の賃金を上げたりできるのならよいが、輸出企業はすでに、円高の前から需要地である中国などへの移転を進め、雇用については非正規労働を多用して賃下げを行っている。こうした企業に雇用吸収はもはや期待できない。

 また、前述のように、そもそもファンダメンタルズによって円高の流れができており、介入によって円安に転換することは、多額の介入資金をかけても不可能だ。

 介入に効果がないことは、「東洋経済オンライン」の佐々木氏へのインタビュー記事でも紹介している



世界的に円キャリーの巻き戻しで相場は総崩れのおそれ

 しかも、今回、介入後に欧米日とも大きく株式相場が暴落した。この点に注目し、マネーパートナーズの金井氏は警告を発する。

「過去には、円売りドル買い介入後に、安心感から再び円キャリー取引が復活して世界の株価をかさ上げするという現象も見られたが、今回は、介入に効果がないとの判断を市場関係者が下したので、いっせいに円キャリートレードの手仕舞いに動き出したと見ている」。

 だとすれば、世界的なリスク回避モードをさらに強固なものにして、商品相場なども含むすべての相場の値崩れのトリガーを引いた可能性がある。トリシェECB(欧州中央銀行)総裁のみならず、世界から指弾を受ける可能性もある。

 テレビや新聞などの大手メディアが円売りドル買いの介入を催促すれば、投機家は円売り外貨買いのポジションを手仕舞う機会をうかがうはずだ。なぜ、介入をほめそやすのだろうか。日本経済団体連合会に属する輸出大企業に配慮しているのだろうか。これは、「原子力発電は安全だ」と、メディアも東京電力をはじめ電力会社に配慮した記事を書き続けたことと、何ら構造が変わらないことを示してはいないだろうか。

(大崎 明子 =東洋経済オンライン)