高線度の放射能に汚染されたがれきの撤去を誰がするのか。本当にこの作業に従事しなければならないのは、現在あるいはこれまで安全神話を垂れ流し、原子力行政を率先してきた政財官学の人間と、立地自治体で原子力の恩恵を受けてきた・これからも受けようとする人々以外の何者でもないはずだ。
ところが、この作業に日系の外国人労働者の派遣が予定されていた。ところがブラジル大使館をはじめ、さまざまなところから抗議があったため停止に踏み切ったという。
しかし、結果的に、社会的弱者に、欲の皮の突っ張った連中のしりぬぐいをさせるという弱肉強食の構図は、何も変わらない。
フクイチの廃炉と、そしてこれまでに蓄積された放射性廃棄物の処分をする査業だけでも実に気の遠くなるほどの労働力が必要となり、そこで働く人々がどれだけ多くの被曝をし続けなければならないのか、考えれば、考えるほど気の遠くなる話である。
しかし、政府はこれだけではまだ懲りず、自然災害の激しい日本の海岸沿いで次々に原発を動かし、まだまだ狭い国土の中で放射性廃棄物をどんどん作り続けるつもりだという。
まさに正気の沙汰とも思えない。
「いざとなれば、国がなんとかしてくれるだろう」なんて甘い考えに浸り、思考停止状態に陥っている人間はよく考えた方がいい。
原発のせいで心臓疾患で亡くなっても、発癌してもだえ苦しむことになっても、「原発とは直接の因果関係は証明できない」の一言で一蹴されるだけである。
自分の身が可愛いければ、愛する家族や、これから生まれてくるであろう子孫の健康を案じるならば、今、黙って目を閉じ、耳をふさぎ、再稼働を「しかたない」と黙認するようなことをしては断じてならない。
べたべたした暑い夏は、エアコンの代わりに、氷を口にふくみ、寝る前に水をたらいに2,3杯かぶって寝れば十分である。シャワーがあるなら、1分間ぬるま湯のシャワーを浴びるだけでも十分である。くだらないテレビ放送は見ず、早寝早起きをし、それでも耐えられなければ、アイスノンで頭や首を冷やすだけでも随分違う。
多少の不自由さ、不便さに耐えて節電してでも、我々には決してやってはならないことがある。それは人としての道を踏み外すことであり、自分がやりたくないと思っていることを他人に(自分より立場の弱い者に)押し付けることである。
しかし現実問題として、自分の嫌なことは、すべて他人に押し付け、自分の既得権益を如何に守るかというのが今の日本のやり方である。霞が関や永田町や実業家らは、ぬくぬくと安全なところに収まり、一向に身を切らずして、国民にばかり大きな犠牲を強いる。こんなことが一体いつまで続けられていいものだろうか。
瓦礫撤去の伯人作業員募集 伯国大使館の不満表明で中止 12/06/11 (10:18)
【既報関連】本紙5日付紙面で、福島第一原発の事故で放射能汚染している瓦礫(がれき)の撤去を行う作業員として、7月から20人の在日ブラジル人が第一原発から 20キロ圏内で働くと報じた。しかし7日付のフォーリャ紙によると、在日ブラジル大使館(東京都)が作業員を派遣する大阪市の人材派遣会社に連絡し、ブラジル政府として不満を表明したところ、同社は在日ブラジル人の作業員の派遣を中止していたことが分かったという。
その中で、同社社長は「大使館以外にも既にブラジル人と日本人の双方から多くの懸念の電話を受けた」とコメントしている。
国外就労者情報援護センター(CIATE、二宮正人理事長)の大嶽達哉専務理事は本紙の取材に対し、「現在のところ、CIATEにこの件に関する相談や問い合わせはない。また、募集されていた仕事内容が違法かどうかについて情報がないためコメントできない」としている。
募集していた作業内容は廃棄物の除去で、20キロ圏内の日当は3万円。作業時間は1日2時間。また、20キロ圏内を除く福島県内での廃棄物除去の日当は1万~1万2000円。ともに日曜は休みで住居と3食が付くものだった。
同派遣会社は4月から日系ブラジル人向けのフリーペーパー(ポルトガル語版)などに掲載し、全国各地で募集していた。
2012年6月9日付
在日ブラジル人の登録撤回 原発周辺作業で大使館照会
2012.6.7 19:26
東京電力福島第1原発から20キロ圏内でがれき撤去などを行う作業員として、人材派遣会社が在日ブラジル人約20人を登録したところ、在京ブラジル大使館が照会、同社が登録を撤回していたことが分かった。同大使館などが7日、明らかにした。
大阪市の人材派遣会社によると、4月に在日ブラジル人向けのポルトガル語紙で作業員を募集。20キロ圏内での作業は1日2時間で日当3万円との条件だった。数十人から応募があり、うち約20人を登録した。
同社の営業担当者は「募集後、抗議の電話を相次いで受けており、ブラジル大使館からの問い合わせがなかったとしても(ブラジル人の登録を)やめるつもりだった」と説明した。
ブラジルの経済成長と日本の不況に伴い、帰国する在日ブラジル人が増える中、子どもの教育などを理由に日本定住を決めた人も多く、こうした人たちの雇用状況は悪い。(共同)