2012年4月23日月曜日

Nuke Restarts : The definition of 'understanding'


 日本を代表する、野田、枝野、細野、藤村といった我が国のリーダーによれば、官僚が説明をし、その説明に対する意見が反対であれ、賛成であれ、とにかく「意見を聞いてやった」という既成事実さえ作れば、それで「理解を得た」ことになるそうである。

そんな変な日本語がどこに存在するだろうか。

WSJは、4月4日、枝野経産相の、突然の翻意を取り上げた。脱原発を主張していたはずの氏が、突然野田、細野の「再稼働前のめり組」に歩調を合わせたというのである。

しかし、果たしてそうだろうか。

鉢呂氏が着任間なしに、死の灰発言であえなく経産相を追われた時点で、既に、後任の大臣は原発推進派でない限り、すぐにメディアや原発族に足をすくわれて、大臣の任を解かれるに違いないことは自明であった。

それゆえ、長く大臣の座に安穏と居座っていられる人物は、口先三寸でいくら偉そうなことを言っても、結局のところ再稼働と原発の温存を是認する人物以外の何ものでもないことは初めから決まっていたといってもよい。


どのように取り繕ったところで、土壇場になれば、枝野氏が原発是認に走ることは想定内のことであり、何の驚きもない。

特に枝野氏は、フクイチのあのメルトダウンの最中ですら、情報隠蔽と言論統制を率先して実行しておきながら、いけしゃあしゃあと経産相のイスに収まったほどの御仁である。彼の発言が信頼に足るものかどうかは、大臣就任前からはっきりわかりきっていたことである。

「原発は5月6日以降、一瞬だけ0になる」という言葉が、物議を醸す結果となり、氏は形勢不利と見たのか、前言を取り消したが、「一瞬だけ0になる」の弁は、「しかし、すぐさま再稼働させてみせる」という偽らぬ本音だったのではないのか。

次の選挙で、民主党政権が惨敗し、原発推進派の旗色が悪くなれば、彼は多分「あの時は政府三役という立場上再稼働を認めただけで、個人的に認めていただけではない」と詭弁を弄して立ちまわる腹づもりなのだろう。

古代ギリシアは、詭弁家の出現によって腐敗政治が横行したが、日本もこれと同様、法と正義と国民の安全で健康に生きる権利を何よりも遵守しなければならない法律家が、政治の中枢にあって、電力会社と電事連と経団連と自らを守ることに汲々しているのだから、世も末である。



http://blogs.wsj.com/japanrealtime/2012/04/04/nuke-restarts-edano-now-on-board/

April 4, 2012, 7:46 PM JST

Nuke Restarts: Edano Now On Board?


In one of the great policy dramas playing out in Japan these days — whether the government will allow any nuclear reactors to operate this summer — Yukio Edano has a starring role. The minister for Economy, Trade, and Industry has been one of the power sector’s biggest critics, and is seen as one of the biggest obstacles to allowing reactors to resume operation.
But this week, atomic tea-leaf readers see in Mr. Edano’s public comments signs of a turning point — critics might say “flip-flop” — that would allow the nuclear juice to resume.
As recently as Monday, the minister said in parliament he was against imminent operation of two reactors at the Oi nuclear power complex in Fukui prefecture, chosen by nuclear advocates as the first test case for resuming nuclear energy. “At the moment, I am against the restart,” he told parliament that day.
On Tuesday, however, Mr. Edano told reporters that he was neither “against” nor “for” restarting Oi. He explained that when he made his comments a day earlier, “at that time I was still studying the findings” from so-called stress tests, and added “from now on, we have to talk about the government’s view, not my personal view.”
One key unresolved question in the restart debate: how many local governments need to agree to restarts before the switches gets flipped back on. Some say just Fukui prefecture, where the reactors are based. Others say the neighboring governments in Kyoto and Shiga need to sign off as well, since they could also be affected in the event of a Fukushima Daiichi-sized accident.
On Monday, Mr. Edano said the “understanding” of the neighbors was needed, but he didn’t explain just what that meant. On Tuesday, he said that the Nuclear and Industrial Safety Agency “explained to the governors the status of these reactors and received their opinions.” That apparently could meet the definition of “understanding.”
Mr. Edano is part of a quartet of cabinet ministers — also including Prime Minister Yoshihiko Noda — currently deliberating the restart matter. Their next meeting is later this week. Timing on a decision remains unclear.



http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2012041590071342.html


大飯再稼働 「関西圏の理解必須」

2012年4月15日 07時13分
福井県の原発安全対策の軌跡を書いた資料を枝野幸男経産相(左)に手渡す西川一誠知事=14日、福井県庁で(河野光吉撮影)
写真
枝野幸男経済産業相は十四日、福井県庁で西川一誠知事らと会談し、政府が「妥当」と判断した関西電力大飯(おおい)原発(同県おおい町)の再稼働に理解を求めた。これに対し西川知事や時岡忍おおい町長は、政府の拙速な再稼働手続きへの批判を強める大阪市や京都府、滋賀県の理解を国が責任を持って得ることが必要との考えを示し、同意を先送りした。
枝野氏は会談後、時岡町長の要請に応じて住民説明会を開く方針を表明。滋賀県、京都府などには「政府方針を早く説明し理解を得たい」と語った。福井県は原子力安全専門委員会を十六日に開き、安全性などの検証を始める。
福島第一原発事故後の政府による立地自治体への再稼働要請は初めて。この日、民主党の仙谷由人政調会長代行も福井県議らに再稼働に理解を求めた。
会談で西川知事は、大阪市の橋下徹市長らが「再稼働ありき」の政府判断に反発する中では「県民の理解を得るのは困難」と強調。時岡町長も「関西圏の方々の理解を得てもらうことが必須だ」と話した。再稼働に向けた道のりは一段と険しくなった。
 会談で枝野氏は、野田佳彦首相と関係三閣僚による協議を踏まえ「政府が再稼働の安全性と必要性を確認した」と説明。原発に対するテロ対策の充実強化なども進める考えを示した。ただ、事故時の最前線基地となる免震施設の設置などの先送りを認める穴だらけの安全基準の実態に関し、改善策を提示することはなかった。
暫定的な安全基準の設定を求めていた西川知事は「(政府から)一定の回答が示された」としつつも「安全性について県でも検証し、県議会やおおい町の意見も聞いて考えを示す」と述べるにとどめた。時岡町長は「早期に原子力規制庁を立ち上げ、規制機関としての実効性と透明性を高めてほしい」と注文を付けた。
◆急ぐ政府新たな難題
 枝野経済産業相は政府の大飯原発再稼働方針を受け、立地自治体の理解を得る手続きに入った。しかし、大阪市の橋下徹市長ら周辺自治体が再稼働に反対していることを念頭に、関西圏の理解を得ることを「条件」とされ、再稼働を急ぐ政府はいきなり厳しい現実を突きつけられた。
会談で、福井県の西川一誠知事は枝野氏に「(関西圏の)電力消費地域に(原発立地県の)努力が必ずしも伝わっておらず、県民の理解を得ることは困難だ。責任を持って対応していただく必要がある」と迫った。
 おおい町の時岡忍町長も会談後、再稼働への理解を得る対象について「関西圏の首長や住民」と明言。「一番の消費地の方々が再稼働に後ろ向きな状態をなおざりにしたまま、住民に再稼働を認めてくれと言っても理解してくれない」と述べた。
 政府は再稼働に向け原発が立地する福井県とおおい町の理解を得るため、安全基準などを整えた。しかし、その首長から大阪や京都、滋賀など「関西圏」の理解を求められた。再稼働の理解を得る範囲を「県と立地自治体が最も重要」と限定しようとしていた政府の思惑は外れた。
 関西圏は大飯原発の電力の大消費地であるばかりでなく、万一、原発で事故が起きた場合、放射性物質の影響が及ぶことが懸念される。橋下市長は政府が再稼働方針を決めた後、「民主党政権を倒さなければいけない」と批判を強めている。京都府の山田啓二知事と滋賀県の嘉田由紀子知事も「安全対策の恒久的な措置ができていない段階で再稼働するのは不安だ」などと発言し、説得は容易でない。
政府は全国で唯一、稼働している北海道電力泊原発3号機(北海道泊村)が定期検査に入り、停止する五月五日までに大飯原発を再稼働させたい考えだが、新たな難題を抱え「原発ゼロ」が実現する現実味はさらに強まってきた。 (金杉貴雄)
(東京新聞)

http://mainichi.jp/area/fukui/news/20120415ddlk18040413000c.html]



大飯原発:再稼働へ経産相来訪 家族単位で抗議の声も /福井

毎日新聞 2012年04月15日 地方版
 会談が行われた県庁前では、市民グループ約300人が「枝野は帰れ」「再稼働反対」などと声を張り上げ、大飯原発3、4号機の再稼働を「妥当」と認めた政府判断を批判した。幼い子どもを連れて家族単位で参加する人も目立った。
枝野経済産業相と西川知事の会談が始まった午後3時40分ごろ、「行こう」と声を合わせ一部の参加者が規制線を突破。県庁正面出入り口に迫り、県警機動隊員に体をぶつけて入庁を求めた。
 市民団体「原子力発電に反対する福井県民会議」の石地優・事務局次長は「きょうは枝野大臣に直接市民の声を届けるために、勝手連的にこれだけ多くの人が集まった」と、再稼働に不安を持つ市民が自発的に集まった意義を強調した。
大阪から駆けつけたロックバンド「ソウル・フラワー・ユニオン」ボーカルの中川敬さん(46)は「福島第1原発の事故が収束していない段階での再稼働はありえない。(北海道電力泊原発3号機が止まる)5月5日のこどもの日を原発ゼロで迎えられるよう、大飯原発の再稼働に対して抗議の声を出し続けたい」と話した。【松井豊】

http://jp.wsj.com/Japan/Economy/node_426872]


一時的に「原発ゼロ」へ=大飯再稼働間に合わず―枝野経産相


枝野幸男経済産業相は15日、徳島市内のホテルで講演し、国内で現在唯一稼働している北海道電力泊原発3号機(北海道泊村)が5月5日に定期検査入りするため、「(原発の稼働は)5月6日から一瞬ゼロになる」と明言した。経産相が運転中の原発がいったんゼロになるとの見方を示したのは初めて。
枝野経産相は関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の再稼働について、14日に福井県やおおい町に協力を要請したばかり。地元などの理解を得て再稼働するには相応の時間がかかるため、一時的に原発ゼロとなることを認めた形だ。
その上で経産相は「後戻りせず一直線に原発を減らしていく」と説明。さらに「半年、1年だけ原発がゼロになっても、また原発に依存してしまうのでは仕方がない」とも述べ、原発依存からの脱却を着実に進める考えを強調した。
一方、今夏の需給については「原発がないと相当いろいろなところに無理がくる」と指摘。関電大飯原発3、4号機の再稼働について、いずれ地元住民や国民の理解を得られるとの見方を示した。 
[時事通信社]

東電会長人事、これでよいのでしょうか?

東京新聞によれば、下河辺氏は仙石氏の抜擢で、東電の経営財務調査委員長を務め、廃炉や賠償の費用を低く見積り、債務超過ではなく、資産超過として報告し、東電を法的処理せず、存続に導いた。電事連や政府を初めとする原子力ムラの面々にとって、これほど心強く、好都合な人事はあるまい。
 東電会長人事に関して、どんなニュースがあるのか、ネット検索をしてみた。各紙、下河辺氏が東電の経営実態を把握し、企業再生に詳しい弁護士であるということで、諸手を上げて歓迎し、期待するという論調に偏っている中、東京新聞は毅然と「東電会長人事 脱原発が後ずさりする」の見出しを掲げ、骨のある報道をしている。

 サンデー・モーニングでは、コメンテーターの金子勝氏が、唯一、この人事の問題点を厳しく指摘している。

口先三寸で、詭弁を弄して黒いものも白いものに変える弁護士さんが政府の中枢にあって、原子力政策を牛耳り、原発の安全性に関して重要な決定をするーーなんて恐ろしい国になったものだろう。

下河辺氏の起用で、国民は電力会社の不始末で引き起こされる過酷事故のつけを、半恒久的に回されることが決まったようなものだ。民主党政権のおかげで、ピンチをチャンスに変えるかけがえのない好機として、国際世界から一時は期待された、脱原発への道のりから、この国は、ますます遠のいたといっても過言ではない。


金子勝氏のツイッター


東京新聞の社説「東電会長人事 脱原発が後ずさりする」です。

下河辺新東電会長は、「集団自殺」の仙谷政調会長代行の子

分で、表向きリストラだけをやったフリをして、福島県民への賠

償や除染を手抜きしつつ、何とか原発再稼働で賄う路線でしょ


東電会長人事 脱原発が後ずさりする

 東京電力新会長に原子力損害賠償支援機構運営委員長の下河辺和彦弁護士の起用が決まった。原発再稼働に積極的な民主党の仙谷由人政調会長代行の意向を反映した人事だ。脱原発が危うくなる。
 下河辺氏は福島第一原発の事故後、東電の財務状況を精査する政府の「経営・財務調査委員会」の委員長に就き、周辺地域から避難している人たちの就労不能など賠償額を四兆五千億円とする報告書をまとめた。
 巨額の賠償を見込みながら、二〇一一年三月の財務状況を債務超過ではなく資産超過との結論を導き出している。燃料棒が溶けて漏れ出す最悪の過酷事故なのに、廃炉費用として計上した額は一兆一千五百億円。三十年はかかる廃炉費用などをあえて低く見積もり、東電を法的整理せずに存続を打ち出したとの疑念がぬぐえない。
 枝野幸男経済産業相は東電への一兆円規模の公的資金投入と引き換えに、二分の一超の株式を取得して政府の支配下に置く方針を明確に打ち出している。報告書は東電の経営予測についても「原発を再稼働しなければ四兆~八兆円の資金不足が生じる」と原発存続の意図を巧みに潜り込ませた。
 仙谷氏は東電と原発をめぐる議論をリードする立場にあり、関西電力大飯原発の再稼働問題でも積極的に動いている名古屋市内で行った講演では「原発全停止は日本が集団自殺をするようなことになる」とまで言い切り、民主党内からも反論が続出した。
 政府は勝俣恒久現会長の後任に経済人の起用を検討していたが、こうした党内のごたごたが原因となって相次ぎ固辞されている。
 弁護士資格を持つ仙谷氏と下河辺氏は司法修習生時代から昵懇(じっこん)の間柄とされ、現在の運営委員長も仙谷氏の抜擢(ばってき)人事だ。仙谷氏には格好の人物だろうが、企業経営に疎い下河辺氏に務まるだろうか。
 さらに懸念されるのは枝野経産相が力説してきた脱原発の後退だ。「原発依存を、ゼロを目標に引き下げる」が「原発は引き続き重要な電源」へと変節してしまった仙谷氏は枝野氏の「政治の師」であり、異を唱えにくかったのだろう。
 日本の新エネルギー政策は政府のエネルギー・環境会議で目下議論している段階だ。にもかかわらず原発の再稼働に議論が偏り、脱原発を実現する手だてなど根っこの議論が抜け落ちている。骨太のエネルギー政策を欠落させては、日本の電力の再構築は望めない。