そんな謳い文句に踊らされた国民が馬鹿といえばそれまでであるし、大震災が起これば、無駄な税金のばら撒きを即時中止することは当然である。
まず、ばら撒きの1つである、富裕層に子ども手当を支給する、税的な手当をすることなど全く無意味である。わずかな手当が貰えるから子どもを生もうなどと選択する親は全く0とは言わないが、まずいない。政府は若いカップルがなぜ子どもを作らないのかもっとしっかり分析する必要がある。
そもそも、親は子どもに対して扶養の義務を負うものであり、社会が子どもを育てるなどという考えは、移民・難民が溢れ、その国の公用語さえまともに操れないような貧困層を多く抱えた国にこそ必要な施策である。十二分な教育を受け、劣悪でない生活環境を維持している親たちが、子育てに責任を持たず、扶養の義務を半ば放棄するようなことを社会が奨励すればするほど、モンスター・ペアレンツがますます跋扈し、しつけも常識も、生きる力も覇気も希望もない、次の世の中を託せないような子供たちが世に溢れ、日本社会は外国人の力にでも頼らなければ、完全に機能不全となる。
次に高速道路であるが、二酸化炭素の環境汚染を喧しく主張するならば、高速道路の無料化はそれとは全く相容れない施策である。土日の交通事故は増え、レジャーに繰り出すマイカーが、否が応でも一分、一秒を惜しんで高速を走らなければならない営業車や緊急車両の通行をどれほど妨害するかを考えただけでも即時、中止すべきである。
また「農協の支持を得なければ、自民党に勝てない」という気持ちは分からぬでもない。農業政策は重要であるが、まともに農業をやっているのかいないのか定かでないような兼業農家にまで所得保障をし、結果的に専業で懸命にがんばっている農家を圧迫するような制度は廃するべきである。
その上で、政府は、今こそ、徹底的に無駄な歳費を削減し、増税をしないというマニュフェストの根幹の部分は何があっても死守しなければならないのではないか。
まず何を置いても、国会議員の定数と歳費のカットを第一に行うべきである。
無駄な公共事業や歳費も大幅にカットすべきである。仕分けが単なる政治的なパフォーマンスに終わり、仕分けされたはずの事業の大半を、復活折衝ですぐさま名前を変えてゾンビのように蘇らせることを許してしまった責任は厳しく追及されるべきであり、猛省すべきである。一度廃止と決定したものは軽々に覆すべきではない。
亀井氏が金融相になった2年前、「特別会計は役人の小遣いになっている。これに切り込めば20~30兆円はすぐにでる」と言った。特別会計はどうなっているのか、野田氏は全くメスを入れる気配すらないが、何としてもこれに切りこまなければ、民主党は中央官僚と与した自民党と何も変わらず、国民の期待を欺いた口先三寸の詐欺師とそしりを受けても致し方あるまい。
結局、閣僚は霞が関に取り込まれ、民主党の政治家たちも、自民党の政治家同様、官僚の掌の上で転がされるだけのブザマな存在でしかないのか。その象徴が野田氏である。
財務官僚に安々と取り込まれ、軽々に増税を打ちあげた。その一方で、この国難のとき、事業仕分けで、新規建設凍結が決まったはずの朝霞に総工費105億円もの公務員宿舎の建設工事を認め、原発賛成の細野氏を原発担当相、環境庁長官に配置するなどなど、党内融和といえばいかにも聞こえがいい。周りを手懐けたおかげで、官僚や原発を推進する大企業からの激しい向かい風を受けることもなく、順風満帆に帆を上げて、「安定感のあるリーダー」などとメディアからは褒めそやかされているようだがーー。
AERA8月22日によれば、電力会社は原子力発電に関連して、「電力埋蔵金」とも言うべき積立金を保有しているという。これを取り崩すだけで、3兆2千億円もの資金が原発補償、被災者支援にすぐに使えるという。
むろんこの埋蔵金の実質は、電気料金の中にこっそり加算・徴収されてきたものであり、国民がせっせと積み立ててきたものなのであるから、政府は、政治的な意志をもって、緊急の議員立法で特例法案を提出し、国民の負担を減らすことを第1になすべきなのではないか。
AERAによれば、原子力村の地下にはまだまだ埋蔵金が眠っているそうである。
ちなみに公務員宿舎は被災者に提供し、公務員は社会常識に見合った住居費を支払うべきであるし、公僕であることを忘れた中央省庁の官僚、とりわけ管理職の給料・手当・退職金は当然大幅に見直しを行い、カットすべきであろう。
それだけのことを徹底的に行えば、増税などしなくても、復興財源などなんとでもなるし、赤字財政は解消されるかもしれない。万が一、それでも解消できないときは、震災復旧・復興で、需要が増えた企業や、円高差益で莫大な利益を生んでいる企業、富裕層にターゲットを絞った増税を行うべきである。
本来ならば、富裕層には欧米並みに自主的に多額の寄付をしていただきたいところだが、日本ではごく一部の奇特な方々を除いて、noblesse oblige のかけらすらなく、富裕層にいる方ほどお金と権力に執着されるようなので、もはや増税に頼るしかあるまい。
今のような経済不況で、お先真っ暗な時代に、国民に増税を実施することはタブーであり、非道である。日経やNHKを始めとするメディア各紙はまた都合のよいサンプリングをして、「国民の6割が増税に賛成している」などと報じているが、増税によって一般庶民の消費が低迷すれば、日本の経済がどうなるかは、火を見るよりも明らかなのではないだろうか。
以下は富裕層増税に関する記事である。ところで、日本において富裕層とは年収いくら以上の方々のことを指すのだろうか。元経産相の海江田氏の金銭感覚によれば、「年収1500万円は中流層」にすぎないらしいがーー。
http://jp.wsj.com/Finance-Markets/Finance/node_301031
富裕層増税の提唱へ、かつてない読者の反応=バフェット氏
米著名投資家ウォーレン・バフェット氏は長年、新聞の投書欄に大きな反響を呼ぶ意見を数多く発表してきたことで知られる。
2008年10月には経済危機の最も深刻なときに株を購入するよう訴えた。1990年代初頭には財政赤字削減を求めた。そして2000年代には遺産相続税や贈与税を強く勧告した。
しかしバフェット氏は、富裕層への増税を求めた先月の米紙ニューヨーク・タイムズの寄稿文に対する反応はこれまでにないほど大きかったかもしれないと述べている。
同氏は筆者に、「わたしがかつて書いたものの中では今回の反応が最も大きかった」と述べ、「それは今日では電子メールによって反応することが比較的容易になっているという事情もあるだろうから、ある程度まで技術的な要因があるかもしれない。しかし、これまでに見なかったほどの反応だった」と語った。
同氏は、富裕層に増税せよとの彼の意見に対する反応は、ほぼ3対1の割合で賛成が多かったと述べた。年間100万ドル稼ぐ人々と1000万ドル稼ぐ人々に増税するとの内容だ。これは、2対1の割合で同氏の意見への賛成が多かったオンライン上の反応よりやや積極派が多い。
バフェット氏は、彼自身への反応は賛成に傾くのが自然だとして、「そのことに大きな意味はない」と述べた。そして「非常に裕福な人々の中には、1セントでも多くのカネを手元に置きたいと執着する人々も必ずいると思う」と述べた。
しかし同氏は同時に、「フォーブス400(米国の資産家400人)」番付けの幾人かのメンバーの反応もあったし、同氏らが立ち上げた慈善事業キャンペーン「ギビング・プレッジ」の署名者もいたと指摘し、 「実際のところ、彼らはいま起こっている現実の世界に対してある程度共感している」と述べた。
バフェット氏がこれまでにも富裕層課税について書いたことがあるのは言うまでもない。しかし彼の最新の提唱に対する反応は、富と税に関する政治的駆け引きがこれほどに物議を醸したことはなかったことを示唆している。そしてこの論争は向こう2年間にわたってさらに白熱する公算が大きい。
バフェット氏の提唱が、これまでにないほど多くの反応を得たのはなぜだと読者の皆さんはお考えだろうか?