5月27日に京都大学の原子力の専門家小出裕章氏は、フクシマ原発の状況を「とてつもなく困難な状況」と言い切った。にもかかわらず、原発の状況を示す報告やニュースは、どんどんテレビ画面からフェイドアウトしている。
「フクシマに家があるわけでも、仕事があるわけでも、親戚がいるわけでもない」多くの人々の意識の中から原発の現在進行形の事件はどんどん風化していくのだろうか。
それを助長するようなテレビ番組作成者・スポンサーの姿勢に絶望感を感じずにはいられない。
今日は国会中継があり、衆議院東日本大震災復興特別委員会がひらかれフクシマ原発に関する集中審議が行われ、NHKはそれを9時から12時、2時から4時までの間、中継放送した。
いつも国会は決まって中継放送が行われる。別に中継放送が悪いというつもりはない。
しかし、集中審議で、〇〇という代議士が9時に発言しようが、4時に発言しようが、体勢は何も変わらない。つまりゴールデンアワーまで待って、放映することによって支障をきたすような理由、どうしても昼間に中継しなければならない必然性は何もないのである。
なぜそのようなことを問題にするかといえば、朝や昼から夕方にかけての時間帯にテレビの画面にかじりついていられるのは、ほとんどが納税していない人々である。
国の経済を揺さぶり、多くの人々の将来に大きな影を落とす、とてつもなく困難な状況が一向に収束できていない時局の中で、ゴールデンアワーに中国人の天才将棋少女の番組や古い昔の歌番組を流している時間があれば、国民が選んだ政治家たちがこの大事な時期に何を考え、どんな答弁をしているのか、納税者のために、集中審議の模様をしっかり報道してこそ、はじめてNHKは大きな顔をして、公共放送をやっていると言えるのではないか。
さて、薔薇っ子は、この前の海水注入の茶番劇について、考えてみた。なぜ吉田所長は1週間もたってから、自分の判断で海水注入を続けていたなどと言ったのか。1つだけ思い当たるフシがある。実は5月23日(月曜日)に参議院・行政監視委員会がひらかれ、「原発事故と行政監視システムの在り方」というテーマで、京都大学原子炉実験所の小出裕章氏、元東芝のフクシマの原発設計に関わった後藤正志氏、地震学の専門家である神戸大学の石橋克彦氏、それにソフトバンクの孫正義氏が参考人として招致された。
http://hiroakikoide.wordpress.com/2011/05/23/sangiin-may23/
これまでの、東電の息のかかった原発の安全・安心だけを訴える御用学者とは違う顔ぶれであり、どのような証言をされるのか、非常に興味が持てたし、話題の孫正義氏までもが招致され、発言するのであるから、マスコミもこれを取り上げないわけにはいくまいと思った。しかし、この行政監視委員会に関する報道は、「言った」、「言わない」の海水注入茶番劇に完全にとって代わってしまったのである。
しかもこの茶番劇は、自分の発電所が未曽有の人災を起しながら、被災者に対して一度も謝罪さえしないような発電所所長を一大ヒーローに仕立て上げるという、大団円でみごとに結ばれているのである。
あまりにも出来すぎているではないか。