2011年5月29日日曜日

Into Eternity

放射性廃棄物が無害なものになるまで、10万年もかかるという事実を知っていましたか。
渋谷で、Into Eternity, 「10万年後の安全」というフィンランドの放射性廃棄物の永久地層処理処分場建設のドキュメンタリー映画を見るまで恥ずかしながら知らなかった。

3月11日以来、テレビに登場する錚々たる日本の原子力の専門家先生方から「プルトニウムは飲んでも体外にでるから人体に全く影響がない」、「低線量の放射能はかえって健康に良い」「(注水ができないと報じられている最中に)フクシマ第1はチェルノブイリやスリーマイルズとは違って原子炉は完全に停止しているのだから、燃料は、しばらくしたらそのうちに冷えてきますから、全然大丈夫です」などというような教育を受け続けてきた。それゆえに、フィンランドにおける10万年後まで廃棄物を封印するために、地下都市のような巨大な処分場設計の事実は、非現実のSF映画のようにさえ写ってしまう。

しかし、この映画は2010年パリ国際環境映画祭グランプリをはじめ、アムステルダム国際ドキュメンタリー映画祭りの最優秀賞も受賞している作品だ。

日本は廃棄物の処理場をモンゴルに求めようとしている。
http://mainichi.jp/select/world/asia/news/20110509k0000m040142000c.html
http://mainichi.jp/select/world/america/news/20110509k0000m040144000c.html

過疎地に交付金をばらまき、危険きわまりない原発を建設し、狭い国土には溢れ出したゴミの処分場がないとなると、今度は発展途上国にそれを押し付ける。なんというエゴだろう。「向こうも豊かになることを望んで交渉に応じたのだから、何が悪い。自分で経済的な自立ができないものたちを支援してやっているだぞ」という論理なのだろうがーー。

豊かさとは何なのだろうか。自然の豊かさ、恵みを破壊する科学技術はあっても、一端破壊されてしまった自然を元のままに復元できる科学技術はまだどこにもない。

それにしても放射性廃棄物の処分にかかる費用、時間の気の遠くなるような大きさにため息が出る。

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